転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1647話

 2種類のウイングゼロの設計図と、サンドロックの設計図。

 この2つを渡してから、数日が経つ。

 幸い……という言い方が正しいのかどうかは分からないが、老師Oにとって、それなりにやり甲斐のある仕事だったらしい。

 また、ウイングゼロの方はともかく、サンドロックの設計図も興味深いものがあったみたいだ。

 ……純粋にパイロットとしての目線から見れば、サンドロックはガンダムの中でも最も性能の低い機体という認識だったんだが、老師Oのような科学者の目線では違ったらしい。

 ちなみにサンドロックの性能が低いと言っても、当然のように現行のOZで使用されているMSよりは性能は上なんだが。

 そもそもサンドロックは、設計当初からマグアナック隊との連携を前提として開発された機体であり、情報処理とかそっち方面にも多くのパフォーマンスを割り振っている。

 だからこそ、原作でもGチームを結成した時にカトルが指揮官となる事が出来たのだろう。

 そういう意味では、意外とシャドウミラーに加わってくれれば有益な存在なのは間違いないんだろうが……そもそも、今のカトルは本当にどこにいるのやら。

 恐らくマグアナック隊と一緒に中東に潜んでいると思うんだが、それだって確証はない。

 ……もしかして、宇宙に戻ってきたりしてないだろうな?

 その辺はともあれ、今のシャドウミラーには時間はあればある程にいい。

 出来るだけ今の膠着状態が長続きして欲しいというのが、正直なところだ。

 デキム率いるバートン財団には、なるべく尻尾を出さないで潜伏してくれる事を望む。

 

「ちょっと、アクセル! ギブアップしてるわよ、そこまで!」

「ん? っと、悪い」

 

 綾子の声で我に返り、自然と極めていた関節を離す

 考え事をしながらでもきちんと手加減はしていた為に、相手の関節を折るような真似はしなかった。

 うん、さすが俺。

 ともあれ、改めて周囲を見回す。

 ここは連合軍の基地にある道場。

 そして俺の前にいるのは、連合軍の兵士達。

 綾子と五飛がそれぞれ連合軍の兵士との模擬戦を中断し、呆れたような視線を俺に向けていた。

 そう、今の俺はこうして連合軍の兵士達と模擬戦を行っていたのだ。

 MSを使っての模擬戦でもよかったのだが、向こうからの強い要望で生身での戦いになった。

 ……まぁ、連合軍の兵士が何を考えたのかは分かる。

 俺の使用しているMSはトールギスであり、単機でガンダムと互角に戦える機体だ。

 そのような機体を相手に、宇宙用のリーオーでどうにか出来る筈もない。

 凛と綾子の件で俺に嫉妬や羨望を抱いている者は多い。

 その結果が、MSの性能差では勝てないから、こうして生身での模擬戦を……となった訳だ。

 いやまぁ、こっちとしてはそれはそれで構わないんだけどな。

 今は特にやるべき事はないし。

 そんな暇潰し感覚の意味も込めてこうして模擬戦を行っていたのだが、どうやら考え事に熱中してしまい、身体に染みこんだ動きをそのままに行動してしまっていたらしい。

 ……それでも魔法の類を使わなかった俺は、ナイスと言ってもいいだろう。

 

「あー……次」

 

 何かを説明するのが面倒になり、そう呟く。

 だが、今の一連の動きを見て自分達では敵わないと判断したのか、挑んでくる相手はいない。

 そんな中……不意に道場の中に誰かが入って来た。

 いや、誰かというかサリィだな。

 覚えのある気配に視線を向けると、それと同時にサリィが口を開く。

 

「アクセル代表、デュオとヒルデが帰ってきました」

「……へぇ」

 

 サリィの言葉に小さく頷きを返し、視線の先にいる連合軍の兵士達に向かって口を開く。

 

「どうやら、俺と戦おうという者はこれ以上いないみたいだし、俺はここで抜けさせて貰う。何か異論がある奴は?」

 

 そう尋ねるも、誰も前に出てくる様子はない。

 まぁ、ここで前に出れば俺と模擬戦を行う事になるのだから、それは当然か。

 ともあれ、自分の実力をしっかりと理解したというのは、俺にとっても嬉しい限りだ。

 これで無駄に恨まれたり、妙な風に絡んでくるような奴が出てくる事はないだろう。

 

「じゃあ、悪いが俺はこれで失礼する。綾子、五飛、お前達はどうする? ……って、聞くまでもないか」

 

 尋ねた時には、既に綾子と五飛も俺と一緒に来るというのを態度で示していた。

 

「残念ながら、今回の模擬戦はこれで終了だ。また機会があったら挑んでくるといい。こっちはいつでも歓迎するぞ」

 

 そう告げ、俺は綾子と五飛と共にサリィの方へと近づいていく。

 

「それで、戻ってきたのはデュオとヒルデだけか? プロフェッサーGは?」

「一緒に来ています」

「よし」

 

 デュオとヒルデはしっかりと仕事をしたらしい。

 まぁ、プロフェッサーGの方でも俺達に……そしてシャドウミラーに興味があったのは間違いないだろうが。

 後はハワードを宇宙に呼ぶ必要があるが……こっちはピースミリオンをどうにか手元に置いてからだな。

 ここから月の裏側に行くのにも、ある程度の日数が掛かる。

 そっちも重要だが、デスサイズヘルとアルトロンガンダムの方も休む訳にはいかないしな。

 出来ればウイングゼロはピースミリオンで作りたいところだけど……その辺は難しいか?

 原作でサンドロックとヘビーアームズの改修が行われたのは、ピースミリオンでだ。

 だが、デスサイズヘルやアルトロンのように、外見までが変わる程の大改修という訳ではない。

 勿論ただ機体を宇宙用に改修しただけではなく、装甲やスラスターの追加、武器の追加といった風に幾つか改修はしていたが。

 この違いは、勿論OZの月基地とピースミリオンという設備の違いも多少はあるかもしれないが、何よりも大きかったのは資材と時間の問題だろう。

 ハワードも、原作ではOZに消耗戦を仕掛けられれば、Gチームは保たないと断言していたし。

 だが……この歴史では、資源は俺がウィナー家から奪ってきた物や、地球で連合軍から報酬として貰った物が大量にある。

 また、現在の膠着状態を考えると、時間的な問題もある程度はクリアされている。

 そうなれば、ピースミリオンでウイングゼロを建造する問題はクリアされたと言ってもいいんだが……

 まぁ、その辺は色々と忙しい現在の状況を1つずつ片付けていく必要があるか。

 綾子達と共に道場を出ると、そのまま格納庫へと向かう。

 

 

 

 

 

「ふむ、お主がアクセルか」

 

 格納庫にやって来た俺を待っていたのは、デュオとヒルデ……そして髪型が特徴的なプロフェッサーGだった。

 

「ああ。シャドウミラーの代表を務めているアクセル・アルマーだ。……それで、こうやってここにやってきたという事は、シャドウミラーに協力してくれると考えてもいいのか?」

 

 こうしてわざわざD-120コロニーまでやってきたのだから、少なくてもこっちに興味を持っているのは間違いないだろう。

 だが、同時にガンダムの開発者達は色々と食えない性格をしているのも事実だ。

 原作でも、OZに脅された振りをしてメルクリウスとヴァイエイトを作り、OZを破壊する事を証明してみせると言っていたし、デスサイズとシェンロンガンダムをOZの資材を使って改修したし、リーブラの建造にも関わり、主砲を一発撃つごとにトラブルを起こすようにもした。

 そういう面で考えると、大人しく協力してくれるとしても完全に信用する事が出来ないのは事実だ。

 ……まぁ、今回の場合はOZと戦うという意味ではプロフェッサーGや老師Oの意向に沿った形なのは間違いないので、そこまで心配する必要はないと思うんだが。

 

「そうじゃな。すぐに返事は出来ん。暫くは様子を見させて貰うとしよう」

 

 プロフェッサーGの返事は最終的にそんな感じになった。

 これから、だな。

 このままシャドウミラーとして活動をしながら、プロフェッサーGの信頼を得ていく。

 そうなると、ピースミリオンについて話を聞くのはもう少し先の話になるか?

 けど、出来ればピースミリオンはなるべく早く手に入れておきたい。

 ……悩みどころだな。

 

「ほう」

 

 そんな風に悩んでいると、プロフェッサーGが面白そうな視線を格納庫の入り口に向けていた。

 プロフェッサーGの視線の先にいたのは、老師O。

 どうやらプロフェッサーGがやって来たと聞いて、格納庫に顔を出したらしい。

 まぁ、10年以上も直接会っていない同胞……同士? 友人? ともあれ、そんな相手がやってきたのだから、直接会いたいと思うのは当然だろう。

 

「ふんっ、随分としぶといな。やはりまだ生きていたか」

 

 口調とは裏腹に、老師Oの表情には明るい色がある。

 プロフェッサーGの方も、そんな老師Oの様子に笑みを浮かべ近付いていく。

 

「抜かせ。お主こそ、まだ生きておったか」

「儂は誰かさん達とは違って、普段から身体を動かしているからな。健康状態で言えば全く問題はない。お主こそ、そのひ弱な身体をどうにかする為に、少しは身体を動かしたらどうだ?」

「ふんっ、そんな暇があったら研究に集中するわい」

 

 そう言えば、老師Oは原作でもデュオを殴る役目を任されていたよな。

 他の4人の科学者達と違って、体格もいい。

 また、五飛と同じコロニー出身だという事もあり、拳法の技術に関して高いものがあっても不思議ではなかった。

 ……まぁ、あくまでもこの世界の人間としてはという注釈がつくが。

 ともあれ、久しぶりにあった2人は、お互いに憎まれ口を叩きつつも嬉しそうに笑っていた。

 そんな2人を見ていると、やがてデュオとヒルデの2人も姿を現す。

 その2人も、自分達を見ている俺に気が付いたのだろう。こっちに近寄ってくる。

 

「おう、アクセル。出迎えご苦労さん」

「別にお前を出迎えた訳じゃないけどな。……にしても……」

 

 改めて、しみじみと目の前の2人を見る。

 そんな視線に何かを感じたのか、デュオは微妙に嫌そうな表情を浮かべて後退った。

 

「な、何だよ」

「……いや、折角2人きりの旅行だったのに、どうやら何も進展はなかったようだと思ってな」

「なっ!」

 

 俺の口から出た言葉が予想外だったのか、デュオは言葉を失い……黙って話の成り行きを見守っていたヒルデは、顔を真っ赤にして黙り込む。

 何となく雰囲気から言っただけだったが、本当に進展らしい進展はなかったらしい。

 キスくらいはしてるかと思ったんだがな。

 

「い、い、い、いきなり何を言ってるんだよ、お前!?」

 

 言葉に詰まったデュオだったが、ようやく我に返ったように叫ぶ。

 その顔が赤くなっているのは、世間慣れしているデュオであっても、その辺りはまだまだって事か。

 ただ、考えてみればデュオとヒルデは共に15歳なんだよな。

 そう考えれば、この反応は当然の事なのか?

 でも、原作だとこの2人、同棲してたって話もあるし。

 ……多分、同棲じゃなくて同居だったんだろうな。

 何だかんだで奥手のデュオだ。それこそヒルデから迫ったりしない限り、一線を超える事はないだろう。

 

「アクセルさん、いきなり何を言ってるんですか!」

 

 デュオだけではなく、ヒルデも今の言葉にダメージを受けたらしい。

 ただ、俺は知っている。

 ヒルデが凛や綾子から俺との夜の生活について色々と話を聞いている事を。

 それだけに、ヒルデは何気に性知識という一面ではガンダムのパイロットを上回る。……ガンダムのパイロットはこの際関係ないか。

 ともあれ、こうしてデュオ達がこっちに合流したのは嬉しい出来事なのは間違いない。

 

「ま、坊やにはまだちょっと早かったかもな」

 

 とか何とか言ってるが、15歳……つまり、俺の認識では中学3年だ。

 ネギま世界で俺があやか、千鶴、円、美砂の4人に好意を寄せられたのと同じ年代。

 まぁ、当時の俺は10歳の外見だったんだから、それを考えると色々と違いがあったり、特殊だったりするのかもしれないが。

 ともあれ、ネギま世界の人間に比べても随分と初心なのは間違いのない事実だ。

 

「アクセル、例の件を話したいんだが……見せても構わないか?」

 

 デュオを弄って遊んでいると、不意にそんな声が聞こえてきた。

 そちらの方に視線を向けると、先程まではやり合っていた老師OとプロフェッサーGの2人が俺に視線を向けている。

 何を見せてもいいのかと言ってるのかは、明らかだった。

 

「ああ。構わない。元々プロフェッサーGにも見て貰うつもりだったしな」

「分かった。……では、許可も貰った事だし行こうか」

「急かすんじゃないわい。こちとら年を食った老人じゃぞ! 少しは労らんか」

「ふんっ、それを言うのならこちらも十分に年寄りだよ」

 

 そんな風にやり取りをしながら去っていく2人の科学者だが……どこか嬉しそうに見えるのは、きっと俺の気のせいという訳じゃないだろう。

 事実、デュオはプロフェッサーGの様子を見て苦笑を浮かべていたのだから。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1125
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1327

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