転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1703話

 中東連合と財団派の戦いが終わった後……軽く挨拶も済ませた事だし、もうHLVで宇宙に戻ろうかと考えたのだが、それに待ったを掛けたのはカトルだった。

 曰く、俺達ともう少し話をしてみたい。

 曰く、助けてくれたお礼をしたい。

 曰く、久しぶりに会ったデュオと親交を深め、初めて会った五飛とも話してみたい。

 ……まぁ、最後の件は最初の話してみたいというのと同じような感じなのだが、それでも今回の件は中東連合にとっても、色々と好機なのは間違いないんだろう。

 俺達シャドウミラーは、連合軍に所属している部隊だったり、下部組織という訳ではなく、あくまでも傭兵だ。

 そうである以上、これからの事を考えれば、向こうにとっても接触しておきたいと思うのは当然だろう。

 それだけなら、こっちに対する利益は殆どなかったんだが……情報収集という意味で、中東連合から得られるものも多いだろうと判断し、結局そのまま向こうの基地に世話になる事になった。

 ……ちなみにその基地だが、砂漠の中にある街といった雰囲気なのを見ると、もしかしたら原作でデュオとカトルが一時的に身を潜めた場所じゃないんだろうか。

 結局最後にはOZの攻撃で破壊されたという事を考えれば、財団派を倒した今の俺達がこの街に入るのは、どこか因縁のようなものを感じる。

 ともあれ、色々と思うところはあれども、現在俺達は砂漠の中にある街にいた。

 

「アクセル・アルマー代表。今回は僕達の危機に駆け付けて下さって、ありがとうございます」

 

 最初にカトルがそう言いながら、笑みを浮かべて握手を求めてくる。

 その手を握り返しながら、俺は首を横に振って口を開く。

 

「俺達が来なくても、中東連合だけで十分に財団派を倒す事は出来ただろ?」

「ええ。ですが、その場合こちらにも間違いなく被害が出たでしょう。それが出なかったという時点で、アクセル代表には感謝しています」

 

 そう告げるカトルは、特に暗い様子を見せない。

 この辺り、原作とは大きく違っているな。

 カトルが暴走する原因となったウイングゼロも、俺が操縦しているし……何より、ゼロシステムは使用不可になっているのを考えると、色々と思うところはある。

 そんな事を考えながら、部屋の中に視線を向ける。

 扉の近くにはトロワの姿があり、カトルの近くにはマグアナック隊の隊長をしているラシードの姿がある。

 ……マグアナック隊は、何気に原作でも1人の死者も出さなかったのだから、その練度は本物と言ってもいい。

 2機のガンダムに、マグアナック隊。

 中東連合の戦力は、俺が思っていた以上に強力らしい。

 ましてや、戦いの時に見た感じではラシード率いるマグアナック隊以外にもマグアナックの姿が見えた。

 確かマグアナック隊の数は全部で40人だった筈だが、それ以上のマグアナックがあの戦場にいたのだから。

 もしかしたらマグアナック隊が単純に増えただけという可能性もあるが……だが、折角マグアナックという、リーオーよりも性能が高い機体があるのだ。

 中東連合という組織を結成した以上、これでマグアナックを量産しない筈がないだろう。

 そもそもの話、中東連合にそんな余裕はないだろうし。

 まぁ、マグアナックは元々サンドロックとの連携を前提に開発されている以上、サンドロックがいない状況では完全にその実力を発揮出来ないのだろうが……それでも、マグアナックという機体の性能の高さは中東連合にとってこれ以上ない程に魅力的な機体の筈だった。

 恐らくという但し書きがつくが、サンドロックを開発したH教授が開発に関与したと思われる機体なのだろうし。

 

「まぁ、そこまで言うのならそちらからの感謝の言葉は受け取ろう。もっとも、そっちもただ感謝の言葉を言いたいから俺達を呼んだ訳でもないんだろう?」

「……はい。この世界でも有数の力を持つシャドウミラーに、お願いしたい事があります」

 

 やっぱりな。

 まぁ、大体の予想は出来る。

 中東連合は現在財団派と激しい戦いを繰り広げている。

 だが、カトルとトロワがいる戦場であれば財団派を……より正確にはMDを敵とした場合でも勝利出来るが、それ以外の兵士となると難しいのだろう。

 元々MDは無人機……AI制御だけあって、ある一定以下の技量の持ち主に対しては無双が可能な性能を持つ。

 それに対抗するには、連合軍のように数を揃えて回避する隙間もないくらいに密集攻撃をするという方法だ。

 だが、それはあくまでも連合軍という規模の組織だから可能な事であって、中東連合でそのような真似は出来ない。

 いや、やってやれない事はないと思うが、そんな真似をすれば1つの戦場では勝利出来ても、それ以外の戦場では戦力が足りなくなってしまうだろう。

 

「俺達を雇いたい、と?」

「そうなります。勿論相応の報酬は用意しますが……どうでしょう?」

「どう、と言われてもな。正直なところ、今のシャドウミラーは連合軍に雇われている状況だ。それを考えると、少し難しいだろうな」

 

 元々連合軍が高い金や資源を俺達に報酬として払い続けてずっと雇っているのは、俺達シャドウミラーを他の勢力に雇わせないようにするという意味が強い。

 それが、現状では友好的な関係を築きつつあるとはいえ、中東連合に俺達シャドウミラーを雇わせるかと言われれば……それは難しいだろう。

 中東連合の中には、今でも連合軍に対して強い恨みを抱いている者は少なくない筈だ。

 である以上、もしシャドウミラーを雇ったからといって、連合軍に攻撃を仕掛けるような真似をされる可能性を考えれば……連合軍も、そこまでの譲歩はしないだろう。

 

「そうですか」

 

 カトルが残念そうな表情を浮かべる。

 

「なぁ、アクセル。ここで俺が口を挟むのもなんだけど、どうにかならねえのか? 連合軍にとっても、中東連合が財団派に負けるような事になれば困るだろ?」

「そうだな」

 

 中東連合が持つ、豊富な資源や技術力……これが財団派に渡れば、間違いなく厄介な事になるだろう。

 それは理解しているのだが、だからといってこっちも迂闊に手を出すような真似は……

 まさか、毎回エンデュミオンの鷹、参上! とかやる訳にもいかないし。

 ……それはそれで面白そうな気がするけど。

 そんな真似をすれば、俺の正体を知られるだけになりそうだし。

 ああ、けど……そうか。問題なのは俺達が中東連合に直接雇われる事な訳だ。

 つまり、逆に言えば俺達が直接雇われないのであれば、こちらにも手段はある。

 

「どうしてもって言うのなら、手段はある」

「え? 本当ですか!?」

 

 嬉しそうに告げるカトル。

 それと対照的にトロワは特に表情には何も出さず、ラシードは少し不満そうな様子が見えた。

 トレーズに対するレディ・アン程ではないにしろ、ラシード達マグアナック隊がカトルに抱く信望も相当に強い。

 もっとも、ラシード達がカトルを叱ったりしてるので、狂信的とまではいかないが。

 ともあれ、カトルが俺達を頼っているのが面白くないと思うのは当然なのだろう。

 

「それ以前に一応聞いておきたいんだが……お前達は中東連合の中では、具体的にどのくらいの地位にいるんだ? もしここで俺が何か解決案を出して、それにお前達が賛成したとして……それが中東連合できちんと反映されるのか?」

「その辺は恐らく大丈夫だと思います。僕は一応中東連合の中でも実戦部隊を任されていますから」

「……へぇ」

 

 カトルの言葉に少しだけ驚く。

 だが、すぐに納得もする。

 実戦部隊を任されているという事は、実質的に中東連合の軍のトップ……もしくはそれに準ずる地位にいるという事だろう。

 カトルの年齢で……というのはちょっと意外だったが、実際に原作ではガンダムチームを率いていたのを思えば、不思議でも何でもないのだろう。

 ただでさえ癖の強い面子が揃っているのが、ガンダムのパイロットだ。

 それを上手く指揮出来るだけの能力を持っているのだから、普通のパイロットを指揮するのは難しくない筈だ。……多分。

 

「なら、心配はいらないか。まぁ、俺の提案ってのは簡単だ。ようは、中東連合が直接俺達を雇おうとするから問題があるんだ。つまり、お前達じゃなくて連合軍が俺達を雇ったといった形式にすればいい」

「それは……なるほど。ですが、そうなると僕達だけの判断ではどうにもなりません」

「だろうな」

 

 ようは俺達の間に連合軍を置いて俺達を雇うという事であり、つまり何かする際にも連合軍に話を通す必要がある。

 それどころか、俺達を動かす度に連合軍に対して借りを作ることになってしまう。

 そう考えれば、やはり軍部だけではなく政治の方の問題になってしまうだろう。

 シャドウミラーとしては、どっちもでいいのだが……まぁ、連合軍に長く雇われている以上、どうしてもそっちに肩入れしてしまうのは仕方がない。

 

「分かりました。上の方に掛け合ってみます。……部屋を用意するので、皆さん今日はこの街に泊まっていって下さい」

「……そうだな」

 

 上の方に話を持っていくと言っている以上、すぐに結論が出るような問題ではないだろう。

 また、デュオと話したいと思っているのは間違いないだろうし、会話をしたことがない五飛とも話してみたいと思うのは、カトルの性格を考えれば当然だった。

 これで向こうが油断のならない相手であれば、引き抜きとか暗殺とかその辺を心配する必要が出てくるんだろうが……幸い、カトルはその手の事を行ったりはしない。

 まぁ、そのカトルの代わりにラシードやトロワが動く可能性というのは十分にあるが。

 それでも、今のところシャドウミラーと敵対しようとは思わないだろうし。

 そもそも、シャドウミラーがどのくらいの実力があるのかというのは、それこそ先程行われた財団派との戦いで見せつけたし。

 こうして、俺達は今日一晩中東連合の世話になる事に決めたのだった。

 

 

 

 

 

『ふーん。私達が宇宙で心細い時間をすごしているのに、アクセルは地球で優雅にバカンスなんだ?』

 

 映像モニタに映し出された凛が、笑みと共にそう告げる。

 もっとも、その笑みはどちらかと言えば嗜虐的な笑みと呼ぶのに相応しい笑みだったが。

 

「一応シャドウミラーの事を考えての居残りなんだが」

『そう? アクセルだったら踊り子に鼻の下を伸ばしてても不思議じゃないと思うんだけど』

「……お前の中で、俺はどんな印象になっているのか、一度本気で話し合った方がいいような気がしてきた」

『あら、それこそ言うまでもないでしょ? 何人もの女を毒牙に掛けてきた、極度の女好き。……違うとは言わせないわよ? 私もその1人なんだから』

 

 そう言われると、俺も否定は出来ないんだよな。

 

『全く、アクセルが妙な女に引っ掛からないように、綾子に頼んでおかないと』

 

 そこまで信用ないか? と聞こうと思ったが、躊躇なく頷かれるような気がして、それを聞く事は出来なかった。

 

「とにかく、ノベンタやセプテム、ベンティの方には連絡を入れて置いてくれ。カトルに話した内容の件もな」

『分かってるけど、アクセルが自分で連絡をした方がいいんじゃない?』

「地上で向こうに連絡をすると、色々と不味いことになりかねないんだよ」

『あら、人気者ね』

 

 笑みを浮かべた凛だったが、それ以上は突っ込む様子もなく通信が終わった。

 

「アクセル代表、出来ればアクセル代表が直接ノベンタ元帥に連絡して欲しかったんですが」

 

 通信を終えた俺に、HLVのパイロットを務めているサリィがそう話し掛けてくる。

 まぁ、俺の話を聞いたのは別に責めるような事ではないが。

 そもそも、サリィはシャドウミラーと連合軍との連絡役という形で出向している。

 そうである以上、今の件は色々と思うところがあるのだろう。

 

「ま、その辺はそっちに任せるよ。凛からも連絡がいくだろうし、サリィの方からも連絡をしてくれ」

「……分かりました」

 

 少しだけ不満そうな様子のサリィ。

 こうして見ると、サリィも美人なんだよな。

 まぁ、それを口にするつもりはないが。

 そんな事を言えば、それこそハニートラップを仕掛けられそうな気がするし。

 寧ろ、凛や綾子に言いつけられそうな気がする。

 うん、それはそれであまり面白くない出来事になりそうだし、黙っていた方がいいだろう。

 中東風……というか、アラブ風の踊り子の衣装を着たサリィというのも、見てみたい気がするんだが。

 デュオ辺りなら賛成してくれそうな気もする。

 五飛は……どうだろうな。結構真面目だから、その辺りはあまり気にしないような感じがする。

 

「ま、とにかく中東料理は美味い料理があるって話だし、そっちに集中するか」

 

 中東……正確にはトルコ料理は、フランス料理や中華料理に並ぶ世界3大料理に数えられているのだから。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1155
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1333

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