転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1670話

 宇宙空間に浮かびながら、遠くにコロニーが見える位置までやってくる。

 肉眼でコロニーが見える距離なのだから、MSとか宇宙船とかを使えばそれこそすぐ近くにあるという感じの距離。

 あのコロニーはOZの支配領域にあるコロニーで、当然のようにOZの部隊が駐留している。

 それなりに大きなOZの部隊がいるって情報だから、恐らくバルジを見ればすぐに反応するのだろう。

 それがどのような反応なのかは、俺にも分からないが。

 そして何より……情報が正しければ、あのコロニーにトールギスⅡとそのパイロットのゼクスの姿はない筈だ。

 ともあれ、空間倉庫からバルジを取り出す。

 次の瞬間、宇宙空間に以前と同様再びバルジの巨体が姿を現した。

 同時に身体を白炎に変え、こちらも以前と同様炎獣を大量に作り出す。

 バリアの類がないトーラスが相手であれば、数は多く使うがそれでも倒せるというのは証明済みだ。

 次に用意するのは、サラマンダー。

 コックピットに入って機体を起動させ、すぐにNジャマーⅡのスイッチを入れる。

 これで以前と同様もしバルジにOZだけが知っている抜け道とか隠しコマンドのようなものがあっても、ネットワーク経由で侵入するのは難しいだろう。

 後は、向こうの出方待ちだな。

 そう思い……10分もしないうちに、コロニーから何かが発進したのがサラマンダーの映像モニタに映し出される。

 へぇ。中々に動きが早い。

 いや、普通に考えれば自分達のすぐ側に未知の勢力が……それも科学的にはちょっと考えられない炎獣なんて存在が現れ、しかも拠点――あるいは巣――にしている場所が、自分達の所有していたバルジとくれば、半ば思考停止に陥ってもおかしくはない。

 ましてや、そのバルジは消えたり姿を現したりとしてるんだから……OZ側で混乱してもおかしくはない。

 それにMSだって出撃するにあたって色々と準備をする必要がある。

 そう考えれば、寧ろ10分というのは短い方だろう。

 そうして真っ直ぐにバルジに近付いてきた機体の数は、50機程。

 更にその50機は何かあったらすぐにでも反応出来るように準備しているトーラスであり、その背後にはトーラスクルーザーの姿もある。

 ……随分と多いな。

 OZがここまで戦力を回復……もしくは増強してるとは、ちょっと予想外だった。

 ただ、当然のように向こうの主力はMDなんだろう。

 その辺りは、OZだと考えればおかしくはない。

 ただ、以前OZが炎獣にやられまくった情報は、同じOZだけに当然入っている筈だ。

 にも関わらず……何の対策もしてないというのは、正直どうなんだ?

 いや、外見からでは分からないが、もしかしたら何らかの改良をされている可能性はあるのか?

 元々MDは炎獣を攻撃対象として捉えていなかった。

 実際に炎獣により攻撃されれば学習して攻撃対象とするのだが……炎獣は様々な形で、一定ではない。

 勿論鳥型といったように一定の姿を持っている炎獣もいるのだが。

 一度攻撃されれば、その姿形で敵として認識出来るMDだったが……そういう意味では、炎獣というのは天敵に近い。

 もっとも、向こうもその辺りは分かっているのだろう一定距離からバルジに近付いてくる様子はない。

 NジャマーⅡの効果範囲は、以前バルジが姿を現した時と同じにしてある。

 だからこそ、OZの部隊もこれ以上バルジに近付いてはこないのだろう。

 ……まぁ、宇宙空間を数百匹、数千匹……下手をすれば数万匹になるだろう炎獣が飛び回っているのだから、普通なら近付こうとは思わないだろう。

 今はコロニーと通信が可能なNジャマーⅡの効果範囲の外にいるが……実は効果範囲を自由に広げたり出来ると知れば、向こうはどうなるだろうな?

 そんな風に思っていると、やがて向こうもこのままでは駄目だと判断したのだろう。

 トーラスが1機、バルジに向かって近付いてくる。

 周囲を警戒しながら、真っ直ぐバルジに進み……やがて一定の範囲内に入ったところで炎獣が動き出す。

 獲物を仕留める肉食獣とでも呼ぶのが相応しい動きで、一気にトーラスに向かう。……いや、殺到すると呼ぶべきか。

 だが、前回の戦いのデータや報告によるものか、トーラスは取りあえず自分に向かってくる存在は敵として認識するのだろう。

 トーラスカノンを構え……ビームを放つ。

 ビームに呑み込まれた炎獣はそのまま消滅してしまうが、トーラスはプログラムによってバルジには絶対に攻撃を当てないようにされているのだろう。

 バルジを背に襲いかかってくる炎獣には抵抗出来ず……やがて、炎獣の群れの中に消えていく。

 これがもし有人機なら命令に逆らってバルジに向けてトーラスカノンを撃ったりもしたかもしれないが……今回の場合は、MDだけに命令に対して絶対服従。

 いや、プログラムだけに命令というより本能に近い状態と表現すべきか?

 ともあれ、MDは武器がトーラスカノンしかない以上、バルジに向けて攻撃は出来ない。

 これが、ビームサーベルとかがあったりすれば話は別だったんだが……

 一応原作では肘とかを使って近接攻撃を仕掛けたりもしていたが、炎獣に対してそのような手段は自殺行為でしかない。

 結果として、トーラスは炎獣を少しは倒す事が出来たが、最終的には数の暴力によって蹂躙され……空中に爆発の花を咲かせるのだった。

 

「さて、この結果は向こうも予想してただろうが……次にどう出る?」

 

 サラマンダーのコックピットの中に、俺の声が静かに響く。

 ……俺しかいないから、どうしても独り言が多くなってしまうんだよな。

 そんな馬鹿な事を考えている間にも、事態は進む。

 とはいえ、それはトーラスが……有人機ではなくMDが動き出したという事であり、OZの人員に被害らしい被害はないのだが。……MDも無料という訳ではないのだから、被害と言えば被害か。

 ともあれ、次にOZがとった動きはNジャマーⅡの範囲外でバルジを囲むように数機のトーラスを移動させる。

 なるほど。普通にバルジに取り付かせようとしても、炎獣の波に呑み込まれてしまう。

 だとすれば、炎獣を分散させてトーラスに対する圧力を少しでも減らそうというのは、決して間違った考えではないだろう。

 だが、OZ側の誤算は……俺が作りだした炎獣は万に届く数であり、更に言えば俺がいる限り幾らでも炎獣の補充が可能だという事か。

 一匹二匹の炎獣では、トーラスを倒すのは難しいだろう。

 だが、それでも数匹、十数匹、どんなに苦戦しても数十匹もいればトーラスを破壊するのには十分だった。

 そうして結果行われたのは、バルジの周辺で起きた、一方的な蹂躙。

 ……バルジの周辺を飛んでいた炎獣だけではなく、バルジの中にいた炎獣までもが姿を現し、トーラスに襲いかかったのだ。

 人間が操縦しているトーラスなら臨機応変に動いたり、もしくはMDであってもコントロール可能であれば撤退させる事も出来ただろう。

 だが、生憎とトーラスはMDで、NジャマーⅡの範囲内に入ってしまっている。

 原作でリーオーをMDとして動かした時は有線で動かしていたのを考えると、そちらを使えばNジャマーⅡの範囲内であってもMDをコントロール出来るかもしれないが……いや、無理か。

 そもそもここは宇宙だ。

 トーラスは三次元に動き回るのだから、もし有線でトーラスをコントロールしようとすれば、それこそ絡まるだけだろう。

 釣り糸が絡まるとか、そんな感じに。

 そんな事を考えている間にバルジに近付いたトーラスは全機が撃破され……OZの部隊は手札がなくなったのか、その場で動きを止める。

 そのまま戦況は膠着し……2時間が経つ。

 あまりに暇になった俺は、サラマンダーのコックピットの中で以前と同様に本を読んでいた。

 今回読んでいるのは、スポーツ漫画。

 バスケットを題材にした漫画で、元々はバスケ部の中でも落ちこぼれだった主人公がストリートバスケに興味を持ちそちらで才能を発揮し……やがて部活の中でも実力を発揮してレギュラーになるという代物だ。

 大抵こういうのはマネージャーだったり同級生だったり、もしくは幼馴染みがヒロインだったりするんだが、この漫画が他とは違うのはヒロインがインターハイ優勝の女子バスケ部のキャプテンだという事か。

 主人公とは全く違う地区なのだが、ストリートバスケの大会で主人公と試合した事があり、そこで縁を持った形から仲が発展していく。

 お互いが意識しつつも、ツンデレのヒロインが素直になれず……うん?

 丁度いいところで、コックピットに鳴り響く警戒音。

 何だ? と思って周囲を見回すと……

 

「マジか」

 

 思わず、呟く。

 何故なら、そこには……遠くからこちらの方に急速に向かってくる存在がいたからだ。

 いや、それだけであれば、OZの援軍か……もしくは連合軍やバートン財団がバルジの様子を見る為に手を出してきたと、そう判断する可能性もあっただろう。

 だが、それは俺にとっても見覚えのある機体だった。

 いや、見覚えがあるどころではない。何しろ、現在の俺の愛機なのだから。

 ……そう、それはトールギスⅡ。

 それも原作でゼクスが宇宙に出た時に使っていたのと同じようなブースターを身につけているトールギスⅡだった。

 いやまぁ、確かこのコロニーにゼクスがいないというのは前もって調べてあった。

 だが、トールギスⅡの性能とゼクスの性格を考えれば、寧ろこの光景は予想してしかるべきだったのだろう。

 何だかんだと、ゼクスは仲間を大事にする。

 それがアレックスやミュラーのような存在であれば話は別だが。

 ましてや、ゼクスが何を考えても、トールギスⅡがOZの最大戦力であるのは変わらない。

 であれば、バルジが再び姿を現したと聞けば、ゼクスに援軍に向かうようにOZの上層部が命令してもおかしくはなかった。

 トレーズは味方を見殺しにするのをエレガントではないと思うだろうし。

 そしてOZはMSを開発した組織だ。

 MSの移動を補助するためのブースターがあってもおかしくはない。

 ……ちっ、厄介だな。

 いずれゼクスを引き込みたいと思っている以上、ここでゼクスを殺す訳にはいかない。

 かといって、ゼクスがいる状況でバルジを消えさせると、ゼクスが……ライトニング・カウントが炎獣を含む未知の勢力を撃退したとOZの中に広まり、それが結果としてOZの士気を高めるという真似はして欲しくない。

 さて、ならばどうするべきかと考えると、すぐに思いつくのは1つしかない。

 

「しょうがないか。……まぁ、俺もこうしてコックピットで漫画を読んでるのにも飽きてきたし」

 

 主人公がダンクをしてヒロインにちょっかいをかけた相手チームにトリプルスコアで勝ったところまで読み終わると、そのまま本を空間倉庫に入れる。

 そして炎獣に指示をし、トールギスⅡには攻撃をしないようにしてから、バルジに隠れていたサラマンダーを動かす。

 この宙域でトールギスⅡと戦うにしても、あまりバルジから離れる事は出来ない。

 何故なら、もしそうなったらバルジがNジャマーⅡの効果範囲外に出てしまい、通信か何かでバルジに対してアクセスされる可能性が皆無とは言えないからだ。

 折角手に入れたバルジなのだから、むざむざ敵に奪い返されたくはない。

 その辺りの事情を考えながら……俺はサラマンダーをファイター形態のままバルジの外側に移動させる。

 そんなサラマンダーを見た瞬間、バルジの周辺……外側にいたトーラスの何機かが妙な動きをしたのに気が付く。

 恐らく動揺したんだろうな。

 いや、考えてみれば当然だけど、向こうにとってバルジを占領しているのは今まで炎獣しか知らなかった訳だ。

 白い炎で出来た獣や鳥……ましてやファンタジー系のモンスターしかいないと思っていたところに、サラマンダーが……明らかに科学的な存在の戦闘機が姿を現したのだから、寧ろ動揺するのは当然だった。

 ……もしかしたら、OZからこちらに向かって通信を送られているのかもしれないが、残念ながらNジャマーⅡがある以上、向こうからの通信を受け取ることは出来ない。

 これが普通のNジャマーなら、もしかしたら雑音混じりにも通信が出来たかもしれないが……このNジャマーⅡは、通信阻害効果に特化して開発された代物だ。

 その結果、普通の通信では間違いなくここでは通信が出来なくなっている。

 まぁ、サラマンダーの情報を集めるくらいの事はやるだろうが、それは別に構わない。

 サラマンダーは元々俺の足代わりに設計……というか改修された機体だが、それでもこのW世界ではどうしようもないくらいの性能を持っているのだから。

 そして……ファイターのまま宇宙空間に浮かんでいるサラマンダーの少し先に、ゼクスの操るトールギスⅡが姿を現す。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1125
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1327

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