転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1573話

 MS輸送機が進んでいくと、やがて攻略予定の基地が姿を見せる。

 典型的な地上にある基地であり、特に攻略をする上で苦労するという事はないだろう基地。

 ……まぁ、実際にはそれなりに対応策とかはあったんだろうが、少なくてもOZには通用しなかった訳だ。

 だが、それでもOZの被害は皆無という訳でなかったという情報は、既に得ている。

 だからこそ、こうして俺達が現在攻めようとしているのだから。

 

『ねぇ、アクセル。送り込んできた部隊を倒されたOZが、そのまま残っているのはどう思う? あたしからは、何か企んでいるようしか見えないんだけど』

 

 トーラスのコックピットに乗っている綾子からの通信。

 言葉程に不安がっている様子がないのは、何度か行われてきた実戦でそれなりに慣れてきたという証だろう。

 

『OZのような卑怯な者共が、何の意味もなく無駄に戦力を消耗させるような真似をするとは思えんな。恐らく何か企んでいるのは間違いないだろう』

 

 五飛の方は、戦いに対しての不安は一切ない。

 こちらは当然か。元々俺達と行動をする前から、ガンダム1機でOZと戦いをつづけていたのだから。

 寧ろ、仲間のいる今の状態が落ち着かないと考えてもおかしくはない程だ。

 原作でも、何だかんだと相棒に恵まれなかったしな。

 

『アクセル代表、それではそろそろ出撃したいと思いますが、構いませんか?』

 

 綾子や五飛と話していると、今回の作戦を任されている指揮官からの連絡が入る。

 向こうに取っても、今回の件は大きな任務なのだろう。緊張している様子が見える。

 OZが出撃してきた時の戦いでは、そこまで緊張している様子は見せなかったんだけどな。

 やはりその違いは基地という施設があるかないかといったところか。

 

「分かってる。こっちは基本的にフォローに回るから、そっちは好きなように動いてくれ」

『ありがとうございます。シャドウミラーの援護、頼りにしています』

 

 その言葉と共に通信が切れ、やがてMS輸送機が基地の警戒網に引っ掛かったのか、基地からエアリーズが出撃してくる。

 また、今回はエアリーズだけではなくリーオーやトラゴスの姿もあるところを見ると、基地を占拠した際に手に入れたMSも動員しているといったところか。

 パイロットはどうしたんだろうな。

 降伏した連合軍のパイロットを使っているとか?

 可能性はあるかもしれないが、それはOZにとってもかなりの賭けだろう。

 下手をすれば、文字通りの意味で背後から撃たれる可能性もあるのだから。

 原作だと、ゼクスとかが結構あっさり連合軍のパイロットを引き込んでいたが……こっちだと元々OZが色々と怪しまれていた状況だし、ゼクスが有名になった理由のトールギスもこっちが所有している。

 いや、元々トールギスを入手する前からライトニング・バロンという異名を持っていたのを考えると、当然相応のカリスマはあるのか。

 実際、原作でもオットーがゼクスの為に命を投げ出していたし。

 

「じゃあ、俺達も出撃するか」

『ええ』

『分かった』

 

 俺の言葉に、綾子と五飛がそれぞれ頷き……輸送機からMSが射出される。

 まず真っ先に空中に放り出されたのは、当然トールギス。続いてトーラス、シェンロンガンダムの順番に放り出されていく。

 

「分かってると思うけど、さっきの戦闘と同様に俺達がやるのはあくまでも連合軍のパイロットのフォローだ。自分から積極的に倒しにいくような真似はするなよ」

 

 綾子と五飛にそう告げ、スーパーバーニアを使って空中で機体を固定する。

 周囲のMS輸送機からは、次々にリーオーが放り出されていた。

 エアリーズが少しだけ混ざっているのも、前回の戦いと同じと言ってもいいだろう。

 リーオーが地上に着地すると同時にパラシュートを外し、集団になって隊形を整え……やがてエアリーズに向けて攻撃を集中させる。

 マシンガン、ライフル、バズーカ、ビームライフル……それらの攻撃がエアリーズへと向かって降り注ぐが、当然向こうもそれを黙って受けたりはしない。

 機体を急旋回させ、多くの攻撃を回避していく。

 勿論ただ回避していく訳ではなく、その際にミサイルを放ったり、チェーンライフルを撃ったりといった風に攻撃していくのは忘れない。

 何機かのリーオーがミサイルを食らって足や手が破壊され、動けなくなったり攻撃が出来なくなったりすると、その機体にエアリーズからの集中攻撃が行われる。

 また、OZの攻撃は勿論それだけではない。

 後陣に位置するトラゴスから放たれる砲弾が連合軍の部隊へと着弾し、リーオー部隊もそれぞれ攻撃をしながら距離を詰めてきている。

 エアリーズによる近接戦闘――射撃戦だが――だけではなく、トラゴスやリーオーによる援護攻撃も可能になっている時点で、OZの戦力はかなり強化されていると言ってもいい。

 特に厄介なのが、トラゴスだろう。

 機動力の高い戦いにはついていけないトラゴスだったが、援護射撃をするという意味では十分な威力と性能を持っている。

 次々に着弾し、リーオーの動きを牽制する。

 幸運だったのは、トラゴスのパイロットが決して腕の立つ相手ではなかったという事か。

 この練度を思えば、トラゴスのパイロットはOZではなく連合軍のパイロットなのだろう。

 もしOZのパイロットであれば、恐らくもっと命中率は高い筈だ。

 

「っと!」

 

 トラゴスの援護射撃により動きを止めたリーオー部隊へとエアリーズ部隊が向かっているのを見て、ドーバーガンを撃つ。

 空中を飛んでいたエアリーズ部隊のうちの2機が、ビームに呑み込まれて空中に爆発の華を咲かせる。

 自分達の部隊の先頭を進んでいた機体が破壊されたのを見て、危険だと判断したのだろう。エアリーズ部隊はリーオーへと攻撃する事なく、回避していく。

 リーオー部隊から、感謝の意味を込めてか軽く手が挙げられる。

 それを見て、こっちも軽くドーバーガンを振って挨拶をすると、すぐに次の行動へと移ろうとし……

 

「は?」

 

 何故かこっちに向かってくる1機のエアリーズの姿を見て、思わず間の抜けた声が出た。

 トールギスがどれだけの能力を持っているのかというのは、OZも当然知っている。

 特に基地へと到着する前の戦闘でもその性能を見せつけたのだから、こちらがどれだけの性能を持っているのかを知らないなんて事はない筈だった。

 何しろ閃光弾を貫いてMS輸送機を撃破するなんて真似をしてしまったんだし、どうしても目立つなという方が無理だった。

 つまり、向こうの戦力で俺を……トールギスをどうにかしようとするのであれば、それこそトラゴスが遠距離から援護射撃をし、リーオーも地上から援護射撃をして……それでも倒せなかった時に、初めてエアリーズが――今のように単機ではなく出来れば全機で――攻撃をするというのが正しい選択だ。

 勿論そんな真似をすれば他の連合軍の攻撃を防げないのだから、もしトールギスを倒すにしても他の連合軍の機体を全て倒してからという事になる。

 だが、そんな真似は不可能に近いと言ってもよかった。

 そもそもの話、もし連合軍の戦力を全て撃破したとしても、まだトーラスとシェンロンガンダムが残っているのだから。

 とてもではないが、この程度の戦力で……それも連合軍の戦力を全て片付け、そのまま連戦でどうにか出来る筈がない。

 そんな状況にも関わらず、何故エアリーズがたった1機で俺の方にやってくる?

 脳裏を過ぎった俺の疑問を解いたのは、次の瞬間オープンチャンネルにて流れてきた通信だった。

 

『いたな、アクセル・アルマー! てめえのおかげで、こっちはストレス溜まってるんだ! 俺に資料室なんて場所で働かせやがって……思う存分その礼をしてやるよ!』

 

 映像モニタに映し出されたのは、見覚えのある顔だった。

 俺との模擬戦ばかりで自信をなくしていた連合軍のエアリーズ隊に自分達の実力を理解させる為に行われた、OZとの模擬戦。

 結果として、俺に鍛えられていたエアリーズのパイロットは急激な技量の上昇もあって、OZの部隊を圧倒したのだが……そんな中、OZから派遣された部隊の中で唯一連合軍のエアリーズを撃墜扱いにしたパイロットが1人いた。

 それが映像モニタに映し出されているパイロットの、ミュラー。

 だが、精鋭である自分達が負けたのが気にくわなかったのか、模擬戦終了後に偶然居合わせた俺に向かって絡んできた男。

 俺がその辺にいる軍人であればそれ程問題にならなかったのかもしれないが、残念ながらノベンタ直轄の傭兵部隊という事もあり、このままでは大きな問題になると判断した他のOZのパイロット達の取りなしによりその場は終わったのだが……

 結果として、他のOZのパイロットが口にしていたようにMSを降ろされて閑職に回されていたらしい。

 それが、資料室とかいう場所での仕事だったのだろう。

 こっちに向かって放たれるチェーンライフルを回避しながら考える。

 だが、OZにとって優秀なパイロットというのは、多少問題があっても必要としていたのだろう。

 元々少数精鋭のOZだ。そうなれば当然OZの代表として選ばれるようなミュラーを、オペレーション・デイブレイクが始まっても資料室で働かせておくような余裕はなかったという事か。

 その結果として、こうしてMSパイロットに復帰した訳だ。

 そもそも、OZとしては俺の……より正確にはノベンタとの関係を悪くして、オペレーション・デイブレイクの件が知られるのを避ける為にミュラーを処分したという面が強い。

 だが、そのオペレーション・デイブレイクはもう発動してしまったのだ。

 そうである以上、腕利きのパイロットを資料室などという場所で遊ばせておくのは意味がない、か。

 

「へぇ? 資料室か。落ち着きのないお前にはこれ以上ない程に相応しい仕事場だな。で、その資料室の職員が何だってこうしてエアリーズに乗って俺を攻撃してるんだ?」

 

 放たれるミサイルを、威力を絞ったドーバーガンで消滅させながら、挑発するように通信を送る。

 その言葉は、ミュラーにとっても決して許容出来るものではなかったのだろう。

 映像モニタの向こう側では、目を吊り上げながら口を開く。

 

『ふざけるなぁっ! お前が、お前がいなければ俺はぁっ!』

 

 資料室の職員というのが、具体的にどのような仕事をするのか俺は知らない。

 いや、予想は出来るが、これ程ミュラーをブチ切れさせるようなものなのか? と考えれば、首を傾げざるを得なかった。

 勿論自分の技量に自信のあるミュラーとしては、MSパイロットから資料室といった風に環境が全く変わってしまった事に屈辱を覚えるのは分かる。

 だが、それでもここまで俺を恨むような事か? という疑問はあった。

 

「何でそこまで怒っている?」

 

 純粋な疑問。

 だが、その疑問が余計にミュラーの怒りに火を注いだらしく、エアリーズの攻撃はより一層激しさを増す。

 残っていたミサイルを一斉に発射し、そしてチェーンライフルを撃つ時もよりトールギスとの距離を縮めて撃つ。だが……

 

「甘いな」

 

 頭に血が昇っている影響か、チェーンライフルの狙いが最初よりも杜撰になっている。

 狙いの精度という意味では、若干でしかない。

 だが、その若干というのはミュラーよりも技量の低い相手であれば……もしくは同等の腕であればまだしも、格上の相手を前にしてでは致命的なまでに大きい。

 よりトールギスへと近づいて撃ってはいるが、それで射撃の精度を誤魔化せる訳もない。

 スーパーバーニアを噴射させながら、細かな動きを繰り返す。

 普通の人間であれば、Gで間違いなく身体に負担の掛かる動きだが、生憎と俺にとっては全く問題がない。

 既にミュラーのエアリーズにはミサイルは存在せず、ただひたすら怒りに任せて俺へとチェーンライフルを撃ってくるだけだ。

 怒り狂って正常な判断も……ましてや彼我の実力差すらも理解出来ないようなミュラーに、トールギスを捉えられる筈もない。

 見る間に距離が縮まり、それでもミュラーはひたすらにチェーンライフルを撃ち続ける。

 エアリーズとの間合いが詰まれば、それは当然向こうにとっても射撃が当たりやすくなるという事ではあるので、まだ撃ち続けていたいその気持ちは理解出来ないでもないが……

 

「そんな雑な攻撃で、俺をどうにか出来ると思ってるのか?」

 

 興奮の類は全くなく、自分でも分かる程に落ち着きながらエアリーズとの間合いを詰め……シールドの裏から引き抜いたビームサーベルで、横を通り抜けざまに一閃する。

 

「恨むなら、自分の技量の足りなさ……いや、怒りやすい性格を恨むんだな」

『お前は、格好よすぎるんだよぉっ!』

 

 その言葉を最後に、ミュラーのエアリーズは爆発の華を咲かせる。

 ……今の台詞って、ミュラーじゃなくてアレックスの台詞じゃなかったか?




アクセル・アルマー
LV:43
PP:740
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1250

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