転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1542話

『コロニーに反連合軍の組織がいるというのは、非常に残念な事です。これでは、地球側としても戦力を整える必要があるでしょう』

 

 ゼクスとノインがトーラスを運んできてから、数日。

 現在TVではレディ・アンがコロニーの記者にそう答えている。

 ……結局、テロというか暗殺は行われたらしい。

 それでも現場にリリーナの姿がなかったのは、俺の手紙を読んだからか。

 そこが原作とは違うし、他にも原作と違う場所がある。それは……

 

『ドーリアン外務次官は現在意識不明の重体という話ですが、意識が回復する見立てはどうなのでしょう?』

『残念ながら、意識回復の見立てはありません』

 

 そう、原作ではドーリアンはレディ・アンの爆弾で死んだが、この歴史ではドーリアン外務次官は意識不明ながら生きているのだ。

 恐らく手紙の件は怪しみはしたものの、念の為にといった感じでテロに備えていたのだろう。

 いつの間にか置かれていた、誰が持ってきたかも分からない手紙を全面的に信じる事は出来なくても、無理はない。

 

『テロがあってから、匿名の連絡があって警察や消防が駆け付けるのが早かったという話ですが、それについては?』

『残念ながら分かりません。ですが、駆け付けるまでが非常に速かったので、恐らくその連絡をした人物はこのテロの実行犯と何らかの関係があるのではないかと』

 

 これも、恐らくはドーリアンが仕込んだものの筈だ。

 ドーリアン以外にも何人か生き残りがいるという報告が入っている。

 本来なら爆弾で殺そうとしていた者達が生き残っていたのだから、どうなっているのかを確かめに来たレディ・アンは命を奪おうとしたのだろう。

 だが……念には念を入れてドーリアンは警察や消防の者達を呼んでいた。

 今回の件が地球で起こったのであれば、OZとして何とでもしようがあったのだろうが、現場はコロニーだ。

 いや、勿論コロニーの中にもOZの影響力を行使出来るところはあるのだろう。

 事実、原作でもドーリアンを病院に連れていって欲しいとリリーナが言った時に、病院には既にOZの手が回っているというような事をレジスタンスの連中は言っていた。

 だが……コロニーと地球を行き来しているドーリアンは当然OZの影響力にも気が付いている。

 だからこそ、OZの影響力がない警察や消防のような公共機関に手を回したとしてもおかしくはない。

 そもそもドーリアンと会談をしていたのはコロニーのお偉いさんだ。そのくらい、手を回すのは難しくないだろう。

 結果として、命は奪われなかったが……それでも代わりにドーリアンは意識不明の重体となった。

 この報道が真実だというのを、俺は知っている。

 既にノベンタ経由で情報を得ているからだ。

 ……コロニーとの宥和政策を考えているノベンタにとって、ドーリアンが意識不明になったというのは痛いだろうな。

 ともあれ、現在コロニーで入院しているドーリアンにOZが手を出すのは難しい。

 にしても……原作と違ってリリーナがコロニーに行かなかったって事は、色々と変化が予想されるな。

 原作だとドーリアン暗殺の光景を見ていたリリーナを殺す為にレディ・アンがリリーナの通っている学校へと向かってMSを派遣し、そこでヒイロのウイングガンダムと戦闘を行うという事や、父親の敵のレディ・アンに復讐しようとしてロームフェラ財団のパーティに乗り込んだりした事もあった。

 その辺がまるっきりなくなるという事は……もしかしたら、サンクキングダムの復興というのもなくなる可能性があるか?

 いや、けどドーリアンの妻もリリーナの秘密は知っていた筈だから、その辺は原作通りになるのか?

 ともあれ、オペレーション・デイブレイクまでの時間はそう多くない。

 これからの行動がこの歴史の流れを大きく変えるだろう。

 そんな風に考えながらTVを見ていると、不意に部屋の通信機が着信の音を鳴らす。

 また模擬戦の希望か? それとも綾子の乗機となる予定のトーラスの改修が終わったのか?

 そんな風に考えながら通信機を取るが……

 

『アクセル、ノベンタだ。悪いが私の執務室まで来て貰えないかね? 少し用事がある』

 

 ノベンタからの連絡だった。

 ……こうして改めて連絡をしてくるという事は、間違いなく何かあるのは事実だろうが、何があった?

 今までの経験から考えると、何か大きな出来事の類はなかったと思うんだが。

 それでも雇い主から直接の連絡だ。余程の理由がない限り、それを無視する訳にはいかないだろう。

 

「分かった、すぐに行く」

『ああ、そうしてくれると助かるよ』

 

 短く言葉を交わし、通信が切れる。

 ……さて、本当に何があるのやら。厄介事じゃなきゃいいんだが。そう思いつつ、わざわざ俺を呼び出すのだから間違いなく何か厄介事が起きたのは確実だった。

 

 

 

 

 

 ノベンタの執務室の前にいた護衛の兵士に俺がきた事を取り次いで貰い、執務室の中に入る。

 するとその中にいたのは、ノベンタ……だけではなかった。

 もう何度か顔を合わせて俺とやりあった事もある、セプテム。そして……初めて見る顔が1人。

 

「良く来てくれた、アクセル。……まずは紹介をしよう。彼は地球方面司令部司令官のベンティ将軍だ」

 

 ……へぇ。この男が……

 つまり、今この部屋には実質的に連合軍のトップ3が全員揃っている訳だ。

 ちなみにセプテムの担当は宇宙軍なのだが、それが自分の軍隊を放り出して地球にいても構わないのか? という疑問はある。

 まぁ、セプテムの息子と父親が有能だからこそ出来るんだろうが。

 ベンティが差し出してきた手を、俺も握り返す。

 原作では、ベンティはノベンタと同じくコロニーとの融和姿勢を全面に押し出ている人物だった筈だ。

 ……正直なところ、トップ3のうちの2人が穏健派と呼べる人物なのに、何故連合軍が軍拡主義になっているのかは疑問だ。

 ノベンタやベンティよりも前に今の地位にいた者達がセプテムと同じように強硬派だったのか。

 

「知ってるようだが、改めて自己紹介させて貰う。傭兵団シャドウミラー代表、アクセル・アルマーだ」

 

 俺の名前を呼んだのだから、当然ベンティも俺の事を知っているのは間違いないだろう。

 けど、疑問なのは以前俺が乱入した演習。あの場所に何故ベンティがいなかったのかという事だ。

 地球で行われた演習であるにも関わらず、宇宙軍のトップのセプテムはいたのに、何故か地球の連合軍の司令官とも呼べるベンティの姿がなかった。

 その辺がどうしても疑問なんだよな。

 まぁ、どのみちその辺は俺が気にしてもしょうがない事だが。

 そうして挨拶が終わると、執務室のソファに座るように促される。

 ノベンタが執務机の方にいるので、ソファに座っているのは俺とセプテム、ベンティの3人のみとなる。

 そうして秘書か副官と思しき軍人が紅茶を置いて部屋から出て行くと、やがてセプテムが口を開く。

 

「アクセル、お前のおかげでトーラスという強力なMSを連合軍で入手する事が出来た。感謝している」

 

 ……セプテムが俺に感謝の言葉を述べた、だと?

 連合軍の面子を潰した俺は、当然ながら連合軍の強硬派とも呼ぶべき者達には嫌われている。

 俺がノベンタ直属という立場にいるので、真っ向から絡んできたりはしないが、それでも俺を見る目には不満の色が濃く出ていた。

 そしてセプテムはそんな強硬派の中でも中心人物というか、主導している立場の人間だ。

 つまり、セプテムはとてもではないが俺に良い感情を持っている訳ではなかったのだが……どうやら、トーラスの件でそれが多少なりとも変化したらしい。

 珍しい、と思っていたが、すぐに納得する。

 セプテムの権力基盤は連合宇宙軍。そしてトーラスは現時点では宇宙専用MS。

 つまり、セプテムにとってトーラスというのは非常にありがたい代物だったという事なのだろう。

 

「喜んで貰えて何よりだ。こっちも綾子の使う機体が得られたし、それを地球でも使えるようにする為の改修作業をして貰っているんだから、助かってるよ」

 

 実際問題、凛と綾子はFate世界……人型機動兵器なんて存在しない世界の出身だ。

 まぁ、Fate世界だと魔術的な意味でのパワードスーツっぽいのとかは普通にありそうだし、もしかしたら魔術的な意味での人型機動兵器とかあっても驚かないが。

 ともあれ、そんな世界の出身だから機体の改修作業なんて出来ない。

 綾子はそれなりにゲームとかしていたみたいだから、MSにもあっさりと順応出来たが、それだってパイロット的な意味での順応であって、技術者的な意味ではない。

 凛にいたっては、言うまでもないだろう。……それこそ、凛にMSの改修作業をするように言ったら、気が付けばMSが壊れてどうしようもなくなっていても驚かない。

 俺も一応士官学校で多少の技術的な事は習っているが、あくまでも基本的な事くらいだ。

 シャドウミラーの技術班辺りがいれば全く問題なくその辺は解決したんだろうが、今はそれを言っても意味がないだろう。

 そうなると、残るのはこの世界の技術者。

 ……ハワードに頼めば一番手っ取り早いんだろうが、今の俺は連合軍の傭兵部隊だ。

 フリーだった以前とは違い、デュオを手助けしている今のハワードが俺に協力するのは難しい。

 一応OZを敵対視しているというのは知っている筈だが。

 ともあれ、そんな理由もあって現在頼れるのはハワードやその部下達に比べると大きく能力が劣る連合軍の技術者達しかいない。

 まぁ、能力が劣るといっても一流の技術は持っているんだが。

 そもそも、原作ではOZの技術者達が1ヶ月近く掛かった修理を1週間も掛からずに終わらせたハワードが異常としか言いようがない。

 それにトーラスの譲渡に関しては、絶対にOZがやってくるとは思っていたんだよな。

 基本的に態度が強硬的なセプテムだ。トーラスの譲渡を断れば、必ず敵視される事になる。

 オペレーション・デイブレイク前のこの時期に、そんな真似は絶対に避けたいだろうからな。

 

「それで、トーラスを受け取った時に思ったのだが……OZが何か妙だという印象を受けてな。その辺をアクセルがどう思っているのか聞きたいと思ってノベンタ元帥に呼んで貰った訳だ」

 

 ……まさか、セプテムがOZから何かを感じ取るとはな。

 伊達に将軍の地位にいる訳じゃないって事か。

 

「勿論今日ここにアクセルを呼んだのは、それ以外にも理由があるんだが」

「それ以外にも理由?」

「ああ。実はOZの基地に査察を行うことになった。それについていって欲しい」

「……は?」

 

 セプテムの言葉に、視線をノベンタに向ける。

 もしかしてセプテムが勝手に言っているだけではないかと、そう思ったからだ。

 だが、視線を向けられたノベンタは頷いてから口を開く。

 

「アクセル、私もセプテム将軍と同じ意見だ。君が使用しているトールギスの件を知ってからのOZの行動には、些か不審な点がある」

 

 なるほど。原作ではOZがオペレーション・デイブレイクを行うまでは秘密裏にその準備を進めてきた。

 この世界でも本来はそうなる筈だったのだが、そこに俺が介入した事で、原作と比べて歴史の流れが大きく変わった訳か。

 コルシカ基地に半ば捨て置かれていたトールギスだったが、恐らく俺が乱入した演習の映像を手に入れたか、あるいは残っていたトールギスのデータを改めて確認し、その上でガンダムとやり合えるMSという事で注目したのか……

 まぁ、俺がゼクスやノインに漏らしたオペレーション・デイブレイクの件も関係しているのかもしれないが。

 

「それで査察についていけ、と。……つまり、護衛か?」

「そうだ」

 

 俺の言葉にベンティが頷く。

 どうやら連合軍のトップ3全員が同じ意見らしい。

 OZに対して疑問というか疑惑を持つのは、こちらとしては好都合だ。

 シャドウミラーとして手を組むべき相手を連合軍としたのだから、当然OZに連合軍を潰されるのは困る。

 いずれノベンタにはOZについての注意喚起をするつもりだったから、その必要がなくなったのは助かったと言うべきだろう。

 

「もしOZに何らかの問題点があったら?」

「その場合は、速やかにこちらに知らせて欲しい。すぐに手を打つ」

 

 自信に満ちた表情のセプテムだが、兵士の練度という意味では連合軍よりもOZの方が上なんだよな。

 

「今回の査察で向こうが妙な真似をしているというのを発見した場合、向こうはこっちを消そうとしてくるだろう。勿論MSを繰り出す可能性もある。だとすれば、対策にこっちもMSを持っていく必要があるが?」

「当然それは許可する」

 

 セプテムの言葉に、ノベンタとベンティの2人も頷く。

 ふむ、この態度を見ると、結構本気でOZを疑っていると考えるべきか。

 実際問題、もし向こうがMSでどうにかしようとしてきても、トールギスがあれば向こうに単独でこっちをどうこうは出来ない。

 エピオン辺りがあれば話は別だが……あの機体はウイングゼロが出て来た頃に作られていた筈だしな。

 

「分かった、ならその護衛依頼を受けよう。綾子と凛の2人も連れて行くが、構わないな?」

 

 その言葉に、ノベンタ、セプテム、ベンティの3人は頷くのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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