転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0152話

 ホワイトスターに戻ってきた翌日の昼、俺は生活区画にある医療施設でコーネリアと会っていた。レモンとの昨日の事に関しては記憶の隅へと封印する事にする。ただ、一応コーネリアに関しては認めてくれたとだけ言っておこう。

 

「すっかりいいようだな」

 

 ベッドで横になっているコーネリアだが、既にその身体に怪我の影響は一切見られない。たった一晩であれだけの怪我を完治する事が出来るという所にエアロゲイターの技術力の凄さを感じさせる。……正確に言えば、それを分析して使えるようにした技術班も負けず劣らず凄いのだが。

 

「ああ。一応念の為という事で今日一日はここで寝ているように言われているが、明日にはもう出歩いて構わないそうだ。本当にお前達は凄い技術を持っているのだな」

 

 包帯すら巻いていない自分の手をしみじみと眺めながら口を開くコーネリア。

 

「まあな。特にこの部隊ではレモンを筆頭とした技術班が俺達の元の世界に比べても突出した技術力を持っている。……その分、色々とアレな感じだが」

「レモン・ブロウニング、か。午前中にここに来たぞ」

「……そうか。それで、何か言っていたか?」

「アクセルの事を愛している以上、愛人としてなら認めてもいいそうだ。正妻はあくまで自分だと言っていたな」

 

 ……いや、何て言えばいいんだろう、この場合は。

 

「そ、そうか」

「もちろん私はこう言ってやったぞ。『一番になるのはあくまでもアクセルに最も愛された者であって、早い者勝ちではない』とな」

 

 ……いや、本当に何て言えばいいんだろう、この場合。

 

「本当に良かったのか?」

「今更何を言っている。そもそもお前が身も心も捧げろと言ってきたんだろう」

「俺はそんな事を言った覚えが一つもないんだが」

「自分のものになれ、と言うのだ。そういう風に取られて当然だろう? 少なくても私はそう認識したぞ。……それに」

 

 何故かそこで口籠もるコーネリア。

 

「それに?」

「私がお前を愛している、というのは間違いない事実だ。それは例えあの契約があってもなくても変わらん」

「……」

 

 唐突なコーネリアの告白に思わず黙り込んでしまう。

 

「何か言え、この馬鹿者が」

 

 顔を赤くしたコーネリアに急かされ、俺も口を開く。

 

「そうだな。嬉しい……そう、嬉しいのは間違いない。だが俺は」

「レモン・ブロウニングの事も愛している、か?」

「ああ」

「それで私の事はどう想っている?」

「……愛している」

「私の気持ちは昨日から何度か伝えたが、アクセルから告白されたのは初めてだな。……いいのではないか?」

「何がだ?」

「例え複数の女を好きになったり、愛したとしてもだ」

 

 コーネリアから言われたその言葉は意外だった。だが、考えてみればおかしな話ではない。なにせコーネリアは皇族だ。その父親で皇帝のシャルルが複数の愛妾を持っているだけに、その辺に関しては寛容なのだろう。

 

「複数の女を侍らすというのにもそのうち慣れるだろう。それよりも、だ。早速だがユフィがああなった原因について、アクセルが知っているという情報を教えて貰えるか?」

 

 その一言で意識を切り替えたのだろう。コーネリアの表情は真面目なものへと変わっている。

 

「そうだな……何から言えばいいのか。まずは俺の能力についてだが、俺は幾つか生まれつきの特殊能力を持っている。空間倉庫は見たな?」

「あの巨大な機体を何もない所から出した奴だな?」

「ああ。その他にも幾つかあって、その中の1つに大まかな歴史の流れを知る事が出来るというのがある」

「歴史の流れ?」

「そう。つまりはその能力によりコーネリアに提供できる情報がある訳だ」

 

 まさか原作知識なんて事は言えないので、コーネリアには悪いがこれで押し通させて貰おう。

 

「ふむ、それで?」

「コーネリアの世界には『ギアス』という特殊能力を持っている者がいる。また、特定の条件を満たすと、他人にギアスを与える事が出来るようになる」

「ギアス?」

「ああ。ただし、ギアスと言っても得られる力は千差万別だ。基本的にギアスが与えられた者の素質や願望が能力として発現する事が多いようだな。俺が知ってる限りでは、他人の心の声を聞く事が出来るギアス。他人の体感時間を停止させる事が出来るギアス。他人の記憶を書き換えるギアス、他人から愛されるギアス、人の心を渡るギアス等色々ある」

「……」

「そして、他人に自分の命令を聞かせる事が出来る、絶対遵守のギアス。……ゼロ。いや、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが持つギアスだ」

「っ!?」

「そして、そのギアスを研究している集団がギアス響団。設立者は……」

 

 この名前を言ってしまっていいのか、逡巡する。だが、コーネリア程の能力があるのならいずれ自力で辿り着くだろう。

 

「シャルル・ジ・ブリタニア。すなわち、お前の父親だ」

「父上が!?」

「そもそも何故ブリタニアがこれ程に侵略戦争を繰り返していると思う?」

「それもギアスに関係があるというのか?」

「ああ。ギアスに関係する遺跡のようなものがある場所を狙って占領している。何か表沙汰には出来ない目的があるんだろうな」

「父上……」

 

 悲しさか、あるいは悔しさか。布団を思い切り握りしめるコーネリア。

 

「……今日はこのくらいにしておくか。ギアスに関する情報については明日にでもデータに入れて持ってくるから今日はもう休め」

「分かった。……アクセル、私が眠るまででいいから側にいてくれないか?」

 

 その言葉に頷き、ベッドに横になって目を瞑るコーネリアの隣にある椅子へと座る。

 コーネリアに渡す情報はどこまで開示すべきか。ギアスに関してはユーフェミアの豹変というこれ以上ない証拠を目の前に突きつけられたから信じる事が出来ただろうが、Cの世界や思考エレベーターの事を言っても信じるだろうか?

 ……いや、その辺は時間を空けてコーネリアがもう少しギアスに関して理解してから教えた方がいいだろう。最初に大量の情報を教えても上手く整理出来ない可能性がある。普通の状態ならまず大丈夫なのだろうが、コーネリアの最愛の妹であるユーフェミアが関係している事を考えると……

 

「ユフィ……」

 

 ユーフェミアの夢を見ているのであろうコーネリアが幸せそうに呟くその寝言を聞き、俺は部屋を出て行く。

 

 

 

 

 

 翌日。俺はギアスに関連するデータをまとめたディスクとPDAを手に、再度コーネリアが入院している治療施設へと訪れていた。

 だが、そこで待っていたのは……

 

「あら、アクセル。貴男もお見舞い?」

 

 にっこりと綺麗な笑顔を浮かべたレモンと。

 

「アクセル、良く来てくれた」

 

 そして若干の緊張感を滲ませているコーネリアだった。

 正直、このまま回れ右して帰りたくなった俺を責める事は誰にも出来ないと断言したい。

 だが、そのまま本当に帰る訳にもいかず俺は手に持っていたディスクとPDAをコーネリアへと渡す。

 

「コーネリア。このディスクに昨日俺が言ったギアスについての情報が入っている」

「……感謝する」

「このディスク規格は俺達の世界のものだから、中を見たい時にはそのPDAを使ってくれ。……それと、ここからが今日の本題なんだが、その前に」

 

 そこで言葉を切り、レモンの方へと視線を向ける。

 

「エキドナは戻ってきたのか?」

「ええ。ゲートはギルフォードとかいう男の協力もあって無事設置出来たそうよ」

「ギルフォードが? アクセル、ゲートとは一体何だ?」

「その話はちょっと待ってくれ。レモン、じゃあこのホワイトスターとコーネリアの世界の時差はもう無いと考えていいんだな?」

「ええ、あちらの世界が1日24時間なら完全にこちらとリンクしているわ」

 

 ふむ、なら問題無しか。そう判断し改めてコーネリアの方へと顔を向ける。

 

「コーネリアも知っての通り、このホワイトスターとコーネリアの世界は違う世界だ。これはいいな?」

「ああ」

「このホワイトスターから違う世界へと転移する時、そこには時間差が生まれる。エキドナが来た時に2日程休暇を貰うと言ったのを覚えているか?」

「ああ。だが……いや、待て。つまりは」

 

 さすがに頭の回転が早い。最後まで説明するまでもなく俺の言いたい事に気が付いたようだ。

 

「そう。俺はあの時このホワイトスターで1日を過ごしてあちらの世界へと転移した。そうしたら既に一ヶ月近く経っていた訳だ。……その結果、ユーフェミアを止める事が出来なかった」

「……待て。アクセル、お前はユフィにギアスが使われると知っていたのか?」

「ああ。確実という訳ではないが、確率が高い事は知っていた。しかし本来の歴史では存在しない、俺という異物が混入した事によりあの事件は起きない可能性もあった」

「そう、か」

「ねぇ、コーネリア。アクセルを恨むのは筋違いよ? この人だって知っていればこそ、それを止めるべく動いていた筈だもの」

 

 レモンのその言葉にコーネリアはただ黙って頷く。

 

「分かっているさ。私のこの胸にあるのが八つ当たりだという事くらいは。……だが、すまない。今日の所は帰って貰えないか? 少し一人にして欲しいんだ」

「……そうね。行きましょう、アクセル。コーネリアの言う通り少し一人にして考える時間を持たせた方がいいわ」

 

 俺の背を押すようにして病室から出るレモン。俺はただ黙ってそれに従う事しか出来なかった。

 俺の顔が余程落ち込んでるように見えたのだろうか。廊下を歩きながらレモンが話しかけてくる。

 

「余り気にする必要はないわ。コーネリアだって貴男の事を分かっていない訳じゃない。自分の気持ちに整理を付けているだけよ。だから安心しなさい。これでコーネリアがアクセルの事を想う気持ちが変わる訳じゃないから」

 

 そこまで告げると、どこか悪戯っぽい笑みを浮かべながら腕を絡めてくる。

 

「もっとも、私としてはアクセルを独り占め出来るのならそれに越した事はないんですけどね。……でも、コーネリアの貴男を想う気持ちは本物よ。ちょっとやそっとで離れてはいかない」

「……怒ってないのか?」

 

 コーネリアは自分の父親という具体例があるから、俺が複数の女と関係を持っていたとしても許容する事が出来た。だが、レモンはそんな特別な生まれではない。……いや、特別かどうかと言われればこの上なく特別ではあるのだが、恋愛関係に関して言えば一般人とそう変わらない筈だ。

 

「ふふっ、アクセルみたいな天然女誑しですもの。いつかこんな事になるとは予想していたのよ。それに……」

 

 意味ありげに笑いながら背中を軽くつねる。

 

「正妻の座は譲るつもりはないから、覚悟してね?」




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:485
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:254

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