転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0141話

 テロリストのリフレインを使った消耗戦に対処する為、カナザワ地区にあるブリタニア軍の基地まで後退した俺達。だが、そこで待っていたのは一つの凶報だった。

 いや、俺にしてみれば原作通りの展開なので全然問題無かったのだが、ナンバーズを区別して考えるコーネリアに取っては間違いなく凶報。それは枢木スザクが騎士に選ばれたという報告だ。しかも選んだのがコーネリアが溺愛している妹のユーフェミアとなれば、その怒りの強さも想像出来るだろう。

 実際、その事を知らせた幕僚は報告の途中で数秒ごとに悪化するコーネリアの機嫌に半ば怯えていた。それでも最後まできちんと報告をする事が出来たのはさすがコーネリア直属の幕僚といった所か。もっとも、報告が終わった後は触らぬ神に祟りなしとばかりに去っていったが。

 

「……」

 

 コツコツコツコツ。

 無言のまま机を人差し指でコツコツと叩いているコーネリア。その近くに控えている俺とギルフォードだったが、周囲を漂う緊張感がもの凄い事になっていた。

 目線でギルフォードになんとかしろと促すが、奴は首を振りつつ俺になんとかしろと促してくる。

 直属の騎士であるギルフォードが無理なものを俺がどうにかしろと? あまり無茶を言わないで欲しい所だが、こういうのは付き合いの短い俺の方が向いているのかも知れない。

 

「コーネリア」

「……」

「まずはその怒気を納めて貰えると助かるんだが」

「……」

 

 駄目だ。聞く耳持たずか。

 これもユーフェミアを溺愛するが故なんだろうが、このままでは部下達も居心地が悪いだろう。そしてなによりこの状態のままテロリストと戦う事になったら致命的な判断ミスをしかねない。

 しょうがない、か。こういうのはあまり得意じゃないんだが。

 内心で溜息を一つ吐くと、コーネリアへと近寄りその肩に手を置く。

 なんと言うか、爆発寸前の時限爆弾を解体処理しているような気分だ。

 

「ユーフェミアにだって色々と自分の考えがあるんだろう。このままここでこうしているよりは、直接連絡を取ってみてはどうだ?」

「……」

 

 数秒無言のままだったコーネリアだが、内に籠もっていた怒気を吐き出すかのように大きく深呼吸するとこちらへと顔を向けてくる。

 

「そうだな。すまない、アクセル。面倒をかけた」

「気にするな」

 

 肩の上に置いていた手を離し、ギルフォードの隣へと戻る。何故かこちらを驚きの目で見ているギルフォードだったが、すぐにいつもの澄ました表情へと戻る。

 

「私だ。ユフィを頼む」

 

 即断即決を旨とするコーネリアらしく既にブリタニア政庁へと連絡を取り、ユーフェミアへと通信を繋いでいた。

 数秒後、モニタにはユーフェミアの顔が映っていた。

 

「……」

「……」

 

 顔を合わせて数秒。お互いに沈黙したままだ。コーネリアとしては枢木スザクの騎士という身分を取り消したいのだろうが、叙勲式を大々的にやってしまった以上はそれも出来ない。いや、強行すれば出来ない事もないだろうが、その場合は内外にユーフェミアの恥を晒してしまう事になる。それは妹を溺愛するコーネリアとしては絶対に取れない手段だ。

 

「何も言っては下さらないのですね」

「騎士の任命は皇族の特権だ。総督と言えども口を出す資格はない」

 

 ユーフェミアの言葉にそう返すコーネリアだが、その口調は当然の如く不機嫌さが滲み出ている。

 だが、ユーフェミアはそれに負けずに再度口を開く。

 

「枢木スザクは名誉ブリタニア人ではありますが、その能力は騎士とするのに全く問題無いものです。それはお姉様……」

「総督だ」

「総督も、ナリタや港湾での戦いで実際にご覧になった筈です」

「ナンバーズを区別するのはブリタニアの国是だ」

「では、私が変えてみせます」

「っ!? ……分かっているのか、ユーフェミア副総督。それは、皇帝になるという事だぞ!」

 

 結局その後もお互いのやり取りは噛み合わないままに通信は終わった。いつもならユーフェミアと話した後のコーネリアは機嫌が良いのだが、今は全くの逆となっていた。ただ、通信前に比べると若干落ち着いたようにも見えるのが唯一の救いか。

 

「……アクセル、ギルフォード。私の勝手な事情で不快な思いをさせたな」

 

 少なくても、自分自身がどのような雰囲気を放っていたのかに気が付くくらいには。

 

「いえ。姫様も落ち着かれたようでなによりです」

「そうだな。……長い目で見てやれよ。皇帝になる云々はともかくとしても、世の中には絶対不変のものなんかないんだ。ナンバーズを区別云々というのだってそのうち変わる事になるだろうさ」

「フッ、お前はナンバーズに何の偏見も持たないのだな」

 

 苦笑を浮かべながらこちらへと視線を向けるコーネリア。

 

「忘れてないか? そもそも俺はブリタニア人じゃない。それに傭兵をやっていればナンバーズだろうが何だろうが関係なくなるさ。戦場ではブリタニア人だろうが、ナンバーズだろうが、名誉ブリタニア人だろうが何の関係もない。あるのは、ただ強いか弱いか。生きるか死ぬか。それだけだ」

 

 戦場で飛びかう弾丸はブリタニア人やナンバーズを区別しない。当たれば死ぬ。あるいは運が良ければ怪我をするといった所か。

 

「確かにアクセルの……ん?」

 

 ノックの音が何かを言おうとしたコーネリアの言葉を遮る。

 

「入れ」

 

 コーネリアの言葉に入ってきたのはどこかで見覚えのある男だった。

 痩せぎすの神経質そうな中年の男。マオを探す時に手伝って貰ったキノー・クライスだ。

 

「失礼します。総督に報告したい事が」

「なんだ?」

「このイシカワ地区のテロリスト達に指示を出していると思われる人物の割り出しに成功しました」

「本当か!?」

「はい。情報部の調査によるとこのカナザワに潜伏している模様です」

 

 ……何?

 

「我々の足下にか?」

「はい。どうやら中華連邦の、それも大宦官の手足となる人物のようです」

「大宦官……なるほど、リフレインを使った作戦はあの俗物共の考えそうな事だ」

 

 大宦官。天子を傀儡にして好き放題やっている奴等だ。原作通り、腐った性格をしているらしい。

 

「正確な居場所は掴んであるんだな?」

「はい。詳細はここに」

 

 キノーが持っていた報告書を手渡す。そこには今回の件を裏で操っていた者の所在が書かれているのだろう。

 その報告書を読みながらコーネリアが感心したように口を開いた。

 

「なるほど。確かに本物のようだ。それにしても自分が怪しまれない為に敢えて戦力を用意しないでこちらの懐に入り込むとはな。あの大宦官共の手足にしてはそれなりに優秀ではないか」

 

 それからの事の進展は早かった。情報部を中心として黒幕を確保。その後は偽情報を流してテロリストを一ヶ所へと集結させ、包囲して殲滅。生き残りは捕虜となったが、その殆どがリフレイン中毒者となっておりコーネリアの頭を悩ませる事になった。

 結局俺達がトウキョウ租界へと戻ったのはそれから数日後の事だった。

 この時期、原作ではユーフェミアとスザク、ルルーシュ、カレンが式根島から神根島へと飛ばされて行方不明になっていたのだが、その辺の連絡は一切無かった。恐らくコーネリアの妹に対する溺愛ぶりを知っていた為隠し通す事にしたのだろう。あるいは俺が知らないだけでシュナイゼル経由で連絡があったのかもしれないが。

 

 

 

 

 

「思ったよりも時間がかかったな」

 

 政庁の謁見室。そこで俺はコーネリアの会話の相手をしていた。ギルフォードはダールトンと共に俺達がいない間の情報を整理しているらしく、この場にはいない。

 

「リフレイン……これをまずはなんとかしないといけないな」

「ああ。だが、この手のものは根絶がなかなか難しい。エリア11の総生産にも影響が出てきているしな」

「総督!」

 

 コーネリアの話を遮るようにして、一人の男が近づいてくる。コーネリアの幕僚の一人だが、その顔には汗を掻いている。

 

「どうした?」

「式根島より連絡がありまして、詳細は不明ですが枢木少佐が命令違反により捕縛されたとの事です」

「枢木が!? 全く……イシカワの制圧が終わったと思ったら」

 

 そして次に現れたのはギルフォード。その表情には珍しく焦りの表情が浮かんでいる。これは……来たな。

 

「姫様!」

「今度は何だ?」

 

 面倒くさそうにギルフォードに答えたコーネリアだったが、その表情はギルフォードの次の言葉で驚愕へと変わる。

 

「キュウシュウブロックの関門大橋が破壊されました」

「何!?」

「他、4ヶ所で陸路が。さらに玄界灘に強襲揚陸艇が多数侵入してきています」

「中華連邦か!? しかし、宣戦布告は……」

「いえ、それらの艇体には日本の国旗が!」

 

 そう、原作通り中華連邦――表面的には日本の亡命政権だが――がキュウシュウへと侵攻してきたのだ。

 

「こうなると、一連のリフレインを使った作戦も今回の奇襲から目を背ける為だったのかもしれないな」

「してやられたという訳か」

 

 ギリッっと奥歯を噛み締めるコーネリア。リフレインを使ったというのはらしくないが、もしかしたら黎星刻が立案した作戦なのかも知れない。

 黎星刻。上層部が無能揃いの大宦官に支配されている中華連邦ではそれ程発言力は大きくないが、その能力は極めて強大だ。スザク並の身体能力に、ルルーシュ並の頭のキレ。唯一にして最大の弱点は、その身が病に蝕まれている事だろう。

 

「とにかくキュウシュウをこのままにはしておけん。すぐに出る。出撃準備だ。ギルフォード、すぐにダールトンにも知らせよ。アクセル。お前にも来て貰うが構わないな?」

 

 コーネリアの声に黙って頷く。原作通りなら天気は荒れている筈。そうなると船を使っての出撃は不可能。となると自然と空になるんだが……

 ふと、脳裏にナリタでの戦いの事が思い浮かぶ。あの時、ロイドはランドリオンの解析に集中しすぎていてサンドボードが完成していなかった。今回のフロートユニットは大丈夫だろうか。




名前:アクセル・アルマー
LV:34
PP:180
格闘:242
射撃:260
技量:252
防御:249
回避:277
命中:299
SP:414
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:195

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