転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1623話

「で、基地の様子は何か入って来てるのか?」

 

 空を飛ぶMS輸送機の中で窓に一瞬視線を向け、サリィに聞く。

 現在MS輸送機は最大限の速度を出して……それこそ燃費? 何それ美味しいの? と言わんばかりの速度を出しているのだが、雲の上を飛んでいる以上、具体的にどのくらいの速度が出ているのかは殆ど分からない。

 雲の下を飛んでいれば、山とか地面とかでその速度を実感は出来るのだろうが。

 ……本当に基地が危なく、凛が命の危機なら影のゲートなりニーズヘッグのシステムXNなりを使って一気に転移してもいいんだが……

 凛の能力と性格を考えれば、MS相手でも勝ちはせずとも負けはしないのは間違いない。

 いや、魔術を使えばMS相手にも善戦してそうな気さえするのは……決して俺の気のせいではないだろう。

 

「はい。現在は上手い具合に防戦出来ている模様です。ただ、向こう側もかなりの精鋭を揃えているらしく、少しずつですが押されているとか」

「……なるほど」

 

 あの基地の戦力は、連合軍の中でも精鋭といった訳ではない。

 だがそれでも、俺達が基地で暮らすようになってから五飛やデュオ、綾子といった面々が模擬戦を繰り返して、以前よりも操縦技術は上がっている。

 それこそ、連合軍全体で見れば中の上……もしくは上の下くらいの能力はあるんじゃないかと思える程に。

 まぁ、元々あの基地は司令官のジェラーが多くの部下達に慕われているという事もあり、団結力は非常に高い。

 状況証拠からOZのスパイや内通者がいるのはほぼ確定だが、それでも全体的に見ると雰囲気のいい基地なのは間違いなかった。

 だからこそ、第3勢力の襲撃を受けても押されているとはいえ、何とか対抗出来ているのだろう。

 これが、俺達がさっきまでいた基地の司令官のような人物がトップにいれば、それが足を引っ張って、抵抗らしい抵抗が出来ずに降伏していた可能性が高い。……降伏じゃなくて全滅かもしれないが。

 ともあれ、押され気味ではあっても抵抗出来ているというのはいい知らせだ。

 

「それと、私達が直ぐに援軍に行くと知らせたのも大きかったんだと思います」

「だろうな」

 

 サリィの言葉に五飛が同意する。

 援軍が……それも到着すれば一気に戦局を引っ繰り返すような援軍がいるのだから、それまで耐え抜けば勝ち、と。

 そういう事らしい。

 

「あの基地を選んでくれたノベンタには感謝した方がいいな」

 

 でしょう? と、視線を向けてくる綾子に、頷きを返す。

 あの基地が纏まりのある基地だというのを理解していたからこそ、ノベンタは俺達の拠点に選んだのだろう。

 勿論その中には、地理的な要因というのも大きいが。

 ……いや、地理的に重要な場所だからこそ、ジェラーのような有能な軍人が任されていた、と考えるべきか。

 ともあれ、ノベンタに感謝の念を抱くには十分だった。

 まぁ、迂闊な場所に俺達を派遣して、その基地の連中がシャドウミラーにちょっかいを掛けてきて俺達と対立。結果として基地が殲滅され、シャドウミラーは連合軍を見限りOZに雇われる……なんて最悪の結果になるかもしれないと思えば、その辺りを気にするのは当然だろうが。

 

「で、結局その第3勢力ってまだどこの勢力なのかが分からないのか?」

 

 ソファに座って缶ジュースを飲みながら尋ねるデュオ。

 ちなみに缶ジュースなのは、デュオが紅茶とか気取った飲み物が好きになれないというのがあるらしい。……別に紅茶は気取った飲み物って訳じゃないんだけどな。

 普通にペットボトルや缶の紅茶もあるし。

 

「ええ。残念ながらね。基地を攻撃するだけの戦力を用意出来る勢力なんて、限られてる筈なんだけど」

 

 不服そうなサリィ。

 まぁ今の時点でホワイトファングやバートン財団なんて名前が出てくる筈がないか。

 その2つにしても、あくまでも俺が原作知識からその可能性が高いと考えているだけであり、もしかしたら俺が原作に介入した結果、全く未知の勢力が出来ているという可能性も否定出来ないしな。

 

「ふんっ、幾ら押されていると言っても、別に敵の全てが無傷という訳ではないだろう。なら、捕虜にした後でゆっくりと聞けばいいだけだ」

 

 ウーロン茶を飲みながら、そう告げる五飛。

 それは決して間違っている訳ではない。

 OZの基地を攻めた時にも、恐らく捕虜とかは出ていてもおかしくはない。

 多分、今回の陽動作戦はそこから手を組み……と繋がっていった可能性が高いのだから。

 

「そうするにしても、まず重要なのは基地を救ってからだな」

「はい、そうなります。……全く、ただでさえOZを相手に厄介な思いをしているのに……」

 

 俺の言葉に同意しながらも、サリィは不服そうな様子を隠そうともしない。

 普段俺の前では冷静なサリィだけに、今回の件でどれくらい動揺しているのかを示している。

 

「ま、落ち着きなさい。今あたし達が焦ってもどうしようもないでしょ? それに向こうの戦況が押されていても膠着状態に近いのなら、あたし達が到着するまでに基地が落とされる事はないでしょ」

 

 同じ女として、綾子がサリィを励ます。

 そんな綾子の言葉に、サリィは我に返ったように笑みを浮かべる。

 

「そうね、ごめんなさい。……色々と予想外の事が起こったから、つい」

「ああ、分かってる。サリィの行動は当然だよ」

 

 何だか、今更ながら女同士で随分と仲良くなっているな。

 いやまぁ、それは別に悪い事じゃないんだが。

 寧ろシャドウミラーを率いる立場としてはありがたい。

 ……この調子でサリィをシャドウミラーに引き抜く事が出来れば最善なんだろうが、それは難しいだろうな。

 オールマイティや万能といった言葉が似合うサリィは、シャドウミラー的に是非欲しい存在だ。

 だが、サリィはあくまでも連合軍の軍人であり、シャドウミラーには連合軍から派遣されて一緒にいるだけだ。

 その辺りのプロ意識は非常に高く、易々とシャドウミラーに入ってくれるとは思えない。

 そういう点では、正義とは何かといった事や、力を求めてシャドウミラーに入った五飛、そして凛に脅は……いや、説得されてシャドウミラーに入ったデュオよりも難易度は高い。

 いやまぁ、五飛にしろデュオにしろ、あくまでもそれは表向きの理由で、実際には連合軍がコロニーに対して本当に宥和政策を執るのかといった事を監視する為というのも大きいんだろうが。

 

『アクセル代表、こちらに近付いてくるMSがあります。数は3』

 

 MS輸送機のパイロットからの通信が客室の中に響く。

 空を飛ぶMSとなれば、それは当然エアリーズだろう。

 トーラスを地上用に改修でもしたなら、話は別かもしれないが。

 今回の場合、重要なのはMSの種類ではなく……近付いてきたという事だろう。

 当然ながら、その3機のMSは何の意味もなくこんな場所を飛んでいたのではなく、俺達が戻ってくるのを警戒していたと見るべきか。

 OZの水中MS部隊から連絡がいったのか、それともさっきの基地の中にOZと繋がっている奴がいて、そこから連絡がいったのか……ああ、他にもあの基地を監視していたOZの人員がいたという可能性もあるか。

 ともあれ、そんな訳で第3勢力が俺達の接近を察知していたとしても不思議ではない。

 そうなると……

 

「おい、アクセル。出撃しなくてもいいのかよ?」

 

 MS……恐らくエアリーズが近付いてきているという話を聞いても、俺が行動を起こさないのを見たデュオが、不思議そうに尋ねる。

 

「別に必要はないだろ。向こうだって、MS3機でシャドウミラーに対抗出来るとは考えていない筈だ」

 

 向こうの目的は、間違いなくこちらの偵察だろう。

 シャドウミラーが来ているのに、エアリーズ3機程度でどうにかなる筈もない。

 

「けどよ……」

『敵MS、引き返していきます』

 

 デュオが何か言うよりも前に、再びMS輸送機のパイロットからの通信が入る。

 

「な?」

「今はいいけど、もし向こうが何かとち狂って攻めて来たら、どうするつもりだったんだよ?」

「その時は……そうだな、神にでも祈るか?」

 

 一応神……鬼神は食らっているし、俺に祈ったら助けないでもない。

 まぁ、冗談はともかく……

 

「このMS輸送機だって、機銃とかはあるんだ。牽制している間にMSに乗って出撃すればいいだろ」

「なら、最初からMSに乗ってた方がいいと思うんだけどな」

「向こうに合わせて、無駄な体力を使う必要もないさ」

 

 実際問題、MS輸送機の索敵範囲に入ってからエアリーズのチェーンライフルの射程内に入るまでは相応の時間がある。

 向こうがそれを無視して突っ込んで来るのであれば、こちらとしてもすぐに出撃はするつもりだったのは間違いない。

 ……ドーバーガンとは言わないが、トーラスカノンくらいの武装は装備してもいいかもしれないな。

 ガンダニュウム合金はそんなに量がないので、それを装甲に使うという選択肢はないが、トーラスカノンならある程度連合軍にもあるだろうし……最悪、空間倉庫の中にあるバルジにも置かれている筈だ。

 まぁ、MS輸送機がトーラスカノンの衝撃に耐えられるかどうかをしっかりと確認しておく必要はあるだろうが。

 トーラスカノンはあの威力だけに、機体の方にも相応の衝撃がある。

 だが、トーラスの場合はトーラスカノンという名前の通り、トーラスが使う事を前提として機体も武器も設計されていた。

 だからこそ、その衝撃も殆どなかったんだが……

 まぁ、MS輸送機の大きさを考えれば、多分大丈夫だと思うんだが。

 

「今回の件、しっかりと向こうの兵士を捕虜にして、何を考えているのか調べる必要があるな」

「……まあ、アクセルが言いたい事は分かる。けど、大人しく従うと思うか?」

「捕虜の尋問は凛に任せればいいだろ」

 

 疑問を投げ掛けたデュオだったが、あっさりと俺が告げると意表を突かれた表情を浮かべる。

 まぁ、その気持ちは分からないでもない。

 凛が色々と優秀なのは身に染みて分かっているだろうが、事務職として優秀なのと、尋問官として優秀なのは全く話が違うのだから。

 ……だが、それはあくまでも一般の認識であり、魔術を使う凛の能力を考えれば、この件について特に問題なく情報を引き出せる筈だった。

 唯一の難点としては、魔術を使う現場を誰にも見せる事が出来ない事。

 つまり、録画とかそういうのが出来ず、尋問をする際に連合軍の軍人を同席させられないって事か。

 そうなると、当然その情報の真偽が疑われる事になる。

 ……ああ、でもこれ以降は素直に喋るようにと暗示の類を掛けて貰えれば問題はないのか?

 そうだな、あっさりと凛だけで情報を引き出すよりは、そうした方がいいか。

 

「凛にそんな能力があるのかよ?」

「ある。……だから、あまり凛を怒らせない方がいいぞ?」

「俺は寧ろ、いつも凛にからかわれている方なんだが……」

 

 貧乏性と言うべきか、貧乏くじと言うべきか……ともあれ、最近最も凛にからかわれ、いぢめられているデュオが何とも言えない表情になる。

 その気持ちは分からないでもないが、スルーさせて貰う事にしよう。

 

「機体の整備の方はどうなってる?」

「エネルギーと推進剤の補給は最優先でやるように言っています。ですが、やはり時間が……」

 

 俺の質問に、サリィが口籠もる。

 エネルギーと推進剤の補給はそんなに難しくない作業だが、それでも4機分のMSをこの機体に乗っている整備員だけでとなれば、時間が掛かるのは当然だろう。

 ましてや、海水の洗浄というのはまず不可能だ。

 勿論海水に浸かったからといって、すぐに錆びたりする訳ではない。

 だが、それでも水中用MSではない以上、機体に悪影響を及ぼすのは確実であり……出来るだけ早いうちに洗浄した方がいいのも事実だ。

 機体の洗浄は、やっぱり今回の一件が終わってからといったところか。

 

「そうか。武器の補給……実弾の方の補給はどうなっている?」

「そちらは完了しています」

 

 サリィがすぐに答える。

 まぁ、マシンキャノンとかの補給は、弾倉を入れればいいだけだから、一番簡単な方法ではあるしな。

 頭部バルカンとかのように、機体に内蔵されていると弾丸を補充するのに多少ではあっても装甲を外したりする必要がある。

 そういう面では、トールギスのように外部に着けるというのは決して悪くはないんだよな。

 ただ、何事にも良い場所と悪い場所があるのも事実であり……そう考えると、別に外付けの方が正しいという訳でもない。

 

「後は……基地の戦力がどれだけ持ち堪えられるか、だな。防御に徹しているんだから大丈夫だとは思うが」

 

 凛の事だから心配はいらない。そう思いつつ、やっぱり心配してしまうのは、それだけ凛が俺にとって大事な相手だからなのだろう。 




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1065
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1315

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