転生とらぶる   作:青竹(移住)

163 / 4295
0142話

「ほう、君がアクセル・アルマー君か」

 

 コーネリアの指示の下、出撃準備をしていたその場所へと現れたのは金髪の優男だった。優雅な笑みを浮かべ、その態度は人当たりも良い。そしてその頭脳はルルーシュをも凌ぐ。それだけを聞けばこれ程優秀な男はいないだろう。だが、この男の目は虚無を宿している。念動力者である俺だから分かったのか、あるいは原作知識を持っているからこそ見抜けたのか。

 

「ああ。お前は?」

「貴様、無礼であろう!」

 

 叱責の声を上げたのは頭が禿げ上がった中年……いや、すでに老年か? の太った男、バトレー将軍だった。そうか、式根島・神根島の戦いが終わったという事はこの男がシュナイゼルの側仕えになっていてもおかしくないな。

 

「すいません、兄上。アクセルは元々傭兵として各国を渡り歩いてきた男。口の利き方はご覧の通りでして」

 

 隣でシュナイゼルに頭を下げているコーネリアのその姿に思わず軽く眉を顰める。

 だが、次の瞬間。

 

「いや、気にしなくていい。私もそのような言葉遣いをされたのは初めてだから新鮮だよ」

 

 そう、この鋭さがこの男の驚異的な所だ。今の鷹揚な態度も俺が一瞬眉を顰めたのに気が付いた為だろう。

 正直、俺はこの手の男が苦手だ。純粋な戦闘に関する力なら誰にも負ける気はないし、実際それだけの実力を持っているとも自負している。だが、この手の相手はその戦闘にまで持ちこませてもらえない。ここにレモンがいれば話は多少違うのかもしれないが……いや、レモンの本分は科学者だ。俺よりこの手の戦いが得意とは言えさすがにシュナイゼルには及ばないだろう。……ヴィンデルがいればシュナイゼルとも互角以上に渡り合えただろうが。

 いや、既にヴィンデルはいないんだ。それにそんな事をあの世で待ってるヴィンデルに知られてみろ。それこそ鼻で笑われる事になる。

 

「そうか。じゃあこのままの態度で通させて貰おう」

「我が君! そんな恐れ多い……」

「気にするな、バトレー。ブリタニア皇族に対してこのような口を利いてくれる人はどのくらいいると思う?」

「我が君……」

 

 バトレーが溜息を吐き、こちらへと視線を向ける。俺のイメージでは凡庸な男という感じだったが、その眼光は意外な程に鋭い。

 

「アクセルとか言ったな。我が君の温情に感謝するんだな」

「バトレー! ……すまない、アクセル君。これからもコーネリアの力になって貰えると兄としても嬉しい」

 

 差し出された手を握り返す。こうして握手をしていてもその感情は感じる事が出来ない。これがシュナイゼル・エル・ブリタニア、か。

 

「コーネリア、キュウシュウについてだが」

「はっ、すぐに鎮圧してきます」

「それもそうだが、ダールトンを私の補佐として残していって貰えないかな?」

「ダールトンを? ……兄上がそう仰るのなら。ダールトン!」

 

 シュナイゼルの言葉に頷き、ダールトンを呼ぶコーネリア。

 ダールトンは部下に指示を出していたが、呼ばれるとすぐにこちらへとやってきた。

 

「何でしょうか、姫様」

「うむ。お前もキュウシュウへ連れていこうと思っていたのだが、兄上がこちらでの補佐としてお前を使いたいらしい。構わないな?」

「イエス・ユア・ハイネス」

 

 ダールトンの返事を聞き、シュナイゼルが笑顔を浮かべる。

 

「二人共ありがとう」

「あぁ、それとダールトン。こちらに残るのなら、ユフィに勝手な行動をさせないように気をつけてくれ。枢木スザクの騎士叙勲の時のように個人の問題で済むのならともかく、今回は国家としての問題だ。こんな時にユフィに変に動かれては何が起きるか分からん」

「はっ、気をつけておきます」

「そうだね。私も気にしておこう」

 

 コーネリアの言葉に、シュナイゼルとダールトンの二人が頷く。

 

「それと、キュウシュウ奪還に関する作戦なんだが……中華連邦がこのエリア11に手を出してきている唯一にして最大の理由は澤崎敦だ。彼を排除出来れば中華連邦はこのエリア11に手を出す大義名分を失う。そこで、特派のランスロットに敵中央を叩いて貰いたいと思うんだが、どうだろう?」

「兄上、それでは!」

「いや、誤解しないで欲しい。私は別にコーネリアを蔑ろにしているつもりはない。特派が突出すれば中華連邦に対する囮として使う事も可能だろう。その隙にコーネリア、君の軍がキュウシュウに上陸して敵中央を叩く。それにアヴァロンにはブレイズルミナスという防御機構もあるし、ランスロットで空を飛ぶ事を可能にするフロートユニットの開発も完了している。これなら敵の中央部に奇襲を仕掛けるのも可能だと思うが、どうだろう? ……もっとも、アクセル君の機体はフロートユニットが開発される前から空を飛んでいたようだが」

「兄上」

 

 シュナイゼルの言葉をコーネリアが遮る。自分の名に於いてガーリオンに対する詮索を禁止したのだから、例え兄が相手でもそれは変わらないのだろう。

 

「ああ、そう言えば彼の機体に関しての詮索はしないようにとの事だったね。すまない、そういうつもりではなかったんだ」

「いや、気にするな。それよりも俺の機体が空を飛べるという事は、俺も特派の部隊に参加した方がいいのか?」

 

 原作通りに進むのなら、ランスロットは敵中でエナジーフィラーが尽きて撃破寸前にまで追い詰められる。幸いゼロのガウェインが援軍に来て予備のエナジーフィラーを補給してくれたのでなんとかなったが、ガーリオンがいるならもっと安全に作戦を進める事も可能だろう。

 そんな俺の考えは、シュナイゼルによってあっさりと否定される。

 

「いや、君には普段通りコーネリアと行動を共にして貰いたい。キュウシュウに上陸するにはどうしてもポートマンを中心とした水中戦力が必要になるが、そこにランスロットと同じく空を飛べる君の機体があれば犠牲は少なくなるだろう。構わないかな?」

「ええ、分かりました。ではアクセルは私と行動を共にするという事で」

 

 シュナイゼルの言葉にコーネリアが頷く。特派だけで攻撃が成功すると信じているのか、あるいは黒の騎士団が乱入してくるのを予想しているのか。シュナイゼルの表情を観察してもどちらかは分からない。だが、なんとなく後者のような気がする。

 

「では、早速出撃準備を整えますのでこれで失礼します」

「ああ。キュウシュウの事は任せたよ。私はこのトウキョウ租界で皆が落ち着いて生活出来るように力を尽くそう」

「お任せ下さい」

 

 そう言って、シュナイゼルに背を向けるコーネリア。……原作ではシュナイゼルに懐くと言うか、褒められて頬を赤くしていたのだが今の状況を見る限りではそういう事はないような気がする。

 

「じゃあ、アクセル君。コーネリアの事を頼んでいいかな?」

「ああ。何せ俺はコーネリアの直属部隊らしいからな。何があってもコーネリアだけは守ってみせるよ」

「頼もしいね。お願いするよ」

 

 そう言って笑顔を浮かべるシュナイゼルに背を向け、俺もコーネリアの後を追った。

 

 

 

 

 

「……運が悪いな」

 

 ブリタニア軍の揚陸艇の指揮所で思わず口に出す。キュウシュウに対する上陸作戦を行うというのに、暴風雨に晒されているからだ。まるで台風に襲われたかのような悪天候の為、俺のガーリオンも出撃出来ずにいた。雨雲の上まで出れば天気は関係ないのだが、それではポートマンに対する援護は出来ない。いっその事ガーリオンで敵中に突っ込んでみるかと提案もしたのだが、それでは特派の陽動の意味が無くなってしまうという理由で却下された。

 

「本州との陸上交通網が破壊されたのが痛かったな。橋があればこんな雨の中で上陸作戦を実行に移さなくてもすんだのだが」

「確かにな。だが、奴等とて最初からそれくらいの事は考えていただろう。何せここが地元のテロリストと手を組んでいるのだ」

 

 俺の言葉に対してコーネリアが苦々しげに言葉を返してくる。

 

「やはり以前のリフレインを使った自爆攻撃も、これらに繋がる布石か何かだったのでしょうか?」

 

 ギルフォードの声にコーネリアが頷く。

 

「恐らくな。あるいはあの時の攻撃自体は特に意味もなかったのかもしれん。リフレインの流通ルートを通してこのキュウシュウのテロリストと澤崎、中華連邦が繋がったのかもしれないな」

「なるほど。それならば今回の澤崎とテロリスト達の連携の良さにも説明が付きますね」

「うむ。この悪天候は厄介だが、だからと言って天気が落ち着くまで待つ訳にもいかん。兄上の言ってた通りに特派の連中も既に行動を起こしているだろう。ポートマンを出撃させよ」

「イエス・ユア・ハイネス!」

 

 コーネリアの命令に従い、旗艦であるこの揚陸艦やその周囲に浮かんでいる揚陸艦から次々にポートマンが出撃する。荒天の為に揚陸艇の揺れも凄い事になっているが、さすがにブリタニア軍のポートマン部隊と言うべきか。全機が躊躇う素振りすら見せずに海中へとその身を沈める。

 揚陸艇を動かしている船員達もその勇姿には期待していたのだろう。だが、その期待は数分後には落胆へと変わる。フクオカ基地から発射された砲弾が海中へと降り注ぎ、キュウシュウへと上陸しようとしていたポートマンのかなりの数が撃破されてしまったからだ。

 

「姫様、損害が大きすぎます。この天候ではガーリオンも使えませんし……上陸作戦は天候が落ち着いてから行うしか」

「むぅ」

 

 ギルフォードの進言に悔しげに呻くコーネリア。

 

「落ち着け。天候が荒れているのではどうにもならない。ロイド達にだってその辺は分かっている筈だ。天候が落ち着くまで待つ方が得策だ」

 

 ギルフォードを援護するようにそう言う。実際、特派の任務はフクオカ基地にいる澤崎の捕縛ではあるが、同時に陽動としての効果もある。いや、どちらかと言えば陽動の方がより重要性が高いだろう。いくら第7世代KMFのランスロットといえども、所詮は単機で……しかもそのエネルギーであるエナジーフィラーは有限だ。これが時流エンジンのように永久機関であるのならランスロットだけでフクオカ基地の制圧も容易いのだろうが、このコードギアスの世界で永久機関は未だに実現していない。

 

「……アクセルの言う事ももっともだな。それに指揮官が慌てていたりしては部下に伝わる」

 

 苦笑を浮かべるコーネリア。その様子を見ていたギルフォードも口元に微かながら笑みを浮かべていた。

 

「それにいざとなったら俺がガーリオンで先発して上陸場所を確保してもいい。この戦いはどうあっても俺達の勝ちは揺るがないさ」

「いや、その案は却下しただろう。陽動という訳でもないのにアクセルに掛かる負担が大きすぎる」

「なら、時を待つべきだな」

 

 俺のその言葉に、コーネリアはただ黙って頷いた。




名前:アクセル・アルマー
LV:34
PP:180
格闘:242
射撃:260
技量:252
防御:249
回避:277
命中:299
SP:414
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:195

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。