転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1587話

 ルクセンブルク基地の奪還に成功し、そこで俺達が用心棒的な役割を果たすようになってから、数日。

 俺達は暇な日を過ごしていた。

 いや、暇なのはシャドウミラーだけであり、連合軍の軍人はかなり忙しく働いている。

 それこそ、俺達が破壊したルクセンブルク基地の防御兵装を復旧する為に、多くの物資が輸送され、それを設置し直すといった風に忙しい。

 OZの基地に潜入してMSやMS輸送機を盗む……といったことを考えてはいたが、今のところそれを実行は出来ない。

 まだルクセンブルク基地を奪還してから、あまり時間が経っている訳ではない。

 であれば、いざという時の事を考えると、もう数日は大人しく用心棒として動かない方がいいだろう。

 ならMSを使って訓練を……と思っていたのだが、それも却下された。

 

「それで、どんな具合だ?」

「……駄目ですね。本格的にオーバーホールをする必要があります。特に関節部分の負担が酷く、下手にこのまま機体を使い続けていれば大事故になっていた可能性もあります。正直、よく今まで無事だったと思えますよ」

 

 装甲が外され、中身が丸見えになっているトールギスを見ながら整備員が告げる。

 

「そうか。……関節部分にガンダニュウム合金を使う事は出来るか?」

「上の方に掛け合ってみます」

「……意外だな。そんなにあっさりとこっちの要望を聞くとは思わなかった」

「何を言ってるんですか。アクセル代表のトールギスがあるから、このルクセンブルク基地はこんなにあっさりと奪還出来たんですよ? それに、OZが再び攻めてこないのも、アクセル代表やシャドウミラーがいるおかげですし。なら、そのアクセル代表の機体を強化するのは当然でしょう」

 

 真剣な様子で告げてくる整備員の男に、なら丁度いいと他の要望も口に出す。

 以前から気になっていたところだが、折角オーバーホールして関節をガンダニュウム合金に変えるのだから、これくらいはいいだろうと。

 

「頭部にバルカンを内蔵出来ないか?」

「それは……ちょっと難しいでしょうね」

 

 整備員の視線は、トールギスへと向けられる。

 そこにあるのは、リーオーとそっくりの頭部だ。

 トールギスは、この頭部をヘルメットのような形で防具を被せ、ああいう姿になっている。

 なら、その辺も出来るんじゃないかと思ったんだが……どうやら駄目らしい。

 

「何でだ?」

「頭部は今のサイズでも本当にギリギリなんです。トールギスを設計したのが誰なのかは分かりませんが、拡張性という言葉をどこかに置き忘れたような機体ですよ、これは」

 

 その言葉に、ふとマブラヴ世界の不知火を思い出す。

 あの機体も高い性能を持っている機体だったが、その高い性能の犠牲として拡張性のなさがネックとなっていた。

 まぁ、最終的には弐型が出来たんだが。

 弐型……弐型か。

 同じような拡張性のなさを考えると、その解決方法も一緒だろうな。

 ホワイトスターの技術班がいれば、この程度の事は容易に改造してくれるのだろう。

 だが、残念ながらここにいるのはシャドウミラーの技術班ではなく、連合軍の整備員だ。

 技術者や整備士としての技量ではまさしく天と地程の差がある。

 

「もしトールギスの頭部にバルカンを内蔵させるというのであれば、下手をすると新型MSを数機開発するだけの時間が必要になるかもしれません」

「……数機、か」

 

 原作でウイングガンダムの手を修理する時にOZの整備員は新型のMSを1機分開発するだけの時間と労力が必要だとか言っていた筈だ。

 それに比べると、こっちは数機……勿論頭部にバルカンを内蔵させるというのと手では色々と違うのだろうが、それでも持っている技量の差を認識せざるを得ない。

 

「出来れば頭部にバルカンを内蔵したかったんだけどな」

 

 俺が頭部に拘るのは、純粋に使い勝手の問題がある。

 バルカンは基本的に相手に対する牽制であったり、向こうが撃ってきたミサイルといった武器の迎撃に使う。

 ああ、それと対人兵器としても有効か。

 ともあれ、基本的には咄嗟に使う事が多い武器な訳だ。

 そして頭部というのは、動かすのに非常に自由度が高い。

 それこそ、腕に持っているドーバーガンやビームサーベルといった武器で対処するよりも圧倒的に反応が早いのだ。

 だからこそ、ガンダム達も頭部にバルカンが内蔵されているのだろう。

 だが、その頭部にバルカンを付けるというのが無理な以上、不知火弐型と同じく外部にバルカンを付ける必要がある、か。

 

「どうします?」

「頭部に内蔵するのが無理なら、肩の部分はどうだ? ちょうどガンダムの中にも肩にバルカン……いや、より威力の高いマシンキャノンか。それを装備している機体がいた筈だし」

 

 頭部バルカンという意味では、シェンロンガンダムも装備しているから参考にはしやすいんだよな。

 

「なるほど。頭部に装備するのではなく肩に装備するのであれば、バルカンよりも威力の高いマシンキャノンを装備するのはいいかもしれませんね」

「そうしてくれ」

「こちらの方は、頭部程に難しくないですし、外部兵装として対応可能なので問題ないかと。他には何かありますか?」

「……そうだな、機体色の変更を頼めるか?」

「機体色の変更を?」

 

 訝しげな整備員。

 まぁ、このW世界ではエースのパーソナルカラーというのは殆どない。

 そもそもの話、ゼクスやガンダムのパイロットはそれぞれ自分の専用機に乗っているのだから、パーソナルカラーを使う必要はないのだろう。

 まぁ、この世界のゼクスはリーオーに乗ってるので、パーソナルカラーを使ってもおかしくはないだろうが。

 このW世界でパーソナルカラーを使っているのは……すぐに思いつくのは、ノインくらいか?

 そのノインも、パーソナルカラーを使っていたのは、あくまでもエアリーズに乗っている時だけであり、トーラスに乗り換えてからはサンクキングダムの白のままだったけど。

 

「俺達シャドウミラーは連合軍の中でも精鋭の象徴だからな。……傭兵だけど。いや、傭兵だからこそ、大きく目立つ必要がある。シャドウミラーがいる戦場で連合軍に負けはないと知らしめる為にも」

「……なるほど。それで、機体色はどうします?」

「赤で頼む。出来れば、深紅がいいな」

「はぁ。まぁ、アクセル代表がそう言うのであれば構いませんけど……では、確認します。改修作業は関節部分をガンダニュウム合金に変更、両肩にマシンキャノン、機体色を深紅に。以上でよろしいでしょうか?」

 

 最後の確認と視線を向けてくる整備員に、頷きを返す。

 

「出来れば装甲全てをガンダニュウム合金にしたいところなんだが……」

「さすがにそんな時間はありませんよ」

「だろうな」

 

 整備員の言葉を責めるでもなく、寧ろ納得したように頷く。

 関節の部分だけであれば、そこまで大変ではないだろうが、装甲全てをガンダニュウム合金にするには、相当の量が必要となる。

 言うまでもなく、ガンダニュウム合金というのは普通のMSに使われているチタニュウム合金と比べると非常に高価だ。

 それを用意するというだけでもかなりの資金が必要となる。

 そう言えば、今までの依頼の料金の内の何割かはガンダニュウム合金で支払って貰う事になってるんだが、まだ貰ってないな。

 出切れば早い内にその辺を用意して欲しいところなんだが。

 

「じゃあ、機体の方は頼む。出来れば、俺が乗っても全く問題ないようにして欲しいところだな」

「……努力はしてみます」

 

 ニーズヘッグを始めとしたシャドウミラーの機体で使われている、PS装甲を使ったTGCジョイント。

 これがあれば、トールギスの関節部分も気にしなくて済むんだろうが……いや、今そんな事を考えても仕方がないか。

 

「頼んだ」

 

 短くそれだけを告げ、格納庫から出る。

 基地の中では、相変わらず大勢の兵士達が働いており、色々な機械も基地の中を走り回っていた。

 

「忙しそうだな」

 

 呟きながら基地の中を歩いていく。

 何人かの兵士達が俺の姿を見つけると、素早く敬礼を送ってくる。

 その目に浮かんでいるのは、尊敬や憧れといったものが多い。

 勿論全員がそんな訳ではなく、中には憎しみを込めた視線を向けてくる奴もいるが、その数は驚く程に少ない。

 どうやら、俺は自分で思っているよりも好かれているらしい。

 けど、若干不思議に思うこともある。

 以前救助に向かった基地では、助けたにも関わらず敵視され……それどころか、整備員の中にはトールギスの整備中に妙な細工を仕掛ける者すらいた。

 まぁ、そいつは結局OZの手の者だったが、それでも他にも大勢が俺に対して敵意を見せていた。

 その違いは……やっぱり、実際に戦闘に出ているかどうかといったところか。

 連合軍にとっては、やはり実際に戦闘に参加しているというのは、色々な意味で大きいのだろう。

 それがなかったからこそ、戦闘力の低い自分達は勝利をシャドウミラーに恵まれたと思ってしまう者も多かった……といったところか。

 

「アクセル代表。少しよろしいでしょうか?」

 

 考え事をしながら歩いていると、ふとそんな声が掛けられる。

 声のした方へと視線を向けると、そこにいたのは3人の若い男。

 いやまぁ、若い男と言っても俺とそれ程……今の俺とそれ程年齢が違うようには見えないが。

 

「どうした?」

「その、少しよろしければ訓練を付けて貰えないかと思いまして」

「訓練? いや、だが今の俺は生憎とMSは使えないぞ?」

 

 トールギスのオーバーホールと改修は、ちょうど打ち合わせを終えてきたところだ。

 実際にいつ機体が使えるようになるのかというのは、ちょっと分からない。

 

「あ、はい。それは知っています。格納庫でトールギスがオーバーホールされているのは、さっき見てきましたし」

「……なら、訓練が出来ないというのは分かるだろ?」

 

 シミュレータでの訓練……と言いたいところだが、残念ながら連合軍のシミュレータにはトールギスのデータは入っていない。

 綾子の乗っているトーラスも同様だし、五飛のシェンロンガンダムは何を言わんやといったところだ。

 少なくても、シャドウミラーがシミュレータを使う際には自分の機体で練習する事は出来なかった。

 

「あ、違います。その、実は生身の訓練をお願いしたくて」

「……へぇ。それはまた珍しいな」

 

 この世界の戦争の主役は、当然ながらMSだ。

 勿論軍人である以上、生身での戦いを疎かにするような真似は出来ないだろうが、それでも少し不思議だった。

 まぁ、中には五飛のように生身での戦いを好むような奴もいるが。

 

「まぁ、いいか。今は特にやるべき事はないしな。……一応聞いておくが、お前達はいいのか?」

 

 視線を周囲で忙しく動いている軍人達に向ける。

 だが、目の前の3人は当然といった様子で頷く。

 

「はい、私達は現在休憩中ですから」

「……休憩中なのに、訓練をするのか? また、随分と熱心だな」

 

 休憩というのは、普通身体を休めるものだ。

 その休憩中にも関わらず訓練を行いたいというのは、俺の目から見ても少し不思議だった。

 

「本当は少し疲れてはいるんですけど……ですが、アクセル代表の姿を見た以上、出来れば訓練をと思いまして」

「……物好きだな」

 

 そう返事をしながらも、悪い気はしない。

 連合軍にも、こういう奴がまだいたんだな。

 いや、サリィのような人材がいるんだから、こういうのがいても不思議じゃないか。

 

「分かった、俺でよければ相手をしよう。それで、場所はどうする?」

「あ、ここから少し離れた場所に道場がありますから、そこでお願いします」

 

 こうして、俺は3人の軍人に案内されて道場へと向かう。

 幸いと言うべきか、その道場は戦いでも壊れたりしておらず、普通に使えるらしい。

 道場の中では、何人かが同じように休憩しているのだろう。それぞれに壁に寄り掛かったりしながら、仲間と話している光景も見えた。

 そんな中、道場で俺と3人の軍人が向かい合うというのは、どうしても目立つ。

 だが、俺も含めて全員がそんな視線は関係ないようにして、やがて口を開く。

 

「来い」

 

 その言葉と共に、3人の内の1人が俺へと向かってくる。

 予想外に素早い動き。

 拳が空気を斬り裂きながらこちらに向かってくるが……

 

「甘い」

 

 その一撃は、この世界の人間にとっては鋭い一撃かもしれないが、結局はその程度でしかない。

 攻撃を回避し、そのまま相手の手首を掴んで勢いをそのままに一本背負いの要領で投げる。

 当然本気の戦いという訳ではないので、相手の背中が床につく直前に軽く引き上げる。

 

「……凄い……」

 

 呟き、それを聞いたうちの1人が次は自分だと前に出る。

 こうして、俺は何故か軍人の戦闘訓練に付き合い、それどころか周囲で休んでいた者達も訓練に混ざってきて、予想外の運動をする事になるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1309

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