転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1673話

 ピースミリオンに移動してきてから、一週間程。

 艦の調査や調整、修理といった事も終わり、現在ピースミリオンは連合軍とOZの勢力圏内のちょうど中間辺りを移動していた。

 パトロールという名の試験飛行だ。

 まぁ、実際に修理や調整を全て終わらせたんだが、それで完璧に動くとは限らない訳で……それを確認する為の行動だった。

 普段は普通に動いているのに、いざという時に故障なんて事になったら洒落にならないしな。

 そう考えれば、この試験飛行は当然の事だった。

 幸いというか、シャドウミラーのメンバーは全員がこのピースミリオンに乗り込んでいる。

 それこそ、科学者4人に、ハワードとドクトルSの部下達も全員。

 ……こうして見ると、実働班、技術班、事務班という感じで、割合的にはどことなくホワイトスターの方のシャドウミラーと似てるよな。

 その場合、事務班が政治班になるんだが。

 ともあれ、技術班としてハワードの部下とドクトルSの部下を纏めて確保出来たのは大きい。

 ちなみに、連合軍の整備員達も引き続き俺達と行動を共にしている。

 そもそもの話、連合軍の整備員がシャドウミラーと行動を共にしていたのは、シャドウミラーにある機体の技術を少しでも得る為だ。

 それこそガンダムやトールギスがあるし、サンドロックやヘビーアームズの設計データもある。

 その上ガンダムを開発した技術者達もいるのだから、整備員として勉強するという意味では、ここ以上の環境というのはちょっとないだろう。

 

「問題は……食事、だな」

「あー……うん。そうだな。出来ればもっと美味い料理を食いたいし」

 

 ピースミリオンの食堂で、俺はデュオと向かい合ってハンバーガーを食べていた。

 ただ、レーションの一種である以上、とてもではないが美味い料理ではない。

 いや、美味くはないが不味くもないというのが正確か。

 味覚が個人で違う以上、こういう食事は誰かが美味いと思うよりも、皆が無難だと思う味にするってのが多いらしいけど……

 

「人数がなぁ……」

「だよなぁ」

 

 言うまでもなく、シャドウミラーというのは基本的に少数精鋭だ。

 それは逆に言えば、人数を多くは出来ない。

 いや、このシャドウミラーには結構な人数がいるけど、それでも傭兵団として考えれば、戦闘が可能な機体の数は少ない。

 1機の性能はこの際考えないとして。

 そんなシャドウミラーだけに、料理人を雇うというのは……資金的には可能なんだが、なかなかこれといった人物がいない。

 

「ま、しょうがねーよ。こうして食えるだけ幸せだと思わなきゃな。……それで、アクセル。こうして俺をここに呼び出したって事は、何か理由があるんだろ?」

 

 ハンバーガーを食べ終わったデュオの言葉に、俺は頷く。

 

「ああ。知っての通り、現在俺はプロフェッサーG達に新型機の設計を頼んでいる」

「知ってるよ。何でもヒイロの機体と似てる機体なんだよな」

「そうだな。ただ、正確には全てのガンダムのベースとなった機体だ。そういう意味では、デスサイズの祖先と言い換える事も出来る。……ガンダム01が一番その血筋が濃いのは事実だが」

「俺の相棒も? ……ふーん。ま、いいや。で? 話の続きは?」

 

 デュオに続けて俺もハンバーガーを食べ終わり、水で口の中をさっぱりとさせる。

 コーヒーはあるんだけど、紅茶がないんだよな。

 ……ピースミリオンを設計するように命じた連合軍の将軍って、コーヒー派だったのか? それとも、単純にプロフェッサーGやハワードがコーヒー派なのか。

 まぁ、いい。取りあえずD-120コロニーに戻ったら、缶紅茶の自販機でも入れるように頼んでみよう。

 今回のパトロールは、実際にピースミリオンに乗ってみて何か不満があるのかどうかを調べるという意味も含まれてるんだし。

 そんな事を思いながら、改めて俺はデュオを見ながら口を開く。

 

「それで、だ。そうなれば当然俺がその機体……ウイングゼロに乗り換える事になって、トールギスが空く。そのトールギスを放っておくのは戦力的に勿体ないので、綾子が乗る事になる。で、そうなるとトーラスが空く訳だが……」

「ヒルデ、か」

「……ああ。前に何度かそれらしい話はしたと思うけど、今回は正式な要請となる」

「で? 何でそれでヒルデじゃなくて俺に話すんだよ?」

 

 椅子の背もたれに体重を預けながら尋ねるデュオだったが、こっちを見る目は鋭い。

 

「ヒルデとの関係を考えると、前もってデュオに話を通しておいた方がいいと思ってな。ああ、それと安心しろ……って訳にはいかないかもしれないが、ヒルデにはトーラスに乗って貰うと思うけど、基本的にピースミリオンの護衛に専念して貰うつもりだ。ピースミリオンは基本後方に配置する事になると思うけど、いざという時の戦力は必要だろ?」

 

 そう告げると、若干……本当に少しだが、デュオの視線が柔らかくなる。

 ……ふぅ。取りあえずいらない揉め事の種は取り除けたか。

 

「ふーん……ま、俺は別にどっちでもいいけど? ただ、MSに乗るかどうかは、あくまでも本人に決めさせた方がいいと思うぞ」

 

 それは提案という名の警告。

 もし無理にヒルデをトーラスに乗せるような事になった場合、デュオがどう出るのかを言葉ではなく態度で現していた。

 だが、それを分かっていても尚、俺は動揺しないし、当然それも表には出さない。

 何故なら、知っているからだ。

 ヒルデがMSのシミュレータに乗って訓練しているのを。

 ヒルデの性格が原作通りならば、ヒルデは自分の恋人……もしくはまだそこまでの仲になっていなかったとしても、好意を抱いているのは間違いない相手の力になりたいと、そう思うのは当然だろう。

 あるいは、シャドウミラーがもっと大きな組織で手が足りないような事はなかったりすれば、話は別だった筈だ。

 だが、シャドウミラーは精鋭であっても人数は少ない。

 圧倒的に手が足りないのだ。

 であれば、ヒルデがデュオの……そしてシャドウミラーの力になりたいと思って、MSの操縦訓練をするのは、寧ろ当然の事だろう。

 

「そうだな。なら、ヒルデがMSのパイロットをやってもいいと言ったら、予備のパイロットになって貰おう。それで問題はないな?」

「ああ。ヒルデがいいなら、構わねーよ」

 

 この辺も原作とは大きく違うよな。

 原作だとデュオはヒルデがMSに乗るのは絶対に許容出来なかった筈なんだが。

 でも、原作だとヒルデは最初OZに入っていたんだし、その辺の違いか?

 

「よし、なら聞いてみるか。……デュオの見ていない場所でヒルデにMSを使うかどうか聞けば、色々と勘ぐるだろうから、この場で聞いてみようと思うけど、構わないか?」

「そうしてくれると、こっちとしても助かるな」

 

 デュオが俺の言葉に頷く。

 ……まぁ、わざわざこっちが妙な行動をとって、デュオに怪しまれたりする必要はないよな。

 そんなデュオの様子を見てから、立ち上がる。

 

「じゃあ、行くか」

 

 その言葉にデュオも立ち上がる。

 この時間にヒルデがどこで何をしているのかというのは、前もって凛から予定を聞いてある。

 その予定によれば、現在のヒルデは事務処理をしている筈だ。

 凛の方はちょっと連合軍との交渉で出てるし、幸いにも現在はヒルデだけ。

 なら、この件について聞くには丁度いい。

 俺とデュオは、ヒルデが仕事をしている場所に向かい、歩き始めるのだった。

 

 

 

 

 

「ヒルデ、いるか?」

「はい? あれ? アクセル代表、どうしたんですか? デュオも」

 

 丁度書類を書き終えたところだったのか、ヒルデがこっちを見て驚く。

 ……俺よりもデュオを見て驚きを露わにしているというのは、やっぱりそういう事なんだろう。

 

「ちょっと用事があったんだが、仕事の邪魔をしてしまったか?」

「いえ、ちょうど書類の方も一段落したので、問題ないですよ。……見て下さいよ、これ。技術班の人達ったら書類の形式を無視して書き込むんですよ? おかげでこっちで手直しする必要があって……アクセル代表の方からきちんと言って下さいよ」

「あー……まぁ、その辺はな」

 

 そもそも技術班という区別は例に寄って例の如く、俺がつけたものだ。

 当然それはホワイトスターの方のシャドウミラーから持ってきた名前であり、俺がその名前に馴染み深いからというのが最大の理由だったりする。

 で、その技術班だが……ハワードの部下とドクトルSの部下が組み合わさっている為、どうしても流儀とかそういうのが違う場所もあり、時々ぶつかる。

 今回の書類の件も、恐らくその辺りの事が関係しているのだろう。

 いや、書類の書き方だと違うのか?

 

「一応、ハワード達には話を通しておくよ。あの捻くれた頑固爺がどこまでこっちの要望に答えるのかは分からないが」

「そうしてくれると、嬉しいです。……それで、ここには何の用件で? 何か書類でもありましたか? それとも、こっちで処理した書類を見る為に? ……何故かデュオも一緒にいますけど」

 

 そう尋ねてくるヒルデに、一瞬デュオの方を見てから口を開く。

 

「今日は少しヒルデに要望があってな。デュオはまぁ……付き添いだ」

「……付き添い?」

「ああ。愛しの恋人が俺と2人きりになるのは我慢出来ないんだそうだ。意外と独占欲が強いよな」

「ちょっ、おい、アクセル!? いきなり何言ってるんだよ!」

 

 デュオが慌てたように叫ぶが、当然それで言葉の全てを隠せる訳でもない。

 ヒルデはしっかりと俺の言葉を聞いており、頬を赤く染める。

 ……デュオの方も頬を赤くしてるし、こうして見ると希に見る純情カップルだよな。

 初々しい。

 

「ま、事実はこのくらいにして……」

「そこは冗談はこのくらいにしてだろ」

「冗談なのか? ふーん……デュオのヒルデに対する想いはそんなものか」

「っ!? いいから、早く本題に入れよな!」

 

 叫びそうになるのを我慢して叫ぶデュオに促され、これ以上からかうと本気で怒るだろうと判断して口を開く。

 

「ヒルデ、単刀直入に言う。MSパイロットになるつもりはないか? ただ、前線で戦うんじゃなく、このピースミリオンの護衛としてのMSパイロットだが」

「はい、なります」

 

 数秒も考える事なく、ヒルデは殆ど反射的なのではないかという速度で頷いてくる。

 これには俺も驚いた。

 いや、ヒルデの性格やこれまでの行動から考えて、引き受けるとは思っていた。

 だが、まさかここまで躊躇なく引き受けるとは思っていなかったのだ。

 一晩考えさせて欲しいとか、そんな風に悩んだ末に引き受けるのだと思ってだけに、ヒルデの様子には驚きしかない。

 それは俺だけではなくデュオもまた同様だったらしい。

 デュオは驚きの視線をヒルデに向け、口を開く。

 

「いいのかよ、ヒルデ」

「いいのよ。元々私はデュオ達だけに任せて書類仕事とかをしてなければならなかったのが少し悔しかったんだもの。だからって……MSの操縦技術は、とてもじゃないけどシャドウミラーの戦力として第一線で戦う事は出来なかった。訓練は重ねてたんだけど、才能が……ね」

 

 少しだけ悔しそうな苦笑を浮かべるヒルデ。

 まぁ、比べる対象が悪いってだけで、ヒルデは別にMSを操縦する才能がないって訳じゃないと思う。

 そもそもの話、原作のヒルデは最初OZのMSパイロットだったのだ。

 それもただのパイロットではなく、象徴的な存在……というのはちょっと言い過ぎかもしれなないが、ヒルデのいたコロニーの代表的な存在だったのは間違いない。

 だからこそOZから特別扱いされていたし、デュオがリーオーを盗んだ時にもすぐにMSで出撃した。

 そう考えれば、ヒルデにMS操縦技術の才能がないという選択肢は最初からない。

 ただ……それはあくまでも一般的なパイロットの技量としての話であって、それこそガンダムのパイロット級というのには及ばないのだろう。

 

「けど、前線で戦うんじゃなくて、ピースミリオンの防衛という事なら、多分私でも出来ると思うんだ」

「だろうな」

 

 その言葉に、頷きを返す。

 ピースミリオンの前方には、俺を含めたMS部隊がいる。

 その中を、それこそ無傷で通り抜けるというのは、ちょっと難しいだろう。

 それに、ピースミリオンにはそこまで威力が高い訳ではないが、それでも多くのビーム砲がある。

 それを考えれば、防衛のMSの出番が出てくるか……というのはちょっと微妙だろう。

 それこそ、本当に念の為とかそういう感じなのだから。

 

「ね、だから大丈夫。それに……もしかしたら、私の腕が上がって、デュオよりも強くなるかもしれないわよ? そうなったらデスサイズは私が乗ろうかな」

「……ふんっ、そう簡単に追いつかれたりはさせねえよ。そもそも、俺だって訓練をして操縦技術は上がってるんだからな」

 

 ヒルデの言葉に、デュオも取りあえず納得したのか笑みを浮かべてそう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1130
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1328

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