転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1644話

「ねぇ、アクセル。これはどうかしら?」

 

 コロニーの街中にある店に飾られている服を見ながら凛が尋ねてくるが、俺にファッションセンスを求められても正直困る。

 そもそもの話、俺にその手の知識は殆どない。

 まぁ、レモン達が着ている下着なら何度も見てるので色々と品評出来るが……ぶっちゃけ、色っぽくていいとか、そんな感想しかない。

 

「あー、うん。いいんじゃないか?」

「ちょっと、何よその適当な返事。恋人がこうして聞いているんだから、もう少し丁寧に答えてくれてもいいんじゃない?」

「そう言ってもな。俺は元々ファッションセンスとかそういうのが欠如してるし」

「あのねぇ。いい? ファッションセンスとかそういうのは、後から幾らでも身につくのよ。それがないって言ってるのは、単に勉強不足でしかないわ」

 

 ジトリとした視線を向けてくる凛だったが、すぐにその視線はなくなり、溜息を吐く。

 

「せっかくのデートなんだし、この話はこのくらいにしておきましょ。それよりほら、次のお店に行くわよ」

 

 凛に手を引っ張られ、そのまま道を進む。

 ちなみに凛が言った通り、今日は俺と凛2人きりのデートだ。

 五飛とデュオは、それぞれ俺が頼んだ用事――プロフェッサーGと老師Oを連れてくる――の為、自分達のコロニーに戻っている。

 ……ちなみに、デュオは故郷のL2コロニーに戻るのに、ヒルデを連れていった。

 いや、この場合はヒルデがついていったというのが正しいのか?

 ともあれ、まるで恋人や結婚相手を親に紹介しに故郷に連れて行くかのような行動は、当然のように凛によってからかわれる事になる。

 ヒルデ本人は満更でもない顔をしていたのを考えると、あの2人の仲は俺が思っている以上に進んでいるのかもしれないな。

 

「次は……アクセサリか?」

「ええ。このコロニーでも有名なお店らしいわよ?」

「……だろうな」

 

 このD-120コロニーは、連合宇宙軍の本拠地だ。

 そうである以上、当然連合宇宙軍上層部の家族もこのコロニーに住んでいる訳で、軍の中でも高い地位にいる夫は給料が高く……結果として、宝石やアクセサリの類にも十分に金を掛ける事が出来る。

 需要と供給の問題で腕のいい商人や高価な商品が集まってくるのだから、そういう方面で発展していてもおかしな話はどこにもない。

 

「ほら、行くわよ。お金にはそれなりに余裕があるんだから、いい物があったら買いたいし。……それに、宝石も見ておきたいわ」

 

 最後に一瞬だけ魔術師としての顔になる凛。

 凛の魔術は宝石を必要とする以上仕方ないのだろうが、それでもデートしている時でもそっちに意識を向けなくてもいいだろうに。

 そもそもの話、凛が使う宝石に関しては俺が提供している。

 デルマイユの屋敷とかには、それこそ年代物の宝石の類が大量にあったしな。

 偽物の類がなかったのは、デルマイユにも宝石を見る目があったんだろう。

 色々と欠点の多い男なのは間違いないが、貴族としてならそれなりに有能だったのは間違いない。

 絵画やら銅像やらその他諸々芸術品の類に外れはなかったみたいだし。

 いや、空間倉庫の中にあるものをきちんと鑑定した訳ではないので、もしかしたら偽物も混じってるかもしれないが……少なくても、デルマイユから奪った宝石には偽物の類は一切入っていなかったのは、それこそ凛が確認している。

 それを考えれば、多分他の芸術品とかも偽物が入っている可能性は低い。

 

「それにしても、こうしてアクセルとデートしてるのは嬉しいんだけど、いいのかしら?」

「何がだ? 別に今は特に何かやるべき事がある訳でもないし、問題ないだろ?」

「綾子の事よ」

「あー……うん、なるほど」

 

 凛の少し誤魔化すような言葉に、俺も思わず納得する。

 本来なら、今日のデートには綾子も来る筈だったのだ。

 恋人同士3人で甘い一時……というつもりだったのだが、連合宇宙軍のMSパイロットに模擬戦を頼まれてしまった。

 そこで断っても構わなかったのだが、綾子の場合は変に面倒見がいい。

 連合宇宙軍の中には、セプテムと違って直接俺達の強さを見た事がある者は殆どいなかった。

 セプテムや、そのお付きとして地上に向かった者達くらいか?

 いや、映像とかでは見たのかもしれないが、それでも実感がなかったと言ってもいい。

 レディ・アンのバルジを使った降伏勧告に一時期は宇宙にも緊張が走ったものの、結局バルジは何故か……そう、何故か消えてしまい、宇宙のOZの生き残りも自分達の基地に引っ込んでおり、本格的に戦闘らしい戦闘はなかったというのも影響している。

 だが、X-18999コロニーにおける戦闘で、そんな連合宇宙軍の者達――それも精鋭――の目の前で、シャドウミラーは戦争をした。

 そうして初めてシャドウミラーの実力を生で見た連合宇宙軍の者達は、改めて俺達の実力が本物である事を理解したのだ。

 そして、自分達の技量が非常に未熟である事も。

 だからこそ今更ながら焦り、今日みたいに綾子と訓練をしているのだろう。

 ちなみに俺は訓練に誘われてはいない。

 ……トールギスは色々な意味で特殊な機体だという事だろう。

 まぁ、実際トールギスを相手にするよりも、トーラスを相手にした方がバートン財団なりOZなりを相手にする時に役立つし。

 ぶっちゃけ、デュオに勝てるようになった今の綾子なら、MDを相手にしても特に苦戦はしない筈だ。

 MDは一定以下の技量の相手に対しては絶大な威力を発揮するが、逆に言えば一定以上の実力の持ち主にとっては特に苦労するような相手でもないのだから。

 まぁ、その一定のというのが、このW世界では結構高いんだが。

 ともあれ、トーラスとトールギスではその挙動も色々と違う為、綾子が一番適任なのは間違いない。

 これで綾子を相手に幾らか善戦出来るようになれば、俺や五飛、デュオといった面子との模擬戦も加えていいのかもしれないが。

 

「ま、綾子なら問題ないだろ。連合宇宙軍が戦いに前向きになってくれるのは、こっちとしてもありがたいし」

「……それはいいけど、綾子にお土産くらい買っていった方がいいわよ?」

「そう言えばそうだな。……で、どんなのがいい?」

「馬鹿ね。それくらい自分で考えなさいよ。そもそもの話、プレゼントを貰うなら私が選んだ物より、アクセルが選んだ物の方が喜んでくれるでしょ?」

「そう言われてもな。……うーん、無難な線だと花とかか?」

「もう少しアクセルらしいのを選んだ方がいいと思うけど?」

「うーん……食べ物?」

「それもアクセルらしいと言えばらしいけど」

 

 何故か……いや、当然のように苦笑を浮かべる凛に付き合って貰いながら、俺は綾子へのお土産を探していく。

 

「あ、これはどうだ?」

 

 俺が見つけたのは、近くにある店に飾られていたブレスレット。

 そこまで高価そうには見えないが、シンプルだからこそ綾子には似合っているような気がする。

 綾子は身につけるアクセサリの類はあまりないし、もしあってもそこまでゴテっとしたものは似合わないし。

 

「うん、これならいいんじゃない? 綾子にも似合いそうだし」

 

 凛の合格も貰い、その店でブレスレットを買う。

 ……何故か、綾子のお土産だけじゃなく、凛の分も買う事になってしまったが。

 金には困ってないので、その辺は問題ない。

 それこそ、空間倉庫の中に入ってるデルマイユの持ち物を売れば金に困る事はないし。

 というか、ぶっちゃけデルマイユの何かをプレゼントすれば……いや、綾子が絵画とか貰っても困るだけか。

 そもそも、飾るような場所もないしな。

 MS輸送機の客室とか? いや、それだと綾子個人に贈った意味がないしな。

 ピースミリオンを入手して、正式にそこを拠点に出来たら部屋に飾ったりしてもいいだろうけど。

 

「あ、ねぇ、アクセル。あそこでちょっと甘い物でも食べていかない?」

 

 凛の視線が向けられたのは、1つの喫茶店。

 見た感じでは、雰囲気はいいように見える。

 少なくても、俺の目から見た限りでは、だが。

 元々この手の店に対する審美眼……いや、見極めに関しては、俺よりも凛の方が上だ。

 正確には、俺よりも凛を含めて恋人達の方が上と表現する方が正しい。

 そう考えれば、凛の目で合格だったのならその辺り心配する必要はないだろう。

 

「分かった。ちょっと腹も減ってきたし、何か食っていくか」

 

 小腹が空いたのは事実だったので、凛の言葉は俺にとってもありがたいものだった。

 そうして店の中に入ると、凛が入ろうと決めた店だけあって間違いなく優良店と言ってもよかった。

 ウェイトレスに案内された席に座り、メニューを見る。

 写真付きでどんな料理なのかが分かりやすくなっている点もいいし、店の中に聞こえている音楽もうるさくはなく、聞こえない程でもない。

 BGMとしては最適だと言えるだろう。

 こういう音楽は……リラクゼーション音楽って奴か?

 海の音と落ち着く音楽の組み合わせ。

 その音楽を耳にしながら、メニューの中にあった料理を適当に選んで注文する。

 

「ミックスピザ、フライドポテト……お、ビーフカツサンド? 珍しいものが置いてあるな。これも頼む。それと、飲み物はアイスティーで。ああ、それと食事が終わった後でソフトクリームを」

 

 目についた料理を注文していくのだが、それを聞いていたウェイトレスが少しだけ驚く。

 それでもこのくらいの量なら、ある程度大食いの奴なら普通に食える量だしな。

 

「私は、この店長のお薦めセットをお願いするわ。ケーキはモンブランで」

 

 凛の注文には特に驚いた様子もないウェイトレス。

 やっぱり、俺の注文だけに驚いたんだろう。

 ウェイトレスが去っていくのを見送っていると、何故か凛がジト目で俺を見ているのに気が付く。

 

「ちょっとアクセル。随分とあのウェイトレスを熱心に見てたけど、一緒にいる恋人の前で堂々としすぎじゃない?」

「別にそんなつもりはなかったんだけどな」

 

 そう言うものの、凛が俺を信用する様子はない。

 まぁ、俺の女癖の悪さを考えれば、この態度は仕方がないのかもしれないが。

 だが、誓って言うが、今は別にあのウェイトレスの後ろ姿に目を奪われていた訳ではない。

 

「ふーん……ま、そういう事にしておいてあげるわ」

 

 あからさまに自分が妥協しましたといった感じの凛だったが、それ以上は特に何も口にせず、店の中に流れている音楽を楽しむ。

 そのまま少し経ち……やがて先程のウェイトレスがモンブランと紅茶、それとアイスティーにフライドポテト、ピザを持ってやってくる。

 

「ビーフカツサンドの方は、もう少々お待ち下さい」

「ああ、分かってる。楽しみにしてるよ」

 

 ウェイトレスの言葉に、特に怒るようなこともなく、そう返す。

 実際、ビーフカツサンドを作るのに時間が掛かるというのは、理解していた。

 何しろメニューには『店長拘りの品』と書かれており、そのすぐ近くには注文を受けてから肉に味付けし、衣をつけ、揚げる……となっているのだから、時間が掛かるのは当然だろう。

 メニューの写真では、ビーフカツに完全に火を通していない状況……いわゆる、ローズピンクか? そんな風になっている。

 余程味に自信があるのか、キャベツやタマネギといった野菜は全くなく、シンプルにパンとビーフカツだけの料理。

 それでいて値段はそれなりのものなのだから、恐らくこれがこの店の看板メニューなのだろう。

 

「へぇ……」

 

 感嘆の声にそちらに視線を向けると、そこでは凛が感心したように紅茶に視線を向けている。

 店長のお薦めだけあって、紅茶の味も一級品だったらしい。

 

「コロニーでこの味をこの値段で出せるというのは、正直凄いわね」

「そうなのか?」

「ええ。勿論お金に糸目をつけなければどうにでもなるけど……ここが連合軍の本拠地だからというのも、大きいでしょうね」

 

 紅茶にうるさい凛がそう言うのだから、実際その紅茶はいいものなのだろう。

 ……一応紅茶派ではあるけど、缶紅茶もOKな俺にその辺の違いはあまり分からないが。

 実際、アイスティーを飲んでも美味いというのは分かるが、それ以上の事は分からない。

 これがネギ辺りなら、どこで作られた紅茶なのかというのも分かるのかもしれないが。

 もしかしたら、どこ産の何年ものの紅茶なのかとかも分かるんじゃないだろうな?

 いやいや、さすがにそこまでは……そう思いつつ、紅茶ソムリエ的な存在のユウキ辺りなら分かるかもしれないと思う。

 

「こっちのモンブランも美味しいし……このお店は当たりだったわね。もう暫くここにいるんでしょ? ならまた来る機会を作りたいわね」

「そうだな」

 

 こうして暫くの時間を過ごし……この日は、俺と凛はホテルで外泊をする事になり、久しぶりに2人きりで甘い時間を過ごす。

 ……もっとも、夜が激しすぎたせいで、翌日の凛は1人では立てない状態になっていたが。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1125
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1327

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