転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1620話

「アクセル代表、五飛、デュオ!」

 

 食堂を飛び出した俺達だったが、格納庫へと向かう途中に聞き覚えのある声を掛けられ、動きが止まる。

 声のした方に視線を向けると、そこにいたのは当然のようにサリィの姿だった。

 

「サリィ、この警報は何だ?」

「はい。敵の襲撃です。ただし、この基地ではなく、別の基地ですが」

「……襲ってきたのはどっちだ?」

「OZです。水中用MSのパイシーズ、キャンサーにより既にかなりの被害が出ているとか。潜水艦や軍艦も出撃しているようですが……」

 

 その言葉は、最後まで聞かなくても理解出来た。

 そもそもの話、水中を移動しているMSに潜水艦やら軍艦やらでどうにかするのは難しい。

 いや、MSパイロットの腕が悪ければどうにかなるかもしれないが、残念な事に相手はOZだ。

 少なくても、連合軍のパイロットよりもMSの操縦技術は上だろう。

 だとすれば、1つの基地が出せる戦力でどうにかするというのは非常に難しい。

 

「陥落するのは時間の問題か」

 

 五飛の言葉に、デュオも頷く。

 まぁ、五飛はともかくデュオはウイングガンダムを見つける途中でOZの水中用MS部隊と戦ってる筈だしな。

 そう考えれば、五飛の言葉に納得するのも理解出来る。ただし……

 

「俺達が行かなければ、の話だが」

 

 そう告げると、五飛とデュオもそれぞれが再度頷く。

 俺達シャドウミラーがこの基地に滞在している理由。それは、OZの水中用MS部隊を撃破する為だ。

 どこの基地の所属か……はたまた拠点にしている潜水艦が分かれば、そっちを先に叩く事が出来る。

 しかし、どこに所属しているのかが分からない以上、向こうが姿を現すのを待つしかなかった。

 ……出て来て欲しい時に出てこないで、いらない時に出てくるってタイミングの悪さはどうにかして欲しいが。

 にしても、未知の勢力にOZの基地が襲撃されたのに、よくもまぁ、こうして攻撃という手段に打って出たな。

 それとも、所属不明の戦力を連合軍の攻撃と認識してるのか?

 ああ、それはあるかもしれないな。

 OZの基地を攻撃したのは、エアリーズ、リーオー、トラゴスという連合軍で使用されているMSだ。

 エアリーズは連合軍の中でも数が少ないが、だからと言って全く使われていない訳でもない。

 そして、OZだって別にどこそこの基地が攻略されたと公表する訳がないし、同様に連合軍だって尋ねられてもいないのに、その事を公表する筈がない。

 そもそもの話、その件で自分達を警戒してくれるのであれば、連合軍は敢えて所属不明の勢力だと公表するような事はしない筈だ。

 ……まぁ、間違いなく連合軍の中にいるだろうOZのスパイからその辺りの情報は伝わるかもしれないが、サリィが上から教えて貰ったって事は、ある程度以下の階級には知られていないと考えるべきだろう。

 OZのスパイがどんな階級にいるのかは分からないが、それでもこの情報を入手出来るのかと言われれば、正直どうだろうな。

 もっとも、連合軍の中には情報を売るような奴とか平気でいそうなのが怖いが。

 

「それで、俺達は現在OZに襲われている基地の援軍に出る訳だ」

「はい。出来れば少しでも早く襲撃されている基地を救って欲しいとの事で、シャドウミラーの最大戦力を出して欲しいと」

「……最大戦力? それはつまり、この基地に護衛を残さずって事か?」

 

 そう尋ねると、サリィは頷く。

 そんなサリィに、デュオは少し呆れた様子で口を挟む。

 

「おいおい、本当に大丈夫なのか? OZはともかくとして、所属不明の勢力がいるんだろ? そいつらにこの基地を襲撃されたりしたら……どうするんだよ?」

「私もそう言ったんだけど、もし所属不明の勢力に攻められても、この基地の戦力ならシャドウミラーが戻ってくるまで持たせる事は可能だって。それより、今は少しでも早く援軍に向かって欲しいそうよ」

「なるほど」

 

 一見すると自分の基地を危険に晒してでも仲間を助けて欲しいと言ってるようにも思えるが、実際には出来るだけ早くOZの水中用MS部隊を殲滅して欲しいと、そういう事なのだろう。

 それが結果として自分達の基地の安全にも繋がると考えての行動。

 それ自体は特に問題はない。

 寧ろ基地を預かっている司令官として考えれば、当然の事だろう。

 そしてOZの基地を攻撃したMS部隊は、水中用MSのような特殊なMSではなかった。

 そう考えれば、もし攻めて来ても俺達が戻ってくるまでは十分に基地を守る事が出来ると、そう考えても不思議はない。

 

「分かった、ならこの基地の防衛は任せて、俺達は一気にOZの水中用MS部隊を叩く。……こんな言い方もどうかと思うが、幸いシャドウミラーの機体でも水中での戦いはそんなに難しくはない。であれば、さっさと行って素早く撃破して、それからまたこっちに戻ってくればいいだろ」

 

 その言葉に五飛とデュオ、そしてサリィが頷くのを確認すると、俺達は真っ直ぐに格納庫へと向かう。

 格納庫に向かう通路を走っていると、事情を知っている連合軍の軍人にそれぞれ応援だったり激励の声を掛けられたりするが……それに手を振り返しているような暇はない。

 そうして格納庫へと到着すると、そこでは既に綾子がトーラスを動かし、滑走路に移動しつつあったMS輸送機へと向かっているところだった。

 それを見ながら、サリィはMS輸送機に向かい、俺と五飛とデュオは自分の機体に乗り込んで動力炉を起動させていく。

 

『アクセル、これから援軍に向かうって事でいいんだよな?』

 

 綾子も既に現在の状況を掴んでいたのか、通信でそう尋ねてくる。

 俺達はサリィから情報を得たんだが、綾子は誰から情報を得たんだ?

 ……無難に考えれば、凛か?

 ともあれ、そんな綾子に頷きを返す。

 

「ああ。俺達がやるのはOZの水中用MS部隊の殲滅だ」

 

 殲滅という言葉は多少大袈裟かもしれないが、この部隊は攻撃した基地が白旗を上げて降伏しても攻撃を止めなかった部隊だ。

 いや、もしかしたら違う部隊という可能性もあるかもしれないが……その時は同じ勢力に厄介な男がいたという不運を恨んで貰おう。

 そんな訳で、そういう厄介な……連合軍を同じ人間とすら見ていないような部隊は、早めに退場して貰うに限る。……この世から、な。

 

『分かった。けど、五飛とデュオも来たみたいだけど、全戦力を出していいのか?』

「この基地の司令官からの要望でもあるからな。少しでも早く……そして確実に水中用MS部隊には消えて欲しいらしい」

『……自業自得、か』

「ああ。普通に降伏を認めていれば、こっちもここまで過激な反応をしなくても済んだんだけどな。ともあれ、そういう訳で、俺達の行動方針は決まった訳だ。……で、凛は?」

『自分がついていってもどうにもならないから、この基地に残るらしい』

 

 綾子の言葉とタイミングを合わせたように、凛がMS輸送機のいる滑走路に姿を現す。

 降り注ぐ日の光に黒髪を煌めかせ、笑みすら浮かべて俺の方を見ていた。

 どうやら見送りに来たらしい。

 そんな凛に、俺はMS輸送機の格納庫に入る前にトールギスの手を軽く振る。

 凛は手を振るトールギスを見て、小さく笑みを浮かべてた。

 まぁ、もし俺達がこの基地にいない間に未知の戦力が襲ってきても、凛をどうにか出来るとは思えないけどな。

 それこそ、下手をすれば襲ってきた勢力が全滅してもおかしくはない。

 いや、表だって魔術を使えない以上、それはちょっと難しいか。

 けど凛の場合、それこそちょっと触っただけで機械が壊れるってイメージがあるんだよな。

 勿論実際にはそんな事はないんだろうが……それでもイメージってのは大切だ。

 ともあれ、シェンロンガンダムとデスサイズもMS輸送機に積み込まれ、MS輸送機は目的地に向かって飛び立つ。

 MS輸送機が動くのを、俺は客室のソファに座って窓の外を眺めていた。

 

「アクセル代表、基地に到着したらどのように動くのかを決めておいた方がいいかと」

「ん? ああ、そうだな。……けど、俺達がやるのは海中でOZの機体を沈めていくくらいだろ? 綾子のトーラスは空中からトーラスカノンで援護攻撃。シェンロンガンダムとデスサイズはトールギスと一緒に殲滅戦」

「ちょっと待った」

 

 そんな俺の言葉に口を挟んできたのはデュオだった。

 

「うん? 何か分からないところとか、不満な点があったか?」

「あー……いや、別に不満って訳じゃないんだけど、ちょっと疑問があってな」

「疑問?」

「ああ。本当に今更なんだが、なんで五飛の機体はシェンロンガンダムで、俺の機体はデスサイズなんだ?」

「……本当に今更だな」

 

 ボソリ、と綾子が呟く。

 うん、本当に今更ではあるが……まぁ、別に聞きたいというのなら言ってもいいだろ。

 

「別に特に何か理由があっての事じゃない。語感だ。嫌なら直すが?」

 

 敢えて理由を考えるとすれば、やっぱり原作知識からだろうな。

 デュオは自分の機体を相棒とかデスサイズとか呼んでたのに比べ、五飛は自分の機体をナタクと呼んでいた。

 かと言って、まさか俺がシェンロンガンダムをナタクと呼ぶ訳にはいかないだろう。

 それ故にガンダムデスサイズはデスサイズで、シェンロンガンダムはシェンロンガンダムな訳だ。

 

「いや、別に嫌って訳じゃねえよ。ただ、ちょっと気になっただけで。俺の相棒は好きなように呼んでくれ」

「ふんっ、好きにしろ」

「デュオはともかく、五飛。お前好きにしろって、じゃあお前みたいにナタクって……いや、何でもない」

 

 最後まで言わせるよりも前に、半ば殺気が込められた視線を向けられる。

 何でそこまでナタクって名前に拘るのかは分からないが、それでもそこまでナタクという名前に拘りがあるのなら、それを認めないような真似はしない。

 

「ふん」

 

 俺の言葉に満足したのか、ともあれ五飛は再び鼻を鳴らして殺気を放つのを止める。

 そんなやり取りがあっても、特に驚いた様子がないままの客室の中。

 別に全員が殺気を感じ取れないって訳でもなく、純粋にこれがシャドウミラーの中ではよくある出来事だからだ。

 正直それはどうよと思わないでもないが。

 

「さて、話は何だったか。ああ、そうそう。向こうの基地に着いたらどう行動するかだったな。大まかにはさっき言った通りでいいか?」

 

 場を改めるように尋ねるが、特に異論は出ない。

 

「どうやら異論はないようだし、これで決まりだな。……サリィ、MS輸送機は戦闘領域に入ったらMSを落としながら基地に向かってくれ。出来れば戦闘領域の外で待機させたいけど、もしエアリーズ部隊が来たらMS輸送機だけではどうしようもないからな」

 

 MS輸送機の本格的な改修というのは、全く行われていない。

 武器も機銃の類しかない以上、エアリーズに襲撃されればあっさりと撃破されてしまうだろう。

 この客室に用意された家具の類は結構気に入っているので、出来ればそんな風にはなって欲しくない。

 

「え? アクセル代表、本気ですか? 海からの攻撃しかないとはいえ、MS輸送機で基地に突っ込むのは……」

 

 危険だと、そう言いたいのだろう。

 

「分かってる。だから、MS輸送機が向こうの基地に着陸するまでは、綾子のトーラスで護衛してくれ。空を飛べるトーラスだから、MS輸送機の護衛には向いている筈だ」

 

 それ以外にも、海中に入る事が出来ないトーラスの手が一番空いているという理由もある。

 一応空から援護する事になってはいるが、正直なところ空中から撃ち込まれるビーム砲というのは、あれば便利だがなければないでいいし。

 ……それを言うと綾子が微妙に拗ねそうだから、直接口には出さないが。

 

「ふーん。ま、いいけどね」

 

 綾子はそう告げ、あっさりと引き受ける。

 

「シャドウミラーの拠点として使うんなら、本格的にこのMS輸送機を改修した方がいいんじゃねえの?」

「そうだな。デュオの言いたい事も分かるが、連合軍の整備員も暇じゃないんだよな」

「ハワードに手を貸して貰うとかは?」

 

 なるほど、それはありかもしれないな。

 ただし、ハワードの専門はあくまでスラスターとかそっち系統だ。

 攻撃力や防御力という意味ではあまり期待出来ない。

 それでも、このMS輸送機の速度が多少なりとも上がるのなら、ハワードに話を持っていった方がいいかもしれないな。

 

「今回の件が片付いて、ニューエドワーズ基地に行ったらちょっと考えてみるか」

「そうしてくれ。俺もこのMS輸送機に乗ってる状況で撃墜されたりはしたくないしな」

 

 デュオの言葉に、俺と綾子、五飛は頷く。

 MSパイロットとして、それは当然の意見だったからだ。

 

『アクセル代表、そろそろ戦闘領域に入ります! 出撃の用意をお願いします!』

 

 MS輸送機のパイロットからの通信が入る。

 

「よし、聞いたな? なら、出撃の準備だ。OZに目に物見せてやる」

 

 その言葉に全員が頷き、サリィ以外は格納庫に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1035
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1309

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