転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1671話

 ブースターを外したトールギスⅡは、サラマンダーを前にしても特に攻撃体勢を取っていない。

 右腕のドーバーガンの砲口もこちらには向けられておらず、ビームサーベルを抜いてもいない。

 ただ、じっとファイターの形態のサラマンダーの前にいた。

 ……いや、多分こっちに通信を送ったりはしてるのかもしれないが。

 同時に、こっちを色々と警戒して情報を集めているのは間違いない。

 まぁ、サラマンダーはファイター形態……戦闘機形態でも色々と普通とは違うしな。

 特に大きな違いは、やはりエナジーウィングだろう。

 光の翼……と呼ぶには少し違和感がある。どちらかと言えば光の結晶で出来た翼か?

 色は緑だが。

 そんな風に考えていると、やがてトールギスⅡが動き出す。

 通信をしても通じないと分かったのか、慎重にではあるがこちらに近付いてくる。

 真っ直ぐに向かってくるその様子は、普通に考えれば自殺行為としか考えられないだろう。

 出来ればそのまま向こうの出方を見ていたかったのだが、ゼクスに主導権を渡す訳にはいかない。

 ファイターでも使える連装ビーム砲を一発、トールギスⅡの機先を制するように撃ち込む。

 連装ビーム砲は、効果範囲という意味ではドーバーガンよりも狭いだろう。

 だが、純粋な威力という面で見れば、ドーバーガーンの最大出力には劣るものの、通常の威力ではそう負けている訳でもない。

 ……より圧縮されたビームといった感じか。

 それはゼクスにも理解出来たのか、近付いてくるトールギスⅡはその場で足を止める。

 さて、次に向こうはどんな動きに出る?

 そう考えながら様子を見ていると……再びトールギスⅡはこちらに動き始める。

 再度連装ビーム砲を撃ち込むが、トールギスⅡの動きは止まらない。

 ……なるほど。今の攻撃は完全に牽制だと認識したのか。

 だとすれば、次に俺が取るべき手は……

 再び放たれる連装ビーム砲。

 連続して放たれるビームは、徐々にトールギスⅡとの距離を縮めていく。

 そしてこのままだともう数発でトールギスⅡに当たると、そうなった時……再びトールギスⅡの動きがその場で止まる。

 さて、次はどうする?

 そんな俺の疑問に答えるように、トールギスⅡは手を動かして何らかのジェスチャーを行う。

 ボディランゲージとか、そんな感じに。

 こっちに来い。……いや、来て欲しいか?

 ともあれ手でそんな風な動作をするトールギスⅡだったが、俺がそれに従ったりはしない。

 ただ黙って、ファイターの状態でトールギスⅡと向かい合う。

 そのまま数分……最初に痺れを切らしたのは、俺でもなく、ゼクスでもなく……離れた位置でこちらの状況を見守っていたOZの人員だった。

 MDを指揮する為にそこにいたんだろうが、この膠着状態に耐えきれなかったのだろう。

 ゼクスが来るまでの膠着状態に比べれば、気が短すぎるんじゃないかと思うんだが。

 ああ、でもあの時はサラマンダーを出していなかったし、そう考えれば不思議じゃないか。

 ともあれ、そのOZの人員が取った行動は……MDのトーラスが持つ最大の武器トーラスカノンで俺を狙う事だった。

 不幸にも……もしくは幸いにもか? ともあれ、現在俺がいる場所はバルジの近くではない。

 NジャマーⅡの効果範囲には入っているが、バルジは離れた場所にあり、同時にOZの人員が乗ってるトーラスもNジャマーⅡの効果範囲外にいた。

 こちらに向かって真っ直ぐに放たれるトーラスカノン。

 それを見た瞬間、俺はサラマンダーを動かして今までいた場所を離脱する。

 普通戦闘機というのは小回りが利かないのだが……それはそれ、サラマンダーはベース機はともかく、改修はシャドウミラーの技術班が行った代物だ。

 エナジーウィングやテスラ・ドライブ、そして機体の各所にあるスラスターのお陰で、サラマンダーの運動性能や機動力はMSとは比較にならない程に高い。

 ……元々の設計コンセプトが俺の移動の足なので、その結果は寧ろ当然かもしれないが。

 ともあれ、トーラスカノンが纏めて放ったビーム砲は、一瞬前までサラマンダーのあった場所を通り過ぎていく。

 MDだけあって、その弾幕は見事なものだった。

 AIならではの正確性で、密集させた攻撃をしている。

 もしここにいるのが普通のMSであれば、その攻撃を回避する事は不可能だっただろう。

 トールギスⅡが、慌てた様子でトーラスの方に向かうのが分かる。

 ……うん、恐らく攻撃を止めさせようとしたんだろうが、NジャマーⅡの範囲内だからどうしても通信は不可能だったのだろう。

 NジャマーⅡの中で通信をするには、それこそお肌の触れ合い回線を使った通信方法か……もしくは光信号とか、そういう方法しかない。

 だが、そんなゼクスの考えは完全に破綻した。

 何故なら、トールギスⅡよりもサラマンダーの方が運動性も機動性も上なのだから。

 寧ろ俺の乗っているスーパーバーニアを改良したトールギスと比べても、サラマンダーの方が機動力は高い。

 すぐにトールギスⅡを追い抜き、OZの部隊に近付いていく。

 見る間に迫ってくるトーラス。

 だが、当然MDに指示を出しているOZの兵士も黙っている筈はなく……MDに新たな指示を下そうとして、命令出来なくなっている事に気が付いたのか戸惑い、相変わらずこっちに向かって撃たれるトーラスカノンを回避しながら、連装ビーム砲を撃つ。

 瞬間、OZの兵士の乗っているトーラスは破壊され、MDのトーラスも次から次に破壊されていく。

 ……うん、まぁ。そりゃそうだよな。

 NジャマーⅡを搭載しているサラマンダーが近付いていくんだから、向こうに近付けば当然通信はジャミングされることになる訳だ。

 ああ、でも今回の戦いでゼクスが生きて帰ったら、この情報は向こうに伝わるだろうな。

 いや、コロニーの方から観察してるだろうし、その辺りの情報はもう渡っているのか?

 ともあれ、有人機はこれで始末し……NジャマーⅡの影響もあって、MDは既に命令変更を出来ないまま俺に向かって攻撃を続ける。

 炎獣を相手にした時は、MDシステムの方が攻撃対象として炎獣を把握出来たり、出来なかったりしていたみたいだが……今回の場合はサラマンダーで戦闘機に見えるしな。

 MDにとっても、判別のしやすい相手なのは間違いないんだろう。

 トーラス最大にして唯一の武器、トーラスカノンの砲口がこちらに向けられるが、サラマンダーの運動性能があればそれを回避するのは難しい話ではない。

 一矢の乱れなく砲撃を行うトーラスだったが、その砲撃でサラマンダーを捉える事は出来ない。

 幾らMDのAIが賢くても、サラマンダーの動きに処理速度はついてきていないらしい。

 この辺が出来たばかりのMDのAIと、数百年もの間戦闘を続けて改良が繰り返されてきたメギロートのAIとの違いだろうな。

 ましてや、トーラスの数はまだかなり残っていたが、連装ビーム砲により急速に減っていっている。

 そうなれば当然弾幕も薄くなり……サラマンダーを捉えるのは、更に遅くなってしまう。

 

「っと」

 

 MDの破壊に集中していたが、背後から迫ってくる攻撃にその場から機体を移動させる。

 背後から迫ってきたのは、トールギスⅡが放ったドーバーガン。

 まぁ、目の前で仲間が次々に撃破されているんだから、この対応は当然か。

 ……仲間といっても、MDだが。それでも現在のOZにとって重要な戦力であるのは間違いない。

 ゼクスもMD反対派……いや、そうでもなかったか?

 勿論MDを好んでいたという事ではないかもしれないが、原作でゼクスがMDを明確に拒否した反応はあったか?

 寧ろ、ホワイトファングを率いている時はゼクスのエピオンとリーブラ以外はMDが主力だったし。

 そのMDもゼロシステムを使ってより強力な戦力ともした。

 そう考えると、やっぱりゼクスはそこまでMDを嫌っていない?

 まぁ、それでも今はその辺はあまり関係ないか。

 ともあれ、現在俺がやるべきなのはこっちに向かって攻撃してくるゼクスを殺さない様に撃退する事だ。

 ……そうなると、俺が所有している機体の中では攻撃力の低いサラマンダーを使ったのは幸いだったと言ってもいいかもな。

 ミロンガ改はS-11ミサイルやビームマシンガンは攻撃力が高い。リミッター解除も使うに使えないだろう。

 それに比べると、サラマンダーは連装ビーム砲とグラビトン砲は使えないが、それ以外の武器はそこまで攻撃力が高くない。

 ビームマシンガンとグラビトンガトリング砲で、後者の方が攻撃力が低いのは……やっぱりマクロス世界の技術と融合したものと、シャドウミラーの技術力を十分に活かして作られたビームマシンガンとの差だろうな。

 ぶっちゃけ、グラビトンガトリング砲の威力が弱いのは以前までの話であり、今のシャドウミラーの技術で同じのを作ればもっと性能が高くなるのは間違いない。

 だが、結局のところサラマンダーは足の為の機体であり、自衛程度の攻撃力があれば問題ないという判断から、現状のままなんだが。

 ……自衛の為でも、グラビトン砲はかなりのオーバースペックだが。

 ともあれ、トールギスⅡを相手にするのに攻撃力が高すぎないというのは、こっちにとっても幸いだ。

 背後から飛んでくるドーバーガンのビームを回避しながら、エナジーウイングとテスラ・ドライブを使って強引にその場で縦に一回転し、機首がトールギスを向いたところでマイクロミサイルを発射する。

 まさに弾幕を張るというのに相応しいミサイルの群れは、こっちの背後を追っていたトールギスⅡに向かって突き進んでいく。

 それを確認しないまま一回転を完了し、再び俺の前方にはトーラスが姿を現し……機体を動かしてその場から移動する。

 するとサラマンダーが一回転したのを見て隙だと判断したMDのトーラスカノンのビームが、一瞬前までサラマンダーのあった空間を貫いていく。

 連装ビーム砲を使ってトーラスを撃破しながら、映像モニタに映し出された背後の様子を見る。

 そこでは、まさか俺がそんな行動を取るとは思っていなかったのか、トールギスⅡが動揺した様子を見せていた。

 それでもドーバーガンを使ってマイクロミサイルを纏めて破壊しているのは、さすがライトニング・カウントといったところか。

 まぁ、サラマンダーがMS……バトロイド形態になっていればまだしも、ファイター形態、つまり戦闘機にしか見えない状況だしな。

 そして戦闘機が慣性の法則? 何それ、美味しいの? といった感じの行動をするのだから、その辺りは驚いて当然だろう。

 だが、その驚きは数秒ではあるが重要な時間をこっちに与えてくれた。

 その数秒で、サラマンダーから放たれた連装ビーム砲は次々にトーラスを撃破していき……マイクロミサイルの処理をトールギスⅡが終わった時には、既にトーラスは残り数機といったところまでになっている。

 背後から追ってくるトールギスⅡがサラマンダーに追いつき、シールドの裏から引き抜いたビームサーベルを振るった時……その瞬間、俺はサラマンダーの機体を強引に動かして回避しながら連装ビーム砲により、最後のトーラスを撃破する。

 こうして、この宙域に残った戦力はサラマンダーとトールギスⅡだけとなる。

 勿論OZのコロニーが近くにあるのだから、少しでも時間を掛ければ恐らく戦力を追加してくるだろう。

 それを待つ……のもちょっと面白くないし、今回サラマンダーが姿を見せた事により、既にOZの動きを牽制するという目的は達した。

 であれば……もうここにいる必要はないだろう。

 後は、トールギスⅡに致命傷を与えないままにダメージを与えて撤退して貰うだけだ。

 トールギスⅡの様子を見ながらその周囲を飛ぶ。

 ゼクスもこっちの動きを警戒しているのだろう。トーラスが既に全機撃破された事もあって、すぐに攻撃を仕掛けてくるような様子はなく、ただじっとこちらを見つめている。

 ふむ、そうだな。なら……少し手札を晒すか。

 頑張ってここまで来たゼクスに対する褒美も含めて。

 そう判断すると、バルジの周囲を移動していた炎獣に命令を下す。

 すると次の瞬間、炎獣達が真っ直ぐにトールギスⅡに向かって殺到する。

 炎獣についてはゼクスも警戒していたのか、すぐにスーパーバーニアを使ってその場から離れる。

 そこにサラマンダーが突っ込んでいき……トールギスⅡがドーバーガンを動かそうとした瞬間、サラマンダーは戦闘機から手足が生えている姿に変形する。

 ファイターからガウォークに変形しただけだが、W世界の人間にとってガウォークというのは完全に未知の存在だろう。

 そして戸惑った一瞬の隙を突き……ビームサーベルがトールギスⅡの右腕をドーバーガン諸共半ばで切断するのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1130
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1328

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