転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1635話

 今、トールギスの周囲に浮かんでいるのは、トーラスの残骸だけだ。

 二手に分かれたMDの部隊の左翼を壊滅させ、その後援護攻撃をしていたMD部隊も壊滅させたその結果が、今のこの残骸の海だった。

 スペースデブリとして色々と問題になるんだろうが……その辺はデュオのようなジャンク屋に任せればいいだろう。

 バートン財団が戦力の不足を補う意味も込めて用意されたトーラスだったが、俺を……そしてシャドウミラーを相手にするには、明らかに実力不足だった。

 MDとしてプログラムを強化していけば、もしかしたらいずれは俺達とも互角に戦えるようになるかもしれないが……それには気の遠くなるような年月が必要だろう。

 ましてや、その頃には俺達だって更に操縦技術を上げているのだから。

 

「綾子、そっちはどうだ?」

『問題ない。戦闘可能な敵はもういないよ』

「そうか。ならX-18999コロニーに向かうぞ」

 

 そう告げ、MAになったトーラスと共に進み始める。

 

『げっ、アクセル達早過ぎねえ!?』

 

 通信が入り、そこに驚愕の表情を浮かべたデュオの姿があった。

 

「純粋な実力差だろうな」

 

 もっとも、そうは言うもののデスサイズもシェンロンガンダムも、どちらかと言えば単体攻撃に向いた機体だ。

 ウイングガンダム、ヘビーアームズのように、広範囲攻撃に向いた機体ではないというのも大きい。

 幾ら攻撃力が強くても、どうしても1機ずつ……どんなに頑張っても2機か3機ずつ倒さなければならないのがシェンロンガンダムとデスサイズだ。……シェンロンガンダムの火炎放射器は射程が短いが一応広範囲攻撃が可能か?

 ともあれ、敵が使ってくるトーラスカノンはガンダニュウム合金を破壊するだけの威力があるので、リーオーやエアリーズのように、防御を疎かにする訳にもいかない。

 そうなれば、一撃で数機……場合によっては10機以上のMSを破壊出来るだけの武器を持っているトールギスやトーラスに殲滅速度で敵う筈がない。

 

「とにかく、こっちに攻撃を仕掛けてきたMD部隊は全て破壊した。勿論これでMDを全滅させた……とは限らないが、多分殆どのMDを片付ける事には成功しただろう」

 

 自分達の本拠地のX-18999コロニーの中に俺達を入り込ませるという真似は、向こうも望んでいないだろう。

 原作ではこのコロニーを時間稼ぎの駒にしたが、それはあくまでも準備万端で地球に降下する準備が整っていたからだ。

 今のバートン財団にそんな真似が出来ない以上、向こうもそれは避けたい筈だ。

 そうである以上、水際で俺達を防ぐというのは絶対に行わなければならず……ここで戦力を小出しにする必要は全くなかった。

 そんな俺の予想には誰も異論がなかったようで、反論する言葉はない。

 

「よし、なら行くぞ。コロニーの中にいる戦力を無力化すれば、もうバートン財団の戦力はなくなる。……少なくても、すぐにこの戦いに投入出来る戦力はな」

 

 デキムの用意周到さを考えると、このX-18999コロニー以外にも幾つかのMS生産プラントがあっても不思議ではない。

 だが、幾らそんな戦力があったところで、この戦いに間に合わないのであれば、それはどうしようもないだろう。

 

『アクセル、分かってると思うけど、コロニーには……』

「分かっている。俺だってコロニーを破壊したなんて汚名はありがたくない。シャドウミラーを運営していく上でその類の噂は厄介なものになるだろうしな」

 

 特に宇宙には自分で情報を集めないで嘘の情報にあっさりと踊らされる者が多い。

 そんな場所でコロニーを破壊したなどという情報が流れた場合、シャドウミラーとしてはどうしようもない程のダメージを受ける。

 勿論そのコロニーを破壊しなければならなかったという、絶対的な事情があるのなら何とかなるかもしれないが……このX-18999コロニーは、バートン財団の支配下にあるコロニーであると同時に、一般の者達が住んでいるコロニーでもある。

 化学兵器か何かを使われたのならまだしも、俺が自分からコロニーを破壊するような真似はしたくない。

 

『そうか。ならいいんだ』

 

 俺の言葉に、安堵した表情を浮かべるデュオ。

 それを見ながら、どうするかと迷う。

 今のように、MDやMSが戦力として出て来てくれるのであれば、こちらとしても全く問題はない。

 というか、寧ろ望むところだと言ってもいいだろう。

 だが、戦力で勝てないとなると、デキムも当然同じような攻撃を続けたりはしないだろう。

 であれば、次にデキムが行うのは、純粋な戦力を使った訳ではない戦い。

 面従腹背といったところか。

 勿論明確に連合軍と敵対した以上、バートン財団が現状をどうこう出来るとは思えない。

 思えないんだが……それでもデキムが追い詰められた時、どんな行動を取るのかは分からない。

 実際、何だってここでデキムが……バートン財団が行動を起こしたのかは、未だに疑問なんだよな。

 元々今のバートン財団に連合軍とロームフェラ財団を敵に回して倒すだけの戦力はなかった。

 ……やっぱり以前予想したように、シャドウミラーの存在によって圧倒的に連合軍が有利になったからこそか?

 ともあれ、こっちに攻撃をしてくるMDがいないのを確認してから、目標のX-18999コロニーへと向かう。

 

『アクセル代表、連合軍の方はどうしましょうか?』

 

 コロニーに向かっている途中で入った通信は、サリィからの通信だ。

 

「あー……そうだな。一応現状の位置で待機しててくれ。戦艦の護衛を任せる」

『了解しました。では、そのように。お気を付けて』

 

 そう告げ、通信が切れる。

 てっきり連合軍のMSも連れていって欲しいと、そう言われるかと思ったんだが……どうやら違ったらしい。

 そう告げた瞬間、X-18999コロニーの何ヶ所かが微かに光を放ったのを確認し、反射的に口を開く。

 

「っ! 全機散開!」

 

 スーパーバーニアを噴射させ、トールギスが即座にその場から離れ……次の瞬間には、コロニーから放たれたビームが何条もトールギスを始めとしてシャドウミラーのMSがいた場所を貫いていく。

 念動力が危機を知らせなかったのは……まぁ、今のは危機らしい危機ではなかったからだろう。

 実際、トールギスであればあの程度の攻撃が命中しても即座に撃破されるとは限らなかったし、同時に撃破されても俺が混沌精霊である以上、無意味に近い。

 だが、それはあくまでも俺だからこその事であり、綾子、五飛、デュオという俺以外の3人が宇宙で機体を撃破されれば、生き残るのは難しい。

 半サーヴァントの綾子なら、普通の人間よりも真空中で生き残る事は出来るんだろうが……それでも死ぬまでの時間を多少長引かせるだけにすぎない。

 そんな訳で、念動力の危機感知は今の状況では殆ど当てにならなかった。

 

「無事か!?」

 

 そう通信を送りながら周囲を見回すと、さすがガンダムのパイロットと言うべきか、シェンロンガンダムもデスサイズもビームに命中する事なくその場に存在していた。

 そして綾子が操る純白のトーラスも、特に被害らしい被害は受けていない。

 その事に安堵し、改めてコロニーの方へと視線を向ける。

 何が起きたのかというのは、容易に想像出来た。

 コロニーの外壁にビーム砲がたっぷりと備え付けられていたのだろう。

 原作でも、L4コロニー……ウィナー家が強い影響力を持っていたコロニーで、コロニーの外壁にビーム砲が幾つも備え付けられていた。

 それ以外のコロニーでも、同じようにビーム砲が備え付けられたコロニーはあった。

 そう考えれば、こうしてX-18999コロニーにビーム砲が備え付けられていても、何もおかしな事はない。

 勿論普通のコロニーがこんな風にビーム砲を装備していれば問題になるだろうが、このX-18999コロニーは既にバートン財団の本拠地であると知られているのだ。

 それを知られた以上、連合軍……もしくはOZに攻められるのは確定であり、少しでも防御力を増す為に形振り構っていられなかったという事だろう。

 まぁ、現在の連合軍、OZ、バートン財団の戦力は、7:2:1といったところだ。

 あくまでも宇宙での戦力比だが。

 これがバルジでもあればもう少し違ったんだろうが……ともあれ、バートン財団の戦力が最も弱いのは事実であり、それを何とかする必要があるのも間違いはない。

 MDだって、その戦力不足を補う為に準備されたんだろうし。

 

「けど、ビーム砲があると判明してしまえば、それはもう意味はない。……少なくてもシャドウミラーにとってはな」

『ま、そうだな。あそこにあるって分かってりゃあ、対抗策は幾らでもあるさ』

 

 俺の呟きに、デュオがそう返す。

 

「そうだな。じゃあ、とにかくコロニーの外壁にあるビーム砲を破壊するぞ。俺達はいいけど、連合軍にとっては邪魔以外のなにものでもないだろうし」

 

 撃たれたビーム砲を回避するというのは、俺達にとっては容易な事だが連合軍にとってもそれが簡単かと言われれば、首を横に振るしかない。

 つまり、連合軍がバートン財団の本拠地のX-18999コロニーを制圧する為には、安全に連合軍がコロニー内部に移動出来るようにする必要があった

 そう考えれば、コロニーの外壁にあるビーム砲を破壊するのは必須だろう。

 勿論時間が経てば破壊されたビーム砲を修理する事も出来るだろうが……一度制圧してしまえば、そんな真似は出来ない。

 コロニーに向かって移動する俺の後ろを、トーラス、シェンロンガンダム、デスサイズの3機のMSがついてくる。

 そしてコロニーに近付けば、当然のように向こうはそんな真似をさせたくないだけに、外壁のビーム砲を次から次に撃ってくる。

 だが、シャドウミラーに所属している者達にその程度の攻撃が通用する筈もなく、次から次に撃ってくるビームは、機体を動かす事によって回避が可能だった。

 やがてコロニーの外壁が見る間に近くなり……

 

「ドーバーガンを始めとした射撃兵器が使えないってのは面倒だな」

 

 コロニーの外壁に存在するビーム砲を見て、溜息を吐く。

 バートン財団もそれをきちんと狙ってビーム砲を設置したのだろうが、コロニーの外壁の中でも狙いにくい場所……具体的には、下手に攻撃を外すとコロニーの外壁に穴が開いてしまうような場所にビーム砲は設置されていた。

 

『くそっ、マジか!? 自分達自身を人質に取りやがった!』

『貴様等は悪ですらない、卑怯者だ!』

 

 デュオと五飛がそれぞれ、憤りをそのまま口に出して叫ぶ。

 コロニー出身者の2人にとってみれば、コロニーそのものを人質にするようなバートン財団のやり方は、絶対に許容出来るものではないのだろう。

 トールギスの武装では、ドーバーガンはまず却下。

 ビーム砲を破壊出来るだけの威力で撃てば、間違いなくコロニーの外壁も貫通してしまうだろう。

 マシンキャノンの方は、ドーバーガンよりも威力は低いが、その代わりに連続して何発も発射されるので、外壁にダメージを与える可能性は十分にある。

 単発で発射すればその辺りはどうとでもなるのだが、ビーム砲が破壊され、爆発した時点でコロニーの外壁にダメージがいくというおまけ付きだ。

 

「仕方がない。なら、コロニーの外壁に出来るだけ被害が出ないようにしてビーム砲を破壊するしかないな」

『は? どうやってだよ?』

 

 呆気にとられたデュオの通信に、笑みを浮かべて口を開く。

 

「ビームサーベル、ビームサイズ、ビームグレイブ……これは別に飾りじゃないだろ? ようは、ビーム砲を破壊する時の爆発が外壁に被害を与えるんだ。なら、爆発するよりも前に、ビーム砲を外壁から切り離してしまえばいい。出来れば切り離して爆発させるのはコロニーから少し離れた場所ってのがベストだな」

 

 ちなみに、こうして会話をしている間にも俺達はMSを動かし、こちらに向かって放たれるビームを回避している。

 この辺り、シャドウミラーに所属するのなら当然だろう。

 

『本気かよ?』

「当然だろ。今の状況でビーム砲を安全に破壊するのなら、それしか手がない。……それに、連合軍に被害が出ないようにする為にもな」

 

 仮にも俺達は連合軍に雇われている傭兵部隊なのだから、向こうがしっかりと報酬を支払ってくれる間は、きちんとこっちもそれに応える必要がある。

 

『……ちっ、わーったよ。ったく、アクセルは無茶を言ってくれるぜ。綾子も、よくこんな男と付き合ってられるよな』

『そうか? アクセルは無茶は言っても、無理は言わないぞ?』

 

 デュオの言葉に、綾子が笑みと共にそう告げる。

 その言葉を聞いたデュオは、溜息を吐いてからデスサイズの速度を一気に上げる。

 

『おらおらおらぁっ! 死神のお通りだ! 更に後ろには破壊神もいるぞ!』

 

 ……大魔王って呼ばれた事は何度もあったけど、破壊神ってのは初めてだな。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1125
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1327

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