転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1700話

「……随分と早いな」

 

 俺は、映像モニタに映し出されている設計図を見ながら、呆然と呟く。

 そんな俺の様子に、してやったりといった顔をしているのはハワード。

 いや、サングラスをしているから、正確には分からないが、それでも雰囲気でその辺りは分かる。

 

「儂等に掛かれば、ざっとこんなもんじゃよ。MSを1から設計するのに比べれば、随分と楽じゃったわい。それに、最初に大まかなアイディアをアクセルから聞かされていたからな」

 

 ハワードの言うアイディアとは、HLVに関してだろう。

 正確には、その形。

 俺が話したHLVの形をベースに、ハワード達科学者が防御力と大気圏離脱能力を加えたものだろう。

 

「まず、大前提としてこの降下ポッドは何度も使う事を前提としておる。この辺は問題ないな?」

「ああ」

 

 使い捨てでも良かったんだが、最終的なコストを考えれば、繰り返し使えるようにした方がいいだろう。

 

「それを聞いて安心した。防御力に関してだが、この降下ポッドは装甲をガンダニュウム合金とする」

「……だろうな」

 

 一瞬驚いたが、そもそもバリアの類がまだ開発されていない以上、防御力を高める=強靱な装甲だ。

 そして装甲材質の中で最も高性能なのが、言うまでもなくガンダニュウム合金だ。

 更に、シャドウミラーにはガンダニュウム合金の在庫が大量にある。

 ……勿論、ピースミリオンの装甲全てをガンダニュウム合金にする程の量はないが。

 

「大気圏離脱を可能にするブースターも装着されるが、当然こちらもガンダニュウム合金製となる。……でなければ、このブースターを破壊すれば降下した者達は宇宙に戻ってこられなくなるからな」

「……まぁ、理解出来る」

 

 いざとなれば、それこそ連合軍に頼る事も出来る。

 だが、そうなれば色々と借りが多くなってしまう。

 もっとも、俺達にとっては連合軍に対する貸しがかなり溜まっている。

 そう考えれば、それ程気にする必要もないんだろうが……やっぱり借りはない方がいいしな。

 

「それと、特筆すべき点としては……ステルス機能を持つ事じゃな」

「は? 降下ポッドにか?」

 

 ハワードの口から出た、あまりに予想外の言葉にそう尋ね返す。

 だが、その問いに頷いたのは、ハワードではなく……ステルスの権威でもある、プロフェッサーGだった。

 

「うむ。幾らガンダニュウム合金製ではあっても、攻撃を受ければダメージは蓄積する。ならば、攻撃を受けないようにすればいい。そこからじゃな。もっとも、ステルス機能としてはそこまで強力なものではない。デスサイズ以上、デスサイズヘル以下といったところか。そもそも、デスサイズヘルに改修する為に試しに作った物を流用しておるのじゃから、当然だが」

 

 ああ、なるほど。今回の降下シャトル用に新たに設計した訳ではなく、デスサイズヘルを開発する途中で生み出されたものか。

 ……デスサイズヘルに改修するのに、微妙に時間が掛かってると思ったら、そんな事をしてたのか。

 原作に比べると、科学者の数は少ないが資材と時間だけはたっぷりとあった。

 そう考えれば、余裕があると思っていたんだが……

 だとすれば、もしかしたらこの世界のデスサイズヘルは原作よりもステルス性能が高くなっている可能性もあるな。ともあれ……

 

「降下シャトルにステルス性能が付くというのは、こっちとしても問題はない。寧ろ大歓迎だ」

 

 結局、こうなる。

 ウイングゼロ、トールギス、デスサイズヘル、アルトロンガンダム……こんな強力なMSが、戦闘中にいきなり死角となっている上空から……それもステルスを使って見つからないように降下してくるのだ。

 敵にとって、これ以上嫌な行為もないだろう。

 いきなり敵の本拠地のど真ん中とかに姿を現したシャドウミラー……うん、その場で降伏してもおかしくはない。

 特に今のシャドウミラーには、コロニーすら一撃で破壊出来るだけの威力を持つツインバスターライフルという武器があるのだから。

 

「ふむ、どうやら喜んで貰えたようじゃの」

 

 プロフェッサーGが俺の様子を見て満足そうに呟くと、そのまま下がっていく。

 

「武器はどんな感じなんだ?」

 

 デュオのそんな言葉に、ハワードは小さく頷き口を開く。

 

「明確な武器は、マシンキャノンくらいじゃ。ただ、煙幕を発生させるミサイルは用意してある。……本来ならビームライフルくらいは装備させたかったのじゃが、機体バランスを考えると難しくてな」

「いや、それで構わないさ」

 

 ハワードの言葉に、そう返す。

 そもそも、これはあくまでも降下シャトルでしかない。

 何かあった時の為にマシンキャノンがあれば、十分だろう。

 寧ろブースターがあって、ステルス性能があって、ガンダニュウム合金による高い防御力があって……その上、更に強力な武器まであれば、それはもう降下ポッドではない。

 分類上この世界にあるのかどうかは分からないが、それは既にMAと呼んだ方が正しいような気がする。

 まぁ、そのMAも世界によって定義が違うんだが。

 ああ、でも今のところシャドウミラーが行ってるガンダム世界はW世界以外だとSEED世界だし、MAの基準はそっちでいいのか。

 ……そうなると、戦闘機もMAに分類されるんだけどな。

 

「では、これで実際に作り始めても構わんか?」

「ああ」

 

 こうして、見かけはHLVに追加ブースターをセットしたといった形の降下ポッドは、実際に作られ始めた。

 幸いと言うべきか、今回の建造にはそこまで……ウイングゼロの時のように長時間掛かったりはしないらしい。

 まぁ、ウイングゼロとHLVの降下ポッドだと、どっちの方が手間が掛かるかというのは一目瞭然だし。

 ただ、MSを最低でも4機入れる事が出来るという事で、降下ポッドの大きさは相応のものになってしまった。

 ああ、ちなみに名前も俺がHLVって言ってたせいか、いつの間にかHLVという名前で決まってしまったが……HLVって確か何か色々とした言葉の略語だったような気がするんだが。

 それこそ、SEED世界のガンダムがOSを起動した時にG云々とかいう奴の頭文字からガンダムと呼ばれるようになった感じで。

 ……まぁ、この世界では特にそれに拘る必要もないので、HLVはHLVでいいんだが。

 デュオだったり、ヒルデだったり、シルビアだったりが、HLVってどういう意味なのか聞いてくるのがちょっと困る。

 適当にフィーリングで選んだんだから、特にこれといった理由はないとは言ってあるんだが。

 ともあれ、そんな訳でハワード達科学者がHLVの建造を行い数日。その間にも、地球では色々と動きがあった。

 

「カトル達も、つくづくOZと相性が悪いよな」

 

 ピースミリオンにある食堂、そこでグラタンを食いながらデュオが呟く。

 D-120コロニーの食堂から引き抜いてきたコックの腕は、シャドウミラーの面子に相応に受けいられている。

 基本的に和洋中と一通りの料理を作れるというのも大きいだろうな。

 ……ちなみに自分の料理に自信を持っていた凛だったが、やっぱり本職の人間には色々と見習うべきところはあったのだろう。

 少しだけ悔しそうにしていた。

 俺としては凛の料理も十分に美味いと思うんだけどな。

 ちなみに俺が食べているのは、鮭のムニエル。

 ……コックが作っているところを見て初めて知ったんだが、俺が知っているムニエルというのはムニエルではなく、本職の料理人にとっては小麦粉焼きとでも言うべきものらしい。

 実際の……本当のムニエルというのは、それこそバターを500gくらいも使って作る料理……誤解を恐れずに言うのであれば、バターの揚げ焼きとでも言うべき料理なんだとか。

 大量のバターをフライパンに入れてそれを溶かし、色が変わるくらいの……コック曰く、シャンパンのように泡立っている状態にして、そこに小麦を塗した鮭を入れ、大きめのスプーンでバターを掛けながら焼いていくらしい。

 その鮭のムニエルと焼きたてのパンというのは、実に美味い。

 料理を味わいながら、前に座っているデュオに言葉を返す。

 

「OZ……というか、財団派にとって中東連合はそれだけ美味そうな餌なんだろうな」

 

 俺とデュオが昼食を食べながら話しているのは、中東連合と財団派がまたぶつかったというニュースが入ってきたからだ。

 俺が地球にいる時……いや、その時は俺じゃなくてエンデュミオンの鷹、ムウ・ラ・フラガだったけど、とにかくあの戦いで財団派はそれなりに大きな被害を受けた。

 だが、それでもまだ懲りてはいなかったらしく、つい昨日再び中東連合と財団派の間で戦闘が行われたのだ。

 その結果は、言うまでもなく中東連合の勝利。

 そもそも、幾ら地球でトーラスを使えるようにしたからといって、ガンダムに対処出来る訳がないのだ。

 ヘビーアームズは文字通り動く武器庫とでも呼ぶような機体だし、サンドロックは機体性能という意味ではガンダムの中で一番低いが、元々がマグアナック隊との連携を前提とした機体だ。

 サンドロックの指示に従って動くマグアナックの攻撃は、トーラスを容易に……って程簡単ではないだろうが、ともあれ倒す事が出来る。

 これがビルゴだったらバリアのせいでどうにもならなかったんだろうが、この歴史ではガンダムの開発者達はOZに捕まっていない。

 いや、ドクターJとH教授はまだどこにいるのか分かっていないので、もしかしたら……本当にもしかしたら捕まっている可能性というのは皆無ではないだろうが。

 それでも、今のところビルゴが出てくる様子はない。

 正直なところ、以前連合軍にはレーザー兵器の開発をするように言ったのが、思い切り無駄になりそうな感じがするんだが。

 

「財団派、か。それだけ追い詰められてるって事かね? 宇宙でもトレーズ派とエンデュミオンの鷹に負けてしまったし」

「だろうな。それに比べると、同じOZでもトレーズ派の方はかなり有利に戦いを進めている」

 

 セプテムとの交渉を終えた宇宙のトレーズ派は、既に地球に降下している。

 トレーズの1人娘のマリーメイアも、今頃は地球にいる筈だ。

 まぁ、トレーズの下にいるのかどうかは分からないが。

 そもそも、トレーズがどこにいるのかも不明なのだから。

 原作ではルクセンブルク基地にいたし、その事はそれなりに広まっていた。

 だが、この歴史ではそもそもルクセンブルク基地は一度OZに占領されたものの、既に連合軍が奪い返している。

 また、トレーズがどこにいるのかというのも、財団派が厳しい情報統制を敷いていた。

 原作と違ってOZの勢力が弱く、しかもトレーズ派と財団派の2つに別れているというのもあって、トレーズの居場所はそう簡単に公には出来ないのだろう。

 今の状況でトレーズ派がトレーズを奪い返したりしようものなら、それこそ財団派はどうしようもなくなる。

 ……まぁ、トレーズが救い出されたからといって、トレーズ派を率いるかどうかは分からないが。

 

「トレーズ派が? ……ああ、サンクキングダムか」

 

 デュオが思い出したかのように呟く。

 トレーズ派が打った手は、サンクキングダムとの友好関係を築く事。

 騎士道らしい正々堂々とした戦いを好むトレーズ派と、完全平和主義のサンクキングダム。

 こうして考えれば、相性はあまりよくないのだが……意外や意外、何気にそれなりに友好関係を築いているらしい。

 この辺り、ちょっと予想外だったが……いや、そうでもないのか? 原作だとサンクキングダムはトレーズ派の兵士も受け入れていた。

 もっとも、結果としてそれを侵攻の理由にされてしまったが。

 ただ、元々サンクキングダムを邪魔に思っていたデルマイユだけに、もしトレーズ派を受け入れていなくても、必ず何かしらの理由を付けてサンクキングダムを攻撃していたのは間違いないだろうが。

 だが、この歴史では財団派の戦力が酷く弱まっている。

 俺がサンクキングダムにいた時は、脅しとしてMSを派遣する余裕はあったみたいだが……侵略するのは、難しいだろう。

 ここでも、ビルゴが開発されてないのが大きな役割を果たしている。

 ウイングガンダムを操るヒイロと、それ以外にも軍備を有するサンクキングダムは決して侮れる相手ではない。

 

「財団派も、何でサンクキングダムじゃなくて中東連合に攻撃をしたんだろうな?」

 

 呆れたようなデュオの言葉。

 サンクキングダムにはヒイロがいるんだが、それを知らないのであれば財団派の戦力でもサンクキングダムをどうにか出来ると思っているのだろう。

 

「中東連合にはガンダムが2機いる。……それが狙いじゃないのか?」

 

 財団派にとって、ガンダムの技術は是非とも欲しいものだろう。

 もっとも、ヘビーアームズとサンドロックは特に何らかの特化した性能を持っている訳ではないのだが。

 ヘビーアームズのFCSやビームガトリング砲、サンドロックの通信システムくらいか?

 そんな風に、俺とデュオは財団派の行動に呆れながらも食事を楽しむのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1155
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1333

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