転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1594話

 マイク・ハワードが見つかったという連絡が来たのは、サリィが探すと言った日の翌日だった。

 その日の内にとはいかなかったが、それでも翌日に見つける事が出来たのは連合軍の能力あってか。

 ともあれ、色々と条件は違っていてもマフィアの時と比べれば十分に早いのは間違いない。

 そんな訳で、早速MS輸送機を使って俺達シャドウミラーはハワードの有するサルベージ船の下へと向かっていた。

 MS輸送機に積み込まれているのはトーラスだけで、俺のトールギスは未だに改修作業中だ。

 ちなみにシェンロンガンダムは、例によって例の如くルクセンブルク基地で待機中となっている。

 実際、OZに攻められると厄介なのは間違いないんだし、当然の選択だろう。

 五飛は若干俺達と一緒に来たがっていたみたいだが、そうなるとルクセンブルク基地の護衛として用意出来るのはトーラスとなる。

 ……実際には綾子の操るトーラスは十分強力な戦力なのだが、トーラスは所詮OZの量産型MSであり、インパクトの面でシェンロンガンダムには敵わない。

 いっそ今回は交渉なんだからMSは持ってこなくてもいいかも……と思ったが、OZが出てくる可能性を考えると戦力は用意しておいた方がいいに決まっている。

 それに、もしヒイロやデュオがハワードの下にいて、交渉が纏まった場合、そのままガンダムを運ぶ事も出来るし。

 

「で、本当にガンダムのパイロットを仲間に出来るの?」

 

 髪を掻き上げながら尋ねてくる凛。

 

「その辺りの条件交渉は、凛に任せる」

「……私任せ?」

「そのつもりで凛を連れてきたんだしな」

「あら? 私はてっきり、久しぶりに私と一緒に小旅行と洒落込みたいと思ったんだけど?」

 

 笑みを浮かべて尋ねてくる凛だったが、その目には悪戯っぽい光が宿っている。

 実際、その言葉は本気で言ってる訳じゃないんだろうが。

 

「それはそれで面白そうだと思うけどな」

「アクセル、あたしを忘れないで欲しいんだけど」

「あら、綾子は最近いつもアクセルと一緒じゃない。それに比べると、私はずっとルクセンブルク基地で書類整理とかそういう仕事をしてるのよ? なら、こんな時くらい譲ってもいいと思わない?」

 

 そんな2人のやり取りを、サリィが笑みを浮かべて見守っている。

 最初は俺達の関係を色々と不健全だと思っていたようなサリィだったが、自分が俺に手を出されないと判断したのか、今は結構鷹揚にこっちを見ている。

 そんなやり取りをしている間にもMS輸送機は進む。

 幸いハワードが現在いるのは、MS輸送機で補給をしたりしなくてもいいような距離だったのは、こっちにとっても幸運だった。

 話をしながらMS輸送機は進み……やがて、ハワードのサルベージ船の近くにある基地へと着地する。

 まさかMS輸送機でサルベージ船に着地する訳にはいかないし。

 いや、やろうと思えば出来るのかもしれないが、サルベージ船である以上は何かサルベージした物が船の上にある可能性もある。

 そう考えれば、やっぱり近くにある連合軍の基地に着陸して、そこからは別に移動した方がいいだろう。

 ……トーラスの関係で、綾子はMS輸送機に残る事になるのだが。

 まぁ、何かあった時の為に誰かは残していかないといけないのを考えれば、それはおかしな話ではない。

 そんな訳で、早速俺達は綾子を基地に残して軍用車……ジープでサルベージ船へと向かう。

 幸いと言うべきか、港に入ればサルベージ船がどこにいるのかはすぐに分かった。

 あれだけの大きさの船なんだから、それは当然か。

 そして真っ直ぐにサルベージ船に向かうと、そこでは見覚えのある人物が俺達を待っていた。

 ハワードと、その仲間達。

 特にトールギスの最終調整を行った面子の姿もあり、俺にとっては懐かしいと言ってもいい顔ぶれが揃っていた。

 車から降りた俺達へと、ハワード達が近づいてくる。

 

「久しぶりじゃな、アクセル。それに凛も。……ふむ? そちらの女子は初めてじゃな。綾子はどうした?」

 

 相変わらずアロハシャツにサングラスという特徴的な姿をしたハワードの言葉に、軽く手を振って答える。

 

「綾子はこの近くにある基地で護衛として留まってる。何しろ、今はOZとの戦いで忙しいからな。もしかしたら、あの基地にもOZが攻めてくる可能性がある」

 

 まぁ、もっとも……可能性はあくまでも可能性であって、実際に攻めてくる可能性は少ないと思うのだが。

 何しろ、OZの戦力はそれ程多くはない。

 その上、俺の活動の影響でロームフェラ財団の上層部が自分の屋敷に護衛を回すように要請している。

 ……正直なところ、多少護衛のMSがいてもシャドウミラーの戦力なら殆ど無意味なんだけどな。

 ともあれ、そんな理由でOZの戦力は少なく……ましてや、まだ1つだけではあるが基地のMSがほぼ全てなくなるといった事態すらも起きているのだ。

 連合軍の基地とはいえ、それ程重要ではなく、さして大きくもない基地を襲う必然性がない。

 ああ、でも原作だとアレックスとミュラーがさして大きくない連合軍の基地を虱潰しにしていたな。

 そう考えれば、意外と小さい基地でも狙われる可能性はあるのか?

 まぁ、OZにそれだけの余裕があれば、の話だが。

 

「ふむ、思っていたよりも用心深いようじゃの。……まぁ、いい。それで今回は何の用じゃ? トールギスに何か異常でもあったのかの?」

「うん? 俺達の用件を聞いてないのか? てっきり、もう話は通ってると思ってたけど」

 

 ハワードの言葉にサリィの方へと視線を向けると、こちらも首を横に振ってくる。

 

「いえ、残念ながら私もその件については知りません。ただ、コンタクトを取ったという話を知らされただけですので」

 

 まぁ、連合軍にとっては今は色々と忙しいんだし、そんな場合じゃないのは間違いないのか。

 サリィからの視線を受けて、小さく頷く。

 

「トールギスの件でも色々と相談があったのは間違いない。何しろ、今のトールギスだと俺の反応速度についてこられないし、それ以外にも武器の面で若干問題があるしな」

「……トールギスが? スーパーバーニアを改修しただけでは、まだ足りんと?」

「そうなるな。ただ、そっちの件は連合軍の整備員達にやって貰ってるから、今回来たのは本当にトールギスに関わる事じゃない」

「ほう? では何の用事じゃ?」

 

 俺の言葉に一瞬だけ戸惑ったような雰囲気を発したハワードだったが、やがてすぐに再び尋ねてくる。

 

「ガンダムのパイロット……いや、デュオとヒイロに連絡を取ってくれ。俺達が……シャドウミラーがお前達に会いたいと」

「っ!?」

 

 まさか、俺の口からその名前が出てくるとは思わなかったのだろう。

 ましてや、ガンダムのパイロットだと俺が知っているというのは完全に予想外だったのか。

 

「何故じゃ?」

 

 だが、こっちがその情報を知っているのを尋ねるよりも前に、まず俺がガンダムのパイロットに会いたい理由を尋ねてくる辺り、ハワードらしい。

 

「ガンダムを味方に引き入れる為だ。知っての通り、ガンダムというのは高い性能を持っている。そしてパイロットも同様に高い操縦技術を持っている。だが、基本的には単独で行動するからな。現状で妙な行動をされるとこっちとしても面白くはない」

「だから、デュオ達をお主達シャドウミラーに入れる、と?」

「そうだな。出来ればそうなって欲しいと思っている。ハワードなら知ってるかもしれないが、既にシャドウミラーにはガンダムが1機所属している」

「ああ、知っておるよ」

 

 あっさりと頷くハワード。

 まぁ、ガンダムがシャドウミラーに所属しているというのは、連合軍にとっても大きいから大々的に宣伝されてるしな。

 

「そのおかげもあって……というのは多少変な話だが、現在のシャドウミラーは色々な意味で有名だ。けど、その分注目が集まってきて迂闊に動けないという事が多くなってきてもいる」

 

 特に現在は、ルクセンブルク基地の復旧が完了するまで護衛をするという役目がある。

 そのおかげで、シャドウミラーとして動くにも、必ず護衛を残していかなければならない。

 そして護衛として残すのは、OZがルクセンブルク基地を攻めようとは思えない相手が必須だった。

 そうなると、残せるのはシェンロンガンダムかトールギスという事になり、俺が行動する必要があるのであれば自然とシェンロンガンダム一択となってしまう。

 

「ふむ、お主の言いたい事は分かる。分かるが……どうしたものじゃろうな。そもそも、何故お主はあの子達がガンダムのパイロットだと知っておる?」

「さて、何でだろうな。世の中には絶対に隠し通せる秘密というのは存在しない。必ずどこかからその秘密は知られるものだからな」

 

 正確には原作知識があるからこそなのだが、まさかそれを口に出来る筈もなくそう誤魔化す。

 

「相変わらず不思議な男じゃな」

「男は多少不思議なところがあった方が、魅力的らしいぞ?」

「……知らんわい、そんなこと」

 

 俺の言葉に溜息を吐くハワード。

 他の整備員達も、言葉には出さないがどこか疲れた様子を見せていた。

 

「それで、デュオやヒイロに連絡は取れないのか?」

「……ふむ」

 

 改めて尋ねると、ハワードはサングラス越しでも分かる程に強い視線をこちらに向けてくる。

 そのまま数秒、周囲にいる誰もが言葉を発せない程の迫力を醸し出す。

 この辺り、アロハシャツにサングラスといったおちゃらけた格好をしているように見えても、トールギスを開発したメンバーの一角ではあるよな。

 やがてそのまま時間が流れ、数分程経った頃だろうか。ハワードが口を開く。

 

「儂が連絡出来るのはデュオだけじゃな。残念ながらヒイロは以前ここに来てから全く接触しておらん」

 

 予想はしていたが、デュオだけか。

 出来ればあの時にヒイロと連絡出来るようにしておいて貰えれば、こっちとしても助かったんだが。

 

「デュオがヒイロと行動している可能性は?」

「そりゃあ、ないとは言えんが……どうじゃろうな。お主は知らんかもしれんが、ヒイロはデュオの機体からパーツを盗んで自分の機体を修理した。その辺りの事があって……いや、デュオならあまり気にしないか?」

 

 どうやらやっぱり原作通りの流れになったらしい。

 それでも良かったのは、俺達がいなくなってからの件だった事か。

 もしトールギスから部品を抜かれていれば、色々と面倒な事態になっていたのだろうが。

 それにデュオはハワードの言う通り、その辺りの事をそれ程気にしないように思える。

 実際、ニューエドワーズ基地に襲撃をしてきた時はヒイロとデュオが一緒に行動していたのだから。

 

「ヒイロ……ヒイロ・ユイ? やっぱり」

 

 俺とハワードの話を聞いていたサリィが、口の中で小さく呟いているのが聞こえてくる。

 ヒイロ・ユイという名前は、サリィもリリーナから聞かされて知ってただろうしな。

 ……ああ、リリーナか。そう言えば意識を失ったドーリアンの方はどうなったんだ?

 意識を取り戻せば、コロニーに対して宥和政策を行うというノベンタの言葉には間違いなく賛成するだろう。

 そして、OZが自分達を暗殺しようとした……という話をTVで流して貰えば、こちらにとって有利な展開となるのは間違いない。

 

「なら、取りあえずデュオだけでもいいから連絡を取ってくれ。覗きの代償を支払って貰うとな」

「……覗き?」

「ああ」

 

 サリィが首を傾げ、凛が以前このサルベージ船に泊まった時の事を思いだしたのか、笑みを浮かべる。

 ……もっとも、その笑みはどちらかといえば捕まえた鼠をいたぶる猫のような笑みだったが。

 最近では五飛が凛にからかわれるようになってたけど、デュオがくれば間違いなくその役目が変わるな。

 そっちの方がデュオ的にはあってるのだが。

 

「ふむ……分かった。すぐに連絡を入れてみよう。じゃが、儂が出来るのはあくまでもデュオを呼び出すところまでじゃぞ? シャドウミラーに合流しろとは、間違っても言えん」

「だろうな。それは分かってる。だからこっちも交渉役をきちんと連れてきている。……凛」

「ええ、任せておいて」

 

 数秒前に浮かべていた笑みはそのままに、凛が頷く。

 ……うん、悪いなデュオ。

 間違いなく今の凛を相手にした場合、精神的なダメージを受けることになるのは間違いなかった。

 少なくても、俺の場合はこの状態の凛と交渉したいとは思わない。

 その場合、俺に出来るのはベッドに凛を連れていって文字通りの意味で寝技に持ち込む事くらいか。

 代わりに、後で色々と責められる可能性は高いが。

 

「何だか、デュオを呼び出すのが哀れになってきた気がするんじゃが」

「気にするな。実際、これは自業自得なんだから」

 

 どことなく落ち込んだ様子のハワードの肩を軽く叩き、そう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1309

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