転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1534話

「傭兵団と言っていた割には、戦力はあのトールギスという機体とエアリーズの2機だけだと!? それも、エアリーズのパイロットは、まだ機体を動かすのにも四苦八苦している? どういう事だ!」

 

 演習場でノベンタ直属の傭兵部隊として雇われる事が決まってから数時間後、現在俺は……いや、俺達は演習場から少し離れた場所にある基地にいた。

 勿論そこいるのは俺だけではなく、凛と綾子の2人も同様だ。

 で、その基地で傭兵団シャドウミラーとしての戦力を紹介したのだが……何故かその場にはノベンタ以外にもセプテムを始めとして、演習場にいた面々が揃っていた。

 相変わらずベンティの姿はなかったが。

 で、こっちの戦力を説明されたセプテムが怒鳴ったのが、今の現状だった。

 

「そんなに怒鳴るなよ。俺は元々シャドウミラーは少数精鋭だと言ってあった筈だが?」

「少数精鋭過ぎる! 戦力がたった2機、しかもエアリーズのパイロットはまだろくに機体を動かせないとなれば、叫びたくなっても当然だろうが!」

 

 セプテムの言葉に、ノベンタ以外の他の軍人達も頷く。

 そんな言葉を向けられた綾子は、特にこいつらを相手にしていないかのように振る舞っていた。

 それは凛も同様であり、うるさく騒いでいるセプテム達に冷たい視線を送っている。

 

「まぁ、綾子がエアリーズの操縦訓練を始めたのはつい最近だが、それでも操縦技術は急激に上昇している。恐らく1週間後には連合軍のパイロットよりも腕のいいパイロットになってるだろうな」

『馬鹿な!』

 

 俺の言葉に、セプテムを含めて全員が声を揃えて叫ぶ。……お前等、息が合ってるな。

 だが、俺の言葉に誇張はない。

 実際、綾子は冗談でも何でもなく、MSを動かせばその分だけ操縦技術が上がっていく。

 いや、それは普通だろう。MSの操縦をすれば操縦技術が上がるというのは、基本的に誰であっても同じだ。

 だがこの場合、その技術の上昇率がとてつもなく高いのだ。

 それこそ、普通のパイロットに比べれば数倍から数十倍近くもの差がある。

 その最大の理由は、当然のように半サーヴァントであるという特殊性に寄るものだ。

 

「そうだな……じゃあ、こうしようか。1週間後に、綾子のエアリーズと連合軍のパイロットで模擬戦をやってみるのはどうだ? 今の綾子がどの程度の実力なのかというのは、さっき見たから分かるだろう?」

 

 エアリーズを操縦する綾子の様子を見たからこそ、セプテムはこうして俺に向かって怒鳴っていた。

 

「……ノベンタ元帥。私はアクセルの言う通りに模擬戦をやった方がいいと思います。そうすれば、本当にどれだけの実力を持つのかが明らかになるでしょう。確かにアクセルの実力が高いのは分かっていますが、傭兵団というからには、最低でも他のMSの戦力も重要かと」

「ふむ」

 

 セプテムの言葉にノベンタが短く頷くのをみて、俺も口を開く。

 このまま変にセプテムの流れに乗るのは面白くないしな。

 

「言っておくが、綾子の本質はMSパイロットじゃない。生身での戦いだ。正規軍でも傭兵団でも、戦争の主役はMSに移ったが、それでも生身の戦闘がなくなった訳じゃないのは軍人である以上、当然だろう?」

 

 生身での戦いというのは、原作でも数多くあった。

 ……五飛とトレーズとか、カトルとドロシーとかが目立ってたな。

 ドロシー……ドロシーか。表向きは戦いを愛しながら、その裏では憎んでいるという矛盾した存在。

 それでいながら、戦闘のセンスという意味ではガンダムパイロット達をも上回るだけの能力を持っている女だ。

 ただし、特定分野に限るが。

 特に凄いのはゼロシステムに対する適応能力だろう。

 最初にゼロシステムを使ったカトルはコロニーを何基も破壊している。ヒイロもエピオンのゼロシステムに飲み込まれて暴走した。

 他のガンダムパイロットもゼロシステムを完全に使いこなすという意味では苦戦していたが、ドロシーの場合はゼロシステムを最初から完璧に使いこなす事が出来ていた。

 勿論直接MSに乗ってゼロシステムを稼働した訳ではないとか、MDを動かす為に専用に改造されたゼロシステムで負荷が少なかったという可能性もある。

 その辺の詳細は分からないが、それでもドロシーはゼロシステムを最初から使いこなしたというのは間違いのない事実なのだ。

 ゼロシステムを使いこなすという一点においては、ドロシーはW世界でも最高の存在であると言ってもいいだろう。

 それこそ、本来ならトールギスのパイロットだったゼクスよりも上だ。

 ……もっとも、シャドウミラーの場合はMDを動かすという意味でゼロシステムは必要ないんだが。

 メギロートを始めとしたAI制御の無人機は、非常に高い判断能力を持っている。

 それこそMDとは大人と子供、月とすっぽんの如く。

 そう考えれば、少し惜しいな。

 

「生身での戦い? このような女がか?」

「男や女で能力は決まりませんわよ?」

 

 セプテムの言葉に、猫を被った状態の凛が言葉を返す。

 凛から責められたのが面白くなかったのだろう。セプテムは鼻で笑う。

 

「ふんっ、連合軍にも女の軍人はいる。だが、アクセルが口にした生身での戦いという一点においては、どうあっても身体能力の差は覆せない。それは真実だ」

「あら……それでは試してみますか? アクセルの能力を見る為に演習に乱入したのですから、私達もその実力を見せる必要がありますよね?」

「おい、凛」

 

 思わずそう告げたのは、俺だった。

 いや、綾子が実力を発揮させるのは分かる。

 だが、私達と言葉にしている以上は、その中に凛が入るのも事実だ。

 凛はそれなりに身体を鍛えてはいるし、八極拳を修めてはいる。

 しかし、それでも凛の強さは魔術あってこそのものだ。

 魔術があれば、この世界の軍人を相手にしても全く問題なく勝てるだろうが、魔術がない状況で実力がどこまで発揮出来るか……そうなれば、下手をすれば凛が負けるという事も有り得る。

 

「大丈夫よ。連合軍の軍人は、MS重視で生身の戦いには殆ど慣れていない。私でも十分に勝てるわ。綾子なら、それこそ100人を相手にしても問題ないでしょうね」

「……凛」

 

 綾子が凛にジト目を向ける。

 セプテムの前で堂々と今の言葉を口にしているのだから、どう考えても挑発以外のなにものでもないだろう。

 そしてセプテムは、あっさりとその挑発に乗る。

 

「いいだろう。少数精鋭と言っているのだから、当然強いのだろう。生身での模擬戦を行わせてみよう。……構いませんか、ノベンタ元帥?」

「……構わんのだな?」

 

 セプテムの言葉に、ノベンタが俺の方へと視線を向けて尋ねてくる。

 それに対し、俺は改めて凛と綾子へと視線を向ける。

 綾子はともかく、凛までもが頷いているのを見れば、俺もそれ以上は止めようがない。

 

「分かった。それで構わない。それで生身での戦いという事だったが、武器は使ってもいいのか?」

「武器? ふむ、それでは軍人であるこちらが有利になるが……それでも構わないのか?」

 

 訝しげなセプテムの言葉。

 生身での戦いという事で、恐らく素手の戦いを考えていたのだろう。

 格闘での戦いといった感じか。

 

「そっちは勿論銃やナイフといった物を使っても構わない。こっちも武器は用意するからな」

「……分かった、ゴム弾を用意しよう。ナイフの方も模擬戦用の物があるからそれを用意する。だが……忘れるなよ? この申し出はそちらからしてきたものだ。ゴム弾であっても、当たれば相応の痛みを伴う」

 

 そう告げるセプテムは、綾子と凛に視線を向けている。

 ……もしかしてセプテムって、意外に紳士的なのか?

 

「だ、そうだが? どうする?」

「問題ないよ。寧ろ、こっちが大分手加減をする必要があるだろうしね」

 

 綾子の自信に満ちた声。

 それを聞いたセプテムの頬が一瞬ヒクリと動くが、それでもこれ以上何も言う様子はない。……もしかして単純に凛や綾子が好みの女だからそこまで強硬な態度を取るって訳じゃないのか?

 ともあれ、俺にとっても予想外な展開ではあったが、生身での模擬戦が行われる事になるのだった。

 

 

 

 

 

 模擬戦をやるということで、運動場へと場所を移した俺達。

 そんな俺達の姿を見て、周囲の軍人達が驚いている。

 ……正確には俺達じゃなくて綾子、だが。

 何しろ、綾子の手には物干し竿が握られているのだから、当然だろう。

 模擬戦ということで、刃には布が巻いてあるが……正直なところ、物干し竿の刀としての能力を考えると布を巻いた程度で刃が鈍ったりはしないんだけどな。

 ましてや、その物干し竿を握るのは半サーヴァントの綾子なのだから、寧ろこれは色々と向こうが可哀相になってしまっても仕方がないだろう。

 そうして綾子と軍人が運動場の中央で向かい合う。

 綾子と向かい合っているのは、ノベンタやセプテムと会談した時に護衛をしていた者の1人だ。

 まぁ、当然護衛というのは精鋭が集められているのだろうから、その中で腕が立つ者が選ばれるのは当然と言うべきなのだろう。

 こっちが銃器を使用してもいいと言ったからか、相手はサブマシンガンを手にしている。

 腰には拳銃やナイフの鞘があり、明らかに本気でこっちを倒そうと思っている様子が見て窺える。

 

「アクセル、お前は本気か? あのような長い剣……いや、刀か? それを持たせて傭兵をやらせるなどと」

 

 俺の近くまでやって来たセプテムが、怒るというよりは呆れたように告げてくる。

 その周囲にいる軍人達も同様に、俺の方へと呆れの視線を向けていた。

 

「心配するな。綾子はMSの操縦こそ最近習い始めたばかりだが、生身の戦いは強い。それこそ、この基地の全員で襲い掛かっても綾子が勝つだろうと確信出来る程にな」

「ほう。……随分と自信があるらしいな」

 

 俺の言葉に機嫌を損ねたのだろう。セプテムは数秒前の呆れの表情から、苛立ちへと代わった視線を向けてくる。

 

「アクセル、あまり挑発しない方がいいわよ?」

 

 凛が小さく俺の耳元で囁くが、そんな行為もセプテムにとっては面白くなかったのだろう。小さく鼻を鳴らして口を開く。

 

「軍の高官の護衛というのは、エリート中のエリートだ。お前達の方こそ、甘く見てるんじゃないだろうな?」

「エリート? ……スペシャルズよりもか?」

 

 その言葉に、セプテムは苛立たしげに舌打ちをする。

 痛いところを突かれた……といったところか。

 まぁ、兵士の数はともかく、質では連合軍がスペシャルズに敵う事はない。

 いや、中にはスペシャルズに負けないだけの兵士もいるのかもしれないが、どうしたってそれは少数派だ。

 

「さて、ご託はいい。まずは始めようか。そうすれば、俺の言ってる少数精鋭という言葉が決して出鱈目ではないと……いや、寧ろ謙遜だというのが分かるだろうからな」

「いいだろう。だが、それだけの口を叩いたんだ。それを忘れるなよ?」

 

 苦々しげな表情を浮かべたセプテムが、審判をしている兵士に視線を向ける。

 綾子の相手をするのが連合軍の兵士で、審判も連合軍の兵士。

 普通に考えればイカサマの類をされても仕方がない。

 もっとも、この場にはセプテムだけではなくノベンタの姿もある。

 だとすれば、向こうにとってもあからさまなイカサマは出来ないだろう。

 いや、イカサマが出来るだけの余裕があればいいんだけどな。

 

「お互い、相手を死に至らしめるような攻撃や、後遺症が残るような攻撃は禁止する。それ以外は、武器の使用は自由だ。……では、始め!」

 

 審判が開始の合図をすると共に、綾子は物干し竿を構える。

 本来は鞘に収まっている物干し竿だが、今回は相手を殺傷しないよう刃にタオルを巻いているので鞘に収める事は出来なかった。

 物干し竿を構えた綾子だったが、そんな綾子の姿を見て周囲の軍人達からは疑問の声が上がる。

 

「おい、何で一気に前に出ないんだ? ロールの奴は銃を持ってるんだから、あの女が勝つには試合開始と同時に一気に前に出るしかなかっただろ?」

「ああ、俺もそう思う。……ま、自分が強いと思い込んでるんだし、どうとでもなると思ってるんだろ?」

「馬鹿が。ゴム弾でも銃弾だぞ? 当たれば痛いで済まないかもしれないってのに」

 

 そんな風に聞こえてくるが、当然のように俺も凛も綾子の事は心配していない。

 向こう側の兵士……ロールが綾子を警戒しつつ、それでもサブマシンガンの銃口を綾子に向け……トリガーを引く。

 ガガガガガガ、という連続した発射音。

 だが、綾子は持っていた物干し竿を素早く、それこそ目にも留まらぬ速さで何度も連続して振るい、その刀身で弾丸の全てを弾いていく。

 これが刀身にタオルを巻いていなければ弾丸は斬り飛ばされていたんだろうが、タオルだったのはどちらにとって幸いだったのか。

 ともあれ、常識の埒外の光景にロールとかいう兵士の男は動揺し、次の瞬間には半サーヴァントとしての身体能力を使って間合いを詰め、物干し竿の切っ先をロールの首筋に突き付ける。

 同時に弾丸の威力で物干し竿の刃に押しつけられた布が切れて地面に落ち……その刃を露わにするのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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