転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1640話

 夜の暗闇の中……俺の姿が、影から抜け出すように、その部屋へと現れる。

 操影術や影のゲートを使う俺にとって、夜というのはまさに俺の時間そのものと言ってもいい。

 だが、当然この家の持ち主……ウィナー家は、その情報を知らない。

 正直なところ、昼の会談で大人しくウイングゼロの設計図を渡してくれていればこっちもこんな真似をする必要はなかったんだが。

 最善の結果としては、カトルの父親のザイードが俺に大人しくウイングゼロの設計図を渡し、原作でカトルが作ったようにウイングゼロを建造させてくれる事だったんだが……そう上手くはいかない、か。

 もっとも、だからこそこうして直接俺が忍び込む事になってるんだが。

 ともあれ、ウィナー家はL4コロニー群の中でも主導的な立場にある名家だ。

 当然その屋敷にある警備は厳しいので、こっちとしても慎重にやる必要がある。

 これがデルマイユの屋敷だったりすれば、後の事とかは特に考える必要もないから、かなり楽なんだが。

 ともあれ、人気のない部屋……それでいながら、警報装置とかがなく、コンピュータがある部屋に到着すると、コンピュータを起動させていく。

 ここが基地とかなら、誰もいない部屋のコンピュータが起動したのを察知されてもおかしくないんだが……さて、ウィナー家はどうだろうな。

 確率としては、半分くらいか?

 もっとも、それを察知してこっちにやってきても、影のゲートがある以上俺が捕まる可能性は皆無だが。

 ……まぁ、昨日の今日どころか、今日の今日とも言うべき時間にこの騒動が起きたのを考えれば、当然のようにザイードが俺を怪しむのは間違いないだろうが。

 それでも証拠がなければ……いや、あっても、俺を咎める事は出来ない。

 もし下手に騒ぎにしようものなら、それこそカトルの件が広まるのは確実だからだ。

 

「……ちっ、ここにはデータがないか」

 

 技術班謹製のハッキングツールを使って調べてみたが、ウイングゼロやサンドロックの設計データ……それ以外にもガンダムに関係する技術情報の類はない。

 どうやら、どこかのコンピュータにネットワークから完全に遮断された状態になっているらしい。

 安全度を考えれば、その点も分からないではないが……それは逆に言えば、急所を突かれてしまえばどうにもならないという事でもある。

 

「なら、ネットワークから隔離されている区域は……なるほど」

 

 その辺りの情報は、特に苦労する事なく見つけ出せた。

 これは、別に俺がネットワークに強いとかじゃなくて、純粋にハッキングツールが高性能だったからだが。

 技術班謹製のハッキングツールには、感謝だな。

 W世界という、全く行った事のない世界のコンピュータにもハッキングして、情報を抜く事が出来るのだから。

 もっとも、それはあくまでもこのW世界の発展……特にネットワークやセキュリティがあまり進んでいないからこそだろうが。

 ともあれ、こちらとしてはこうして楽に情報収集が出来る以上、文句を言うべき事じゃないんだが。

 情報を抜き出し終わり、ネットワークに繋がっていない区画がどこにあるのかを確認し、それ以外にも適当に役に立ちそうな情報を抜き出すと、そのままハッキングツールを取り外す。

 幸いと言うべきか、未だに俺がこのコンピュータにアクセスしているのが知られた様子はない。

 まぁ、もしネットワークを向こうで遮断しても、もう遅いけどな。

 MSを建造出来る区画はネットワークから隔離されている以上、向こうをどうにかするにも、直接手で壊すとか、そういう手段を取るしかないのだから。

 影のゲートを展開し、そこに身体を沈み込ませ……

 そして影のゲートから姿を現すと、既に俺の姿はネットワークから遮断されている区画にあった。

 一応という事でスライムを使い監視カメラの類を調べると……ちっ、重要区画って事で、当然のように監視カメラはあるな。

 さて、どうするか。……まぁ、どうするかと言われても、監視カメラの類が1つや2つじゃない以上、誤魔化すのは無理だ。

 偽の映像でも流せばいいんだが……ハッキングツールはあっても、そういうのはないしな。

 いっそ監視カメラの映像が流れている場所に突入して、その人員を気絶させて……とも思ったが、ウィナー家の本拠地とも言えるのがこの場所である以上、映像をチェックしている場所が1つとも限らない。

 だとすれば、そこで無駄に時間を使うよりは、素直に監視カメラを破壊してしまった方がいいだろう。

 幸いここはネットワークが外とは完全に切り離されており、向こうからコンピュータの操作をする事は不可能なのだから。

 こちらとしては、かなりありがたい。

 この区画全てにスライムを伸ばしていきながら、それと平行してこの区画の構造を把握していく。

 MSを建造出来る開発区画と、色々と研究をする為の研究区画……へぇ、MSに使うのか、物資もしっかりと置かれている。

 まぁ、考えてみれば、原作でもカトルはここでウイングゼロを開発したんだ。

 だとすれば、それを建造する為の資材がここにあるのは当然か。

 当時のこのコロニーでは、ウィナー家は敵扱いになっており、とてもではないがカトルが独自にMS建造用の資材を用意出来る筈が……うん? 待てよ? だとすれば、もしかしてガンダニュウム合金も用意されてるのか? だとすれば、そっちもしっかりと貰っていく必要があるな。

 少なくても原作同様にここにある資材だけで、ウイングゼロを作れる筈だし。

 ……いや、バルジやら何やらで色々原作と違う歴史を辿ってはいるけど……多分大丈夫、の筈。

 ともあれ、スライムを使って監視カメラを一気に破壊する。

 そのまま吸収しても良かったんだが、もしそんな真似をすれば、監視カメラの残骸はどこにいったのかと、ウィナー家の方で疑問に思うのは確実だ。

 それで俺まで辿り着けるとは思わないが、それでも危険性は少しでも低い方がいいのは事実だ。

 さて、そうなるとここからは時間との勝負だな。

 当然コンピュータには何らかのプロテクトの類が掛かっていてもおかしくないから、ハッキングツールでデータを抜き出すにも相応の時間が掛かる。

 ……いっそ、コンピュータ諸共盗んでいった方が手っ取り早いのか?

 いや、その辺りはケースバイケースか。

 ともあれ……

 

「作戦開始、と」

 

 その言葉と共に、この施設に幾つもあった監視カメラが全て切断され、床に落ちる。

 同時に空間倉庫の中からこの施設に繋がる扉の前に適当な荷物を置き、扉が開いても入ってこられないようにする。

 ここまでやって、ようやくこっちにも余裕が出来た。

 そしてコンピュータにハッキングツールの入ったPDAを接続したところで、この部屋にも非常警報がなる。

 ……やっぱりウィナー家は優しいんだよな。

 もしこの施設に入った俺を捕まえたいのなら、それこそこの施設に非常警報を鳴らさず、外で人数を集めてからこの施設に突入すればいい。

 だが、こうして直接この施設にも非常警報を鳴らしたという事は、こっちに自分達が気が付いたというのを教えようという意図があるからだ。

 勿論このままこの施設で戦闘になって、周囲の被害を大きくしたくないという思いはあるのかもしれないが、その辺りに関しては正直どうだろうな。

 ともあれ、ハッキングツールが動いている間は俺がやるべき事は何もない。

 後は……この施設の扉を、最初に封じた場所以外の場所も入れないようにしておくか。

 この施設の構造については、スライムを使って監視カメラを探した時に大体理解している。

 当然扉のある場所も理解している訳で……

 隠し扉の類があっても、スライムがあれば見つけるのは容易い。

 ……もっとも、ここには隠し扉の類はなかったが。

 だが、それ以上に厄介な場所もある。

 それが、完成したMSを運び出す場所。

 さすがにMS級の存在が出入りするような場所を封鎖するのは出来ない。

 いや、やろうと思えば可能だが、そんな真似をすると目立つ。

 ……今の時点でかなり目立ってはいるんだが。

 ともあれ、そっちから来られると少し厄介ではあるが……まぁ、その辺は運だな。

 実際にそっちからやって来たら、気配遮断を使えば問題ないし。

 そうして幾つかの扉を封鎖した後で俺がやって来たのは、資材保管庫。

 MS搬入路に比べれば小さいが、ここもそれなりの大きさだ。

 まぁ、ここはMS搬入路を通ってしかやって来る事が出来ないので、特に封鎖の必要もないんだが。

 そんな訳で資材保管庫に入ると、そこには幾つものコンテナが、それこそ山となって大量に積み重ねられていた。

 さすがにウィナー家。

 資源衛星の類を大量に持っているだけの事はあるな。

 鉱石とかのまま適当に放り出されている訳ではなく、こうしてコンテナに入れられて分類されているというのは、こっちとしても助かる。

 ガンダニュウム合金を始めとして、それ以外にもMSを建造する際に必要なレアメタル、レアアースといった金属が多く準備されている。

 ホワイトスターがあれば、レアメタルとかは幾らでも作れるので、それこそ『レア』メタルじゃなくなるんだが……そのホワイトスターとの間で連絡が取れない以上、レアメタルは本当の意味でレアメタルな訳だ。

 幸いにも、俺達は連合軍に雇われているから、ある程度余分に入手する事は出来るんだが。

 ともあれ、ここにある代物は全て貰っていくとしよう。

 重ねられているコンテナや、分けられているコンテナに、次から次に触っていく。

 そして触れたコンテナは空間倉庫に収納され、消えていく。

 ものの数分で格納庫にあったコンテナは全てが空間倉庫に収納され、残っているのはがらんとした倉庫のみ。

 

「さっぱりしたな。……満足、満足」

 

 にしても、W世界に来てからはこんな事ばかりやってる気がするな。

 トールギスを始めとしてMSとかを盗んだり、デルマイユの屋敷に侵入したり。

 そして今回はウィナー家。

 まぁ、その辺りは俺が自分で判断してやってるんだから、特に文句はないが。

 ともあれ、MS搬入路から誰かが入ってくるよりも前に、データの吸い取りが終わればいいんだが。

 そう考えてコンピュータのある場所に戻ると、そこでは丁度タイミングよくハッキングツールが仕事を終えたところだった。

 確認の為に吸い取ったデータを見てみると、そこに表示されているのは……

 

「うん? ……え? あれ?」

 

 サンドロックの設計図は別にいい。

 これは、あれば多少便利かな程度に思っていた代物だったが、それは無事に入手出来ていたのだから。

 だが……肝心要のウイングゼロの設計図。

 それが、何故か2種類あったのだ。

 勿論ウイングゼロというのは、大まかに決まっていたのをそれぞれの科学者が自分流に改造したものだ。

 そう考えれば、実際に原作で作られたウイングゼロは、ウイングゼロH教授開発バージョンと呼ぶべき代物だった。

 だが……それでも、1人が2種類のバージョンを作る必要はないと思うんだが。

 そんな思いから、設計図の詳細なデータに目を通す。

 ます最初に目を通したのは、俺も知ってるウイングゼロ。……原作でカトルが乗っていたウイングゼロだ。

 俺が求めていたのはこっちのウイングゼロで間違いない。

 だとすると、もう1つは……何だ?

 疑問に思い、その設計図を開く。

 するとそこに映し出されていたのは、ウイングゼロはウイングゼロでも……

 

「劇場版のウイングゼロか」

 

 そう、カトルが乗った……言わば機械的な翼を持ったウイングゼロと違い、鳥に似た翼を持つウイングゼロの姿がそこにはあった。

 他に大きな違いとしては、カトルが乗った方……面倒だな。劇場版に対してTV版と呼ぶか。

 そのTV版の方は、ヒイロの乗っているウイングガンダムと同じように飛行形態に変形出来るのだが、劇場版の方は飛行形態に変形出来ない。

 また、TV版の方は先端にバルカンが内蔵されているシールドを装備していたが、劇場版の方はそもそもシールドそのものが存在しない。

 ……うん? 何かで劇場版の方もシールドがあったり、飛行形態に変形出来るって話を見たか聞いたような覚えがあったが……俺の気のせいか?

 ともあれ、ここに映し出されているウイングゼロはTV版と劇場版の2種類がある訳だ。

 MSの性能的な意味で考えれば飛行形態に変形出来るTV版の方がいいんだが、純粋に好きな方となると劇場版なんだよな。

 ともあれ、設計データが2種類あるというのは、完全に予想外だった。

 作るにしても、どっちを作った方がいいのやら。

 そんな風に考えながら、PDAを空間倉庫に戻し……そして扉の前に置かれていた各種荷物も再び空間倉庫に戻すと、俺は自分のアリバイを作る為にコロニーの中にある食堂……シャドウミラーの面々がヒルデの歓迎パーティをしているであろう店の近くに、影のゲートを使って向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1125
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1327

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