転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1611話

「くそっ! どこだ! 探せ、絶対にまだこの建物の中にいる筈だ! 逃がすな!」

 

 その声に従い、警備員達がデルマイユの屋敷の中へと散らばっていく。

 ……そう、金目の物はおろか、家具とか芸術品とか別荘の中にあるほぼ全ての物がなくなっている、別荘の中を。

 そんな様子を、俺は当然のように部下へと指示を出している警備員のすぐ横で聞いていた。

 言うまでもなく、気配遮断のスキルを使用している。

 監視カメラの類は、この中に侵入する前に既にスライムを使って破壊しているので、俺が隣にいても見つける事はまず不可能だ。

 そんな俺の視線の先で、警備員達は必死になって周囲を探し回っていた。

 この建物の中にいるだろう、盗っ人を見つけ出す為に。

 まぁ、デルマイユ名義の屋敷はこれまでにも何度となく襲ってきた。

 だが、その中で向こうに手掛かりらしい手掛かりを見つけられた事は一度もない。

 だからこそ、デルマイユから警備員達にはくれぐれも気をつけるようにと言われているのだろう。

 ……にも関わらず、この結果だ。

 そりゃあ叱責されないように、こうして血眼になっても不思議ではない。

 まぁ、だからといって見つかるとは限らないのだが。

 努力はしなければ結果に結びつかないが、努力の全てが報われる訳ではない……ってのはどこかの誰かが言っていた言葉だ。

 デルマイユの持っている別荘の1つの警備を任されている会社に勤めているのだから、間違いなくこの警備員達は優秀なのだろう。

 実際、俺がこの別荘の中に侵入して警報装置が発動してから、こいつ等がやって来るまでの時間はそれ程長くはなかった。

 周囲に人がいないようにしている別荘で、近くの街……警備会社のある街までの距離を考えれば、優秀だと表現してもいい。

 更にはすぐに別荘の中に突入せず、幾つかある出入り口の前にそれぞれ人を置き、それから中に突入してきたのだから、冷静だと言ってもいい。

 警備員の体格も身長2m程の者達ばかりで、筋骨隆々と呼ぶに相応しい者達だ。

 だが……それでも、俺を見つける事が出来なければ、意味はない。

 扉が開き、警備員の1人が中へと突っ込んで来る。

 それに合わせるように、俺は別荘の外に出た。

 近くには何台かの車。

 以前同じように別荘に忍び込んだ時は1台の車で済んだが、今回はそれだけ人数も多いのだろう。

 更に、以前同じような状況で車が盗まれたと知っている為か、それとも最初からそういう態勢なのかは分からないが、車には1台につき1人が残っている。

 しかも、それぞれが銃を手にして、いつでも撃てるように準備万端整えているおまけ付きだ。

 油断はしないといったところか。

 出来ればこの機会に車も盗んでおきたかったんだが、それは出来ればであって、どうしてもという訳ではない。

 少なくてもこうして中に誰かがいるのであれば、それを無理してでも……とは思わなかった。

 そんな訳で、車の奪取は諦め、影のゲートを使って10km程離れた場所へと転移する。

 そこからは簡単だった。

 空間倉庫の中から移動に使っていた車を出すと、そのままMS輸送機へと向かう。

 途中で何かあるかと思ったが、特に何もなかった。

 ……警備会社の連中が検問でもしてるのかと思ったんだが。

 勿論警備会社にその手の権限がないというのは分かっている。だが、デルマイユの屋敷を警備しているのであれば、その程度の事は何とでもなりそうだし……それこそ最悪の場合、警察とかを普通に使ったり出来そうなんだよな。

 いや、その手の作業はやってもあの別荘の周辺か。

 あの別荘から10km近く離れたこの場所で検問をやっても意味はない。

 もっとも、検問の類をしても俺の場合は全く問題ない……訳じゃないか。

 盗んだ証拠とかそういうのは全く心配しなくてもいいが、シャドウミラーの俺がデルマイユの別荘からそう離れていない場所にいるというのは大きい。

 ましてや、俺1人での行動である場合、それを知った軽率な奴がOZに恩を売る為にどんな行動に出るのかは分からない。

 今は全体的にOZが不利ではあるが、それでもOZが持っている財力は非常に魅力的だ。

 その上、この辺りにはデルマイユの別荘があるという事で、OZの影響力が強いというのは容易に予想出来る。

 そんな風に余計な揉め事に巻き込まれるのは遠慮したいところだった。

 そう考えれば、こうして影のゲートであっさりと捜査網……包囲網か? そんなのの外に出られるというのは便利だよな。

 後は、別荘の中身が丸ごとなくなったというのと、バルジが消滅した事についての関連性を疑われないといいんだが。

 そんな風に思いながら、やがてMS輸送機が見えてくると、格納庫に入っていく。

 

「お疲れさまです、アクセル代表」

 

 整備員の声に軽く挨拶を返し、丁度こちらに向かって来た綾子に向かって口を開く。

 

「じゃあ、頼んだ」

「ああ、任せておけ。……まぁ、特に苦戦するような事もないだろうけど」

「だろうな。護衛のMSはいなかったようだし。少なくても、別荘の側にはいなかった」

 

 デルマイユの別荘にしては、護衛のMSがいないのは不思議だった。

 だが、考えてみれば現在のOZは幾つもの基地からMSが盗まれ、ただでさえMSの数は多少なりとも減っている。

 更にはデルマイユの所有している屋敷や別荘が襲われているだけあって、他のロームフェラ財団の上層部の面子も護衛を欲しがっており……ましてや宇宙ではバルジが消滅した。

 これらの事を考えれば、全ての建物に護衛のMSをつける訳にいかなくても、おかしなところはない。

 ただ、宇宙ではトーラスがMD化されて運用されていた以上、やはりエアリーズ辺りをMD化される可能性はある。……それとも、トーラスを地上でも使用するか?

 

「ふふっ、ならすぐに戻ってくるよ」

 

 そう告げ、綾子はトーラスへと乗り込んでいく。

 綾子が出撃するのを見送ると、俺は客室へと戻る。

 

「アクセル代表、首尾はどうでしたか?」

 

 ソファで何かの書類を見ていたサリィがそう尋ねてくるのに、軽く肩を竦める。

 

「いつも通りだな。綾子も出ていったし、そろそろ出発する準備をしておいた方がいいだろ」

「分かりました。では、パイロットの方にそう言ってきますね」

 

 そう告げ、サリィは客室から出ていく。

 残ったのは、俺一人な訳だ。

 何もやる事はないので、取りあえずTVでも見る事にする。

 すると……

 

『えっと、あのMSはOZが宇宙で使用しているMS、トーラスです。ですが、何故宇宙用のMSがこのような場所にいるのでしょうか? しかも、色が違います。普通のトーラスは黒なのに対し、あのトーラスは白です。一体、どこの所属なのでしょう?』

 

 TVをつけた瞬間、そんな声が聞こえてきた。

 地球上で運用されているトーラスは、現在俺が知っている限りでは綾子の物しかない。

 

『現在地球で運用されているトーラスは、連合軍に雇われているシャドウミラーという傭兵団のみ、とされている筈なのですが、そのトーラスの色は黒です。だとすれば、あの白いトーラスはまた別の勢力の所属という事になるのですが……』

 

 まさに俺が考えていた事を口にするレポーター。

 少し……いや、大分気になって意識を集中して話を聞いてみると、どうやらあの別荘がある近くの街で何らかの生放送をしていたらしい。

 だが、その生放送中に上空を白いトーラスが飛んでいった、と。

 ……まぁ、スクープだと喜びたくなる気持ちは分からないでもないが、それでもタイミングが悪い……いや、そうでもないのか?

 今までにもデルマイユの屋敷が襲われていたのは、色々な目撃情報から俺達シャドウミラーだというのは分かっていた筈だ。

 だが、デルマイユがそれを進んで口にするのかと言われれば……答えは否だろう。

 何しろ、自分の所有している建物が破壊され、それに対する反撃も出来ないのだ。

 その上、警備として置いているMSも、何が出来る訳でもないままに撃破されていく。

 今回の別荘には護衛のMSはいなかったが。

 ともあれ、そんな事をデルマイユが自分から口にするかと言われれば、答えは明らかに否だ。

 まぁ、普通なら自分の恥を晒すような真似はしないよな。

 勿論デルマイユに近しい者や、ロームフェラ財団でもある程度の地位にいる者であれば、その辺りは理解している可能性もあるが。

 ともあれ、半ば公の秘密とされていたのが、俺達シャドウミラーによるデルマイユの屋敷の襲撃だ。

 だが、こうしてTVに映ってしまった以上、それを公ではあっても秘密に出来るかと言われれば、それは難しい。

 または、最初は知らなくても、今回のTV放映で興味を持って調べれば……全てを隠すというのは不可能に近いだろう。

 デルマイユが隠したくても、それは不可能になる訳だ。

 

「そう考えれば、結構いいチャンスだったのかもな」

『見て下さい! あの白いトーラスが去っていった方向で大規模な爆発が見えます!』

 

 レポーターが興奮したように叫ぶ。

 ……このTV局って、確かロームフェラ財団の息が掛かっている局だったと思うんだけど。

 今は興奮して爆発のあった場所がどんな場所なのかは分かっていない様子だけど、それがデルマイユの別荘だって知ったら、どうなるんだろうな。

 デルマイユの機嫌を損ねて、どこかに飛ばされそうな気がするというのは、きっと俺の気のせいじゃないだろう。

 まぁ、このレポーターも自分で好んでこのTV局に入社したんだし、その辺は気にする必要もないか。

 

『あちらの方には何があるんでしょうか?』

 

 デルマイユの屋敷があるというのは、レポーターも把握していないのだろう。

 どこか興奮した様子で、爆発のあった方を見ながら喋りまくっている。

 

『地上用のトーラスを使用したという事は、恐らくOZ側の施設だと思います。元々この辺りはOZ側の勢力圏なのを考えると……MS製造工場といったものでも、あるのでしょうか?』

 

 興奮して喋っているレポーターの声だったが、実際に現場に向かったりはしないらしい。

 まぁ、危険だしな。

 

『ああっ! またです! また白いトーラスが私達の上を通っていきました。恐らく、作戦が終了したので、自分達の基地へと戻るのでしょう』

 

 ちょっとハズレ。

 白いトーラスが……綾子が乗っている機体が戻ってくるのは、基地ではなくこのMS輸送機だ。

 いやまぁ、これが移動基地だと言われれば、それは否定出来ないんだが。

 

「アクセル代表、綾子が戻ってきたようです」

「そうか。じゃあ、すぐに出発の準備をしてくれ」

 

 客室に戻ってきて告げるサリィに対し、そう命令する。

 

「ええ、そのつもりですが……何かあったのですか」

 

 俺の口から出た言葉が意外だったのか、驚いて尋ねるサリィだったが、俺の見ているTVへと視線を向け、そこで話されている内容から、映されている場所がどこなのかを理解すると、すぐに踵を返す。

 

「急がせます」

「そうしてくれ」

 

 サリィも、何が起こったのかは理解したのだろう。

 このままこの場所に留まっていては、いずれOZの部隊がやってくると。

 ……それとも、TV局の取材クルー辺りが先か?

 そのどちらか……もしくはそれ以外の第3勢力であっても、俺達がここにいるのを知られるのは面白くない。

 すぐに実害はないかもしれないが、ここに俺達がいるというのを他の者に知られるだけで情報的な意味は持つ。

 ルクセンブルク基地に、俺達がいないという事がはっきりとするのだから。

 勿論五飛とデュオの2人を置いているのだから、OZが侵攻しようと思ってもそう簡単にはいかないだろう。

 それにTVに映されたのは、あくまでもトーラスだけだ。

 それはつまり、トールギスはまだルクセンブルク基地にいると思われてもおかしくはないという事になる。

 綾子には悪いが、シャドウミラーの中でトーラスは戦力的に一番低いと思われているのだから。

 だが、それは決して間違いという訳でもない。

 そもそも、トーラスの性能はガンダムやトールギスに比べれば落ちるし、綾子の操縦技術も急激に上昇してきているとはいえ、どうしても五飛やデュオのようなガンダムのパイロットには劣ってしまう。

 そう考えると、OZの判断は決して間違っている訳じゃないんだよな。

 

『え? このまま行くんですか? 本当に? ……分かりました。皆さん、これからトーラスが去った方向へと私達も移動して、その痕跡を追ってみたいと思います』

『戻ったぞ』

 

 TVでそう告げるのと、MS輸送機の格納庫に戻ってきた綾子から通信が入るのは同時だった。

 そしてMS輸送機はTVの取材クルーがまだ出発していない内に、ルクセンブルク基地へと向かって帰るべく飛び立つ。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1309

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