転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1678話

「……は? それは本当か?」

 

 ピースミリオンに各種資材を積み込んでいる間、暇になった俺はD-120コロニーにある連合軍の基地で軽く食事をしていた。

 昼時のピークを終えた、午後2時くらいなので人の姿もそれ程ない。

 いても、午前の仕事が忙しくて遅い昼食を食べている何人かくらいか。

 そんな中にサリィがやってきて、俺の向かいに座って喋った言葉に対し、俺は驚きを露わにそう尋ねる。

 

「ええ。こちらに入っている情報では、間違いない事実です。どうやらトレーズ・クシュリナーダがOZ代表の座から降りたというのは間違いなく、それに伴いOZがトレーズに心酔している者、ロームフェラ財団に心酔している者の2手に別れて内乱状態になっている模様です」

 

 戸惑ったように呟くサリィだが、それは俺も同様だ。

 いや、OZがMDを主戦力とした以上、いずれトレーズが原作通りに失脚するというのは予想出来ていた。いたんだが……宇宙ではOZは圧倒的に不利で、地球でもとても有利とは言えない状況だ。

 そんな中で、OZが内乱を起こしたとなると……ただでさえ弱っているOZの戦力が、更に弱まる事になる。

 いや、それは別にいい。寧ろ、連合軍としては諸手を挙げて歓迎すべき光景だ。

 しかし、そこまで連合軍に都合良く動くのか?

 ……実際にこうして事態が動いている以上、心配しすぎだとは思うのだが。

 

「これがOZ側のブラフって線はないか?」

「それは連合軍の方でも検討しました。ですが……実際に戦闘はおきています。あるいはMD同士の戦いであれば、その可能性もあったかもしれませんが、トレーズ派はMDを拒否しており、MDとの戦いで大勢のパイロットが亡くなっています。そう考えると……」

 

 最後まで言わずとも、サリィの言いたい事は分かった。

 こっちを騙す為だとしても、死者の数が多すぎると、そういう事だろう。

 

「なら、やっぱり本当にOZが内乱を起こしているのか?」

「そうなります。……どう思います?」

「どうって言われてもな……今の状況で内乱を起こすのは、それこそ自殺行為にしか思えないんだがな。ただ、実際に行動を起こす以上は勝ち目のある何かがあるのかもしれないな」

 

 エピオン? いや、ウイングゼロですらまだ骨組みの段階だ。

 だが、一説によるとエピオンシステムはトレーズが独自に作り上げたという説もある。

 トールギスと違い、ウイングゼロはOZにデータが残ってはいない筈だ。

 しかし……全てのデータを完全に消去したとは限らない。

 何らかの断片的なデータの類があれば、もしかしたら……という可能性もある、か?

 エピオンに関しては、出て来たら俺が相手をするしかないだろう。

 ウイングゼロの完成を、少し急がせた方がいいかもしれないな。

 勿論それは最悪の想定であり……エピオンはまだ影も形もない可能性というのは十分にあるんだが。

 ああ、そうだ。最悪の想定と言えば……

 

「ゼクスはどうしてるか分かるのか?」

 

 トールギスⅡに乗っているゼクス。

 これは、エピオンの存在が不明である以上OZの最大戦力と言ってもいいだろう。

 原作のように大量にMDを運用出来る訳ではない財団派にとって、トールギスⅡを使いこなすゼクスというのは厄介極まりない筈だ。

 

「いえ、分かりません。宇宙でもOZの内乱は続いていますが、そこに姿を現した様子がありませんから」

「……地上に戻ったのか?」

 

 そう呟くも、そこに疑問が生じるのは仕方がないだろう。

 元々ゼクスが宇宙に来たのは、俺との再戦を望んでの事だった。

 だが、その戦いはまだ行われていない。

 そんな今の状況で、ゼクスが地上に戻るのか?

 勿論その可能性は皆無とは言わないが、それでもどこか違和感の残る話だ。

 ゼクスの性格を考えれば、まず間違いなく誰もがそう思うだろう。

 そもそも、ゼクスはOZに対する帰属意識というのはそこまで高くはない。

 元々はサンクキングダム滅亡の復讐をする為、OZに所属したのだから。

 その復讐に関しても、ルクセンブルク基地を守っていた軍人が死んでいる以上、その帰属意識は更に減っているだろう。

 原作でも、ルクセンブルク基地を攻略して仇を取り、サンクキングダムを解放した後にはヒイロとの戦いに熱中していったしな。

 それでもすぐにOZから離れなかったのは、トレーズがゼクスの……ミリアルド・ピースクラフトの友人だからだろう。

 その友人が囚われの身となってしまったとなると、もしかしてトレーズ派にゼクスが味方をするか?

 財団派に味方をするというのは有り得ない以上、やはり可能性としてはトレーズ派か、それともOZを離脱か。……大穴として、ゼクス派を作るという可能性も……いや、どうだろうな。

 原作のオットーを始めとして、ゼクスに心酔しているという者は少なからずいる。

 ノインもいるしな。

 そう考えれば……

 

「最悪、OZは3つに分かれる可能性も否定出来ない、か?」

「本気ですか?」

 

 呟かれた俺の言葉に、目の前のサリィが信じられないといった表情を浮かべる。

 まぁ、中東連合やバートン財団のように幾つも勢力がある以上、それが更に増えるというのは遠慮して欲しいというのが正直なところなのだろう。

 元々ガンダムWは原作でもポコポコと組織が現れては消え、といった事が多かった。

 それが更に増しているのだから、連合軍にとっては堪ったものではないだろう。

 この世界の組織の多さはちょっと異常だと思うのは……俺が他の世界を知ってるからだろうか。

 

「トレーズ派、財団派……そして、ゼクス派」

「それはないと思いますよ? 幾らゼクス・マーキスがOZの中ではエースパイロットとして人気があっても、1つの組織になる程とは……」

「だと、いいんだけどな」

 

 サリィの言ってる事は正しい。

 普通なら、ゼクスが兵士の信望を集めていても、トレーズの前では霞んでしまいかねない。

 だが、今のトレーズ派は、その名前と違ってトレーズが参加していない。

 そこにゼクスが直接参加している組織となれば……

 

「とにかく、今のOZがそのような状況になっているので、現在連合軍がOZに対する攻撃を激しくした方がいいと主張する者と、逆に今は様子見に徹した方がいいと主張する2つに分かれています」

「へぇ……予想外だな。てっきり攻撃一色になるものだとばかり思ってたけど」

 

 攻撃をすると主張するのは、現在のOZは連合軍と満足に戦う事が出来ないという者だろう。

 OZが2つの勢力に分かれて争い、更には何故か……そう、何故かバルジはOZの勢力圏内に現れる。

 そう考えれば、OZが満足に迎撃出来ないという考えは決して間違っている訳ではない。

 そして現在は様子を見るようにと主張している方は、2つに分かれたOZがお互いに潰し合い、戦力を磨り減らしてくれる事を期待しているのだろう。

 また、ここで下手に連合軍が手を出せば、共通の敵が現れたという事で、OZが再び1つに纏まる可能性を考えているのだろう。

 

「アクセル代表はどちらに賛成です?」

「俺か? 俺は……後者だな」

 

 そう、膠着状態が出来るだけ長く――ウイングゼロが完成するまで――続いて欲しい俺にとって、協力すべきは静観の方だった。

 

「意外ですね。アクセル代表なら、真っ先にOZに攻め込んで、両方纏めて倒してしまえ、と言っても不思議ではないのですが」

「お前、俺を一体何だと思ってるんだ?」

 

 一度、本気でサリィが俺をどう思っているのかを聞いてみた方がいいような気がする。

 ……まぁ、自分が攻撃的だと思っているのは、自分でも承知してるんだが。

 

「その事は後で凛や綾子も一緒に話しましょうか」

「……そうだな」

「ふふっ、ああ、それと……セプテム将軍もアクセル代表と同じ意見だそうですよ? 現在は様子見の方がいいと」

「また、随分と……こっちも予想外だな」

 

 俺が関わった影響で色々と変わっているセプテムだが、それでも攻撃的というか、タカ派というか、そういうのは基本的に変わっていない。

 特に今は連合軍でもMDの数を揃えつつあり、実際にこの前会った時には連合軍のMD部隊がOZのMD部隊に勝ったと、そう言っていたのだから。

 だからこそ、てっきり今回も攻撃をした方がいいと主張しているのかと思いきや……まさか、見守る方を選ぶとは。

 何がどうなってそうなったのか、出来れば知りたいところだ。

 

「ええ。連合宇宙軍の軍人達も、ノベンタ元帥やベンティ将軍も同様に驚いてました」

 

 まさか、妙な事を考えてはいないだろうな?

 それこそ、実はOZと繋がっているとか。

 ……いや、ないな。現在のセプテムの立場で、OZと繋がる必要性がない。

 このまま順調に戦いが進めば、連合軍の勝利は間違いないんだから。

 

「どのみち、俺は助かるよ。俺の新しいMSもまだ殆ど骨組みに近い状態だし」

「ああ、だから見守る方を選んだんですか」

「そうなる」

「なるほど。それなら納得ですね。アクセル代表が思う存分暴れられる機会を見逃す筈がないと思っていたんですが」

「だから、本当にお前は俺をどう思ってるんだ?」

「凛と……」

「それはもういい」

 

 懲りずに告げてくるサリィにそう言葉を返し、席を立つ。

 

「ともあれ、現在の情報は分かった。こっちはゼクスがどう行動するのかとか、バートン財団、中東連合といった組織の行動、それとバルジの件……といった風に色々と気になるが、それは今の状況だとどうしようもないしな」

「ええ。そちらについても出来るだけ情報を集めようとは思っています」

「期待してる」

 

 そう告げ、食堂を出る。

 ……にしても、トレーズ派と財団派に分かれたか。

 そうなると、原作のようにリーブラが作られる可能性が高くなったな。

 トレーズ派にはトレーズという象徴がいるが、財団派には特に象徴らしい人物はいないし。

 ロームフェラ財団を動かしているデルマイユは、とてもじゃないけどその器じゃないし。

 一応、トレーズと血は繋がってる筈なんだけどな。

 いっそ、ドロシー辺りを象徴に祭り上げるというのはどうだ?

 原作でもリリーナがロームフェラ財団の代表になった後は、色々と動き回ってデルマイユを追い詰めていた。

 それが出来るだけの能力とカリスマ性は持っている。

 だが……ドロシー本人が納得しないだろうな。

 もしそんな真似をすれば、即座に降伏してトレーズ派の下に付くという事をしかねない。

 ああ、でもトレーズ派にはトレーズがいないし、そう簡単にはいかないか。

 ともあれ、象徴がいない以上、やはりリーブラの可能性はあるな。

 ただ、問題もある。

 原作だと宇宙の殆どをロームフェラ財団が支配したからこそ、労働力や資材を大量に投入し、短期間でリーブラを完成させる事が出来た。

 実際、リーブラと同程度の大きさを持つバルジは、完成までに15年だったか? そのくらいの年月が掛かっている。

 にも関わらず、リーブラは数ヶ月程度で完成したのだ。

 OZがリーブラ建造にどれだけの労力と資材を回したのかは、容易に想像出来るだろう。

 ……まぁ、そのリーブラも完成寸前にホワイトファングに奪われてしまったのだが。

 

「アクセル、どうしたんだ?」

 

 基地の中を歩いていると、不意にそんな声が掛けられた。

 声のした方に視線を向けると、そこにはデュオと五飛の姿が。

 同じガンダムのパイロットだが、この2人が一緒にいるってのは珍しいな。

 ああ、でもデスサイズとシェンロンガンダムは改修してるんだし、そう考えればこの2人が一緒にいるのはそんなにおかしくないのか?

 まぁ、改修しているのはピースミリオンで、ここはD-120コロニーだから、十分におかしいのかもしれないが。

 

「いや、ちょっとピースミリオンに連絡を取ろうと思ってな」

「何かあったのか?」

 

 鋭く尋ねてくる五飛の言葉に頷き、先程サリィから聞いたOZが2つに割れたという説明をする。

 

「本気かよ? 今でさえ、OZは色々と追い詰められてるってのに、こんな特に内輪揉めとか……」

「ふんっ、現在の自分達の状況が我慢出来ず、その苛立ちを味方に向けたのだろう」

 

 信じられないといったデュオの様子に、鼻で笑う五飛。

 

「トレーズという存在がMDを嫌ったのが原因らしいな」

「……MD、か。俺もあまり好きにはなれん。あのような人形など……戦士としての意志すらないのだからな」

 

 どうやら五飛もMDはあまり好まないらしい。

 俺にとってはそうでもないのだが、やはりこのW世界において無人機というのは色々と忌避すべき対象だという事か。

 

「ま、戦力になるのならそんなに悪いとは思わないけどな。……シャドウミラーで導入する予定はないが」

 

 一定以上の技量があれば、MDは的でしかない。

 そう考えれば、俺達にとってMDというのは維持費の方が高く付くことになるのは間違いなかった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1130
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1328

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