転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1677話

 パトロールという名の慣熟航行を行ってから2週間程。

 ようやく映像モニタには、俺達の本拠地のD-120コロニーが映し出された。

 ……いや、ピースミリオンが宇宙での本拠地という事になっているんだから、D-120コロニーは補給地とかそういう認識の方がいいのか?

 ともあれ、久しぶりに見るそのコロニーに、俺以外の面々も嬉しそうな声を上げている。

 中でも、シルビアはやっぱりどこか安堵した表情を浮かべていた。

 まぁ、仕方がないだろう。元々シルビアは軍人ではない。

 シャドウミラーに同行する為に臨時として軍人という形になってはいるのだが……それでも一般人と呼ぶのに相応しい人物だ。

 そんなシルビアにとって、やはり自分と親しい相手……セプテムやギンターがいる場所というのは、より安心出来る場所なのだろう。

 そう考えると、実はギンターにも結構脈あるのかもしれないな。

 ただ、シルビアがギンターを男として認識しているか、それとも単純に自分と親しい友人として認識しているのかは分からないが。

 

「ふふっ、これでまたアクセル代表に勝つのは難しくなりましたね」

「ふんっ、俺は強くなっている。いずれ奴にも勝ってみせる」

 

 そんなシルビアと五飛の会話が耳に入ってきた。

 シルビアは自分の上司的な扱いのサリィといる事が多く、そのサリィは五飛を気にしている。

 ……これは、デュオにはヒルデが、そして俺には凛と綾子がいるのに対して、五飛には親しい相手がいないからだろう。

 一応老師Oがいるが、そっちは色々な意味で忙しいし。

 また、五飛とシルビアはシルビアの方が若干年齢は上だが、それでも老人の老師Oよりは遙かに年齢は近い。

 

「はい、じゃあD-120コロニーに向かうシャトルに乗る人は準備を始めて。それと、今回の航行で足りなくなった物資、他に必要だと思った物、何か疑問に思った事とかがあったらレポートで提出してちょうだい」

 

 ブリッジの艦長席に座っている凛が、周囲を見回しながらそう告げる。

 その姿は艦長をやるのを嫌がっていたとは思えない程に様になっている。

 

「お姉様……素敵です」

 

 そして当然のように凛に心酔しているシルビアにとって、艦長として働いている凛は理想のように見えるのだろう。うっとりとした視線を向けていた。

 シルビアはとにかく、他の者達は凛の言葉に従ってそれぞれ行動を取るべく動き始める。

 本拠地としては普通の戦艦の何倍もいいんだけど、やっぱりコロニーの格納庫に入る事が出来ないってのは痛いよな。

 修理とかをする時にも、宇宙空間に直接俺達が出向いてやる必要があるし。

 生身で宇宙空間を移動出来る俺はともかく、普通の人間にとってはかなり面倒な事態になるのは間違いない。

 ピースミリオン級が連合軍の中でも一般化しなかった理由は、この辺りにもあるんだろうな。

 整備性が悪すぎると。

 ……もっとも、シャドウミラーとして使う分には全く何の問題もない。

 欲を言えばメギロートが……いや、作業用として考えればバッタの方がいいか。バッタがいれば万全だったんだろうが。

 万全と言うなら、ホワイトスターとの連絡が取れてこそか。

 ともあれ、そんな感じで事態は進んでいく。

 

「アクセルはどうするの?」

 

 ブリッジの中に殆ど人がいなくなったのを確認すると、凛がそう尋ねてくる。

 艦長ではなく、凛としての態度。

 

「うーん、どうすると言われてもな。セプテムに今回の件で色々と話す必要があるし、整備員を借りる必要もある。そう考えると、やっぱりD-120コロニーに行く必要はあるだろうな」

 

 それに、アリバイも必要だし。

 以前のバルジの件から、既に半月程経っている。

 であれば、またOZやバートン財団が妙な動きを見せないとも限らない。

 ウイングゼロが出来るまでは膠着状態でいて欲しい俺としては、バルジ再びといったところか。……バルジ三度、か?

 とにかく、現在のウイングゼロはまだフレームの部分も完成はしていない。

 そうなると、時間稼ぎが必要なのは間違いないだろう。

 ……そろそろ、地上も気になるんだけどな。

 宇宙はバルジの件もあって連合軍が圧倒的に有利な状況だ。

 それに比べると、地上はまだ連合軍が完全に有利だとは言えない。

 ましてや、バートン財団の影響も完全に排除出来た訳ではないし、それどころか中東連合なる組織まで出来上がっている。

 どう考えても、厄介以外のなにものでもない。

 その辺をどう思っているのか……俺達シャドウミラーを地上に向かわせなくてもいいのかも、セプテムに聞いておいた方がいいだろうな。

 

「ふーん。私は艦長だから艦に残るけど、何かあったら連絡をちょうだい」

「ああ」

「それと、お土産もね」

「……お土産って何だよ。別に遊びに行くわけじゃないんだがな」

 

 そう溜息を吐くも、凛をピースミリオンに残していかなければならないのは事実だ。

 そう考えれば、何かちょっとした土産でも買っくるのはいいかもしれないな。

 ……ああ、何か珍しい香辛料とか調味料とか、そういうのがあったら買ってもいいか。

 もしくは、紅茶の茶葉とか。

 

「それくらいいいでしょ?」

「はいはい、分かったよ。何か買ってくるから、そのつもりでいてくれ」

 

 そう言葉を交わし、俺はブリッジを出てシャトルのある格納庫に向かうのだった。

 

 

 

 

 

「ピースミリオンの方は、特に問題がなかったようだな」

「ああ。いや、細かい問題は幾つか出たけどな」

「それでも、致命的な問題が出なかっただけ、いいと思うぞ」

 

 俺の言葉に、セプテムは笑みを浮かべながらそう告げる。

 妙に上機嫌だな。

 

「何かあったのか?」

「ああ。実は昨日OZとの戦闘になった。もっとも、本格的な戦闘という訳ではなく、偶然遭遇したという程度の戦闘だが」

 

 それなら、そこまで大きな戦闘という訳ではないな。

 しかもこうしてセプテムが喜んでいるという事は……

 

「勝ったのか」

「そうだ。こっちもMDを運用する為の部隊だったから、そういう意味ではOZと戦力的には変わらない」

「だろうな」

 

 勿論細かい改修作業とかはされている可能性があるが、それでもMDシステムの関係上、大きな改修は不可能な筈だ。

 いや、AIのプログラムを考えれば、全機が統一した性能である事を求められる筈だから、寧ろ一切改修作業はしていないと考えた方がいいか?

 機体を改修すれば、当然のようにAIのプログラムの設定数値を始めとして色々と修正する必要がある。

 その辺の労力を考えると、大規模な改修……それこそデスサイズからデスサイズヘルにするような改修ならともかく、ヘビーアームズやサンドロックを宇宙用に対応する程度の改修はしない方がいいだろう。

 スラスターの増設とか、結構改修はされてるんだけどな。

 ともあれ、MDの場合は細かい改修はないと考えてもいいだろう。

 特に連合軍はMDを開発したOZではなく、そのOZから……正確にはバートン財団がOZから手に入れたトーラスの生産プラントを、更に奪って使っている。

 そう考えれば、連合軍のMDの運用についてはどうしてもOZより出遅れていると言えるだろう。

 ……まぁ、それでも連合軍の国力を考えれば、MDの数を揃えるという点で有利だったのだろうが。そして……

 

「数を揃えたからこそ、OZに勝てたか」

「そうだな。MDのおかげで、パイロットの操縦技術の差はそこまで重要なものではなくなった。今は、MDを更に増産しているところだ」

「……上機嫌のところ悪いが、1つ忠告だ。MDは確かに強い。一般の兵士相手であれば、それこそ相手にもならないだろう。だが……逆に、相手が一般の兵士でなければ、MDはただの案山子にすぎなくなる。それこそガンダムのパイロットくらいの操縦技術を持っていればな」

「ライトニング・カウントか」

 

 俺の言葉で少しは頭を冷やしたのか、セプテムが多少憂鬱そうに呟く。

 

「ああ。しかも以前と違って今のゼクスは俺と同じトールギス、トールギスⅡを使っている。MDを何機集めても……敵ではない」

 

 もっとも、数を揃えて消耗戦を仕掛けるという手段はあるんだが。

 ゼクスの精神的な疲労を考えれば、向こうにとってはこれ以上嫌な戦い方もないだろう。

 消耗戦となると、連合軍の被害も大きくなるのは間違いないが……そこはそれ、OZと比べても高い国力を持っている連合軍であれば、ゼクスを相手にしての消耗戦もそこまで大きな損害とはならないだろう。

 心配なのは、トレーズか。

 ゼクスに勝るとも劣らぬMSの操縦技術を持っているだけに、トールギスⅡ……いや、下手をしたらトールギスⅢが出てくる可能性も否定出来ない。それどろか、エピオンが出てくる可能性すらある。

 

「……厄介な相手だな」

「ああ。まぁ、向こうが出て来たら俺達に任せればいいんだけどな」

 

 ゼクスがガンダムのパイロットと同等の強さを持っているとしても、シャドウミラーの実働戦力はガンダムのパイロット級が3人、そしてガンダム3機を敵に回しても問題なく対処出来る俺がいる。

 ヒルデが最近訓練を重ねているが……こっちは防衛専門だから、あまり考えなくてもいいか。

 

「ふむ、シャドウミラーに頼りっぱなしというのは、出来れば避けたいんだがな」

 

 不満そうに呟くセプテムだが、敵にゼクスやトレーズがいる以上、そう簡単には楽観視出来ないだろう。

 ああ、そう言えば……トレーズで思い出したが、レディ・アンは今どうしてるんだ?

 地上で色々とやりすぎた影響で宇宙に行ったのは覚えてるし。どこぞのコロニーの上層部がレディ・アンの色仕掛けに引っ掛かってOZの思い通りに動かされているのも知っている。

 だが、それを最後に足取りは途絶えていた。

 何か妙な事を考えてないといいんだけどな。

 

「レディ・アンはどうしてる? 奴が妙な動きをする前に、出来れば仕留めてしまいたいところだが」

「……そうだな」

 

 俺の言葉に、セプテムは反対を口にしない。

 まぁ、バルジでコロニーを狙って脅しを掛けてくるような相手だ。

 普通なら助けたいとは思わないだろうし、排除出来るのなら出来るだけ早く排除したいだろう。

 連合軍としても、以前の降伏勧告の映像を見ていれば、何とか早めに対処したいと思ってしまうのは当然だった。

 

「で、場所は?」

「……いや、残念だが分からん。幾つかのコロニーに姿を現したのは確認しているが、それ以降は姿を見せていない」

「自分が狙われているのに、気が付いたのか?」

「かもしれんな」

 

 レディ・アンも、自分が今までやって来た事を考えれば、連合軍に狙われているくらいの事は悟るだろう。

 なら……地球に戻った?

 まぁ、その可能性もないではないが……だが、それこそ今の地球にレディ・アンの居場所があるとは思えない。

 それなら、まだ色仕掛けで頭がお花畑のコロニー上層部――勿論そんなのは一部だけだろうが――を籠絡していった方がOZとしての力になるだろう。

 そう考えると、やっぱりまだ宇宙にいる可能性が高い。

 最悪のパターンとしては、実は地球に降りていて中東連合とOZの橋渡しをしているとかか?

 ただ、中東連合は反地球連合軍ではあるが、同時に反OZでもある。

 そう考えれば、むざむざ中東連合がOZと手を組むとは思えない。

 

「何とか早い内に見つけ出さないと、厄介な事になりかねないぞ」

「分かっている。バルジで脅しを掛けてくる奴だ。……まぁ、今はそのバルジは色々な意味で奇妙な状態になっているがな」

 

 奇妙な状態。

 バルジを言い表すのに、これ以上相応しい言葉もそうそうないだろう。

 もっとも、その原因を素直に表に出したりはしないが。

 

「まぁ、捜してるんなら別にいい。何だったら、こっちでも動くか?」

 

 シャドウミラーとしても、レディ・アンは放っておける相手ではない。

 ここで動かなければ、妙な真似をしてこないとも限らないのだから。

 コロニー落とし何かをされそうになったら、ちょっと洒落にならない。

 それこそ、ニーズヘッグ辺りを出してコロニーを纏めて消滅させるくらいはしないといけないだろう。

 いや、それともここでウイングゼロを出せばいいのか?

 それはそれでいいような気がしないでもないが。

 

「いや、シャドウミラーには動かないで貰おう。……色々と目立つしな」

「心外だな。目立たないようにして行動しろと言われれば、当然それも可能だぞ?」

「……今までのアクセルの行動を見てれば、それはちょっと信じられないのだが」

「別に俺だけじゃなくても、シャドウミラーには他にも人がいるぞ? それこそ、例えばデュオなんかは隠密行動も得意だし」

「そうだな、検討させて貰おう」

 

 あ、これ駄目な奴だ。

 ……まぁ、考えてみれば、シャドウミラーは戦力として重要だ。

 だとすれば、ただでさえ少ない人数を、更に減らしたりはしたくないか。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1130
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1328

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