転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1536話

 ガンダニュウム合金を運んでいたシャトルが所属不明機に撃墜されたという知らせを聞いてから数日……何故か俺は、連合軍のとある基地でトールギスを駆っていた。

 視線の先に姿を現したエアリーズに、ドーバーガンのトリガーを引く。

 同時に放たれた巨大なビームは、数機のエアリーズを飲み込む。

 ビームが消えた後も当然のようにエアリーズはそこにいたが、当然ながら撃墜判定を食らったエアリーズはそのまま地上へと降りていく。

 運良くドーバーガンのビームを食らわなかったエアリーズがチェーンライフルをこちらに向けて撃ってくるが、スーパーバーニアを使って回避し、距離を詰めてビームサーベルで一閃する。

 これでまた撃墜判定となり、エアリーズは地上へと向かって降下していく。

 そんな風に戦いながら、エアリーズを次々に撃破していき……最終的に残っているは2機のエアリーズのみ。

 元々連合軍にはそれ程の数が存在しないエアリーズだ。

 当然それに乗っているのは精鋭であり、連合軍の中ではエースと呼ばれてもおかしくないパイロット達。

 ……まぁ、あくまでも連合軍の中での話であり、平均的に高い能力を持っているOZのメンバーと比べれば、精々平均よりちょっと上くらいなのだろうが。

 ともあれ、最後のエアリーズがチェーンライフルを使いながらこっちと距離を詰めてくる。

 トールギス最大の火力を持つドーバーガンを封じる為だろう。

 また、間合いを詰めればチェーンライフルを回避しにくいという狙いもあるんだろうが……

 

「甘い」

 

 スーパーバーニアを使った機体制御は、エアリーズ2機でどうにか出来るものではない。

 この場合の正解は、本来なら撤退だろう。

 だが、模擬戦である以上はそんな真似も出来ない。

 スーパーバーニアを全開にして一気にエアリーズから距離を取り……次の瞬間には、左腕のライフルから放たれたペイント弾が、エアリーズの機体を黄色に染める。

 こうして模擬戦は終了し、機体を基地へと戻す。

 

 

 

 

 

「じゃあ、整備の方は頼むぞ」

「はい! 任せて下さい!」

 

 最初はトールギスが20年近く前のMSだと知り胡散臭そうな視線を向けていた整備員達だったが、一度模擬戦の現場を見せてしまえばトールギスの性能を疑うような事はない。

 ……まぁ、その代わりにトールギスの加速性能とかがどのくらいのものかを知ってしまえば、別の意味で俺に胡散臭そうな視線を向ける者もいたが。

 この辺は仕方がない事として諦めている。

 実際、今のトールギスはハワードがスーパーバーニアを改良した事により、原作よりも高い機動力と加速性能を持っているのだから。

 それに普通に乗る事が出来、それどころかMSから降りても全く消耗した様子を見せない俺は、整備員達にとって理解の外だろう。

 

「アクセル代表、私達はこれからブリーフィングを行います。出来れば参加して欲しいのですが……」

 

 黄色のペンキ塗れになったエアリーズから降りてきた連合軍のパイロットが、俺にそう声を掛けてくる。

 ちなみにアクセル代表と、W世界に来る前と同じように呼ばれているが……これは仕方のない事でもある。

 最初は臨時ではあっても俺に連合軍の階級を与えようという話があったのだが、幾ら精鋭が揃っていると言っても、結局は俺と凛、綾子の3人だけだ。

 しかも実際にMSで戦場に出るのは俺と綾子の2人だけ。

 そんな2人に階級を与えるとすれば、それこそ少尉とかその辺になるのが普通だろう。

 で、もし少尉なんて階級を俺に与えられれば、連合軍の中でも俺達を利用しようとする軍人が階級を笠に着てこないとも限らない。

 だが、それを防ぐ為に2人組で行動するのに大佐とかの階級を与える訳にもいかず。

 まぁ、マブラヴ世界のプロミネンス計画に出向していたスレイは大佐の称号を貰っていたが、それはシャドウミラーという後ろ盾があっての事だし。

 

「いや、その辺はそっちで話を纏めてくれ。それが終わった後でこっちに話を持ってくれば、それに対する感想を言わせて貰うから」

 

 傭兵として雇われた中で、ノベンタに要請された最初の仕事が、この模擬戦だった。

 考えてみれば当然だが、トールギスはガンダムと単機で渡り合えるだけの能力を持っている。

 それはつまり、仮想ガンダムとして考えればこれ以上ない相手となる訳だ。

 ……勿論ガンダムというのは5機それぞれで大きく性能が違う。

 純粋に今のトールギスを仮想ガンダムとして考えるのであれば、スーパーバーニアの高い機動力とドーバーガンの強力なビーム兵器から、ウイングガンダムだけなんだが。

 いや、スーパーバーニアが改修されているので、機動力という意味ではガンダムよりも上か?

 ドーバーガンはバスターライフルに及ばないが……当たらなければどうという事はないってところか。

 ともあれ、そんな訳でガンダムを模した相手としてトールギスで模擬戦を行ってはいたのだが、今はそれよりも気になっている事がある。

 模擬戦が始まる前に見たTVでやっていたニュースの映像。

 ドーリアンが宇宙に交渉に行くだとかいう、そんな内容だ。

 以前ノベンタと話をしている時、その辺の話題が出て、俺は行かない方がいいと意見を述べた。

 勿論俺の言葉だけで全てが決まる訳ではない。

 だが、ここでドーリアンを殺させるような真似をすれば、OZの……トレーズの狙い通りに話が進んでしまう。

 ここで暗殺を防いで生かしておけば、少なくてもOZにとって計画の邪魔になるのは間違いない。

 ドーリアンが生きているだけでオペレーション・デイブレイクが中止になるとは思わないが、多少なりともOZが動きにくくなるのは間違いなかった。

 だとすれば、やはりここはOZの邪魔をして、少しでもオペレーション・デイブレイク後に連合軍が有利に物事を運べるようにドーリアンには生きていて貰いたい。

 それにコロニーとの宥和政策を考えているノベンタにとっても、ドーリアンというのは貴重な味方の筈だった。

 ……まぁ、オペレーション・デイブレイクの事とかを話せば、何故そんなのを知っているかという疑問を持たれる。

 そんな真似をして自分の立場を危うくは出来ない以上、ドーリアンの件は強く言えなかったんだが……

 それでも宇宙に行かせないように手を打ってみるという言葉は聞いたのだ。

 だというのに、今日のニュースだ。

 こうして急いでノベンタの下へと向かうのも、当然だろう。

 

「あら、アクセル。どうしたの?」

 

 ノベンタのいる執務室へと向かっていると、前の方からやって来た凛と出会う。

 周囲には他の軍人達もいるからだろう。いつものように猫を被り、俺に微笑みかける。

 

「いや、ノベンタにちょっと用事があってな。今は大丈夫そうか?」

「いえ、止めた方がいいでしょうね。ロームフェラ財団の人と会っているもの」

「……へぇ。ようやく出て来たか」

 

 ロームフェラ財団が出て来たのは、何かこっちに用事がある為か……それとも、単純に定時連絡のような何かか。

 理由はともあれ、向こうにとって俺という存在はかなりの興味を持っている筈だ。

 トールギスの件についての情報は当然入ってるだろうし、綾子が現在操縦訓練を行っているエアリーズも、元はコルシカ基地所属の機体だ。

 ハワードとかにその辺は調べられても大丈夫なようにしてもらったが、それでも万が一がある。

 ともあれ、ロームフェラ財団からの使者とは、俺も会った方がいいか。

 勿論会談を行っている場所に乗り込むような真似はしない。

 現在の俺はシャドウミラーの代表ではあるが、今のシャドウミラーというのは色々な世界と貿易をしている軍事国家のシャドウミラーではなく、構成人数3人の傭兵団シャドウミラーなのだから。

 ……どっちも代表は俺というのは同じだが。

 ともあれ、今の俺達はノベンタ直属の傭兵団という扱いでしかない。

 である以上、会談の場に向かう訳にはいかない。

 俺がやるべきなのは、扉の前で待っていて偶然ロームフェラ財団の人物に会う事。

 

「じゃ、取りあえず行ってくる」

 

 そう行って凛と別れてノベンタの執務室へと向かった……筈なのだが……

 

「何で一緒に来てるんだ?」

 

 何故か踵を返して俺の後ろにいる凛に尋ねる。

 

「アクセルの事だから、何か馬鹿なことをしそうだもの。それを事前に防ぐには、やっぱり私が一緒に行った方がいいでしょ?」

「……いや、何で馬鹿な事をしそうだとか決めつけるんだ?」

「普段の行いね」

 

 即座に言い返され、そう言われれば俺も自分の普段の行いについては色々と思うところがあるだけに何とも言えない。

 ともあれ、仕方がないので凛と一緒にノベンタの執務室の前に行く。

 するとそこには、当然の事ながら連合軍の兵士が護衛に立っていた。

 他にOZの兵士の姿があるのは、現在ノベンタと会っている人物の護衛だからだろう。

 連合軍の兵士達は俺達の存在を理解しているので一瞬視線を向けてきただけだったが、OZの兵士は胡散臭げにこちらに視線を向けてくる。

 まぁ、連合軍の制服を着ていないのが2人もいきなり目の前に現れれば、それは怪しむだろう。

 ちなみに俺は連合軍の制服ではないがシャドウミラーの軍服を着崩しているいつもの服装で、凛はスーツを着て出来る女秘書といった様相だ。

 俺は元々この服だし、凛はシャドウミラーの交渉とかの仕事を担当しているのでこういう格好だが、綾子は俺から借りたシャドウミラーの軍服を仕立て直して貰って、それを着て生活している。

 ちなみにノベンタに雇われるにあたって凛が交渉した結果、少なくない……それどころか普通に考えれば非常に高額の報酬を毎月貰う事になっている。

 それでいてトールギスの整備や点検、消耗品といった代物の代金は連合軍持ちなのだから、どれだけ凛が交渉に慣れているのかといったのを示しているのだろう。

 実際には思い切り猫を被って向こうと交渉した結果だが。

 ともあれ、そんな風に金に困っていない事もあって、凛が着ているスーツはオーダーメイドの物だ。

 普通に考えればちょっと高価過ぎないか? とも思うのだが、凛の場合は連合軍の元帥であるノベンタと会う事も多いし。それ以外の上級将校と会う事も珍しくはない。

 それどころか、OZやロームフェラ財団の面子と会う事もあるのだから、着ているスーツに金を掛けるのは当然だろう。

 ともあれ、そんな風にどこからどう見ても連合軍の軍人ではない俺と凛は、ノベンタの執務室の前で待つ。

 OZの兵士はこっちを怪しんで何度か視線を向けてきているが、連合軍の兵士が何も言わないという事もあって、聞くに聞けないといったところか。

 そのまま10分も待った頃……不意に執務室の扉が開き、中から1人の男が姿を現す。

 胡散臭い眼鏡を掛けた中年の男だ。

 若干太り気味なので、ロームフェラ財団の人間ではあっても軍人という訳ではないのだろう。あくまでもロームフェラ財団の人間といったところか。

 向こうも俺の姿に気が付いたのだろう。少し目を見開いてから口を開く。

 

「おや、貴方は……なるほど、貴方がアクセル・アルマーですか」

「どうやら俺の事を知ってるらしいな」

「ええ、勿論ですとも。何しろ、貴方にはコルシカ基地を襲撃した容疑や、コロニーのMS、ガンダムに協力しているといった容疑が掛かっているんですから」

 

 そう言いながらも、男は眼鏡の下の視線を俺に向けてくる。

 予想していたよりも、随分と鋭い目だ。

 ただ、どちらかと言えばロームフェラ財団の人間というよりは裏の人間といった方が正しいらしい。

 

「ああ、申し遅れました。私はロームフェラ財団のアハトと申します。もしかしたら、これから色々とお世話になるかもしれませんので、自己紹介をしておきますね」

「アハト?」

 

 笑みを……ただし、蛇のような笑みを浮かべて告げる男の姿を見て、俺は目の前にいる人物が原作に登場していた人物だった事を思い出す。

 ヒイロが自爆した後で、ゼクスがウイングガンダムを修理する為にガンダニュウム合金を宇宙から持ってこさせた時、それをロームフェラ財団が問題視し、その結果として派遣された人物だ。

 軍人ではないと思ったが、原作ではエアリーズを操縦していた事から考えて、実際にはMSの操縦には一定の技術があったのだろう。

 ヒイロとゼクスの決闘を邪魔するためにやって来て……最終的には殺された人物。

 まさか、こんな場所で会うとは思わなかったが……いや、考えてみれば不思議な話でもないのか。

 何しろ、このアハトとかいう奴の言葉を借りれば、俺は色々と怪しいし……実際、その嫌疑は必ずしも間違っているという訳ではない。

 そう考えれば、意外と嗅覚は鋭いのかもしれないな。

 

「ええ。よろしくお願いしますよ」

 

 俺の言葉に、蛇の如き笑いを浮かべ……アハトはそのまま去っていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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