転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1592話

 MS輸送機に乗って出発をしたのが、午後2時過ぎ。

 そのくらいの時間に出発し、そうなれば当然のように目標としていたデルマイユの屋敷に到着するのは明日以降になる。

 なので、途中で連合軍の基地で一泊し、そこでは予想外に歓迎された事に驚きながらも、翌日の俺達の姿は再びMS輸送機の中にあった。

 

「まさか、あんなに歓迎されるとは思わなかったな」

 

 しみじみと綾子が呟く。

 まぁ、それは俺も感じていた事だ。

 俺達に助けられたという意味で、ルクセンブルク基地の関係者がこっちに感謝するのは分かる。

 だが、今回立ち寄った基地は、シャドウミラーとして今まで一切関わっていなかった基地だ。

 であれば、そこにいる奴等にとって俺達の印象というのは傭兵部隊というものに過ぎない筈だ。

 そして普通なら、正規軍にとって傭兵というのはとても友好的に接する事は出来ない存在なのは間違いない。

 ……さて、何がどうなってああなったのか、本当に俺にも意味不明の状態な訳だ。

 

「あら、そんなにおかしな事ではないですよ。シャドウミラーの活躍は連合軍の中でも広く知られていますし。今までかなりの数のOZ機を撃破したというのも知られています。それを聞けば、連合軍の者ならアクセル代表達に好意を抱いてもおかしくはありません。……それに……」

 

 言葉を止めたサリィの視線が向けられたのは、綾子。

 それだけで、サリィが何を言いたいのかが何となく分かってしまった。

 

「まぁ、綾子なら人気が出てもおかしくはないか」

「はい。私が言うのもなんですが、連合軍に所属しているのは男の方が多いですから。そこに彼女のような美人が現れれば、人気が出るのは当然かと」

「……それならサリィも人気が高いんじゃないか?」

「いえ、残念ながら」

 

 少しからかうように尋ねたのだが、サリィからは即座に言葉を返される。

 これは……本当に自分がモテないと思っているのか? それとも、ただ単純に男に興味がないだけか。

 だが、医者で患者の心理状態についても詳しいサリィだ。

 それが、男であろうと他人の心理状態を予想出来ないなんて事があるのか?

 ……まぁ、その辺は俺が考えるべき事じゃないか。

 

「それより、もう少しでデルマイユ公爵が所有している別荘へと到着します。幸いと言うべきか、現在は内乱の最中でデルマイユ公爵もその別荘に来る事はありませんので、使用人も同様です。1週間に1度だけ使用人が掃除にくるらしいですが、それも数日先の筈です」

 

 つまり、現在その別荘は無人な訳だ。

 綾子が戦争には無関係の人を殺したくないという要望を叶えた形だろう。

 ……もっとも、デルマイユに雇われている時点で全くの無関係という訳でもないのだが。

 それでも綾子にとっては重要な事なのだろう。

 実際、戦闘に積極的に参加していない一般人を殺すというのは、決して気持ちのいいものではないのは事実だ。

 けど、それでもシャドウミラー……このW世界の今のシャドウミラーではなく、ホワイトスターを本拠地としている、本当の意味でのシャドウミラーとしてやっていくのであれば、いずれ体験しなければならないことでもある。

 各世界に転移すれば、多かれ少なかれ戦闘やら……もっと大きく戦争やらに巻き込まれる俺達だ。

 その辺りの割り切りが出来るようにならなければ、将来的には自分が、そして仲間が危機に陥る可能性がある。

 もっとも、それをすぐにやれるようになれとは言わないが。

 その辺りはシャドウミラーの本隊と合流してから考えてもいい事だろうし。

 ……にしても、シャドウミラーの本隊か。

 俺が言うのもなんだけど、シャドウミラーを率いている俺がいる方が、普通なら本隊という扱いになるんじゃないか?

 まぁ、俺とそれ以外となれば、向こうの方が本隊という扱いになっても仕方がないのかもしれないが。

 

「ともあれ、まずはこの前と同様に俺が最初に別荘に忍び込んで適当に盗み出して、一通りそれが終わったら別荘を軽く爆破する。それを合図にしてトーラスを発進させてくれ。……幸いと言うべきか、警備のMSの類はいないみたいだし、トーラスだけで別荘を完膚なきまでに破壊出来るだろ」

 

 デルマイユも、以前の屋敷の件があるから自分が狙われているというのは分かっているのだろう。

 だがそれでも、自分の所有している建物全てに警備のMSを派遣する事が出来る程OZの戦力に余裕はない。

 そもそも、狙われているのが本当にデルマイユだけとは限らない訳だし。

 そうなれば、当然他のロームフェラ財団の上層部の持っている屋敷へと警備のMSを派遣する必要が出てくる。

 そんな状況で、重要な屋敷であればまだしも、こういう別荘にまでは警備のMSを配備出来ないのは当然だろう。

 ……まぁ、それでも自分の別荘が破壊されるような事にでもなれば、デルマイユにとっては面白くないのは事実だ。

 そんなデルマイユが次に取るべき行動は、シャドウミラーと連合軍に対して仕返しをする事。

 だが、その仕返しをするしない以前に、現在のOZが動かせる戦力は決して多くはなく……この辺がジレンマとなるのは間違いないだろう。

 つまり、デルマイユを苛立たせるという目的については十分以上に達せられる。

 勿論警備を派遣していないとしても、この別荘がなくなればデルマイユにとっても面白い筈はない。

 警備のMSを派遣出来ないのが原因で、次々に自分の財産が食い散らかされていく……さて、デルマイユの忍耐はいつまで持つかな?

 

「アクセル代表、警備のMSはいませんが、当然警備会社の類とは契約している筈です。なので、アクセル代表が別荘に忍び込めばそう遠くない内に警備員がやってくるかと」

「ああ、その辺は気をつける」

 

 警備のMSを用意出来ない以上、デルマイユが可能なのはその辺りか。

 まぁ、生身の人間が幾らやってきても、俺は負けるつもりがないのだが。

 ともあれ、軽く打ち合わせを済ませると俺は格納庫へと向かう。

 今回の作戦で使用するMSはトーラス1機だけであり、そうなれば当然のように必要な整備員の数も少なくなる。

 1機だけの存在であるトールギスやシェンロンガンダムと違って、トーラスは最新鋭ではあってもあくまでも量産機だ。

 整備に必要な人数はトールギスやシェンロンガンダム程には多くはない。

 そんな数少ない整備員達に軽く挨拶をし、MS輸送機が着地したところで移動用に持ってきた軍用車に乗り込み、MS輸送機の格納庫から出発する。

 ……で、MS輸送機から見えない場所まで移動したら、空間倉庫に軍用車を収納し、影のゲートへと身を沈めていく。

 そして次の瞬間には予定通りにデルマイユの別荘の中へと姿を現していた。

 次にやるのは、スライムを使って素早く別荘の中を探索し、監視カメラを破壊していく事。

 侵入者を探知する赤外線のシステムとかも普段なら無力化するんだが、今回の場合は全く問題がなかった。

 必要なのは、とにかく俺がこの別荘の中で何をしているのかを知られない事。

 そうなると、邪魔なのは当然監視カメラの類となる訳だ。

 当然のように別荘の中には幾つもの監視カメラが存在しており、それが次々にスライムによって破壊されていく。

 こうして監視カメラを破壊したのだから、すぐに警備員もやって来るだろう。

 その前に粗方の件は片付けておく必要があるな。

 スライムで監視カメラを探すついでに色々と興味深い物のある場所は把握してある。

 まず真っ先に向かったのは、この部屋から少し離れた場所にある部屋。

 そこはデルマイユがこの別荘で過ごす部屋らしく、以前の屋敷にあったよりは劣るが、それでも十分高級品でセンスのいい家具が幾つも置いてあった。

 ソファ、机、椅子、テーブル、本棚にも様々な本が収納されている。

 売るべき場所に持っていけば相応の値段で売れるだろう本。

 ただ、幸いと言うべきか俺は読書を好む。

 いずれ読む事があるかもしれないし、この本は空間倉庫の中に入れておこう。

 なんなら、ホワイトスターに置いておけば、誰か欲しい奴が貰っていくだろうし。

 そんな感じで、この部屋の家具を全て収納すると、次に壁に掛けてある絵画を収納していく。

 他にも壺やら彫刻やらがあるから、それも適当に。

 そうして気が付けば、部屋の中には殆ど何もない状況になっている。

 他の部屋も同じく、手当たり次第に収納していく。

 とある部屋には金庫が置いてあったが、鍵やスライムを使うのではなく強引に力で金庫の扉を引き千切り、中に入っていた宝石や金の延べ棒といった代物を収納していく。

 そんな感じで別荘の中を荒し回っていると、やがて俺の耳に別荘の前に車が停まる音が聞こえてきた。

 へぇ、随分と早いな。

 けど、監視カメラがない時点で警備兵達にとってはどうしようもない状況になってる訳で……

 別荘の扉が開かれるのと同時に、気配遮断のスキルを使う。

 

「おい! 誰かいるのか! 出てこい!」

 

 警官に似たような服を着た複数の男が中に入ってくると、そう叫ぶ。

 犯人を捕まえるという意味では、自分達がやってきた事を知らせるような真似はしない方がいいのだが、今回の場合は自分達がやって来たというのを知らせる事によって別荘の中の品を物色してるだろう犯人がどこにいるのかを見極める必要があるからこその行動か。

 だが、当然ながらサーヴァントでも何でもない、ただちょっと鍛えただけの人間が気配遮断を使っている俺の存在に気が付ける筈もない。

 ……まぁ、ネギま世界の人間であれば、生身でサーヴァントと互角に戦える奴もそれなりにいるのだろうが。

 ともあれ、今の俺はこいつらに見つかるような事はない。

 攻撃体勢に入れば気配遮断の効果も消えるのだろうが、今の俺には警備員を攻撃するつもりはない。

 幸いこいつらが中に入ってきた時に扉を開けてくれたので、俺が扉の鍵とかを開ける必要もないまま外へと出ていく。

 

「どうなってるんだ、これ! 別荘の中には何もなくなってるぞ!?」

「馬鹿な! 侵入を探知してから俺達がここに来るまで、20分も経ってないんだぞ!?」

 

 侵入したと分かってからここに来るまでに20分も掛かるのはどうかと思うが、よく考えたらこの別荘は周辺に何もない場所にある。

 警備員達がどんなに急いでも、ここに常駐している警備員ではない以上、それくらいの時間は掛かるのだろう。

 MSではなくても、警備員だけであれば警備会社と契約をするのではなく専任の警備員とした方がいいと思うんだが。

 その辺り、どうなんだろうな。

 ともあれ、後ろの方から聞こえてくる声は無視し……いや、ついでだ。この警備員達が乗ってきた車も入手しておくか。

 オフロード車で、荒れ地でもスムーズに移動出来るようになっている車は、警備員が乗るのとしてはどうなんだろうな?

 いや、でもヨーロッパの道路事情を考えれば、それ程不思議でもないのか?

 場所によっては道路の舗装がされてない場所も多いらしいし。

 しかも警備会社の名前が車に書かれているようなものではなく、本当に普通に街中を走っていてもおかしくはない車だ。

 幸い車の中に人の姿はない。

 ……普通こういう時って、車の中で1人か2人は待機してるものなんじゃないか?

 そうも思うが、警備員にとってはデルマイユの屋敷に誰かが侵入したって事で、とにかく侵入者を捕らえようとしていると考えれば不思議じゃないか。

 ともあれ、何かに使えるだろうと判断して車へと触れ……次の瞬間には車は空間倉庫へと収納される。

 この辺りの作業は既に慣れたものだ。

 ……まぁ、警備員が使うようなこの手の車には、例外なく発信器やら無線機やらがついているのが普通なので、迂闊にこのW世界で乗り回す訳にはいかないが。

 ただ、この手の車は他の世界でも色々と使い勝手がいいし……何より、最悪の場合は投擲武器としての使い道もある。

 もっとも、投擲武器なら別に車じゃなくてもその辺に転がっている岩とかを空間倉庫に入れておけばいい話なんだが。

 ともあれ、別荘の中で俺の姿を探し回っている警備員達をそこに残して影のゲートへと身を沈めていく。

 そしてMS輸送機からある程度離れた場所に移動すると、空間倉庫から車を取り出す。

 警備員から奪ったものではなく、俺がMS輸送機から出てくる時に使った車だ。

 そのまま車を運転しながら、MS輸送機の方へと戻っていく。

 

「お疲れ様です、アクセル代表。もういいんですか?」

「ああ、別荘の方はもう大丈夫だ。後は破壊するだけだな」

 

 整備員に車を返し、トーラスへと通信を繋ぐ。

 

「綾子、頼む」

『了解。人はいないんだな?』

「ああ。警備員が何人かいたけど、MSが近づけば別荘から逃げ出してくると思う」

『……分かった。一応念の為、最初の射撃は建物じゃなくて別荘から少し離れた場所にやるよ』

「ま、綾子がそうしたいなら、それでいいんじゃないか?」

 

 そのやり取りで通信を切り……そして十数分後、デルマイユの別荘はこの世界から消滅するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1309

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