転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1609話

 視線の先……つい数秒前まで俺がいたOZの基地では、まさに右往左往と呼ぶのに相応しいような、そんな騒動が起きていた。

 まぁ、いきなり格納庫が停電し、更には動かせるMSが全て消えてしまったんだ。

 それは普通なら騒動になるだろう。

 いや、まだ格納庫の中は暗いんだし、そこまでは分かっていないのか?

 どのみち、こっちとしてはやるべきことをやったので幸運でもあった。

 ……一体、このW世界に来てから、今まで幾つの基地を襲っただろうな。

 気が付けば格納庫が闇に閉ざされ、そしていつの間にかMSが消えているというこの現象。

 当然のように、この件はOZの戦力を効果的に削っていた。

 何しろ、少し前の話……丁度トロワの説得が失敗してから数日後の話だが、どこかの連合軍がOZの基地に攻め込んだら、その基地はMSがなく、ろくな抵抗も出来ないまま降伏したって話もあるしな。

 既に空間倉庫の中に確保されているMSは、合計で数百機近い。

 一番多い機体は、当然のようにOZが地上で主力MSとしているエアリーズ。

 パイシーズとキャンサーは、まだそれ程多くはない。

 まぁ、こっちは本当の意味で最新鋭の機体である以上、現行の主力MSのエアリーズよりも数が少ないのは当然なんだが。

 リーオーとトラゴスは、そこそこあるがそこまで多くはない。

 あくまでもOZの主力機はエアリーズだという事なのだろう。

 いや、勿論OZに所属している人数がもっと多ければ、もしかしたらエアリーズの供給が間に合わずにリーオー部隊を作り上げた可能性もあるが……残念ながら、もしくは幸運な事に、そんな展開にはならなかった。

 まぁ、ぶっちゃけ一般人――OZのエリート含む――が使う分には、エアリーズの方がリーオーよりも使いやすいのは事実だ。

 何と言っても、空を飛べるというアドバンテージは圧倒的な利点だし。

 だが、ある程度以上の技量の持ち主……それこそこのW世界ではゼクス並ともなれば、話は違ってくる。

 原作でも指摘されていたように、エアリーズは装備が重く機敏には動けない。

 その点では地上を移動出来るリーオーの方が勝っているのだ。

 それと、基本的にミサイルとチェーンライフルしか存在しないエアリーズに比べると、ビームサーベルやビームライフルなんかを普通に使用出来る点も勝っているか。

 ともあれ、乗る奴が乗れば強い機体。それがリーオーだ。

 ……まぁ、そもそもリーオーはトールギスをデチューンした機体なんだから、性能的には悪くないんだよな。エアリーズとトラゴスはリーオーのバリエーションだが。

 ともあれ、そんな訳で今回も目的を果たした俺は、そのままルクセンブルク基地へと戻るのだった。

 

 

 

 

 

「……なるほど。次はここか」

「はい。こちらで入手した情報によると、デルマイユ公爵が持っている別荘の中でもかなりお金を掛けて作った物らしく、それだけにここを襲われればデルマイユ公爵にとっても痛いだろうという話です」

 

 OZの基地を襲った翌日、シャドウミラーが全員揃っている食堂でサリィから写真付きの書類を受け取りながら綾子へと渡す。

 

「OZの面々は現在、かなり神経質になっているとのことです」

「……まぁ、バルジがなくなったしなぁ。バルジってのはOZの宇宙における本拠地だろ? そのバルジがいきなり消えたりしたら……普通、神経質にもなるだろ」

 

 パスタを食べながら、デュオがそう告げる。

 五飛の方も中華料理を食べながら、微かに眉を顰めつつも頷く。

 

「うん? どうした? 何かバルジの件であるのか?」

 

 眉を顰めた様子に疑問を覚えて尋ねるが、戻ってきたのは首を振る五飛だった。

 

「別にそちらについては何もない。ただ……」

 

 自分の食べている中華料理へと視線を向ける五飛。

 口に合わなかったのか?

 ルクセンブルク基地は連合軍の中でも大きな基地だけあって、食堂の内容も充実している。

 それだけではなく、この基地を奪還する時に防御兵装の類が大きく破壊されてしまった為、それを修復する為に……兵達の気力、やる気を少しでも充実させる為に腕利きの料理人が呼ばれてもいる。

 この辺りの気遣いは、セプテムだと考えにくい。

 だとすれば、多分ノベンタか、ベンティか……それとも、その下についている誰かか。

 ともあれ、こうして食堂の中を見る限り、兵士達は皆喜んで料理に舌鼓を打っていた。

 

「いや、何でもない。……それで、別荘を襲撃に行くのだろう。いつ行くのだ? 参加するのはやはり綾子だけか?」

 

 何かを誤魔化すように告げる五飛に一瞬疑問を覚える。

 だが、襲撃についての話を進めるという意味では問題がないので、頷きを返す。

 

「ああ。五飛とデュオの機体は空を飛べないだろ。やっぱりそういう点で出番になるのはトーラスだ」

「そうか。あたしの機体が改修されてから初の実戦だな」

「……実際にはそう変わってないんだけどな」

 

 外見は機体色が白になって大きく変わっているが、性能という意味ではビームサーベルが1本増えただけだ。

 綾子の能力的に、薙刀とかあれば結構使いこなせそうなんだが。

 シェンロンガンダムのビームグレイブを借りるか?

 意外とよさそうな感じはするけど、五飛がそれを許さないだろう。

 その辺りは、連合軍がガンダムやトールギスのビームサーベルを研究しているので、それが完成したらビーム薙刀でも作って貰うとしよう。

 ……ビームナギナタにすると、ゲルググっぽいな。

 ともあれ、デルマイユの別荘を襲撃するという事に決まり、スケジュールを決めていく。

 今回は……いや、今回もと言うべきか、襲撃に向かうのは潜入役の俺、MSで爆撃する綾子、連合軍からサリィの3人となる。

 いや、正確にはMS輸送機のパイロットとか、格納庫の整備員とかもいるんだから、正式には3人じゃないんだが。

 ともあれ、明日にでも出発する事が決まる。

 そうなると今日は暇になる訳で……俺は折角なのでこの際にMS輸送機の客室を改造する事に決めた。

 本当ならガンダニュウム合金と入れ替えるようにして家具とかを持ってきたかったんだが、暇な今日のうちにという事になる。

 

「……で、何で凛が?」

 

 ルクセンブルク基地から少し離れた場所を軍用トラックに乗りながら隣に座っている凛に尋ねる。

 

「あら、いつもは綾子と一緒に行動してるんだから、今日くらいは私と一緒に行動してくれてもいいと思わない? それとも、私と一緒に行動するのは嫌なのかしら?」

「そんな事はない」

 

 笑みを含んだ視線で尋ねてくる凛に、そう言葉を返す。

 ここで妙な事を口にした場合、それこそガンドが飛んできかねない。

 

「ふーん。ま、いいけど。たまには私にも息抜きくらいさせなさいよね」

「はいはい。けど、別に特にどうって事はないぞ? このままここから離れた林の中で、この荷台に空間倉庫から出した家具を入れるだけだし」

 

 一応この軍用トレーラーについてはスライムでしっかりと調べてあるし、通信のスイッチも切ってある。

 だからこそ、堂々と空間倉庫だとか、そういう言葉を口に出来ているのだ。

 

「分かってるわよ。どんな家具があるのかは分からないけど、アクセルだけに任せると色々と失敗しそうだもの。その辺を選ぶのは私が手伝ってあげるわ」

「はいはい。そうしてくれると助かるよ」

 

 実際、自分にその手のセンスがあるとは思っていない。

 奪ってきた家具も、センスがいい物だというのは分かるのだが、それでもどこがいいのかと、そう言われれば首を傾げざるを得なかった。

 まぁ、その辺りを凛が選んでくれるのであれば、俺も特に文句はない……どころか、ありがたいのだが。

 ともあれそんな感じで俺と凛は2人でドライブと洒落込み……やがてルクセンブルク基地から車で1時間程離れた場所に林を見つけ、そこに車を突っ込ませる。

 もっとも、俺達が乗っているのはあくまでも軍用トレーラーであって、軽自動車とか、そんな風に車体の小さい車ではない。

 当然のように林の奥深くまで移動……などということは出来ず、林の浅い部分まで車を進めるのが限界だった。

 

「へぇ……爽やかな感じね。日射しもいい感じだし」

「ま、春だしな」

 

 現在のW世界はまだ5月。

 季節的には春真っ盛りと表現するのが相応しい。

 緑の葉を生やした木々が何本も生えており、そこでは空から太陽の光が煌めいていた。

 葉っぱに太陽の光が当たっている光景って、何と言うかこう、和むんだよな。

 このW世界では、現在連合軍とOZの内乱が起こっているのだが、それであたふたしているのはあくまでも人間だけであり、それ以外の動物には全く関係ないのだろう。

 

「こうしていると、普通にピクニックに来たみたいね」

 

 トレーラーから降りた凛が、俺の横で林を見ながら呟く。

 

「ピクニックか。……まぁ、この光景を見る限りだとかなり良い場所のようにも思えるし、今度綾子も連れて3人で来てみるのもいいかもしれないな」

「あら、サリィは連れてこなくてもいいの?」

「……何でそこで出てくるのが、サリィだけなんだ? 五飛やデュオじゃなくて」

「だってアクセルだもの」

 

 俺の口から出た疑問に、あっさりと凛がそう告げる。

 

「お前な、俺を一体何だと思ってるんだ?」

「へー、アクセルがどんな風な人物なのか言って欲しいの? なら、幾らでも言ってあげるけど?」

「……いや、今ここで何かを言われると、俺に精神的なダメージが来そうだからいい」

「史上希に見る女好き」

 

 言わなくてもいいと口にしたにも関わらず、凛はあっさりとそう口にする。

 

「なぁ、俺の話を聞いてたか?」

「聞いてたけど、その通りにするとは言ってないわよ? それで、どう? 女好きってのは合ってない?」

「……合ってるよ」

 

 恋人が10人以上おり、その全員と一つ屋根の下で暮らしており、毎日のようにベッドの上で抱いているのを思えば、既に女好きと言われて否定出来る要素はない。

 更には凛と綾子という、現地妻的な存在が2人もいて、現在こうしているのだから。

 もっとも、凛と綾子は現地妻なんて立場には甘んじておらず、宝石剣を利用してこうして俺に会いに来たのだが。

 正直なところ、ホワイトスターと連絡がついた時にどうなるのかが、ちょっと心配だ。

 少なくてもムウ辺りには羨ましがられると思うが。

 

「ふふん。でしょ? ……ま、そんな女好きだって知っててアクセルを好きになったんだから、別に責めはしないわよ。その代わりホワイトスターだっけ? そこに行ったら他の人達ともしっかりと話をする必要があるでしょうけど」

「……」

 

 その言葉に何と返せばいいのかが分からず、無言で返す。

 もっとも、綾子や凛なら、エヴァに鍛えられているレモン達とでもそれなりに互角に戦えるとは思うんだが。

 

「ねえ、少しここで休んでいきましょ。すぐに戻っても、他の人に怪しまれるでしょうし」

 

 そんな凛の言葉に頷き、俺は空間倉庫の中から椅子とテーブルを取り出す。

 もっとも、その椅子とテーブルはデルマイユの屋敷から盗んできたような高級品という訳ではなく、店とかで普通に売ってるような代物だ。

 林の中、地面にテーブルと椅子がある……という光景は、森林浴とかピクニックにやって来た恋人同士としか見えないだろう。

 もっとも、それは決して間違っていないので、全く問題はないのだが。

 

「ありがと。……んー、こうしてゆっくりするのも暫くぶりね。ここ最近は色々と忙しかったし」

 

 椅子……というか、こういうのはデッキチェアーというのか? それに腰を掛けた凛が、笑みを浮かべてそう告げる。

 そんな凛の前に、紅茶を置く。……もっとも、ペットボトルの紅茶だが。

 

「あのねぇ、アクセル。こういう時はやっぱり淹れ立ての紅茶が欲しいんだけど」

「そう言われてもな。生憎と俺は紅茶を淹れる事は出来ないし、そもそも道具もないぞ」

 

 紅茶派ではあっても、所詮似非紅茶派だ。

 本物の紅茶派であれば、缶やペットボトルの紅茶には絶対に納得出来ないのだが、俺はそれでも十分楽しむ事が出来る。

 

「全く……今度紅茶の淹れ方を教えてあげるから、覚悟しなさい?」

「俺は凛が淹れてくれる紅茶を飲めれば、それでいいんだけどな」

「なっ!?」

 

 どこかツボに入ったのか、凛の顔が急激に真っ赤に染まっていく。

 もしかして毎朝味噌汁を~的に思われたのか?

 まぁ、そうなって欲しいとは思うけど。

 

「ふ、ふん。そうね。今度アクセルにはしっかりと紅茶を淹れて上げるから、楽しみにしてなさい」

 

 顔を赤くしたまま言われてもなぁ……いや、嬉しいけど。

 そこまで考え、ふと思う。

 これは劣勢が続く紅茶派に、久しぶりに新しく人員が追加されるのではないか、と。

 そんな風に思いながら、俺は凛と共に束の間のデートを楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1309

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