転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1568話

 基地へと到着した俺達は、その基地の司令官に当然のように歓迎された。

 そこには純粋に俺達に助けられたという思いもあったのだろうし、同時にシャドウミラーがノベンタ直轄の傭兵部隊だったり、そのシャドウミラーにガンダムのパイロットがいたり、間違い無く連合軍上層部と繋がりがあるのだろう少佐がいたりと、この基地の司令官にとっても色々と見過ごせない要素があったからか。

 

「いやいや、アクセル代表が来てくれたおかげで何とかなりました。まさか、OZがあれだけの戦力を用意してこの基地に攻めてくるとは思いもよらなかったもので」

 

 50代程の、頭が禿げている男……間違いなく体重は100kgを下回る事はないだろうそんな男が、笑みと共に俺にそう告げてくる。

 正直なところ、おべっかを使っている様子とか見ても明らかに能力があるとは思えないんだが……何故そんな軍人が重要な基地を守っているんだろうな。

 いや、それでも俺達が来るまで基地を守ったんだから、外見に反して実は有能だったりするのか?

 

「そうですね。向こう側の戦力が予想していたよりも多かったのは事実ですし」

 

 俺達の代表として、サリィが司令官を話しているのを横目で見ながら、改めて視線を基地へと向ける。

 ここでもかなり派手な戦闘になったのだろう。基地の中には壊れている建物があり、その瓦礫がそこら中に散らかっていた。

 そんな状態の基地を、連合軍の兵士達は重機を……時にはMSまで使い、後片付けをしている。

 OZの主戦力になっているエアリーズはこういう作業に向かないだろうが、陸戦用MSのリーオーはこういう作業にも向いているらしい。

 重機と共に運べない瓦礫を手で持っては片付けていた。

 

「ねぇ、アクセル。もしかして私達って、今この基地にいるのは邪魔なんじゃない?」

 

 そんな光景を見ていた俺に、凛が呟く。

 実際問題、邪魔だと言われれば多分邪魔なのだろう。

 本来なら片付けに専念したいところが、俺達に対してもある程度の人手を割かなければならないのだから。

 だが、かと言って俺達がこのまま帰ってしまってもいいのかと言えば、これもまた否だ。

 そもそも、OZの部隊は俺達が来たから撤退したのであって、もし俺達がここからいなくなってしまえば、またもやこれ幸いと攻撃を仕掛けてこないとも限らないのだから。

 そうなった場合、現状のこの基地にOZへと抗う戦力は……ない事もないが、それでも間違いなく被害は大きくなる。

 そんな意味であっても、俺達シャドウミラーはこうしてこの基地にいた方がOZに対する牽制となり、兵士達も安全に作業が出来ている。

 ……兵士達にとっては、あまり面白くないのかもしれないが。

 何しろ、自分達が必死にこの基地の防衛をしていたのに、俺達が来た途端にOZが撤退していったのだ。

 それはつまり、OZにとってシャドウミラーの3機の方が脅威だと、そう言ってるも同然なのだから。

 勿論それは間違いのない事実だ。

 この基地の兵士達も、それは理解しているのだろう。だが……理解はしていても、納得は出来ない。感情がそれを許容出来ないといったところか。

 その気持ちは分かるが、こちらに向けてくる視線に険の籠もった視線が混ざっているのは、正直どうかと思う。

 

「ふんっ!」

 

 当然そんな視線を向けられれば、面白くないと態度に出す者もいる。

 五飛とか。

 俺の場合は、正直なところこの手の視線には慣れきっている。

 自分で言うのもなんだが、俺の操縦技術は長年戦場にいた経験と、この身体に備わっていた操縦センス、そしてレベルアップとPPを使った数値の上昇にスキルの習得といった風に、多少MSの操縦が得意な相手と……いや、例え相手がガンダムのパイロットであっても、容易に下す事が出来る。

 まぁ、それはあくまでもニーズヘッグのように、俺の操縦技術に耐えられる機体があってこその事だが。

 今乗っているトールギスは、正直なところかなりセーブして乗っているような状況だ。

 それでもガンダム3機を相手にしても互角にやり合う事が出来ていたのだが。

 ともあれ、今までにも同じような境遇にはなっているので、この手の視線には慣れていると言ってもいい。

 凛や綾子も、それぞれ他人よりも抜きんでたもの……魔術とか半サーヴァントとかがあるので、この手の視線にも慣れている。

 ……そういう意味では、五飛だってこの手の視線に慣れていてもおかしくはないのだが……やっぱりガンダムのパイロットとして、個人で戦ってきたから、こういう視線を直接向けられる事はなかったのか?

 ともあれ、その辺の事情はともかくとして、兵士達の何人かに不穏な様子があるのは事実だ。

 

「少し、早めにこの基地を出て行った方がいいかもしれないな」

「そうね。下手にこの基地に残っていれば、お互いに嫌な思いをするでしょうし」

 

 俺の呟きに凛が短く返す。

 綾子も同意見なのか、無言で小さく頷いていた。

 五飛も話に混ざってはこないが、同じような思いではあるのだろう。俺の言葉に反対する様子はない。

 ……今までノベンタの下にいて、連合軍のいい面を見てきた。

 俺達がいた基地の連合軍は、MSパイロットも必死に訓練をして、少しでも俺達に追いつこうとしていたし、俺に負け続けても食らいついてきた。

 まぁ、それでも途中でちょっとやり過ぎたのか自信をなくしかけたが……それでも自分達の実力が足りないのであれば、操縦技術を鍛えてやるといった気概があった。

 だが、この基地で今俺達に険の籠もった視線を向けている連中は……自分の努力が足りないのを、他人のせいにすらしている。

 勿論全員がそんな視線を向けてくる訳ではない。

 中には純粋に感謝の視線を送ってくる兵士の姿も多いのだから。

 

「ま、俺達がこれからどうするのかはノベンタの指示待ちだろうな。それまでの間に、ここの兵士達が妙な暴発をしなければいいんだが」

 

 出来ればさっさと戻ってこいという命令が来て欲しい。

 あるいは、他の基地の援護に向かえというのでもいいし。

 どちからと言えば、この場合は後者の方が可能性が高いか?

 

「アクセル代表。部屋を用意して貰ったので、私達は一旦そこで休憩しましょう。その間にMSの補給と整備はさせるとの事です」

 

 そう告げてくるサリィだったが、素直にその言葉に頷くのは少し躊躇う。

 何故なら、俺達に嫌な視線を送ってきているような奴が整備員にいた場合、ちょっと洒落にならない出来事が起きる可能性もあったからだ。

 そんな俺の疑念を理解したのだろう。サリィはすぐに頷きを返す。

 

「整備については、私が監督させて貰います。本職程ではないにしろ、一通りの事は理解出来ていますから」

 

 このサリィも、相変わらず多芸だよな。

 さすが連合軍の上層部が五飛の監視として送り込んでくるだけの事はある。

 もしかしたら五飛以外に俺達の監視も任務に含まれているのかもしれないが、それはそれで別にいい。

 今のところ、俺達は連合軍を裏切るようなつもりは全くないのだから、幾らでも調べればいい。

 もっとも、俺達の中でも最重要の部分……ホワイトスターの件や、俺達が異世界の出身だという事を知られるのは困るが。

 もしその辺の事情を知られたら……サリィにとっては可哀相な事になる可能性もある。

 個人的には、サリィには色々と感謝してるので、そこまで酷い事はしたくないんだが。

 ともあれ、そうならなければ問題ないし……ホワイトスターと連絡がついたら、その時には別に俺達の秘密が知られても構わない。

 いや、寧ろホワイトスターと連絡が取れるようになった場合、本格的な意味でシャドウミラーとしての活動を始めるんだから、その辺は積極的に広げる必要があるか。

 

「分かった。なら、そっちは頼む。俺達は休ませて貰う」

 

 サリィがその辺を警戒してくれるのであれば、俺達も安全に休む事が出来る。

 別にそこまで疲れているって訳でもないので、休む必要はないんだが……それはあくまでも俺だけであって、凛や綾子、五飛といった面々は多かれ少なかれ疲れている筈だった。

 もっとも、それを表に出すような事はしないだろうが。

 こうしてMSの整備の監視についてはサリィに任せ、俺達は兵士に案内されて用意された部屋へと向かう。

 幸いと言うべきか、俺達を案内してくれた兵士は基地を助けに来てくれた事を純粋に感謝してくれるタイプだった。

 

「この部屋です。一応TVとかはありますが、何か足りない物があったら言って下さい。自分は部屋の前で護衛をしていますので」

「そうか? なら、頼む」

 

 別に俺達の場合は護衛とかはいらないんだが、それでも向こうが護衛をしてくれるというのであれば、任せてもいいだろう。

 まずないとは思うが、逆恨みで基地の奴等に襲われた時とか、護衛の兵士がいればそれで対処してくれるかもしれないし。

 勿論そういう事がないのが一番いいというのは事実なのだが。

 ともあれ、案内された部屋の中で俺達は寛ぐ。

 もっとも、凛と綾子は何だか俺には理解出来ないような、女同士の話をしているので口を出す事は出来ないし、かといって五飛と話そうにも……こっちはこっちで疲れを癒やす為か、じっと目を瞑って半ば寝ているように見える。

 短時間……5分とか10分の睡眠というのは、身体の疲れを癒やすには丁度いいとか何とか、何かで見た記憶があるが、多分それだろう。

 ともあれ、そうなると俺は結局1人になる訳だ。

 今は特にやるべき事もないので、TVでも見るか。

 

『連合軍に対してOZが反乱を起こし、現在世界中のあらゆる場所で戦いが繰り広げられています。ですが、全体的に見て連合軍が有利な戦場が多く、そう遠くないうちにOZは鎮圧されるという見方が広まっています』

『各国に対して強権的な行動をしてきた連合軍に対し、OZは自由と解放を求めて行動を起こしました。既に幾つもの基地がOZの部隊により攻略されており、その地域は連合軍の暴虐から開放され、民衆達は喜びの声を上げています』

『OZの行動は断じて許されるものではない! 我等連合軍は法に則って生まれた組織だ。OZのような、一部の人間の我欲を満たす為に生み出された私兵集団には決して負ける事はない!』

『連合軍がこれまでどのような圧政を行ってきたのかは、その地域にいる皆さんが理解しているでしょう。我々OZは、そのような声なき声の人々の力となるべく行動を起こしました。連合軍の圧政に苦しめられている人達よ、OZは貴方達の味方です』

 

 TVを付けてみたはいいが、チャンネルによって明確なまでに連合派とOZ派に別れているな。

 この辺はスポンサー的な問題か。

 ロームフェラ財団の財力を考えれば、OZはよく連合軍に対抗出来ているようにも見えるが。

 勿論中には中立派とでも呼ぶべきチャンネルもあったが、それは少数でしかない。

 割合にして、連合が5、OZが4、中立が1といったところか。

 バラエティ番組の類はどこもやっておらず、OZの反乱……オペレーション・デイブレイクについてのニュースのみがどこの番組でも繰り広げられていた。

 まぁ、実質的に地球を支配してきた連合軍に反乱を起こしたのだから、その特集が流れるのが普通か。

 そして新しいニュースがない限り、何度も同じ内容を繰り返すんだよな。

 連合軍がバックのところは、連合軍を褒めてOZを貶し、OZがバックのところはその逆……といった風に。

 

「うわぁ……何て言うか、どっちも節操がないわね」

 

 1人で暇だった俺がTV番組を見ていると、不意にそんな声が聞こえてくる。

 綾子と話していた凛が、いつの間にかこっちに視線を向けて呆れたような表情を浮かべていた。

 

「マスメディア戦略なんてのは、どっちも似たようなものだしな」

 

 ルリやラピス、長谷川といった連中の力を借りれば、マスコミ戦略に関しても結構な手腕を発揮出来ると思うが……今言ったところで、どうしようもない。

 

「けど、予想外なのは連合軍の方が優勢だって事か」

 

 凛に続いて綾子もTVを見ながらそう呟く。

 

「やっぱり組織の規模が大きいからでしょうね。OZも後ろにロームフェラ財団という集団がいるのは強いでしょうけど、それでもやっぱり連合軍を真っ正面から敵に回せる程じゃないし」

「だろうな。だからこそOZはニューエドワーズ基地でお前達を……そして俺達を潰し合わせようとしたんだろう」

 

 目を瞑っていた五飛だったが、別に眠っていた訳ではない。

 俺達の話に、そう口を挟んでくる。

 

「あら、聞いてたの? てっきり眠ってると思ってたんだけど」

「ふん」

 

 からかうような凛の言葉に、五飛は鼻を鳴らす。

 ……そういう態度をとるから、凛にからかいやすい相手だと認識されるんだろうけどな。

 実際、そんな五飛の態度を見て、凛は面白そうな笑みを浮かべているし。

 そして綾子は、五飛の未来を予想して顔を両手で覆っていた。

 南無。

 そう思った俺はきっと悪くはないだろう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:715
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1245

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