転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1571話

 ベンティからの要請……というか依頼により、現在俺はMS輸送機の中にいた。

 いや、それだけであれば全く問題はないのだが、MS輸送機がシャドウミラーの乗っている物だけではなく、他にも多数あるとなれば話は違ってくる。

 今回俺達がやるべき事は、OZによって占拠された基地の奪還。

 幸いと言うべきか、連合軍によって強い抵抗を受けたその基地は、攻撃をしたOZにも相当の被害を出したらしい。

 それでも結局は基地の戦力が足りずに陥落したらしいが……そうなれば、OZの被害も当然皆無とはいかない訳で。

 それが、ベンティからの命令を引き受けた最大の用件だった。

 もし明日、明後日といった風に時間を空けてからの出撃であれば、その命令は断っただろう。

 だが今であれば、まだ連合軍側にも勝ち目があった。

 いや、勿論シャドウミラーが味方をしている時点で勝ちは決まったのだが、それでもこっちの疲労度が違うのは間違いない。

 ましてや、連合軍のパイロットは俺達が鍛えたエアリーズ部隊のような例外を除いて、基本的にはOZよりも弱い。

 けど……戦いが終わってからまだそれ程経っていない今であれば、OZの兵士達も疲れをまだ十分に癒やすという訳にはいかず、集中力も普段より落ちているのは間違いない。

 幾ら精鋭揃いとはいえ、結局のところ人間のパイロットであるのは変わりないし、何より大きいのはシャドウミラーのメンバーではないという事だ。

 シャドウミラーの実働班であれば、このW世界の人間とは比べものにならない程に鍛え上げられており、結果として戦いが多少続いたところで集中力が落ちたりはしない。

 そう考えれば、敵がOZだというのはこちらとしても問題はないだろう。

 ましてや、俺達が率いる……いや、率いるのは連合軍の将校だから、どちらかと言えば付き添いと表現するべきか? ともあれ、共に行動する部隊は連合軍の中でもOZに攻撃されなかった基地から抽出されたMSパイロット達だ。

 少数のOZとしては、当然連合軍の全ての基地を一気に攻略出来る筈もなく、結果としてオペレーション・デイブレイクが発動したにも関わらず、無事な基地というのも存在している。

 OZが攻撃したのは基本的に重要度の高い基地であり、今回集まったのはそこまで重要度が高くない基地のパイロットだった。

 

「アクセル、本当にいいのか? 連合軍には間違いなく被害が出るぞ?」

 

 MS輸送機の客室の中で、少しだけ不満そうに綾子が呟く。

 その気持ちは分からないではない。

 幾らOZの戦力が戦い終わったばかりで疲弊しているとはいえ、基本的に腕は向こうが上なのだ。

 このまま戦えば、間違いなく連合軍にも被害が出るのは確実だった。

 被害を出さないという意味では、それこそシャドウミラーだけで攻め込めばいいんだろうが……

 

「見てただろ? ベンティからの直々の命令だ。それに、連合軍の兵士を鍛える必要があるというのも事実だしな」

 

 結局はこれに尽きる。

 ベンティ、セプテム……そして俺達の直属の上司のノベンタ。

 この3人は基本的にシャドウミラーに対して友好的だ。

 セプテムは当初俺達に対して敵意を抱いていたが、OZからトーラスを奪った事によりこっちに対しての態度を変えた。

 だが……それでも連合軍の戦力を鍛えるという事と、それは話が別だった。

 勿論連合軍の兵力は防衛に特化した戦力となり、攻撃はシャドウミラーに任せるという体制を取るのであればそれでもいいかもしれないが……まさか連合軍としては、そんな真似を許可出来ないだろう。

 だからこそ、連合軍の兵士に俺達と行動を共にするように命令を出し、現場で少しでも鍛えようという事なのだろう。

 

「連合軍の上層部も、ある程度被害が出るのは織り込み済みだろう。その上で、お前達……いや、俺達と行動を共にし、生き残った者がいればそいつを中核にして戦力を整えるといったところか」

 

 綾子の言葉に答えたのは五飛で、言葉の内容は俺が考えていたものとそう大差のないものだった。

 五飛もしっかりと連合軍については分析していたという事か。

 

「そうね。言葉は悪いけど、上もふるいに掛けようとしてるんだと思うわ。勿論実際に戦力が足りない状況でそんな真似をすれば全滅するだけだし、だからこそアクセル代表達シャドウミラーに今回の件をお願いしたんだと思うけど」

 

 サリィが小さく溜息を吐く。

 基本的に人道的というか、人の良いサリィだ。当然今回の命令に対して完全に納得している話ではないのだろう。

 だがそれでもサリィは軍人であり、上の命令には絶対だ。

 いや、もしこの命令が理不尽なものであれば逆らったかもしれないが、今回の命令は連合軍がOZと戦っていく上では必須に近い。

 寧ろ俺達シャドウミラーが協力する事により、被害が抑えられる分だけ人道的と言ってもいいだろう。

 ……まぁ、それでも納得出来ないのがサリィの優しさなのだろうが。

 

『アクセル代表、もうそろそろ基地の防衛圏内に入りますので、MSに搭乗して待機をお願いします』

 

 流れてきた通信は、今回の作戦の指揮を執る軍人のもの。

 こっちに対する言葉は、連合軍のお偉いさんとしてはそれなりに丁寧な代物だ。

 まぁ、現在の連合軍にとってシャドウミラーというのは元帥直轄の傭兵部隊であり、戦力的にも極めて強力な部隊だしな。

 実働戦力はMS3機と極めて少ない部隊なんだが。

 OZをもっと先鋭化させたような傭兵団と言われれば、否定は出来ない。

 ともあれ、この軍人も今回の作戦に抜擢されるんだから、無能だという事はないだろう。

 その辺は上も当然考えてるだろうし。

 

「了解した。最後に確認をするが、戦場には出るがMS隊が危なくなったら援護に入る。そういう事でいいんだな?」

『はい、それでお願いします』

 

 短くやり取りをすると、これで話は決まったと判断して通信が切れる。

 

「そんな訳で、綾子と五飛はMSで待機だ。凛とサリィはここで待機」

 

 サリィはともかく、今回凛を連れてくる必要はなかったようにも思える。

 だがそれでも、凛だけを基地に残しておけば、こっちに対して妙な考えを持っている軍人が何か余計な行動を起こす可能性があった。

 ……軍人に被害が出ないように、こうして凛をこっちに連れてきた訳だ。

 

「ちょっと、アクセル。何か妙な事を考えてない?」

 

 魔法使いに到達するだろう魔術師の勘と呼ぶべきか、それとも女の勘と呼ぶべきか。

 そのどちらかは分からないが、それでも凛が怪しむような視線を向けてくる。

 

「いや、別に何も思っていないぞ。……ああ、でも今日は疲れたから今夜は凛と綾子と一緒にゆっくりしたいとは思ってるけどな」

「……馬鹿な事を言ってないで、さっさと行ってきなさい。そうしたら少しは労ってあげるわよ」

 

 薄らと頬を赤くしながら告げる凛に見送られながら、俺、綾子、五飛の3人は格納庫へと向かう。

 何だか五飛がどこか呆れたような表情を浮かべているのが気になるが、取り合えずはMSに乗る方が先だな。

 

「とにかく、さっきの通信を聞いていたなら分かると思うが、基本的に今回は連合軍のMSが撃破されそうになった時にだけ手を出すようにな。こちらから優先的に攻撃するような真似はしないように。……特に五飛」

「ふんっ、分かっている。正直なところ気が進まない戦いだがな」

 

 不機嫌そうに呟く五飛。

 ガンダムのパイロットとして、今日まで単独行動をしてきた五飛だ。

 それだけに、他のMSと協力して戦いを行うというのは慣れていないのだろう。

 そういう意味では、OZのエアリーズ隊と戦う事が出来たのは良かったのかもしれないな。

 ともあれ簡単な打ち合わせを済ませると、トールギスのコックピットへと乗り込んでいく。

 さっきの基地で整備や補給をされているので、機体は万全の状態だ。

 シェンロンガンダムの方も、色々と調べたがっていた整備員がいたらしいが、サリィの指揮によってきちんと整備と補給は終わっている。

 そんな状況であるが故に、戦力的には問題がない。……戦力的には、だが。

 唯一にして最大の問題は、当然のように連合軍のパイロットだ。

 妙な行動を起こさないといいんだが。

 そんな風に考えながらコックピットで待っていると、やがて輸送機のパイロットから通信が入る。

 

『アクセル代表、敵基地から戦力が出撃してきました。MS輸送機、10。他に護衛のエアリーズが30機程です』

「……随分と多いな」

 

 最初に俺達が基地に向かった時の戦力と比べればそれ程多いという訳ではない。

 だがそれでも、1つの基地を攻撃した直後という事で考えると間違いなくかなりの戦力を持っていると思われる。

 ……俺達を警戒しての事か?

 

「俺達の動きは変わらないという事でいいな?」

『はい。特に何か別の指示は受けてません』

「そうか、ならいい。……出撃するぞ」

 

 その言葉と共にトールギスは格納庫から射出される。

 もっとも、そこまで強力な射出能力がある訳ではない。

 どちらかと言えば、投下すると表現した方が正しいだろう。

 周囲を見回せば、連合軍のMS輸送機からも多くの機体が投下さている。

 その殆どがリーオーだが、中には数機程度だがエアリーズの姿もあった。

 ……へぇ、エアリーズを持っている部隊というのはそんなに多くなかったし、殆どのエアリーズが俺の鍛えた部隊の者達だとばかり思ってたんだが。

 ああ、でもこうして派遣されてくるからには、当然エース級なんだろうし。

 そうなれば、エアリーズに乗っていてもおかしくはないのか。

 視線の先では、エアリーズ部隊……とは呼べないような程度の機数だったが、そのエアリーズが自分を射出したMS輸送機の周辺に展開していく。

 その様子を眺めながら、俺は綾子のトーラスと共に連合軍の後ろにつく。

 地上に視線を向けると、道路が数本走っている草原にリーオーが着地しているところだった。

 ……さすがにトラゴスは派遣部隊の中にはなかったようだな。

 まぁ、砲撃能力は高いけど、こうして空を移動しつつ機動力を重視する戦いになると的でしかないしな。

 どうしても使うのであれば、MS輸送機で専用の部隊を用意して後陣に並べるとか、そういう風にやらないといけないだろう。

 最大の問題は、機体が空中から降下出来るかどうかといったところか。

 勿論トラゴスもタンクタイプ……というか、ガンタンクタイプと呼ぶべきか? そんな状況だけではなく、リーオーのように二足歩行型に変形出来る。

 まぁ、トラゴスはツバロフがトールギスのドーバーガンからヒントを得て、リーオーのバリエーション機として開発された機体だ。

 言うなれば、トールギスとリーオーを足して2で割ったような感じか?

 ともあれ、二足歩行型に変形出来る以上トラゴスもリーオーと同様にMS輸送機から降下は出来る……と思うんだが、やっぱりガンタンク形態の方が本来の姿だけあって、構造的に色々と問題がありそうな気がする。

 事実連合軍側もそれを理解しているからか、今回のOZが占拠した基地の奪取作戦にトラゴスの姿はないし。

 機体の9割はリーオーで、残り1割がエアリーズという構成だ。

 そうである以上、当然連合軍側としては地上に着地してから対空攻撃を行うという事になる訳で……パラシュートを使って地上に着地すると、そのままバックパックのパラシュートを外してそれぞれの武器を構える。

 連合軍の主力MSだけあって、リーオーの武器は多種多様だった。

 105mmマシンガンやバズーカ、ライフル、トールギスが使用しているドーバーガンを実弾用にしてリーオーでも扱える程度にまで威力を下げた奴といった具合だ。

 中には数機だけだがビームライフルを持っているリーオーもいる。

 調べた限りだと、リーオー用のビームライフルを配備しているのはOZだけだって話だったんだが……一体どうやって入手したのやら。

 OZから奪った? まぁ、どこの基地にもOZの手の者……スペシャルズは配備されていたんだし、そう考えればおかしな話でもないのか?

 ともあれ、地上から放たれたそれらの弾丸や砲弾はまっすぐ空を飛んでいるエアリーズへと向かう。

 だが、OZのエアリーズ部隊は連合軍のパイロットに比べて精鋭である以上、こちらもまた当然のように回避をしながら、地上へと向かってチェーンライフルを撃つ。

 しかし……最初に撃墜されたのは、予想外なことにOZのエアリーズだった。

 ただし、撃墜したのはリーオーではなく連合軍のエアリーズ。

 数が少ないだけに、OZの方でも注意は地上のリーオーに向いていたのだろう。

 その隙を突いたかのような形だった。

 それでも仲間が撃破されれば、数が少ないとはいえエアリーズ隊を見逃したりは出来なくなり……地上と空中で入り乱れるような戦いが繰り広げられることになる。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:715
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1245

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