転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1687話

 図書館で爺さんと話して、サンクキングダムに行く事を決めてから、10分後……俺の姿は、サンクキングダムにあった。

 影のゲートを使った転移を使えば、このくらいの距離の移動はそう難しい話ではない。

 幸いW世界はそこまで魔力の消耗が多い世界でもないし、俺にとってはこのくらいなら全く問題はない。

 そうして周囲を見回すと……思わず感心する。

 確かサンクキングダムは連合軍によって占領され、オペレーション・デイブレイクでOZが……より正確にはゼクスが取り戻した場所だ。

 原作と違ってトールギスがなかったから、多少苦労はしただろうが……それでもゼクスであれば、ここを取り戻すのは難しい話ではなかった筈だ。

 ともあれ、そんな風に戦場になった割りには……こうして街中を見る限り、特に大きな戦闘の痕跡は残っていない。

 勿論、リリーナが……いや、この場合はドーリアンか? ともあれ、サンクキングダムの上層部がこの街から戦闘の痕跡をなくしたのは事実だろう。

 そもそもの話、サンクキングダムが唱える完全平和主義を語る上で、戦闘の痕跡とかあったら説得力はないしな。

 もしくは、完全平和主義が侵攻してくる相手に対して無力であるというのを示す根拠にもなってしまう。

 

「あら? あのお方、どなたですかしら? 新しい留学生の方?」

「珍しいですわね、男の方がサンクキングダムに来るなんて」

 

 そんな声が聞こえてくる。

 声のした方に視線を向けると、そこには如何にも育ちの良さそうな……お嬢様と呼ぶのに相応しい2人の女が俺の方を見ていた。

 男が珍しい、か。その辺りは原作と同じ流れだ。

 ロームフェラ財団がこの地球を仕切っていなくても、やはり男で完全平和主義を学ぼうとする者は多くないのだろう。

 まぁ、分からないではないが。

 ただ、一応この国にはヒイロがいた筈だが……リリーナの学校の生徒という扱いではなく、純粋に戦力としているのか?

 あの2人の女に話を聞くか? このまま何も手掛かりがない状態で動いても、情報を集めるのは結構面倒だ。

 実際にサンクキングダムで暮らしている相手から話を聞ければ、それは大きな収穫となる筈だった。

 そう考え、女の方に踏み出そうとした瞬間……こちらに向かってくる車に気が付く。

 車? いや、金ぴかだけど車なのは間違いないだろう。

 金ぴかの車? という事で、その車に誰が乗っているのかはすぐに分かった。

 その車はこっちに近付いてくると、やがて俺から少し離れた位置に停まる。

 そうして運転席から姿を現したのは……予想通り、特徴的な眉毛をした女、ドロシー・カタロニアだった。

 

「あら、珍しいわね。こんな場所に男の人がいるなんて」

 

 車から降りたドロシーは、俺を見てそう呟く。

 どうやら俺を目当てにしてやって来た訳ではないらしい。

 まぁ、俺がサンクキングダムにやってきてから、まだ殆ど時間が経っていない。

 そう考えれば、ドロシーが俺を見つけて直接やって来た……なんて可能性は皆無に等しい。

 可能性としては、ドライブをしていたドロシーが、その途中でサンクキングダムには珍しい男を……俺の姿を見つけて、車を停めたという事か?

 

「噂のサンクキングダムをちょっと見てみたくてな。それで、派手な登場をしたお前は?」

「私は……あら? ねぇ、貴方。もしかして私とどこかで会った事がないかしら?」

 

 自己紹介をしようとして、ドロシーの動きが止まる。

 まぁ、今の俺は10代半ばの姿になってはいるが、20代の姿の時にドロシーとは顔を合わせている。

 そう考えれば、俺の顔を見て向こうが会ったことがあると考えてもおかしくはないだろう。

 だが、当然ながら俺の正体を向こうに知られる訳にはいかない。

 

「随分と有り触れた誘い文句だな。俺を口説くのなら、もう少し情熱的に口説いて欲しいところだが」

『キャーッ!』

 

 少し離れた場所で俺の言葉を聞いた二人の女から黄色い悲鳴が上がる。

 まぁ、育ちのいい女にとって、男女間の事を臭わされるような真似をすれば、こうもなるか。

 ……俺と凛、綾子の夜の生活を見せたらどうなるのかが少し気になるが……

 

「あら、残念ね。なら次はもう少し情熱的に口説かせて貰おうかしら」

 

 意外にも、ドロシーの方はそこまで初心だった訳ではないらしい。

 にしても、何でドロシーがサンクキングダムにいるんだろうな。

 いや、いるのはそこまでおかしな話ではない。

 だが、ドロシーはデルマイユの孫娘だ。

 つまり、今はこうしてサンクキングダムに来ているような余裕があるとは思えないのだ。

 原作では、ロームフェラ財団以外の勢力は非常に弱かったから、そんな余裕もあったのだろうが。

 

「そうしてくれ。……それにしても、また随分と派手な車だな」

 

 そう言った俺の脳裏を、お前が言うなといった言葉が過ぎる。

 まぁ、トールギスを深紅にしているのだから、派手好きという意味では負けてないよな。

 けど、エースパイロットが目立つというのは、味方の兵士の士気を上げ、敵の士気を下げるという目的を考えればおかしは話ではない。

 評判に腕がついてこないようなパイロットであれば、色々と不味いだろうが。

 

「ええ、豪華でしょ?」

「それは否定しない」

 

 この金色が本当に金を使って出している色なのか、それとも金色の塗料を塗ってるだけなのかは分からないが、豪華という一面では間違いない。……趣味がいいかどうかは、別として。

 普通なら本物の金を使っているとは思えないんだが、ドロシーはロームフェラ財団を実質的に動かしているデルマイユの孫娘だ。

 そう考えれば、本物の金を使って車を飾り立てるくらいはやりかねない。

 ……まぁ、デルマイユ本人は、俺の襲撃によってかなりの財産を奪われたり、更には屋敷を壊されたりしてるんだが。

 だが、それでもデルマイユの財産全体から見れば……うん、多分そんなに致命的な損失ではないんじゃないかな、多分。

 それを考えると、やはりドロシーの車が本物の金であっても不思議ではない。

 

「うーん……ねぇ、貴方。やっぱり私と会った事がない? どうも、こうして話していると、何か既視感が……」

「そうか? 俺はしないけど」

 

 どうなってるんだ? 以前ドロシーと会った時は、別にこういう会話をしたりはしなかった。

 だとすれば、これで俺がアクセルだと思ったりは考えないと思うんだが。

 

「そう言えば、名前をまだ聞いてなかったわね。私はドロシー・カタロニア。貴方は?」

 

 そう聞かされ、どう答えるか迷う。

 アクセル・アルマーは論外として、ムウ・ラ・フラガも今では使う事が出来ない。だとすれば、他に使っても平気そうなのは……

 

「デュオ。デュオ・マックスウェルだ」

 

 結局俺の口から出たのは、デュオの名前だった。

 ……まぁ、いいよな。ヒイロ・ユイみたいに過去の偉人の名前って訳じゃないし。

 ガンダムのパイロットという意味でデュオは有名だが、それでもデュオの名前が広まってはいない……筈だ。

 

「ふーん……デュオね。ま、いいわ。そういう事にしておいてあげる」

 

 明らかに何かを分かっている顔。

 考えてみれば、ロームフェラ財団は当然連合軍にスパイを送っている筈で、そうであればスパイの集める情報の中にはロームフェラ財団にとって天敵と言えるシャドウミラーの情報が入っているのは当然だ。

 そうなれば当然シャドウミラーに所属している者のプロフィールも知る事が出来る訳で……しくじったか?

 いや、でもデュオ・マックスウェルは別にこの世界に1人しかいない訳じゃない。

 偶然にも同姓同名の別人と思ってくれれば……

 

「ね、デュオ。少し私に付き合ってくれる? 是非見て貰いたいものがあるのよ」

「……見て貰いたいもの?」

 

 不意にそう告げたドロシーの様子に首を傾げる。

 今のドロシーにとって、俺に特別な何かを見せるというのは、少し疑問があった為だ。

 勿論、ドロシーにとって俺は行きずりの相手でしかない。

 だからこそ、こうして気紛れを起こしてもおかしくはないのだが。

 一瞬どうするか迷ったが、ドロシーはロームフェラ財団について何か詳しい情報を知っている可能性がある以上、その機会を逃すのも馬鹿らしい。

 ましてや、もしドロシーが俺に対して何か罠を仕掛けていたとしても、このW世界の技術で俺をどうにかするのは不可能なんだし。

 

「そうだな、分かった。幸い俺も暇だった事だし、付き合うよ」

『きゃーっ!』

 

 再び少し離れた場所にいた2人の女が悲鳴を上げる。

 どうやら付き合うといった言葉がその琴線に触れたらしい。

 ……この程度でこうなるなんて、本当に大丈夫なのか?

 幾ら何でも、男に免疫がなさ過ぎる気がするんだが。

 良家の子女という事で純粋培養なのは分かるけど、このままだと将来的に悪い男に騙されて酷い目に遭いそうな気がする。

 いや、それともこうしてサンクキングダムにいる限りは安全なのか。

 だが、いつまでもサンクキングダムにいられる訳じゃないだろうし……って、俺がそこまで心配してやる必要もないか。

 せめて、悪い男に騙されない事を祈るのみだ。

 

「どうしました? 行きますわよ、デュオ」

「ああ、分かった。……どこに連れて行ってくれるのか楽しみにしてるよ」

 

 そう言いながら、俺はドロシーの金ぴかに乗り込む。

 

「ふふっ、決して後悔させないから楽しみにしてなさい」

 

 運転席に座ったドロシーは、そのまま車を発進させる。

 それを見て、また背後で黄色い悲鳴が上がっていたようだが……その辺はもう、気にしない方がいいだろう。

 サンクキングダムの首都を真っ直ぐ走る車だったが、郊外に向かっているのに気が付く。

 ……まぁ、それでも俺をどうにかしようと考えるのなら、こうも堂々とした真似はしないだろう。

 車を運転しているドロシーの顔を見る限り、してやったり……といった表情は浮かべていない。

 もっとも、そんな真似をしたらこの狭い――普通の車としては広いが――場所で、俺にどんな目に遭わせられるか分かったものじゃないと考えているのかもしれないが。

 そうしてやって来たのは、サンクキングダムの首都から少し離れた場所……なのだが、そこにある物を見て、俺は驚く。

 

「どう? 驚いた?」

 

 車を運転しながら、ドロシーは笑みと自慢を混ぜた声で呟く。

 

「ああ、驚いた」

 

 視線の先にある、リーオー……完全平和主義の国にあってはいけない戦闘用MS、それも20機以上のMSを前に、俺の口からも素直に驚きの言葉が漏れる。

 もっとも、ドロシーと俺では同じ驚いたとしても認識が違うだろう。

 ドロシーはMSという存在を見せて驚かせたのに対し、俺はサンクキングダムにMSがある事について驚いていたのだから。

 だが、ドロシーはそんな事には気が付いていないのだろう。笑みを浮かべながら言葉を続ける。

 

「そうでしょう。サンクキングダムにもOZの手は伸びているのよ」

「OZの手、か」

 

 そんな俺の言葉に、何かを感じ取ったのだろう。ドロシーはリーオーが見える位置に車を止めると、満面の笑みを浮かべながら口を開く。

 

「そうよ。……新ためて自己紹介しましょうか。私はドロシー・カタロニア。ここまではさっきも言ったと思うけど、ここからはデュオには初めて言うわね。私のお爺様はデルマイユ公爵……現在ロームフェラ財団を動かしている人よ」

「なるほどな」

 

 知ってはいたが、それでも今初めて知ったかのように言葉を返す。

 だが、それでも俺の口調には驚きが足りなかったのだろう。ドロシーは少しだけつまらなさそうに口を開く。

 

「あら、もう少し驚いてくれると思ったのに」

「こう見えて、色々と旅をしてるんでな。驚くって事なら他にも色々と驚いたさ」

 

 図書館で調べた時、中国でブントがOZのオペレーション・デイブレイクに合わせてクーデターを起こし、実権を握ろうとしたものの……オペレーション・デイブレイクそのものが中途半端な結果になってしまい、連合軍が十分に戦力を残したままだったこともあって、部隊を派遣されて呆気なく鎮圧されて最終的には破れかぶれになって自殺したとか。

 原作だと五飛の手によってブントは倒されたのだが、この世界では五飛はトレーズと戦っておらず、よってブントのいた地域に五飛が行く事もなかった。

 ましてや、サリィはシャドウミラーと連合軍の連絡役として派遣されていたしな。

 

「ふーん……ま、いいけど。それで、どう? 完全平和主義の国にOZのMS部隊がいるのを見て」

「よくサンクキングダムが了承したな、というのが正直なところか」

「ふふっ、でしょうね。……けど、半ば無理矢理に派遣したらしいわよ? 何でもリリーナ様や他の国の重鎮との会談を護衛するという目的らしいけど」

「体のいい示威行為だな。それだけOZの財団派が追い詰められているという事か」

 

 呟く俺の言葉に、ドロシーは満面の笑みを浮かべて口を開く。

 

「早く戦争になぁーれ!」




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1140
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1330

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