転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1616話

 海岸線沿いの基地に到着してから、数日。

 幸いと言うべきか、それとも残念ながらと言うべきか分からないが、OZの水中用MS部隊の活動は全く聞こえてこない。

 この基地じゃない場所が攻められても、すぐに連絡がくるようになっている筈だ。

 それが来ないという事は、つまり本当に部隊は動いていないという事になる。

 ……どうなってるんだ?

 普通にそれが疑問だ。

 てっきりすぐにどこかの基地が襲われるかと思ってただけに、肩すかしをくらった気分だ。

 もっとも、だからと言って何もしない訳にはいかない。

 寧ろ、その時間を丁度いいと判断して、現在俺達は海中でMSを使った模擬戦を行っていた。

 

『いい加減に、やられろよな!』

 

 そんな声と共に、海中にも関わらずビームを展開したビームサイズがトールギスに向かって振るわれる。

 海中でもビーム兵器を使えるというのは、正直普通に凄いと思う。

 ガンダニュウム合金万歳といったところか?

 ともあれ、デスサイズの攻撃をトールギスは後退して回避する。

 うーん、トールギスは元々大きいMSだ。

 当然抵抗力も大きく、何気にガンダムに比べると結構不利な面が多い。

 回避したトールギスに対して、横から突っ込んできたシェンロンガンダムがビームグレイブを振るう。

 こちらもまた、デスサイズと同じく海中にも関わらずビーム兵器を使用可能になっていた。

 一応トールギスも改修前と比べて関節部分にガンダニュウム合金が使われており、そのおかげで以前よりはビーム兵器は海中でも使用可能になっている。

 だが、当然ガンダニュウム合金をフルスペックで使っているガンダムと比べると、トールギスで使われているのはほんの少しだ。

 射撃兵器のドーバーガンは使えないし、ビームサーベルも使えはするが、その威力は通常よりもかなり落ちている。

 となると、一番使えるのは実弾兵器になる訳だ。

 そう、ルクセンブルクで改修された結果増えた、マシンキャノン。

 ……ただし、当然ながらマシンキャノンから放たれた弾丸も海水の強い抵抗を受ける。

 それこそ、本当に至近距離からでなければ使い物にはならないだろう。

 後は……それこそ原作にあったように、掴んでからトールギスの膂力で真っ二つにするとか。……いや、ガンダムに対してそんな真似は出来ないけどな。

 間近に迫ったビームグレイブを、スラスターを使いながら回避する。

 そして一旦後ろに下がり、コックピットの前を通りすぎたところでスーパーバーニアを使って一気に前に出る。

 ……当然ながら、このスーパーバーニアを使っても海中での抵抗力はかなりのものだ。

 そうして距離を縮めたとところで、両手のマシンキャノンと両肩のマシンキャノン、合計4門のマシンキャノンから次々に弾丸が発射される。

 まさにゼロ距離射撃と呼ぶのに相応しいその攻撃で、シェンロンガンダムは見る間に赤く染まっていく。

 海中だから、ペイント弾を使われても殆どが洗い流されるというのは、五飛にとっても幸運だったな。

 ともあれ、これでシェンロンガンダムは撃破扱いとなり、海中から地上へと上がっていく。

 その隙を突くかのように、デスサイズがこっちに近付いてきていたが……

 

「俺ばかりに集中してるのはどうかと思うんだけどな」

 

 この模擬戦は、あくまでも2対2の戦い。

 つまり、五飛&デュオと、俺&綾子の戦いであり……

 上空から海を貫くようにして放たれたビームが、デスサイズへと命中する。

 ビームサイズやビームグレイブと同様に威力は最小限になっている攻撃だったが、それでも命中は命中だ。

 ましてや、トーラスカノンはガンダニュウム合金さえ破壊可能な武器な訳で……それを考えれば、デスサイズに撃墜判定が出たのは、ある種当然の事だったのだろう。

 

『そこまで!』

 

 オープンチャンネルにサリィからの通信が響き渡った。

 

『うわっちゃぁ……マジかよ』

 

 そして目の前のデスサイズからは、しくじったといった風なデュオの声。

 

『どうやって海上からこんなに簡単に当てられるんだ?』

 

 そうぼやくのも、納得は出来る。

 海の中というのは、光の屈折もあってしっかりと標的がそこにいるというのを確認するのは難しい。

 ましてや、俺達が戦っていたのは海中の中でもそれなりに深い場所であり、その上デスサイズは動き回っていたのだ。

 そこを上空を飛び回りながら、トーラスカノンを撃ち、一発で当てる。

 それをやれるだけの技量を持っている者が、このW世界にどれだけいるのやら。

 ただ、それを可能にしているのは綾子の操縦技術……ではなく、あくまでも半サーヴァントであるが故の人外の身体能力だ。

 音速を超える速度で飛び交う相手の攻撃を見切ったりする必要がある以上、サーヴァントの身体能力は五感を含めて人外と言える。

 勿論綾子は純粋なサーヴァントではなく、あくまでも半サーヴァントといった存在だ。

 だが……それでも、このW世界の人間とは比較にならないだけの能力を持っている。

 ……まぁ、その身体能力も操縦技術の1つだと言えば、決して間違ってる訳じゃないんだが。

 それにデュオが綾子の攻撃を食らったのは、俺に意識を集中していたというのもあるんだろう。

 相手が普通の……それこそOZのパイロット程度であれば、トーラスの攻撃は気にしなくても良かったのかもしれない。

 だが、パイロットが準ガンダムパイロット級とでも呼べる技量を持っている……それこそ、もしかしたら下手をすれば準ではなく、普通にガンダムのパイロット並の技量を持っていてもおかしくはない綾子が操縦するトーラスなのだから。

 

『アクセル代表、それにデュオと五飛も。そろそろ海から上がって下さい。機体のチェックを行いたいと思いますので』

 

 サリィからの通信。

 機体のチェックというのは、言うまでもなくMSで海中に潜った件についてだ。

 ガンダム2機は、今までにも海に潜った事はあったのだが、それでも念の為にチェックをしたいという話らしい。

 また、トールギスは正真正銘これが初めての海水浴なのだから、余計にチェックをしておきたいのだろう。

勿論、最初から汎用MSとして設計されているのだから、実は海水が苦手でした……なんて事にはならないと思うが。

 特に機体の仕上げについてはハワード達を頼ったのだから、そういう事は確実にないと言い切れる。……言い切れるんだが、それはあくまでも俺がハワード達の事を知っているからこそだ。

 この基地の軍人にハワードの事を説明していない以上、ハワード? 誰それ? となるだろう。

 説明すれば説明したで、トールギスを開発した者の1人という事で、いらない色気を出さないとも限らない。

 実際問題、連合軍の主力MSがリーオーとトラゴスで、エアリーズは少数しかない。

 それに対してOZの主力MSはエアリーズ……となれば、制空権の問題で連合軍が不利なのは間違いのない事実なのだ。

 装備が重いエアリーズを獲物と出来るのは、一定以上の技量と一定以上の性能を持ったMSがあればこそであって、普通の連合軍パイロットにそんな真似は出来ない。

 まぁ、トラゴスやリーオーで弾幕を張るという方法はあるが、毎回そんな真似をしていれば連合軍の物資の消耗に問題が出てくるしな。

 連合軍は少なからずロームフェラ財団からの援助によって成り立っていた部分もある以上、補給の問題もある。

 また……リーオーにしろ、トラゴスにしろ、エアリーズにしろ、結局開発したのはOZだ。

 そのOZと敵対した連合軍にとっては、それこそ連合軍独自のMSというのは絶対に欲しいだろう。

 今は特に何も行動を起こしていないが、そこにハワードの情報が入ったらどうなるのか……

 ノベンタを始めとしたトップ3人は、俺達と敵対する愚を避けたいと思うだろうが、その下の者達が暴走する危険性は十分以上にある。

 ただでさえ、俺達シャドウミラーに対して良く思っていない奴はそれなりにいるのだから。

 機体を海中から上げると、当然のようにざばざばと海水が落ちていく。

 ……あ、デスサイズの肩から魚が落ちた。

 しかもその魚を、カモメか何かの海鳥が素早く奪っていったぞ。

 何だか慣れているように見えるのは、やっぱりここで今までにも同じようなことが何度もあったからだろう。

 そうして基地の整備員に案内されるように、格納庫……ではなく、少し離れた場所にある広場へと誘導される。

 一瞬格納庫じゃないのか? と思ったが、どうやら海水を流すので外の方がいいらしい。

 これがパイシーズやキャンサーのように、最初から水中でだけの運用を考えられた機体なら、そこまで頑張る必要はないのだろう。

 だが、残念ながら……もしくは幸いにもか? ともあれ、ガンダム2機とトールギスは汎用MSだ。

 海水に浸かったのなら、ある程度の手入れは必要ということだろう。

 ……原作でガンダムはその手の作業をやってなかったようにも思うが。

 ともあれ、機体を水洗いする場所に移動させると早速水が掛けられていく。

 それをコックピットの中で眺めながら、今日の夜の予定を考える。

 勿論夜の予定というのは、凛や綾子と共に過ごす夜の事ではなく、海岸線沿いにあるOZの基地を襲撃しに行く予定についてだ。

 幸いと言うべきか、折角こうして海の近くまでやって来たのだから、どうせならそっち関係が充実している基地を襲いたい。

 ただし、この基地からは大分離れている基地に限るが。

 この基地に俺達シャドウミラーがやって来て、それから大して日も経っていないうちにここからそう離れていない基地が襲われるような事になれば、どう考えても俺達が怪しいだろう。

 勿論いつものようにアリバイは用意するつもりだが、それでも怪しもうと思えば怪しめる筈だ。

 そう考えれば、実は襲撃する基地は海岸線ではない基地の方がいいのかもしれないな。

 ただし、それだと結局手に入るMSはエアリーズやリーオー、トラゴスといった物になるのだろうが。

 今までの襲撃の結果、どの機体も既に100機を超えるだけの数を空間倉庫の中に確保している。

 どこぞの部隊がOZの基地に攻めた時、戦闘車両や戦闘ヘリ、戦闘機といった旧世代の兵器のみが迎撃に出て来て、MSが1機も迎撃に出てこなかったという事も何度かあったらしい。

 で、多くの被害を受けると思っていたのに、被害らしい被害がなかったまま基地を攻略した事に疑問を覚えて調べてみたら、残っているMSは1機もなかったとかなんとか。

 当然連合軍もそれを疑問に思い、降伏したOZの兵士を尋問したところ、得た情報が何故か一夜にして……いや、正確には数分にしてMS格納庫からMSが全て消えてしまったという事だった。

 10機を超えるMSが、数分で姿を消したというのだから、ある意味でそれはホラー以外の何ものでもないだろう。

 事実、連合軍の方でもその件を知ってから調べ始めたらしいという噂を、サリィから聞いている。

 

『アクセル、何でお前水の中であんなに素早く動けるんだよ?』

 

 機体が洗われている間は暇なのだろう。デスサイズからデュオが通信を送ってくる。

 ま、俺も暇ではあるし……多少話に付き合うくらいはいいか。

 

「トールギスの場合、やっぱりスーパーバーニアだな。勿論空中にいる時程じゃないが、水中でもそれなりに使い物にはなる」

『……俺の機体にもそういうのが欲しいところだな』

「だろうな」

 

 短くそう言葉を返す。

 別に水中での戦い以外でも、デスサイズは基本的に近接戦闘をメインとした機体だ。

 であれば、出来るだけ早く間合いを詰めるというのはデスサイズにとって最重要課題の1つと言っても間違いはない。

 ……そもそも、以前から思ってたんだが、何だってウイングガンダム以外のガンダムは地上戦用なんだろうな?

 勿論オペレーション・メテオで地球に送り込まれるのだから、地上戦を重視するのは分かる。

 だが、空を飛べるのと飛べないのとでは、大きな差があるだろう。

 うーん、やっぱり専門分野の違いからか?

 スラスター関係の専門分野がハワードだったから、それ以外の科学者達ではウイングガンダム以外のガンダムには飛行能力を与えられなかった?

 そう考えれば、スーパーバーニアを強化する事が出来るハワードと早めに接触出来たのは運が良かったんだろうな。

 

「いっそ、ハワードに頼んでその辺を改修して貰ったらどうだ?」

『そうしたいところだけどな。けど、そんな真似をしている時間はないだろ? シャドウミラーに入ったからには、俺も相応に活躍する必要があるし』

 

 溜息を吐くデュオの言葉だったが、それは間違いのない事実だった。

 五飛は、シェンロンガンダムでシャドウミラーと行動を共にして、それなりに大きな戦果を挙げている。

 だが、デュオがシャドウミラーに入ってから大きな戦いは……今回の件があるまではなかったからな。

 

「それなら、やっぱり今回は頑張る必要があるだろうな」

『そうだな。そうさせて貰うよ』

 

 そう告げ……大まかな洗浄が終わったと連合軍の整備兵に合図を送られ、トールギスを動かすのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1309

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