転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1665話

 ピースミリオンをD-120コロニーまで運び始めてから、数日……旅路の半分くらいを終え、安堵していた頃、唐突に部屋の中に非常警報が鳴り響く。

 ちなみに、当然ながら俺達がD-120コロニーから出発した時よりも、帰りの方が多くの時間を必要としている。

 その最大の理由が、ピースミリオンだろう。

 元々ピースミリオンの移動速度は遅く、その上、今は取りあえず何とか移動出来るといった程度の状態だ。

 勿論こうして移動している間もハワードの部下やドクトルSやその部下といった者達が色々と調整したり修理したり補強したりといった真似をしてくれているので、次第に速度は上がっているのだが……それでも、俺達がピースミリオンのある場所に向かう時に乗っていた老朽艦の軍艦と比べても明らかに速度は遅い。

 ……ちなみに、その老朽艦や、ドクトルS達が乗ってきた軍艦もピースミリオンと一緒に移動しているので、どこか母親の後を追う小魚といった印象を周囲に与える。

 その辺は、トールギスで周囲の様子を警戒しながら移動している時に見たので、間違いない。

 ともあれ、そんな事を考えながら俺はベッドから降りる。

 

「綾子、準備は?」

「ちょっ、ちょっと待って……」

 

 戸惑った様子で呟くのは、夜の一戦が終わった後だったからだろう。

 本来ならシャワーを浴びるなりしてから行きたいところだったが、非常警報が鳴っているような状況でそんな余裕がある訳もない。

 それは俺も同様であり、空間倉庫の中から取りだしたタオルと水で素早く身体を拭いていく。

 綾子の方もそれは同様で、素早く後始末をする。

 ……ちなみに、当然ながらピースミリオンは今までずっと暗礁宙域にあったのだから、補給の状態も決して良好ではない。

 水の類も飲み水程度であれば、俺達が乗ってきた軍艦から融通して貰ったが、シャワーの類は……まぁ、いざとなったら俺の空間倉庫には大量に水とか入ってるんだし、それを使ってどうにか出来たか。

 ともあれ、素早く後始末を済ませると、そのまま服を着て部屋の通信機に向かう。

 ……男の俺より、綾子の方が色々と大変なので、当然綾子はまだだがそれは仕方がないだろう。

 通信機に映らない場所で着替えているし、取りあえず大丈夫だろうと判断して通信機のスイッチを入れる。

 

「何があった?」

『アクセル代表? よかった……実は進行方向にMS部隊……いえ、トーラスなのでMD部隊かもしれませんが、とにかく連合軍ではない部隊がいる模様です』

「MSかMDが? ……何でまた」

『その辺は分かりません。ですが、明らかにこちらを待ち構えている様子です』

 

 待ち構えている、か。

 それはつまり、こっちが今日ここを通るというのを分かっていたからこその行動だろう。

 普通であれば、待ち伏せのような真似は出来ない。

 いや、やろうと思えば出来るのかもしれないが、地球でならともかく、宇宙でそのような真似をするとなると物資やら何やらが大量に必要になる。

 何しろ、ここは宇宙空間なのだから。

 ましてや、現在の宇宙では連合軍の一強状態だ。

 OZやバートン財団が待ち伏せしようとすれば、当然のように連合軍に見つかりやすくなってしまう。

 つまり、OZかバートン財団かは分からないが、向こうは連合軍に……それも俺達が乗った老朽艦の軍艦に内通者を作っていた訳だ。

 もしくはバートン財団から逃げ出してきたドクトルSの一行の中にスパイが混ざっていたという可能性もあるな。

 まぁ、そのどちらであっても……もしくはそれ以外の理由であっても、俺がやるべき事は変わらない。

 

「分かった。ようは出撃して向こうを撃破すればいいんだな?」

『はい。ただ、知っての通りピースミリオンは現在万全の状況ではありません。ドクトルSに聞いたところ、ビーム砲の類もまだ殆ど使用不可能な状態らしいです』

 

 その言葉に微かに眉を顰めてしまったのを自覚する。

 いや、分かってはいるのだ。

 現在の技術者が総掛かりでも、このピースミリオンはまだ半分も機能を復活させていない。

 何とか移動出来る……といった程度なのだから。

 そうであれば、戦力という意味で俺のトールギスと綾子のトーラスがある以上、元々そんなに攻撃力の高くないピースミリオンのビーム砲は後回しにせざるを得ない。

 勿論無理に動かそうとすれば動く可能性はある。

 だが、十年以上もこうして暗礁宙域に放り出されっぱなしだったのに、そのまま検査もしないで使いたいと思うかと言われれば……普通は否だろう。

 

「厄介だな……」

「そうね。幾らアクセルが強くても、ろくに性能を発揮出来ないピースミリオンを守りながら戦うというのは、少し難しいでしょうね」

 

 着替え終わった綾子が、そう告げてくる。

 普段よりも柔らかな喋り方なのは、少し前まで俺と夜を過ごして自分が女だというのを快楽と共にこれ以上ないほど味わっていたからだろう。

 

「一応綾子も戦力として期待してるんだけどな」

 

 デュオと互角に戦えるようになった今の綾子は、正真正銘ガンダムのパイロット級の実力を持っている。

 また、老朽艦ではあるが、一応軍艦も3隻はある。

 敵を倒すという意味では、文句なく十分な力を持っていると言ってもいい。

 ……もっとも、それがピースミリオンを守るという話になれば、また微妙なところなのだが。

 

「とにかく、敵を倒すのは俺と綾子に……いや、俺に任せてくれ。トールギスの性能を考えれば、防御に徹するよりも敵の攻撃に集中した方がいい」

『分かりました。正直、戦力不足が心配ですが……それでも私達としては、アクセル代表に頼るしかありません。よろしくお願いします。こちらも防戦の準備を可能な限り整えておきますので』

 

 艦長がそう言い、通信が切れる。

 

「そんな訳で、綾子は今回基本的にこのピースミリオンの護衛に徹してくれ」

「了解。もっとも、アクセルが出る以上、あまり心配はいらないと思うんだけど」

「そう言ってくれるのは嬉しいけどな。俺だって出来る事と出来ない事があるんだぞ」

 

 もし俺が何でも出来るのなら、それこそホワイトスターとの連絡を取って俺だけではなく、本当の意味のシャドウミラーとして活動出来るだろうし。

 

「ふふっ、アクセルが何を言いたいのかは分かるけど……それでも、あたしにいいところを見せてくれるのを、楽しみにしてるわよ」

 

 そう告げ、綾子と唇を重ねるだけのキスを数秒すると、2人揃って部屋を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 トールギスに乗ってピースミリオンの格納庫から出撃した瞬間、近くをビームが通りすぎていった。

 

「ちっ!」

 

 既に戦闘は始まっており、現在はお互いが離れた位置から射撃を行っているところらしい。

 だが……と、現在の様子に疑問を覚える。

 こちらの戦力は老朽艦が3隻に、まだ状態が完全ではないピースミリオン。

 それに比べると、向こうはトーラス部隊だ。

 トーラスが持つトーラスカノンの威力は、ガンダニュウム合金ですら破壊するだけの威力を持つ。

 つまり、本来であればこっちは既に幾らか被害を受けていてもおかしくはない。

 だが、そんな状況に関わらず、こちらの戦力は未だに無傷と言ってもいいような状況だ。

 その事に違和感があったのだが、今はとにかく向こうの戦力を何とかする必要があるだろう。

 

「全機、俺が攻撃を仕掛けるから、残りの戦力は防戦に徹しろ」

 

 それだけを短く告げ、スーパーバーニアにより最大加速をしながら前方に向かっていく。

 そんな俺に対して、当然のようにトーラスはトーラスカノンを放ってくる。

 ピースミリオンや軍艦に向けて撃っていたのとは、全く違う……こちらを殺そうとするだろう一撃。

 そんな攻撃を、スーパーバーニアを細かく制御する事によって回避しながら、こちらもドーバーガンを撃つ。

 真っ直ぐに離れたたビーム砲、数機のトーラスを飲み込み、爆散させる。

 そのままスーパーバーニアを動かして更に回避しながらステータスを確認すると、当然というか、予想通りというか……撃墜数は全く増えていない。

 つまり、俺達と敵対している相手は有人機ではなく、MDなのだろう。

 個人的には無人機の運用について反対ではないが、こうして敵として無人機が現れると、非常に厄介だと言ってもいい。

 幾ら倒しても、次から次に敵が現れるような感じすらするのだから。

 勿論それは気のせいであり、MDを破壊されるという事は、人的被害はないものの資源的な意味では十分向こうに被害を与えている事になる。

 特にOZは原作と違って宇宙での勢力は決して大きいとは言えない。

 ましてや、バートン財団は言うまでもないだろう。

 寧ろ、OZやバートン財団にとっては、人よりも物の方が価値があるという事にもなりかねない。

 

「ま、どのみち俺がやるべき事は……変わらないんだけどな。加速!」

 

 精神コマンドの加速を使用し、スーパーバーニアを使った速度を更に上げ、見る間にトールギスとトーラス部隊の間合いが小さくなっていく。

 勿論その間もトールギスの主兵装のドーバーガンは撃っており、MDのトーラスは次から次に撃破されていく。

 それを見ながら間合いを詰め、やがて近距離と呼べるだけの間合いまで接近する事に成功する。

 ここまで来れば、既にドーバーガンよりもマシンキャノンの方が強い。

 両肩に装備されているマシンキャノンを撃ち続け、左手のマシンキャノンもそれに続く。

 右手はシールドの裏から引き抜いたビームサーベルを使って、次々にトーラスを斬り裂いていく。

 そうして攻撃し続ける事、数分。

 やがてこちらの攻撃により向こうも看過出来ないだけの被害を受け……

 

『待て! それ以上攻撃した場合、お前達の母艦は撃破されるぞ!』

 

 オープンチャンネルで、そんな声が響き渡る。

 どこから聞こえてきた声だ? と思ったら、トーラス部隊の背後からトーラスクルーザーが姿を現す。

 なるほど、有人機ではなくてトーラスクルーザーから指示を出していたのか。

 それ自体は、おかしな話ではない。

 実際、原作でもトーラスクルーザーを指揮所という形で使っていたりしたし。

 向こう側から出て来たトーラスクルーザーの姿を見ながら、背後に……ピースミリオンと軍艦が3隻ある方に視線を向ける。

 すると、そこには、まるでその4隻を囲むようにトーラスが10機程待機していた。

 ちっ、どこから出て来た?

 いや、考えるまでもなく、伏兵だろう。

 元々向こうはここでこちらを待ち受けていたのだ。

 であれば、当然のように伏兵くらい用意しておいても、おかしくはない。

 もっとも、MDで伏兵が出来るのかどうかは分からないが。

 基本的にMDというのはそこまで複雑な命令を自分で判断は出来ない。

 それこそ、純粋にAIの性能という点で考えれば、メギロートやバッタの足下に及ばない程に性能が低いのだから。

 ……そもそも、バッタもメギロートもあのトーラスクルーザーみたいに何かあったらすぐにAIの命令を変えてやる必要があるような必要はないし。

 もっとも、メギロートは数百年、もしくはそれ以上の間使われ続けてきたAIだし、バッタは古代火星文明の遺跡により作り出されている代物だ。

 そう考えれば、完成してから殆ど時間が経っていないMDのAIとしての能力が低いのは、そうおかしな話でもないのだろう。

 つまり……あのトーラスに乗ってるのは、有人機って事か?

 もしくは、全部が全部有人機ではないにしても、何機かは確実に有人機が混ざっているだろう。

 

『聞こえているな、シャドウミラーのアクセル・アルマー。大人しく投降しろ。お前も、宇宙で自分達の母艦が破壊されればどうなるのか、分からない訳ではないだろう』

 

 得意そうに呟く相手。

 OZの制服を着ているのを見る限り、どうやらバートン財団は今回関係ないらしい。

 ともあれ、こっちの弱点を上手く突かれた形だな。

 確かに普通であれば、宇宙で自分の母艦が破壊されてしまえばどうしようもなくなる。

 そもそも、宇宙には空気とかそういうのがないのだから、母艦が破壊された時点で負けが決定しているようなものだ。

 勿論、それでも絶対ではない。

 そのまま戦い続けて敵を一掃し、敵が使っている母艦を奪い取る……といった方法もあるのだから。

 それに俺の場合は生身で宇宙空間に出ても全く関係なく行動出来るという混沌精霊としての能力がある。

 だが……それでも今回の場合は、このまま戦闘を続ける訳にはいかないだろう。

 ピースミリオンには大勢の人間がいるし、何より綾子がいる。

 半サーヴァントで、普通の人間よりは高い身体能力を持っている綾子だったが、それでも俺のように宇宙空間で自由に動けるような能力はない。

 さて……どうしたものか。

 ドーバーガンの砲口を下ろしながら、次にどう行動するのかを悩むのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1125
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1327

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