転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0150話

 中華連邦の艦隊を殲滅した海域から数度の転移をし、ようやく俺はトウキョウ租界の上空へと戻ってくる事に成功した。

 ASRSを展開しつつ、こうして上空から見る限りでは確かにスザクから聞いたようにブリタニア軍が黒の騎士団に対して優勢な状況のように見える。このままならそれ程遠くないうちにブラックリベリオンはブリタニア軍の勝利という形で終わるだろう。

 

「……あそこか」

 

 そんな戦況を眺めながら、ブリタニア政庁の上空へと移動する。

 

「ASRS解除」

 

 ASRSを解除し、コックピットから出てその装甲へと手を触れる。

 

「格納」

 

 呟いた瞬間、グロウセイヴァーは空間倉庫へと格納され、当然俺は空中へと放り出される事になった。

 空中で身を捻り、屋上へと足を着いた瞬間に膝を曲げて衝撃を吸収する。

 

「さて……」

 

 周囲を見回すと、コーネリアのグロースターとゼロのガウェインが起こした戦いの為だろう、美しい筈の庭園が酷く荒れ果てている。そしてグロースターの残骸の近くには血を流して目を閉じているコーネリアの姿が。

 

「っ!?」

 

 慌てて近寄りコーネリアの状態を確認すると、幸いな事にただ眠っているだけだった。恐らく少しでも体力を回復させる為だろう。

 だが、コーネリアの状態を確認する為に触れたのが悪かったのか唐突に目を開ける。

 

「アクセル?」

「今戻った。散々だったようだな」

「トウキョウ租界はどうなった!?」

 

 こちらの質問は無視して、服の胸ぐらを掴むコーネリア。その表情はどこか切羽詰まったものだった。

 

「落ち着け、まだ戦闘中だ。ただゼロがいない為か徐々にこちらが有利になってきている。そう遠くないうちに俺達の勝利でこの戦いは終わるさ」

「まだ戦闘中? ……では、アクセル。お前は中華連邦の艦隊を放ってここに来たのか?」

 

 なるほど。何でそんなに焦っているのかと思ったが、そう言う事か。

 

「安心しろ、連中の艦隊はきちんと海に沈めてきた」

「馬鹿なっ、お前がこの政庁から出撃してまだ殆ど時間が経っていないんだぞ? それが……」

「俺の力というのは、そういうある種理不尽なものだからな。その後でランスロットと接触してコーネリアの話を聞いて慌てて戻ってきた訳だ」

「そうか、ランスロットが……結局私ではユフィの汚名をそそぐ事も出来ずに枢木に任せるしか出来なかった。ダールトンも……」

 

 表情を悲しみと悔しさに染めるコーネリア。この様子から見ると原作通りにダールトンがギアスによりコーネリアの不意を打ったのだろう。

 そのコーネリアの様子を見ていると今まで以上の親近感を覚えた。

 そしてふとホワイトスターに残っているシャドウミラー隊を思う。あそこにいるのは基本的に技術班と臨機応変な対応が出来ない量産型Wだ。これからどう動くにせよ、指揮に長けた人材は必要不可欠だ。俺は元々個人としての戦闘能力に特化しているし、レモンは戦闘能力が高いとは言っても技術者だ。そうなると部隊指揮に長けた人物はエキドナくらいしか残っていない。

 チラリ、とコーネリアを見る。政戦両略に長けたその能力は是が非でも欲しい。もしコーネリアが俺の下に来てくれた場合にこちらから提供できる利益を考える。この世界に比べて数十年、あるいは百年先を行くスパロボOGs世界の科学技術がまず第一に考えられるだろう。そして忘れてはならない俺の原作知識。特にギアスに関する知識やギアス響団に関する知識はコーネリアとしては喉から手が出る程欲しい筈だ。

 一度深く深呼吸をしてからコーネリアに向かって口を開く。

 

「コーネリア。取引をしないか?」

「取引?」

「ああ。俺はお前が最も欲している情報をある程度持っている」

「情報、だと!? それは何だ!」

「ユーフェミアやダールトンの豹変。それに関係ある事だ」

「アクセル、もしかしてお前……」

 

 身体から血を流して碌に動けないだろうに、俺を睨みつける目には恐ろしい程の力を感じる。

 その様子を見て自分の言葉が迂闊だった事を悟り、首を振る。

 

「いや、別に俺がユーフェミアを豹変させたとかいう事ではない。ただ、その原因を知っているだけだ」

「原因?」

「そうだ。俺との取引を受けるのならその情報を明かすし、俺の秘密も話そう」

 

 原作通りに進むのなら、コーネリアは自力でもギアス響団へと辿り着ける筈だ。だが、それではV.V.に囚われ、最終的には黒の騎士団に囚われるだろう。しかしそこに俺の知識やシャドウミラーの技術、戦力があったとしたら?

 少なくてもギアス響団の危険性やギアスの詳細、V.V.の不死性を前もって知っていればより有利に行動できるのは間違いない。

 

「取引というが、そちらが出せるものは情報だけか?」

「いや、ランドリオンやガーリオンのようなKMFとは全く違うコンセプトの機体。他にも似たような機体が多種大量にある。それと、ギルフォードには及ばないが、グラストンナイツレベルの戦闘力を持つ人材を湯水のように提供する事も可能だ。俺の都合が合えば直接手を貸す事も可能だろう」

 

 グラストンナイツレベルの人材というのは言うまでもなく量産型Wだ。現状の性能でそのくらいのレベルだと思うが、ホワイトスターにある技術をレモンが吸収してより性能を高めればそれこそギルフォード以上の能力を持つ量産型Wも夢ではないだろう。

 

「それは……凄いな」

 

 俺の言葉に純粋に驚きの表情を浮かべる。コーネリアにとっても俺の出した条件は予想外に良いものだったのだろう。だがその程度の出費でコーネリアレベルの人材を手に入れられるのなら安いものだと思う。

 

「アクセルから提供されるものは分かった。だが、私は何を提供すればいい?」

「……お前自身だ。コーネリア、俺のものになれ」

「わ、私だと!?」

「ああ。当然俺のものになるからにはブリタニア皇族としての活動は出来なくなるだろう。だが、ユーフェミアの汚名をそそぐ事に関しては全力で協力させて貰う。……受けるか?」

 

 無言で手を差し出す。この手を握るも拒むも、それはコーネリア次第だ。

 

「アクセル、お前に私は必要なのか?」

「ああ。お前が必要だ。お前が欲しい」

「……いいだろう、コーネリア・リ・ブリタニアの名の下にその取引……いや、契約を受けよう。今日からこの身、この心、全てがお前のものだ。ユフィの汚名をそそげるのなら、私は喜んでお前のものとなろう」

 

 コーネリアが差し出された俺の手を握る。取引……いや、契約成立だな。

 スパロボOGsの技術に、量産型W。それと引き替えに手に入れる事が出来たのは政戦両略に長けた非常に優秀な人材だ。レモンもきっと喜んでくれる筈。

 

「それでこれからどうする?」

「そうだな。まずは俺の本拠地へと案内しよう」

 

 怪我で動けないコーネリアを首の下と膝の下へと手を入れて横抱きにする。……いわゆるお姫様抱っこという奴だ。

 ……コーネリアは皇女なんだし、この場合は皇女様抱っこと言うべきか?

 

「ア、アクセル、一体何を!?」

 

 顔を真っ赤にしたコーネリアが抗議してくるが、怪我で動けないのだからしょうがない。

 

「そうだな、まずは俺の能力を多少見せておこうか」

 

 脳裏に空間倉庫のリストを表示し、グロウセイヴァーを選択。次の瞬間には政庁の屋上へと出現していた。

 

「ば、馬鹿な! 何が起こった!?」

 

 突然現れたグロウセイヴァーにただ驚くしか出来ないコーネリア。それに構わず、俺はコーネリアと共にコックピットへと乗り込む。

 

「一人用で多少狭いが我慢してくれ」

「お、おいアクセル。幾ら何でもこの格好は……」

 

 現在のコーネリアは俺の膝の上に座っている体勢だ。さすがに恥ずかしいのか抗議してくるが、このコックピットの大きさでは予備のシートなんてものはない。かと言って、怪我をしているコーネリアを座席の後ろに放り出す訳にもいかない。

 

「少し我慢していろ」

 

 コーネリアという一人の女の柔らかさと重みを感じる為、俺も微妙に照れくさい思いをしながらガーリオンへと通信を繋げる。

 

「エキドナ、そちらの様子はどうだ?」

「隊長、ご無事で何よりです。黒の騎士団はその殆どを撃破、あるいは撤退しました。敵幹部クラスと思われる人物も多数捕らえています」

 

 ふむ、歴史通りにブラックリベリオンは失敗に終わったか。

 コーネリアの方を見ると、やはりどこか安堵した様子でエキドナの話を聞いている。

 

「これからの事を色々と決めたい。ホワイトスターからこちらに来た時の森を覚えているな? あそこで合流する」

「了解しました」

 

 エキドナからの通信が切れ、森へと向かおうとするがふと格納庫に放っておかれているランドリオンの事を思い出す。あの機体を放置していく訳にもいかない。回収していくべきだろう。

 

「アクセル?」

「ん? ああ、いや何でもない。それより集合場所に着いたらギルフォードに連絡をして後処理を任せる事になるが構わないな?」

「ああ。この身も心もアクセルに捧げると私の名の下に誓ったのだからこちらに否はない」

 

 ……身も心もって言い方はやめて欲しいんだがな。もちろん俺はレモンを愛してはいるが、コーネリアもレモンに負けないくらい魅力的なのだ。どうしてもそういう表現をされると必要以上に女として意識してしまう。

 こうして俺は格納庫に一端寄り、コーネリアの見ている前で空間倉庫にランドリオンを格納。グロウセイヴァーを出した時と同じように驚いているコーネリアを連れ、待ち合わせの場所へと向かった。

 

 

 

 

 

 その森は俺達がこの世界に転移して来た時と違わずに静かなままだった。ブラックリベリオンの一夜が明け、太陽の光が差し込む中でどこか静謐な雰囲気を醸し出している。どうやらまだエキドナは到着していないらしい。

 そんな森の一画へと降り立った俺は、今まで静かにグロウセイヴァーの中でこちらを見ていたコーネリアへと声を掛ける。

 

「コーネリア、ギルフォードへ連絡を」

「分かった。……ギルフォード、聞こえているか?」

 

 グロウセイヴァーからギルフォードへと通信を繋げるコーネリア。その声に応えるかのように、数秒も待たせる事なくモニタにギルフォードの顔が映し出される。

 

「姫様、一体どこに……アクセル!?」

「連絡が遅くなって済まなかったな。私もアクセルも無事だ。そちらの被害はどうなっている?」

「それなりに被害は大きいですが、勝ち戦という事もあり意気軒昂です」

「そうか。それは何よりだ。それでこれからの事だが、私はアクセルと共に行方を眩ます」

「……姫様?」

「これもユフィの汚名をそそぎ、その真実を露わにする為だ。悪いが後の事は任せても構わないな?」

「イエス・ユア・ハイネス」

 

 コーネリアの言葉に、何も聞き返さずにただ頷くギルフォード。こういう所が騎士の騎士たる由縁なのだろう。自分が剣を捧げた相手を最後まで信じ抜く。普通に見るのならただ盲目的なだけだが、この二人にとってそれはない。

 

「アクセル」

 

 二人の様子を見ていると、ギルフォードの視線が俺へと向けられる。

 

「どうした?」

「姫様の事を……よろしく頼む」

 

 その一言にどれ程の思いが込められているのか。俺はこちらをじっと見つめているギルフォードに対して頷く。

 

「任せろ。傷一つ付けずに……とはいかないかもしれないが、俺の手が届く範囲では守りきってみせるさ」

「ああ。……では、姫様。ご無事での帰還を祈っております」

「うむ。我が騎士ギルフォードよ、後の事は任せたぞ」




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:485
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:254

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