転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1713話

 青い空、白い雲、エメラルドグリーンの海……

 まさに、バカンスといった言葉が相応しい光景を見ながら、俺はビーチパラソルの下に設置された椅子に寝転がりながら本を読んでいた。

 遠くの離れた場所ではデュオと五飛が遠泳の勝負をしている光景が見える。

 他にも何人も海水浴に来ている客がいるのだが、特に騒ぎらしい騒ぎは起きておらず、こうして見る限りでは平和な光景と……

 

「あたしには待ち合わせをしている人がいるって言ってるでしょ!」

 

 そんな声が聞こえ……

 

「んだとこらぁっ! ちょっと優しくしてやればいい気になりやがって。いいか、俺はこう見えても連合軍でMSのパイロットをしてるんだぞ!」

「あら、そう。けどそれを言うなら、あたしだってMSのパイロットをしてるけど?」

 

 ……うん、平和な光景はどうやら終わりになってしまったらしい。

 小さく溜息を吐いてから横になっていた椅子から起き上がると、そのまま声の聞こえてきた方に向かう。

 数人が集まっているその光景の中には、先程の声の主……俺にとってもこれ以上ない程親しい相手の姿があった。

 黒いビキニでその芸術的と呼ぶに相応しい肢体を包んでいる綾子と、セパレーツタイプの水着を着ているサリィ。

 そんな2人の前には、こちらも同じく2人の男の姿があった。

 見た感じでは、軽い男にしか見えない。

 だが、その表情に浮かんでいるのは好色な表情……ではなく、怒りの色。

 何となくあんな風に怒らせた理由は納得出来る。

 綾子もサリィも元々気が強い性格をしており、しかも男に誘われたからといってついていったりはしない。

 それでも、普通のナンパであれば……より正確にはナンパであっても断られて男の方が素直に引くのであれば、そこまで厳しい事を言わないだろう。

 だが……当然ながら、サリィが美人なのは間違いないし、綾子はそんな美人のサリィですら隣にいれば霞んでしまってもおかしくない魅力を持っている。

 そんな極上の美人2人を前にして、ナンパするという行為にいそしんでいる……少なからず自分の外見に自信のある男が、断られて素直に引き下がるかと言われれば、基本的には難しいだろう。

 寧ろ、プライドが高いだけに断られたのを納得出来ず、強引に言い寄るような真似をしてもおかしくはない。

 そして相手が強引な態度を取れば、当然綾子の性格からして大人しくそれに従う筈もない。

 それどころか、攻撃……いや、口撃を繰り出して向こうを怒らせるだろう。

 サリィも基本的には大人しい性格をしているのだが、理不尽な相手にはとことん反撃する。

 原作でブントを相手に立ち回っていたのや、それどころかOZの基地に潜入して破壊工作したりといった具合に行動していたのを見れば、とてもではないが大人しいだけの相手とは思えないだろう。

 ……その結果が、今の俺の視線の先にある光景だった。

 正直なところ、この状況で俺が手を出す必要があるのかどうかと言えば、答えは否だ。

 そもそもの話、綾子は半サーヴァントでこの世界の人間は、それこそヒイロが100人いても勝てないじゃないかってくらいの強さを持つのだから。

 だが……ここで向こうに下手に恨まれれば、後々厄介な事にもなりかねない。

 それに、やっぱり恋人が絡まれている光景で幾ら大丈夫だからといって、それを黙って見ているというのは、男としてどうよって事になるだろうし。

 溜息を吐き、そのまま寝転がっていたビーチチェアから起き上がる。

 そうして騒ぎになっている方に近づいていくと、そこでは綾子とサリィが連合軍のMSパイロットと思しき相手を睨み付けていた。

 そんな光景が珍しいのか、周囲には野次馬まで出来上がりつつあるというおまけ付きで。

 なるほど、連合軍のMSパイロットの方はこの状況で引っ込みが付かなくなっているというのもあるのかもしれないな。

 皆に集中されている事もあり、ここで退けば自分が侮られると、そう思っても仕方がない。

 ただ……今回の場合は、明らかに相手が悪かったな。

 

「俺の恋人とその友人に、何か用か?」

 

 そう周囲に声が響くと同時に、その場にいた者達の視線全てが俺に集まる。

 その視線の中には当然のように綾子の視線も含まれており、俺が姿を現した事に少しだけ嬉しそうな様子を見せる。

 幾ら綾子の能力でこの程度の男はどうとでもなるとはいえ、やはり俺が助けに来る……というのは、綾子にとって嬉しい出来事なんだろう。

 何だかんだと、綾子も結構少女趣味というか……

 まぁ、実際にそれを口にすれば、俺に向かって攻撃が飛んでくるだろうから何も言わないが。

 

「ああっ!? 何だよテメエは! 関係ない男は引っ込んでろ!」

 

 男の1人が、俺を睨み付けながらそう言ってくる。

 MSのパイロット云々という話はともかく、喧嘩慣れしているというのは間違いないのだろう。

 俺の方を見ながら叫ぶその様子は、堂に入っていた。

 ……もっとも、だからといってそれで俺が怖じ気づいたりする筈もなかったが。

 そもそもの話、今まで俺が敵対してきた相手は神だったり、それに準ずるものだったり、シュウ・シラカワだったりだ。

 この程度の相手の凄みで、俺が驚く筈もない。

 ……まぁ、神とかとシュウを同列に上げているのは、正直どうかと思うが。

 

「関係ない? さっき俺が言った事を聞いてなかったのか? お前達が口説いている……いや、絡んでいるのは俺の恋人とその友人だと、そう言ったんだが?」

「ふざけんなこらぁっ! なら、この女の落とし前をお前につけるって事でいいんだな!」

「……はぁ、何でそうなるのやら。そもそも、お前達が綾子やサリィを無理に口説こうとしたのがトラブルの原因だろう? ナンパしてフラれたんなら、さっさと引き下がればいいものを」

「んだとぉ……」

 

 俺の言葉に我慢出来なったのか、男は険悪な目付きのままこっちに向かって歩き出し……だが、それを遮るように口を開く。

 

「ちなみに俺達は連合軍のトップ、ノベンタから直接この保養地に招待されたんだが……それを承知の上での行動か? 連合軍のMSパイロット君?」

『なっ!?』

 

 まさか、俺の口からノベンタの名前が出るとは思ってなかったのだろう。男達は……いや、それどころか周囲で様子を見ていた野次馬の連中までもが驚愕の声を漏らす。

 そう、何故俺達シャドウミラーがこうして砂浜でバカンスを楽しんでいるのかと言えば、当然ながら連合軍が原因だった。

 財団派を倒した俺達を地上に残す為、何とか機嫌を取ろうと……もしくは純粋に骨休めという目的でもあったのかは分からないが、こうして南の島のバカンスに招待されたのだ。

 整備員達も、この砂浜の他の場所で色々と骨休めをしている。

 

「さて……改めて聞かせて貰おうか。俺達に何か用事があるのか?」

 

 そう告げると、男達は当然のように怯え始める。

 ……まぁ、それも当然だろう。

 もし、俺の言っているのがハッタリであれば、何も問題はない。

 だが……もし、本当だったとしたらどうなるのか。

 自分達の所属する組織のトップと関わりのある人物に喧嘩を売ったと、そういう事になってしまうのだから。

 じゃあ、最後の一押しといこうか。

 

「ああ、名乗るのを忘れてたな。俺はシャドウミラーのアクセル・アルマーだ」

 

 ざわり、と。

 先程俺がノベンタの知り合いだと告げた時と比べても、より大きなざわめきが周囲から上がる。

 まぁ、連合軍におけるシャドウミラーというのは、色々な意味で目立ってるのだから、それも当然か。

 連合軍の中でも最強の部隊……それこそ、MDという一般のMSパイロットでは手も足も出ない戦力を有していても、シャドウミラーの前にはどうという事もなく負けてしまう。

 それは、ついこの前の財団派との戦いでこれ以上ない程に証明されている。

 それこそ、連合軍の目の前でこれ以上ない程に。

 だからこそ、シャドウミラーという名前を聞き、ここにいる面子は畏怖を感じているのだろう。

 ここは連合軍の保養施設である以上、ここで遊んでいる面子は当然のように連合軍の関係者だというのは明らかなのだから。

 

「で? もう一回聞くか。俺達に何か用があるのか?」

 

 そう尋ねると、男達は改めて小声で相談する。

 俺がシャドウミラーを騙っているだけではないかという疑いもあるようだが、ここまで堂々とシャドウミラーを名乗ったりはしないだろうと仲間に言われ……

 

『いえ、何でもありません。失礼しました』

 

 声を揃えてそれだけを告げ、そのまま去っていく。

 ……万が一のことを考えての行動なのだろう。

 何気に、結構賢かったな。

 今までだと、大抵こういう場合は俺が嘘を言っていると思い込み、攻撃を仕掛けてくるんだが。

 ともあれ、こちらとしては面倒が減ったので嬉しい限りだが。

 

「さて、じゃあ邪魔者もいなくなったし……久しぶりのバカンスを楽しもうか?」

 

 綾子に向けてそう告げるが、声を掛けられた綾子の方は苦笑を浮かべて口を開く。

 

「そんな暇、あると思う?」

 

 綾子の視線が向けられているのは、俺……ではなく、周囲にいる野次馬達。

 綾子達が絡まれていた時に集まっていたよりも、更に多くの野次馬が集まっている。

 それが何を目的としているのかというのは、考えるまでもない。

 連合軍の兵士だったり、その関係者にとっても、シャドウミラーという存在はそれ程までに価値があるのだ。

 だからこそ、こうして何とか顔を覚えて貰おうと集まってきてもおかしくはない。

 もしくは、単純にシャドウミラーという最強の存在に対する憧れとかもあるのかもしれないが。

 少しずつ近寄ってくる周囲の連中に向け、先程の男達と同様に機先を制するように再び口を開く。

 

「悪いが、俺達がこうしているのはあくまでもプライベートでの行為だ。財団派との戦いの疲れを癒やす目的でここに来ている以上、あまり煩わせたくない。それを承知の上で俺に用事がある奴だけ話し掛けろ。もっとも、その場合は後でどうなっても俺は知らないがな」

 

 周囲にいる野次馬達に視線を向けながら……少しではあるが殺気を込めつつ、そう告げる。

 この世界の人間は殺気を感じるといった能力は発達していない。

 それでも、俺から得体のしれないプレッシャーのようなものが発せられているのは感じられるのか、そのまま動きを止める。

 

「どうやら俺達の希望に配慮してくれたようで何よりだ。……なら、後はお互いゆっくりとこのバカンスを楽しむとしよう。綾子」

 

 向こうが何も動きを見せないうちに、綾子の名前を呼ぶ。

 名前を呼ばれた綾子は、仕方がないなといった顔をしながらも俺の腕に抱きつく。

 いつもの軍服越しとは違う、水着1枚だけしかない柔らからさ。

 ……もっとも、毎晩の如く綾子の身体を貪っているのだが。

 だが、それだけに何も付けていない綾子とは、また違った別の興奮を感じてしまう。

 それを表情に出さないように気をつけながら、俺は綾子と共にその場を立ち去る。

 当然サリィも、自分だけ置いていかれては堪らないと、俺達を追う。

 まぁ、サリィの場合は正確にはシャドウミラーの所属ではなく、連合軍から派遣されている立場なのだから、別に向こうにいてもいいと思うのだが……

 それでも、あの場所に残されるのは勘弁して欲しかったのだろう。

 

「そう言えば、デュオと五飛はどうしたんだ?」

 

 砂浜を歩きながら、野次馬達を置き去りにした事で普通に話せるようになると、綾子がそう尋ねてくる。

 

「あの2人なら……ほら、向こうだよ」

 

 綾子と腕を組みながら、視線を沖の方に向ける。

 ガンダムパイロットをやっているだけあって、デュオも五飛もその身体能力は高い。

 そして高い身体能力を活かし、現在はまだ沖の方で泳いでいる光景が見えた。

 ……普通なら波に流される心配とかをする必要もあるんだろうが、あの2人に限ってその心配はいらないだろう。

 

「ありゃ。折角のバカンスなのに、そこまで体力を消耗させる事もないと思うんだけど」

「ま、こうして泳ぐのがあの2人にとって気分転換なんだろ」

 

 コロニーにも、プールの類はある。

 だが、当然海という存在はない。

 川は……どうだろうな。

 そのくらいであればあってもおかしくはないが。

 ともあれ、海というのはコロニー育ちのデュオや五飛にとって、非常に珍しいものなのだろう。

 だからこそ、この機会に思う存分泳いでいるのだろう。

 この辺り、綾子のように地球で育つのが当たり前といった感じでは、あまり分からないのだろう。

 

「なるほど。じゃあ、私も少し泳いでこようかしら。こうして2人を見てると、夏の日射し以外の熱さでやられそうになるし」

 

 サリィはそう告げると、悪戯っぽく笑って海の方に向かって歩いていくのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1225
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1347

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