転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1615話

「ようこそ、アクセル代表! よく来てくれました! 私はこの基地の司令官を務めている、ジェラー・オスマン准将です」

 

 MS輸送機から降りた俺達を待っていたのは、50代程に見える連合軍の軍人だった。

 厳つい容姿をしてはいるのだが、俺達を迎えるのに満面の笑みを浮かべている。

 ……もしかしたら迷惑がられるかもしれないとも思っていたのだが、予想外に友好的だな。

 まぁ、水中用MSが……それも腕利きのOZのパイロットがキャンサーを使って攻撃を仕掛けてくるかもしれないのだから、不安に思っていても仕方がない。

 この基地の連中にしてみれば、シャドウミラーというのは九死に一生を得たようなものなのだろう。

 

「シャドウミラー代表の、アクセル・アルマーだ。OZの水中用MSの件で、暫くこの基地を使わせて貰う」

「ええ、勿論。上の方からもしっかりと言われていますので、存分に長居して下さい。海産物の類はお好きですか? 海がすぐそこにあるだけあって、魚介類を使った料理はどれも絶品ですよ」

「へぇ」

 

 魚介類を使った料理と聞き、少し興味深くなる。

 食べ物に対して貪欲だという俺の性格をよく理解しているらしい。

 いやまぁ、VIPの嗜好を前もって調査しておくのは当然か。

 潮の香りを嗅ぎながら、そんな風に思う。

 もう少し時季が後なら、それこそ海水浴とかを楽しむ事も出来たんだろうけどな。

 凛や綾子の水着姿を見る事が出来ないのは残念だ。

 その分、夜のベッドでしっかりと楽しむことが出来ればいいんだが。……まぁ、士官部屋だとベッドの狭さからそういうのは無理か。

 

「ん、コホン。それでオスマン准将。そろそろ機体の搬入をしたいのですが。海の側だけに、潮風に当てると機体に悪影響もありますし」

 

 咳払いをしたサリィの言葉に、ジェラーは納得して頷く。

 

「ふむ。君がサリィ・ポォ少佐か。上から話は聞いている。頼りにさせて貰おう」

 

 そう告げるジェラーの視線はそれなりに鋭い。

 やっぱりお人好しそうに見えても、准将の地位にあるだけはあるんだな。

 

「ありがとうございます。オスマン准将の期待に応えられるように頑張ります」

 

 そうして短い挨拶が終わり、MS輸送機を含めて格納庫へと運び込まれる。

 嬉しい事に、俺達に友好的なのはジェラーだけではなく、基地全体がそうだった。

 勿論、心の中では別の事を考えている者もいるだろうし、中にはOZと繋がっている奴がいても不思議ではない。

 だが、表向きだけであっても友好的な態度を取ってくれるというのはありがたかった。

 裏で何を考えていたとしても、それを表に出さない限りは特に問題はない。

 この世界の人間に俺や凛、綾子がどうにか出来るとは思えないし、それはガンダムのパイロットの五飛やデュオも同様だろう。

 サリィは……優秀ではあっても、あくまでも普通の軍人である以上、その辺りは微妙なところだが。

 ともあれ、そんな風にこっちに対して如実にちょっかいを出されないのであれば、こちらとしてもそれなりに気が楽だ。

 

「では、すいませんが私はこれで失礼します。本当はもっとアクセル代表と話したかったのですが、これでもこの基地の司令官という立場なので、それなりに忙しいんですよ。……おい」

「は!」

 

 ジェラーの言葉に、一人の軍人が前に出る。

 

「この者がアクセル代表達が暮らす部屋に案内します。何か用事がありましたら、言って下さい。可能な限り手をつくさせて貰います」

 

 そう告げ、ジェラーは去っていく。

 その足取りは急いでおり、言葉通り急いでいるという事なのだろう。

 

「忙しそうね」

 

 呟いた凛の言葉に、この場に残った軍人が頷く。

 

「はい。オスマン准将は部下を頑張らせる人ですが、それ以上に自分が頑張る人ですので」

 

 サリィを見て分かっていたけど、連合軍の軍人の中にも優秀な奴はいるんだな。

 ……まぁ、それとは逆に全く高級軍人だとは思えないような人物も多いのだが。

 

「ふーん。基地を任されてるだけあって優秀なんだな」

 

 デュオの言葉に、軍人が頷く。

 

「アクセル代表、私はMS輸送機の方で機体の搬出に立ち会いますから失礼します」

「ん? ああ、頼む」

 

 サリィが去っていくのを見送る。

 そして俺達は軍人に案内されるように官舎へと移動していく。

 当然と言えば当然だったが、俺達に与えられた部屋は1人につき1室。

 出来れば凛や綾子と同じ部屋が良かったのだが……その辺りは風紀の問題として色々と不味かったらしい。

 部屋も普通の士官室で、ベッドの大きさもシングル程度。

 ……まぁ、元々そういう風な部屋というのは想定していないし、そういう行為をしたかったら基地の外でやれと、そういう事なんだろう。

 

「では、失礼します」

 

 敬礼をして去っていく軍人を見送ると、俺達は早速自分に割り当てられた部屋に入る。

 スライムを使って部屋の中に監視カメラや盗聴器のような物がないのを確認すると、凛と綾子の部屋も確認していく。

 ルクセンブルク基地の時と違うのは、部屋そのものは士官室という事でそれ程大きくはないのだが、それでも俺の部屋の両隣に凛と綾子の部屋が来た事か。

 そしてデュオと五飛、サリィの部屋も当然俺達の部屋のすぐ側にある。

 この辺り、俺達を同じ一ヶ所に留めておきたいというジェラーの考えが透けて見えた。

 まぁ、おかしな話ではない。

 元々俺達は外様なんだし、何か妙な考えを抱く軍人がいないとも限らない。

 また、いざという時にはすぐに俺達全員に連絡を取れるようにしておきたいというのもあるのだろう。

 そう考えれば、寧ろこの部屋割りは納得出来る。

 

「五飛、部屋の様子はどうだ?」

「見ての通り、特に何も問題はない」

 

 凛、綾子の部屋をチェックした後、次にやって来たのは五飛の部屋だ。

 その言葉通り、特に何も問題がないのかベッドの上に腰を下ろしてTVへと視線を向けていた。

 五飛と会話を続けつつ、目に見えないようにスライムで部屋の中を確認していく。

 どうやらこっちも問題はないらしい。

 そのまま五飛との会話を数分続け、次に向かったのは当然デュオの部屋。

 

「おう、アクセル。どうしたんだ?」

 

 部屋に入ると、そこにいたのはベッドで横になり、どこから入手したのか雑誌を眺めているデュオの姿だった。

 ……俺が言うのも何だけど、ちょっと寛ぎすぎじゃないか?

 まぁ、デュオらしいと言えばデュオらしいんだが。

 

「いや、どうしてるかと思ってな。……こうして見る限り、随分とゆっくりしてるみたいだけど」

「あー、まぁな。元々荷物の類もないし。それより、わざわざここまでやって来たって事は、何か緊急の用件でもあるのか?」

 

 三つ編みを揺らし、首だけをこっちに向けながら尋ねてくるデュオ。

 デュオに見つからないようにスライムを出して部屋の中を調査しながら、首を横に振る。

 

「いや、別に何でもない。ただ、どうしてるのかと思ってな」

「ふーん……ご苦労さん。やっぱりシャドウミラーみたいに小さくても、組織を率いるともなれば、そうやって細々とした事に目を回さなきゃいけないんだな」

 

 少し呆れ、それでいて感心の混ざっている言葉。

 

「そうだな、普段ならそういうのは気にしなくてもいいんだけど……今はシャドウミラーはシャドウミラーでも、色々と違うし」

 

 レモンにコーネリア、マリューといった纏め役がいれば、俺がその辺を気にする事はないんだが。

 

「うん? ああ、今は俺とか五飛もいるしな」

「そういう事だ」

 

 全く違う事を考えていたとは言わず、取りあえずそう誤魔化す。

 まさか、シャドウミラーはシャドウミラーでも、ここにいるのとは全く違うシャドウミラーがある、とは思わないだろうから当然か。

 そんな風に話をしている内に、部屋の調査は終わる。

 この部屋にも隠しカメラや盗聴器の類が存在しないのを考えると、どうやら本気で俺達に対する警戒の類はないらしい。

 勿論、ここにそういうのがないからといって、絶対に安心出来るという訳じゃない。

 例えば窓ガラスに集音器を向けて盗聴するといった行為だって不可能ではないのだから。

 まぁ、そんな真似をすれば俺が気が付くだろうが。

 ともあれ、ここまで俺達にフリーハンドで行動させるという事は……それだけOZの水中MS部隊を厄介に思ってるのだろう。

 降伏してもそれを受け入れずに攻撃してくるのを考えれば、それは当然かもしれないが。

 海が近いという事もあって、それなりに居心地のいい場所なのは間違いない。

 後は、いつその水中MS部隊……恐らくアレックスが率いているだろう奴等が来るか、だな。

 

「じゃ、デュオの様子も分かった事だし、俺はそろそろ行くぞ。暇をしてるんなら、五飛辺りの部屋にでも行ってみたらどうだ? ここに来る前に寄ったけど、五飛も暇そうに瞑想してたぞ」

「……五飛の奴、生真面目だからあんまり合わないんだよな」

 

 だろうな。

 真面目という、そういう硬さが五飛にはある。

 カトル辺りなら、デュオもそれなりに打ち解ける事が出来たんだろうが。

 

「それでもシャドウミラーの中で数少ない……数少ない? まぁ、ともあれガンダムのパイロット同士なんだ。仲良くやってくれると、こっちとしては助かる」

 

 元々5機しか存在しないガンダムのうち、2機がシャドウミラーに集まっているのを考えると、とてもではないが数が少ないとは言えないだろう。

 ただ、ガンダムのパイロット同士仲良くして欲しいというのは、紛れもなく俺の本心だ。

 

「あー、それは分かってるんだけどな」

「お前達がいつまでシャドウミラーにいるのかは分からないが、それでも折角の機会なんだ。ガンダムのパイロット同士、腹を割って話し合っても悪くないだろ?」

「……へぇ、ずっと俺達がシャドウミラーに所属する、とは思ってないんだな」

「そりゃそうだろ。強さを求める五飛はともかく、お前は善意で協力してくれているだけだ。ずっとシャドウミラーに協力するとは思ってないさ」

「……善意で協力、ね。俺は脅されているというのが一番正しい表現だと思うんだけどな」

 

 少しおどけたような表情で……それでいながら、しみじみとした実感を込め、呟く。

 まぁ、笑って誤魔化したい気持ちは分かる。

 誰だって覗き魔だという話を広められたくはないだろう。

 更に悪い事に、凛の場合はシャドウミラーの事務官として書類仕事を一手に引き受けている以上、連合軍との純粋な繋がりが多く、更にはその美貌で連合軍にもファンを大量に生み出して……いや、生み出し続けている。

 ルクセンブルク基地でも、復興が完了したとして俺達が出ていくという話が広まった時、純粋に戦力的な心配をすると同じか、下手をすればそれ以上に凛や綾子がいなくなるのを残念がった者が多いらしいし。

 ちなみに、何だかんだでサリィも結構ファンがいるらしい。

 うん、まぁ……お淑やかで、出来る大人の女って感じだしな。

 ……お淑やかな女は、敵の基地に潜入して爆破したりはしないだろうが。

 ともあれ、凛はそれだけ連合軍との繋がりが深い。

 だからこそ、本気になればガンダムデスサイズ……ガンダム02のパイロットは覗き趣味があるという話を広めようと思えば、広められる。

 デュオも最初はその辺を分かっていた訳ではないだろうが、それでもルクセンブルク基地で暮らしているうちに、その辺りは理解出来るようになったんだろう。

 

「それでも、そんなに居心地は悪くないと思うんだけどな」

「それは否定しない」

 

 傭兵部隊だからというのもあるが、それ以上にシャドウミラー……ホワイトスターに残してきた方のシャドウミラーらしい雰囲気がこの部隊にはある。

 ……向こうのシャドウミラーとの共通点なんて、それこそ俺くらいのものなんだが。

 いや、寧ろそれが理由なのか?

 それと、やっぱり少人数だからというのも大きいだろう。

 世の中には大量に人員のいる……それこそ、傭兵を率いている者が部隊に所属している全員の名前を知らないというような傭兵部隊もいる。

 そこまでいかなくても、20人、30人規模の傭兵部隊ともなれば、自然とお互いの関係は広く浅くとなってしまう。

 勿論そんな状況であっても、深い繋がりのある者はいるんだろうが……それでも、全員と深く信頼し合うというのは、不可能とは言わないがかなり難しい。

 それに比べると、シャドウミラーは元々が俺と凛、綾子の3人だけの傭兵部隊だった。

 そこにサリィが加わり、五飛が加わり、そしてデュオが加わり……それでも6人の傭兵部隊でしかない。

 いや、サリィは連合軍から派遣されている人物なのだから、正確には5人なのか。

 それと、MS輸送機のパイロットや整備員達も連合軍からの派遣組だな。

 ともあれ、そんな風に少人数だからこそ、お互いに気安く接する事が出来るというのもあるのだろう。

 人数が多くなれば、それだけ大きな仕事も引き受ける事が出来るんだろうが、色々と面倒事も増えていくしな。

 

「なら、いいさ。お前がいる間だけでいいから、シャドウミラーで思う存分働いてくれ」

 

 そう告げ、俺はデュオの部屋から去るのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1309

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