転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1638話

「やっぱりな。予想はしてたけど……」

 

 議事堂の中、それこそこのコロニーの政治家達が集まっていてもおかしくない場所で、そう呟く。

 

「あー……こんなこったろうと思ったよ」

 

 俺の隣にいるデュオも、半ば予想出来ていたといった感じで呟く。

 そう、俺達がこの部屋に……議事堂の中心部にある場所へと突入したのだが……そこには当然のように誰の姿もなかった。

 それこそ、政治家は勿論兵士の姿すらもない。

 入り口近くで俺達に向かって攻撃してきた兵士達は、今頃手や足を撃たれて痛みで呻いていたり、場合によっては事切れていたりするだろう。

 まぁ、俺のステータスの撃墜数の数値が変わっていないところを見ると、俺が攻撃した奴はまだ死んでないんだろうが。

 ……こうして時間差で相手が死んだ場合でも、撃墜数は上がるのか?

 いや、今はいいか。

 それよりも問題は、だ。

 

「どうするんだよ、アクセル?」

「どうするって言われてもな。……正直、どうしようもない」

 

 政治家の1人でも残っていれば、デキムがどこに行ったのかといった内容を聞く事も出来るんだろうが、全くいない。

 そうなると情報源は議事堂入り口の兵士達くらいしかないんだが……正直なところ、それで何か情報が得られるとも思えない。

 そもそも、ここで捨て駒にされるような奴に詳しい情報を残しているとは思えないし。

 勿論捨て駒にされた方は、自分が捨て駒にされたとは思ってないんだろうが。

 

「えー……じゃあ、ここに来たのに全くの無駄かよ?」

「そうとも限らないぞ」

「え?」

 

 デュオが俺の言葉に首を傾げ、改めて人のいない議事堂を見渡す。

 

「何でだよ? こうして誰もいないんじゃ、探しても意味がないだろ?」

「そうだな。俺達はそうかもしれないが……コロニーの外にいる綾子なら見つけられるかもしれない。まぁ、俺達がこの宙域に来るよりも前に脱出しているのなら、話は別だが」

「ああ、なるほどな。……けど、あまり期待は出来ないっぽいけどなぁ。ここまで準備万端で待ち構えてたりすると」

「そうだな、それは否定しない。けど、ここがバートン財団の本拠地だったのは間違いないんだ。ある程度の物資やら何やらは持ち出す事は出来ただろうが、それでも全部って訳にはいかない筈だ。そうなると、バートン財団に対して十分に被害を与えているという事になる」

「言われてみればそうかもしれないけどよ。いいのか? 元々俺達はバートン財団をどうにかする為にここまで来たんだろ?」

 

 不服そうな様子のデュオだったが、俺達が来た時点で既にデキム達がいなかったのであれば、こっちとしてもどうしようもない。

 その辺は俺達が責められる事はないだろう。

 文句があるのなら、もっと早く俺達を呼ぶか……そもそも、俺達が手を出す前にきちんとこの宙域を連合軍の部隊で包囲しておけば良かったのだから。

 ……そんな事をした場合、間違いなくMDによって大きな被害を受けていただろうが。

 連合軍の部隊でMDに勝てるかどうかと言えば、答えは難しいのだから。

 勿論バルジから脱出して、連合軍に捕らえられた者達が所持していたMDからある程度の情報は得る事が出来ただろうし、それを解析すれば将来的に連合軍でもMDを運用出来るようになる可能性はあるが……それがあっても、暫く後の話だろう。

 

「とにかくだ。もう俺達がここでやるべき事は全てやった。後は、連合軍の軍人に任せておけばいいだろ」

 

 MSは10機しか連れてきていないが、連合軍の軍人はそれなりに多くやって来ている。

 その理由は、当然のようにこのX-18999コロニーを占領した時の人手だ。

 コロニーの占拠に関しては、そいつらに任せておけばいいだろう。

 にしても……出来れば、マリーメイアはここで確保しておきたかった。

 マリーメイアさえいなければ、将来的なバートン財団の旗頭は消える。

 同様に、トレーズに対する交渉条件にもなるだろう。

 ……宇宙にいるだろうレディ・アンが、今の状況でマリーメイアの存在を知れば、どうなるのかは分からないが。

 原作のレディ・アンなら、トレーズがもう死んでいたという事もあって、マリーメイアを保護したり大事に思ったりしたが、今はトレーズがまだ生きてるしな。

 レディ・アンがトレーズをどう思っているのか……具体的には心酔しているだけなのか、それとも男としてのトレーズにも興味があるかで、色々と違ってくるのは間違いない。

 もしトレーズを男として見ているのであれば、マリーメイアの存在は許せない……と思っても仕方がなかった。

 ともあれ、レディ・アンのような存在がどう反応するのかというのは、ちょっと予想出来ないのも事実だ。

 その辺は、連合軍の情報部とかそっち関係に頑張って貰うしかないか。

 マリーメイアは、確保出来ればそれでいいが。

 ……子供を殺したりってのは、あまり好きじゃないんだけどな。

 勿論俺の手は血に塗れているし、その血の中には子供の血だって混ざっているだろう。

 だが、それを分かっていても、子供をどうこうというのは、あまりしたくない。

 ラピスや霞といった面子を知ってるからこその反応だろうが。

 まぁ、霞も何気に大きくなってきて、今は思春期とかに入ってるらしいが。

 ともあれ、既にバートン財団の本拠地にデキム達がいない以上、俺達がやるべき事は既にない。

 

「行くぞ」

「あいよ」

 

 デュオが短く言葉を返し、議事堂を出る。

 するとそこには、シェンロンガンダムの姿があり……特に戦闘らしい戦闘が起きた様子はない。

 

「五飛、敵は?」

『見ての通りだ。もう向こうに戦力は残っていないんだろう。それより、デキム・バートンを始めとした者達はどうした?』

 

 シェンロンガンダムの外部スピーカーから聞こえてくる言葉に、首を横に降る。

 

「俺達が中に入った時には、もう議事堂の中に誰もいなかった。恐らくここに俺達がやってくるよりも前に、デキムを始めとしてバートン財団の中枢は逃げ出したんだろう」

『ふん、そうか。連合軍にはその旨、伝えておく』

 

 五飛自体は特に何も思っていないのか、あっさりとそれだけを告げる。

 ここにいるのがトロワなら、もう少しは違ったのか?

 いや、だがトロワはトロワで、バートン財団に対して特に何か思うところがあった訳ではないしな。

 それより問題なのは、デキム達がここから脱出する時にバートン財団の財産をどこまで持っていったかだな。

 俺達が来る前に脱出したのだとすれば、さすがに全部という訳にはいかないだろうが、それでもかなりの財産を持ち出す事に成功した筈だ。

 それが具体的にどのくらいなのか……そしてMSやMDのような戦力をどれだけ持ち出したかで、この後の厄介さは決まる。

 デキムがどこに行くのかは、恐らくOZだろう。

 ……というか、連合軍に降伏するつもりならここから逃げ出したりはしないだろうし、残るのはOZしかない。

 だが、バートン財団がOZで上手い具合にやれるかどうかと言われれば、それには首を捻らざるをえないが。

 そもそもの話、バートン財団が最初に襲ったのはOZだ。

 俺達がOZの水中用MS部隊との戦いで駐留していた基地でその報告を聞いた時は、かなり驚いたものだ。

 そもそも、俺がOZの基地からMSとかを盗んだ直後の話だったから、もしかしてその件についてか? と疑問に思った事も懐かしい。

 最終的にはOZと手を組んで連合軍に攻撃を仕掛けてきたが、OZにとってバートン財団は決して簡単に許せるような相手ではないだろう。

 そんなOZにデキム達が合流して上手くいくかどうかと言われれば……ああ、敵の敵は味方理論でなら何とかなるか?

 ともあれ、そんな理由で向こうは纏まるんだろう。……多分。

 面倒臭いことにならないといいけど……そう考えながらも、多分無理なんだろうなと思いつつ、トールギスの乗降ワイヤーを使ってコックピットに入る。

 この辺り、本来なら空を飛べばいいだけなのでかなり面倒なんだよな。

 まぁ、俺の正体を露わにすることにが出来ない以上、仕方ないんだが。

 

「凛、聞こえているか」

『ええ、聞こえてるわよ。議事堂の中の様子なら、五飛から聞かされたけど……随分としぶといわね』

 

 即座に通信に出た凛が、その美しい眉を微かに顰めながら呟く。

 それだけでも、明らかに不機嫌なのが見て分かった。

 

「そうだな。まさか、こうも綺麗に逃げられるとは思わなかった。……いると思うか?」

 

 何に、と口には出さないが、それでも凛は俺の言いたい事が分かったのだろう。すぐに頷きを返す。

 

『間違いなくいるでしょうね。……それを考えても、逃げ足は速いと思うけど。台所にいる、黒くてカサカサ動く奴みたいに』

「……お前の家にいたのか? 俺が呼ばれた時は、綺麗に台所を使っていたと思うけど」

『いないわよ! 失礼ね』

 

 そんなやり取りを交わしつつ、いると断言された存在……連合軍に潜むスパイ、もしくは情報を流している存在を疎ましく思う。

 

「とにかく、俺達は船に戻る。連合軍の方に、このコロニーを占領する面子を送るように言ってくれ」

『もうサリィが準備させてるわよ』

「なるほど。さすが有能だな」

 

 もっとも、有能だからこそ俺達シャドウミラーとの連絡役に選ばれたのだろうが。

 

『ええ。それと、広報部隊も送る用意をしているわ。コロニーの中の人達は、バートン財団に切り捨てられたんでしょう?』

「そうなるな」

 

 勿論バートン財団にとっても、人材という意味ではコロニーの住民を切り捨てたくはなかっただろう。

 だが、デキム達が逃げるのに猶予は殆どなかった。

 俺達がこのコロニーに攻め込むよりも前に、この宙域を離れておく必要があったのだ。

 そう考えれば、一緒に連れて行ける人員には限界があったのだろう。

 まぁ、俺がそこまでバートン財団の心配をしている必要はないか。

 

「じゃあ、そっちに戻るな」

『ええ』

 

 その言葉を最後に、通信を終える。

 

「五飛、デュオ、コロニーを脱出するぞ。占領に関しては、連合軍に任せる」

『分かった。……けどよ、このコロニーにはバートン財団と関係ない奴もいるんだろ? その人達ももしかして……』

「心配するな。連合軍はコロニーに対して宥和政策を執っている。それに、このコロニーにいるのはバートン財団に切り捨てられた奴等だ。多少話を聞く事はあるかもしれないが、無茶な真似はしないだろ」

 

 ここで下手にコロニー市民に反感を抱かれるような真似をした場合、下手をすれば他のコロニーまでもがOZ側に付く可能性も否定しきれない。

 特にコロニーの内の1基がレディ・アンの色気にやられてあっさりとOZ側に付いたからな。

 幸いというか、今のところ明確にOZ側についたと声明を発表したコロニーはあのコロニーだけだが、当然OZも他のコロニーに接触している筈だ。

 そうなると、ここで下手な真似をすればどうなるか……考えるまでもない。

 セプテムやその周辺の人物も、当然その辺りについての事情は予想出来る筈だし、無茶な真似をする事はない。

 

『そうか。ならいいけど……』

 

 デュオは言葉を濁す。

 まぁ、元々デュオがシャドウミラーに参加しているのは、連合軍が本当にコロニーに対して宥和政策を執るのかどうかを見極めるという意味もある。

 もしここで連合軍がコロニーに対して妙な真似をするようなら、それこそシャドウミラーを抜けて連合軍に攻撃を仕掛けてもおかしくはない。

 勿論デュオと……デスサイズと戦って負けるようなつもりは毛頭ないが、だからといってシャドウミラーの戦力を自分から減らすような真似はしたいとは思えなかった。

 ひとまず俺の言葉で安心はしたのか、デュオは黙り込む。

 

「よし、なら船に戻るぞ。基地に戻る途中で一旦L4のコロニーに寄る予定になっているから、少しは気晴らしも出来るだろ」

 

 勿論L4コロニーに寄るというのは、俺の要望だ。

 その目的は、ウィナー家との接触。

 ……まぁ、ウィナー家の当主は平和主義だから、傭兵団のシャドウミラーに対して必要以上に情報の提供とか資材の提供とかをしてくれるとは思えないが。

 バートン財団がL4コロニー群に潜んでいてくれれば、こっちとしても楽なんだけどな。

 それと、デスサイズやシェンロンガンダムを作った科学者達との接触も急ぐ必要があるし……さて、どうなる事やら。

 

『L4か。……カトルの奴、どうしてるんだろうな』

 

 呟くデュオの声が聞こえてくる。

 ああ、もうカトルのフルネームは知ってて、それとウィナー家の関連づけも理解してるのか。

 オペレーション・デイブレイクで一緒に撤退した効果だな。

 こんなところでも、微妙に原作が変わっている事に満足しながら、俺はトールギスを浮き上がらせるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1125
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1327

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