転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1548話

 OZの査察に行き、戻ってきてから数日……その日も連合軍の精鋭を相手にトールギスを使った戦いを繰り広げていた。

 ドーバーガンから放たれたビームが数機のエアリーズを飲み込み撃墜判定となり、模擬戦は当然のように俺の勝利で幕を閉じる。

 そして模擬戦が終了した後はブリーフィングを行うのだが……その時、兵士達の表情に諦めのような色が浮かんでいるのに気が付く。

 覇気がないと表現すべきか?

 ともあれ、そんな兵士達を見て首を傾げる。

 こいつらは着実に技量が上昇しているのに、何故こんなに落ち込んでいるのかと。

 事実、この基地に来て初めてこいつらと模擬戦をやった時に比べれば、技量はかなり上がっている。

 個人で色々と違うが、平均して技量は2倍……というのはちょっと言い過ぎか。

 それでも、1.5倍くらいにはなっている筈だ。

 なのに、何でそんなに落ち込んでいるのか分からず……結局ブリーフィングも中途半端な形で終わり、基地の食堂で綾子や凛と共に夕食を食べながらその辺を話す。

 すると、何故か2人揃って俺に呆れたような視線を向けてきた。

 ちなみに綾子は現在地上用に改修が完了したトーラスの調整に付き合っており、模擬戦には参加していないし、その様子を見てもいない。

 それでも何故あいつ等があんな風に落ち込んでいるのか分かるのか?

 

「はぁ。……いいか、アクセル。技量が上がっても、それを実感出来なければ意味はないんだ。それこそ、今のままでは負け癖がついてしまうぞ」

「負け癖……なるほど」

 

 考えてみれば、精鋭部隊としてのプライドを持っていた奴等が俺には負け続けだ。

 それどころか、トールギスにペイント弾を当てる事すら出来ていない。

 一番良かったのが、俺がビームサーベルでエアリーズに攻撃を仕掛けた時、背後から援護としてチェーンライフルが放たれた時か?

 その時は咄嗟にスーパーバーニアを使って回避したものの、ビームサーベルで撃墜判定になったエアリーズにペイント弾が命中して、その飛沫がトールギスに付着した事がある。

 ……うん、そう考えれば確かにあいつ等に負け癖がつくって綾子の言葉は理解出来るな。

 

「だとすれば、一度他の部隊と模擬戦をさせてみるのがいいのか?」

「だろうな。本当に自分達が強くなっているというのが理解出来れば、パイロット達も自分達に自信を持てると思うし」

「じゃあ……」

 

 グラタンを口に運びながら、凛が口を挟む。

 ちなみにこの食堂で出される料理は、かなりの美味だ。

 ノベンタがいる基地だからこそというのもあるんだろうが……

 

「どうせ戦うのなら、連合軍じゃなくてOZの方がいいんじゃない? アクセルが教導している部隊はともかく、他の部隊は全体的にOZの方がレベルが高いんでしょう?」

「……なるほど。それは考えなかったな」

 

 自信をなくしている連合軍のパイロットに自信を与えるという意味では、OZとの模擬戦というのは悪くない。

 いや、パイロットの数はともかく、質では連合軍を勝っていると噂されているOZに勝つ事が出来れば、幾つもの得がある。

 まず、俺が教えているパイロットの自信を取り戻すという点。

 同時に、連合軍の中にも手強い精鋭部隊がいると見せつける事が出来る。

 オペレーション・デイブレイクが実際に行われた時、一度自分達が勝っている相手だという事もあり、OZを相手にしても気持ちで押される事がないというのは大きいだろう。

 実際にオペレーション・デイブレイクが行われるかどうかというのは、分からないが……いや、ロームフェラ財団のデルマイユの性格を考えれば、ここで手を退くという事は有り得ないか。

 そもそも向こうが俺を警戒したとしても、結局俺は個人でしかない。

 この短期間で一流のパイロットと呼ぶに相応しい実力を備えた綾子を入れても、2人だ。

 ヒイロ達ガンダムのパイロットが5人いても、OZに勝つのは難しかったのを考えれば、こっちの不利は明らかだろう。

 まぁ、トールギスじゃなくてニーズヘッグやサラマンダー、ミロンガ改辺りを使えば問題はないだろうが。

 いや、俺の事は置いておいて……なるほど。凛が言う通り、OZとの模擬戦というのは悪くない考えだ。

 

「そうだな、それは結構いい考えだ。凛、助かった」

 

 俺が素直に礼を言ったのが意外だったのだろう。凛は薄らと頬を赤くし、視線を逸らす。

 そんな俺に対し、綾子が口を開く。

 

「なぁ、アクセル。良ければその模擬戦、あたしにも参加させてくれないか? トーラスの調整も大分終わったし、出来ればここでしっかりとした戦闘経験を積んでおきたいんだ」

「……トーラスで出るのか? 出来ればトーラスを地上で使えるようになったのは、OZに隠しておきたいんだが」

 

 現状のOZの地上で使える最高性能のMSはエアリーズだ。

 将来的にはビルゴになるかもしれないが、それまではエアリーズとリーオー、トラゴスが主戦力となる。

 だが、そこでトーラスが地上でも使えるようになると知ればどうなるか。

 言うまでもなく、OZもトーラスを地球で使えるように改造するという可能性があった。

 

「うーん、でもトーラスを開発したのはOZなんでしょ? なら、OZには最初から地上用に改修出来るんじゃない?」

「……どうだろうな」

 

 OZの中でも有名な技師と言えば、俺が知っているのはツバロフだけだ。

 そのツバロフが開発したMSとして有名なのが、W世界のガンタンクならぬ、トラゴス。

 まあ、トラゴスも決して悪い機体って訳じゃない。

 だが、それはあくまでも遠距離砲撃用の機体としてなら、の話だ。

 エアリーズや……ましてやエアリーズよりも高い機動力を誇るトーラスを相手にした場合、トラゴスは一方的に狩られる獲物に過ぎない。

 まぁ、腕の立つ狙撃手が乗っていれば、トラゴスでも戦力になるが……

 ともあれ、トラゴスとトーラスでは機体コンセプトが違い過ぎる。

 原作ではツバロフはMDのビルゴを作っていたが、そのビルゴにしたってガンダムを開発した5人の技術者が作ったヴァイエイトとメリクリウス、そしてツバロフが月面基地に到着する寸前に捕らえたシェンロンガンダムから得られた技術があってこその事だ。

 ぶっちゃけ、ビルゴはヴァイエイトとメリクリウスを融合したような機体だしな。

 まぁ、それでも普通ならそう簡単に出来る事じゃないし、ツバロフが全くの無能な技術者って訳じゃないのは、それが証明している。

 

「OZとの模擬戦か。……まぁ、スペシャルズってのはそういう役目があったのも事実だしな。分かった、じゃあ、ちょっとノベンタに頼んでみるか」

 

 OZに対して鼻を明かしてやれると考えれば、ノベンタじゃなくてセプテムの方がいいのか?

 ともあれ、連合軍の最精鋭のエアリーズ部隊の士気が落ちたままだったのは、色々と不味い。

 凛と綾子に目配せし、座っていた椅子から立ち上がる。

 幸い食事はもう既に食い終わっているので、今からは休憩時間だ。

 

「あまり上の人を怒らせないでよ? こっちにしわ寄せが来るんだから」

 

 食堂から出ようとした俺の背中に、凛の声が掛けられる。

 ……なるほど。俺や綾子が好き勝手に動いているのは、当然連合軍の連中にとっても面白くないんだろう。

 そして、しわ寄せが書類やら何やらとして凛に向かう訳だ。

 勿論凛だってやられっぱなしって訳じゃない。

 最近何人かの連合軍の人物が、急に体調を崩して入院したという話は聞いている。

 その日の朝までは元気だったにも関わらず……だ。

 そして凛の得意な魔術に、フィンの一撃……相手を病気にするというのがある。

 まぁ、凛の場合は病気云々の前に下手な銃弾クラスの威力がある一撃だが。

 その辺りから考えれば、何故入院したのかというのは考えるまでもない。

 それでも凛にとっては、かなり手加減してるんだろう。

 凛を苛立たせた連合軍のお偉いさんの冥福を祈りながら――死んでないんだが――歩いていると、やがて目的の場所に到着する。

 その部屋の前には、いつものように護衛の姿があった。

 俺の事は当然知っているらしく、怪しむ様子は見えないままに言葉を掛けてくる。

 

「ノベンタ元帥に御用ですか?」

「ああ、取り次ぎを頼む」

 

 通信機で連絡しても良かったんだが、一応直属の上司だ。

 きちんと話を詰めておく必要があると判断し、こうしてやってきた。

 最初にセプテムに話を持っていってもよかったんだが、やっぱりここは最初に直接の上司の許可を取っておく必要があるだろうし。

 

「どうぞ、お入り下さい」

 

 部屋の中に行って戻ってきた兵士の言葉に頷き、ノベンタの執務室へと入る。

 中には……丁度都合がいいことに、ノベンタ以外にセプテムとベンティの姿もあった。

 そして3人ともが昼食を食べている最中。

 ……ただし、昼食と言っても俺達が食堂で食べているような昼食ではなく、コース料理だ。

 どこで料理をしているのかは分からないが、お偉いさんだけあって随分と羨ましい食事風景んだな。

 

「アクセル、一体どうした?」

「昼食中に悪いな。……けど、連合軍のトップ3が纏まって一緒に食事をしてるとは思わなかった」

 

 原作ではノベンタとベンティはそれなりに友好的だったが、タカ派のセプテムはこの2人を相手に敵対……とまではいかないが、意見が食い違っていた。

 だが、こうして見る限りではこの3人の仲は良好だと言ってもいいだろう。

 少なくても、こうして一緒に食事をしているのだから、敵対しているという訳ではない筈だ。

 

「何を言っている。こうして3人が一緒に食事をするようになったのは、お前のせい……いや、おかげだぞ」

 

 苦笑を浮かべながら告げるセプテムの言葉に、首を傾げる。

 

「俺の?」

「そうだ」

 

 そう言って俺の言葉に同意したのは、セプテムではなくベンティ。

 ノベンタもまた、他の2人の言葉に頷いている。

 どうやら3人共本気でそう思っているらしいが……俺が何をした?

 

「アクセルがスペシャルズの……いや、OZの脅威を私達に話したのだろう? 今までは少しずつスペシャルズが各基地に配備され続けていたから、その辺は全く気にしていなかったのだが、改めて考えると色々と危険な要素が多い事に気が付いてね」

 

 ベンティの言葉になるほどと頷く。

 実際問題、本来なら1つの部隊でしかない筈のスペシャルズが、少人数ずつながら多くの基地に配属されている……というのは明らかに異様な事だ。

 だが、すぐにスペシャルズがそれぞれの基地に配属された訳ではなく、少しずつ、少しずつ配属されていったからこそ今のような状況になっているのだろう。

 そして俺がOZが怪しい云々と色々吹き込んだおかげで、原作では気が付かなかった……もしくはそこまで高くはなかった危機感がかなり切迫した状態になったと。

 これってもしかして、何気にオペレーション・デイブレイクの大きな邪魔をしたんじゃないか?

 原作のオペレーション・デイブレイクでも、OZの部隊が連合軍の基地を攻略しようとして攻め込んだ時に、連合軍に混じっていたOZの兵士が背後から攻撃して攪乱させるような真似をしていた。

 勿論純粋な能力差というのもあっただろうが、同時にそれ以外の面でもこうして勝負がついた訳だ。

 だが、この歴史では連合軍の上位三人が各基地にOZの兵士がいる事に違和感、危機感を持った。

 もしかして、本当にオペレーション・デイブレイクが失敗するのか?

 なら、今回俺が持ってきた話も、オペレーション・デイブレイクの失敗に関係してくる可能性はある、か。

 

「その辺の危機感があるのはいい事だと思う。……さて、それで俺がここまで来た理由なんだが」

 

 ああ、そう言えば。そんな表情を浮かべている3人に、少しだけ呆れつつ言葉を続ける。

 

「実は俺が鍛えているエアリーズ部隊が、模擬戦で俺に負けっぱなしで自信を喪失している。そこで、OZの部隊と模擬戦をやらせてみたいと思うんだが……どうだ?」

「ふむ、その部隊の能力としてはどのようなものかな?」

「少なくても俺が鍛え始めた時に比べると随分と上がっている。そうだな、OZの兵士を相手にしても、無様に負けるような事はないと言ってもいい」

「ほう……それ程か」

 

 ノベンタの感心したような口調。

 

「ああ。本人達は延々と俺に勝てないから、どうしても自分達が強くなっているという自覚がないんだよ。だから、それを実感させたい。そういう意味では、OZの部隊というのは精鋭部隊という意味で丁度いいと思うんだけど……どうだ?」

「私は賛成する。ただし、必ず勝つのが条件だ」

 

 ノベンタにしては珍しく、強気というか強硬的な発言。

 まぁ、特別待遇で雇っている俺の成果と考えれば、ここで失敗する訳にはいかないと思っているのだろう。

 他の2人も同様に頷き……こうして、模擬戦が行われる事が決定するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:555
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1213

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