転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0147話

 グロウセイヴァー。それは俺がスパロボの世界で使っていた愛機。元はアサルトドラグーンという強襲型機動兵器の一つだった。だが、シャドウミラーの技術班であるレモンの改造により永久機関の時流エンジンとテスラ・ドライブ、そして各種武装が一体化した追加統合兵装クロノスを装備し、T-LINKシステムを導入。他にも色々と魔改造され、最終的には量産型システムXNすらも装備した機体だ。その戦闘力は色々とチート的な俺の能力と合わさった結果、強大無比の一言。スパロボの世界では最強と名高いヒリュウ改とハガネの部隊を相手に幾度も圧倒してきたと言えばその凄さが分かるかもしれない。

 正直、このコードギアスの世界でランスロット、紅蓮弐式、ガウェイン、月下等のエースパイロットを纏めて相手にしても余裕でやり合える能力を持っている。

 俺の所属していた部隊、シャドウミラー最強の象徴とも言われた機体だ。

 

「隊長、本当にグロウセイヴァーを?」

「ああ。このくだらない戦いを終わらせる」

 

 

 

 

 

「アクセル!」

 

 政庁へと戻ってきたギルフォードが、俺を見て声を上げる。

 

「ギルフォード、遅くなったな。……コーネリアは?」

「フジの式典会場に向かっている途中で特派から連絡があり、ユーフェミア様が亡くなられたと聞き、それ以降は……」

 

 そのまま黙って首を振るギルフォード。

 やはりコーネリアの精神的ダメージが大きすぎる、か。

 

「今は?」

「政庁に帰還してからはユーフェミア様の部屋に一人で籠もられている」

「そう、か。分かった。そっちは俺に任せろ。それよりもお前はこのトウキョウ租界を守る準備を。一応お前達が戻って来る前にコーネリア直属の名前を使って出撃準備は整えさせているが、俺は所詮外様で指揮権は持っていない。お前に任せて構わないか?」

「駄目だ、姫様の命令無しに動く事は出来ない」

「本気で言ってるのか!?」

 

 思わずギルフォードの胸ぐらを掴み、引き寄せる。

 

「よく考えろ。今は消沈しているコーネリアだが、いざ何かをしようと思った時に軍の準備が出来ていなかったらどうする? 騎士のお前は主であるコーネリアの命令がないと行動出来ないのかもしれないが、主が動きやすくする事も騎士の務めじゃないのか?」

「ぐっ、しかし……」

「騎士というのは、主に対して盲目的な忠誠を誓えばいいものではないだろう?」

「……分かった。アクセル、お前の言う通りにしよう。だが、私に出来るのは軍の出撃準備を整える所までだ。それ以上は姫様の命令がなければ動けん」

「それでいい。コーネリアに関しては俺が何とかしていつものコーネリアに戻す。……ユーフェミアの部屋だな?」

「ああ」

 

 ギルフォードが頷いたのを見て、掴んでいた胸ぐらを離す。そしてそのままギルフォードへと背を向け、ユーフェミアの部屋へと向かう。

 

「アクセル……姫様を、頼む」

 

 ギルフォードの掠れるような声をその背に受けながら。

 

 

 

 

 

「エキドナ、お前はここで待っていろ」

「はい」

 

 エキドナが頷いたのを確認し、扉を軽くノックする。

 

「コーネリア、入るぞ」

 

 コーネリアへと一声掛けてユーフェミアの部屋へと入ると、部屋の中は暗く電気等も点いてはいない。部屋にある暖炉の火のみが部屋の明かりとなり、どこか幻想的な雰囲気を醸し出していた。

 そしてコーネリアはその暖炉の前に座り込んで呆然としている。ユーフェミアが死んだというのに泣いた様子もない。

 ……いや、あれだけ溺愛していた妹の死だ。恐らくその悲しみが大きすぎて泣くに泣けないのだろう。

 そのまま黙って暖炉の前へと移動し、コーネリアの横へと腰を下ろす。

 

「コーネリア、話は聞いた」

「……」

 

 そう声を掛けるも、コーネリアはただ黙ったまま虚空へを視線を向けている。

 

「遅くなって悪かったな。俺がいれば……なんて言うつもりはないが、それでも心配をかけた。予想外の用事に手間取ってしまってな」

「……」

 

 さて、ギルフォードにはコーネリアの事を任せろと大見得を切ったものの……一体どうしたものか。俺に出来るのはただ黙ってコーネリアの側にいる事だけだ。暖炉の火の明かりが淡く部屋を照らす中、俺はただ黙ってコーネリアの隣に座っていた。

 

「……」

「……」

 

 時折暖炉の中で燃えている薪が上げるパチッという音が響く以外は、静寂に包まれているユーフェミアの部屋。そこでコーネリアと共にただ沈黙したまま時の流れに身を委ねる。

 果たしてどのくらいの時間が流れたのか。10分や20分? いやあるいは1時間か2時間か。ただ沈黙の中、俺とコーネリアのみが存在する部屋の中で微かな声が聞こえてきた。

 

「アクセル……用事は、もういいのか?」

 

 覇気に満ちたコーネリアの声とは思えない程に弱々しい声。だが、それでも間違いなくコーネリアの声だった。

 

「ああ。遅くなって悪かったな。ちょっと予想外に時間が掛かってな」

「全くだ。1日2日の休日が無断で1ヶ月近い休暇を取りおって」

 

 そこからポツポツとだが他愛ない雑談をする。料理の事やTVの事。スポーツや本の事など本当にどうでもいい内容の話だったが、幾らかの気分転換にはなったのだろう。コーネリアも徐々にだが声の張りを取り戻してきたように見える。

 そんな会話がどのくらい続いたのか。唐突にコーネリアが口を閉じた。

 

「どうした?」

「……何故だろうな? ユフィが死んだと聞いて、悲しい筈なのに全く涙が出ないんだ。もしかして、私は自分で思っている程ユフィの事を愛していなかったのか?」

 

 妹の死に涙を流せない自分を責めるかのように苦しそうな表情を浮かべるコーネリア。俺は黙ってその紫色の髪を撫でる。

 

「大きすぎる悲しみを受けた人は、感情に蓋をする。そのままその悲しみを受けると壊れてしまうからな。コーネリア、お前が今泣けないのはそれだけユーフェミアを愛していた証拠だよ」

「そういうものなのか?」

「ああ」

 

 コーネリアはそれだけ言うと、後は黙って俺に髪を撫でられ続けていた。

 そのまま5分も経っただろうか。いつの間にかコーネリアのその瞳から一筋の涙がこぼれ落ちる。暖炉の火の明かりに反射するその涙は、とても幻想的なものに思えた。

 

「あ……ああああぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁあぁぁっ!」

 

 その一筋の涙が皮切りになったのだろう。最初は小声で、徐々に叫ぶような泣き声を上げながらコーネリアは涙を流す。

 

「ユフィっ、ユフィっ……私は、ユフィに会いたい、もう会えないなんて嫌だ!」

 

 俺を強く抱きしめながら号泣するコーネリア。俺はただ黙ってその髪を撫でながら落ち着くのを待つしか出来なかった。

 その状態のまま十分程が経過しただろうか。ようやくコーネリアは泣き止み、それでもまだユーフェミアを失った空虚を埋めるかの如く俺を抱きしめ続けていた。

 

「……人前で、しかも男の前で泣いたのは生まれて初めてだ」

「俺も皇族に胸を貸して泣かれたのは初めてだよ。ほら」

 

 ポケットからハンカチを取り出し、コーネリアへ差し出す。

 

「すまんな」

「いや。もう落ち着いたな?」

「ああ」

「それでこれからの事だが」

「もちろん……ユフィの仇を取らせて貰う!」

「そうだな。俺もあの放送を見ていた。あれは明らかに何かがおかしかった。ユーフェミアの事をそれ程知らない俺でも感じる程に」

「そうだな。ユフィが虐殺など命令する筈がない」

 

 ……ギアスの事を教えるべきか? いや、だが俺が知っているのは知識だけで証拠を出せと言われればどうしようもない。となると……

 

「そうなると、仇を取る前にゼロを捕らえてユーフェミアに何をしたのか問い詰める必要があるんじゃないか?」

 

 ギアスの事を教える事が出来ればダールトンに気をつけるようにとのアドバイスも出来るのだが……それも今は無理か。

 

「そうだな。まずその秘密を聞き出さなければユフィの汚名をそそぐ事も出来ん」

「幸いと言うか、何と言うか……黒の騎士団がフジからテログループや一般人を吸収しながらこのトウキョウ租界に向かって来ている」

 

 この部屋に来てどのくらいの時間が経ったのかは正確には分からないが、黒の騎士団はトウキョウ租界近くまで来ている事だろう。あるいは既に戦端が開かれているかもしれない。ギルフォードに言って戦闘準備は整えさせてあるが、その部隊を動かすにはコーネリアの命令が必要だ。

 

「そうか……では、行こう」

 

 そう言って立ち上がったコーネリアは、既に俺がこの部屋に来た時のような抜け殻ではなくいつもの覇気溢れる気高き女傑へと戻っていた。

 

「幸いアクセルがいない間に本国からグラストンナイツを呼び寄せる事が出来た。……本来はお前が戻ってこない間の穴埋めのつもりだったのだがな。こう言うのを不幸中の幸いと言うのかもしれん」

「グラストンナイツ?」

「そう言えばアクセルは知らないか。ダールトンが育て上げた騎士達だ。私の直属という意味ではアクセルと同じだな」

 

 ……そう言えば、確かに原作でもグラストンナイツとかいう集団がいたような気がする。R2でジノと戦ったりルルーシュに操られたりした奴等だな。

 

「そう言えば、ダールトンの行方は分からないのか?」

「ああ。式典で負傷したと連絡があって以降は行方不明だ」

 

 この辺は原作通りに進んでいる訳か。くそっ、まさかコーネリアに側近中の側近であるダールトンを怪しめなんて事は言えない。せめてもの救いはダールトンに掛けられたギアスが『コーネリアを生きたまま差し出せ』という事か。少なくてもコーネリアの命は安全だろう。ルルーシュとしてもマリアンヌ殺害の秘密を知っていると思われるコーネリアをわざわざ殺すとも思えない。

 

「私は各方面に指示を出さなければならないので、先に行かせて貰う。……アクセル」

「うん?」

 

 悩んでいた中で唐突に名前を呼ばれて振り向くと、そこにはコーネリアの顔が迫ってきていた。そして次の瞬間、俺の唇はコーネリアの唇によって塞がれる。

 

「ん!?」

「……」

 

 数秒、あるいは十数秒唇を重ねていただろうか。やがてコーネリアが俺から離れる。

 

「その、私を立ち直らせてくれた礼だ! 言っておくが初めてだからな!」

 

 顔を真っ赤にしてそう言うと、振り向く事なく部屋を出て行く。グラストンナイツやギルフォードに指示を出しに行ったのだろう。

 俺はそれをただ呆然と見送る事しか出来なかった。




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:330
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:223

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