転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1715話

 リゾート地だけあって……それも連合軍が特別に用意しただけあって、俺達の扱いはまさにVIP待遇だった。

 ……だが、デュオにはそのVIP待遇が性に合わないのか、どこか居心地が悪そうにしている。

 まぁ、原作でもカトルにそんな事を言ってたしな。

 根っからの小市民といったところなのだろう。

 ガンダムのパイロットを小市民と言ってもいいのかどうかは、正直微妙なところだが。

 ともあれ、俺達はリゾートを楽しむ。

 楽しんでいたのだが……

 

「ぐはぁっ!」

 

 俺の拳がめり込んだ男が、そのまま数m程吹き飛び、壁に身体をぶつけて止まる。

 

「俺がやって来たのはリゾート地であって、戦場じゃなかった筈なんだけどな」

 

 溜息を吐きながら、周囲を見回す。

 

「こっちも問題はないよ」

 

 俺の視線に言葉を返した来たのは、綾子だ。

 その手に握られているのは、モップ。

 本来の綾子の武器は物干し竿なのだが……いや、この場合の物干し竿というのは、洗濯に使う物干し竿ではなく、佐々木小次郎が使っている長刀の方だ。

 あの長さの武器は持ち歩くのも大変だという事で、現在俺の空間倉庫の中に入っている。

 だが、この状況で物干し竿を出す訳にもいかない。

 いや、こういうテロリストに襲撃されている事を考えれば、普通ならその辺りの事情を考える余裕はないのだろうが……幸か不幸か、俺や綾子の場合はこの程度の相手は本気を出さなくてもどうとでも出来るだけの実力を持っている。

 デュオと五飛の二人も、俺達との模擬戦を繰り返した結果、このW世界ではかなりの強さを持つにいたっていた。

 サリィの方は……気楽には構えることは出来ないだろうが、それでも軍人として非常に優秀なのは間違いなく、テロリスト程度の相手にどうこう出来る筈もない。

 

「一応聞くけど、怪我がある奴はいるか?」

 

 そう尋ねるが、当然のように全員が首を横に振る。

 だろうな。

 素早く気絶させられたテロリストから武器を奪っている光景を目にしながら、納得する。

 ちなみに殺していないのは、単純にこういう場合は生きている方が価値がある為だ。

 死んでいれば証人として使ったりも出来ないが、生きていればその辺りは全く問題ない。

 特に連合軍に対する交渉の道具としては、これ以上のものはないだろう。

 ……俺達をここに泊まるように手配したのが連合軍である以上、ピンポイントで俺達が泊まっている部屋までやってきたテロリストと連合軍が何の関係もないとは言い切れない筈だ。

 

「さて、今回の件で連合軍からは何をどれだけ貰えるか……だな」

「おいおい、今からそっちの心配かよ。少なくても今の俺達はテロリストの襲撃にあってるんだぜ? 心配するのなら、もっと別の事があるんじゃねえか?」

 

 テロリストの武器を奪ったデュオの言葉だったが、正直なところこの程度の腕じゃな。

 いや、勿論連合軍の兵士に比べれば技量は上だ。

 だが、それでもシャドウミラーを相手にどうにか出来るような存在であるとは、到底思えなかった。

 

「にしても、こいつら何をしにやってきたんだろうな」

 

 一応、何か手掛かりになる物でもないかと考えて意識を失っているテロリスト達の懐を探ってみるが、さすがにそんな馬鹿な真似はしなかったらしい。

 身分証とかそういうのでもあれば……いや、この場合だと身分証の類があってもそれが偽物だという可能性があるのか。

 そこから何らかの手掛かりを得ようとしても、寧ろ偽情報に踊らされるだけとなってしまう。

 そう考えると、やはりこのテロリストがどこの連中なのかという調査は連合軍に任せた方がいいのかもしれないな。

 ……ただでさえ、連合軍が所有するこの施設にテロリストを侵入させるという大きなミスをしてるのだ。

 であれば、当然のように連合軍も失態を少しでも挽回しようと一生懸命動くだろう。

 

「……すいません」

 

 申し訳なさそうにしているのは、サリィ。

 連合軍から派遣されてここにいるのだから、やはり現在の状況に色々と思うところがあるのだろう。

 もしかしてサリィを派遣したのは、その辺りも考慮してだったりするのか?

 だとしたら、何気に連合軍も侮れないな。

 

「まぁ、この失態は連合軍の方で挽回出来るように祈ってるよ。……それより、問題はこのテロリスト達が真っ直ぐ俺達の部屋までやって来た事だよな」

 

 俺達が泊まっている部屋は、ノベンタが用意してくれただけあって相当に豪華な部屋だ。

 ファミリー向け……なのか?

 大きなリビングやらキッチンやら風呂やら……その他諸々の施設があって、そこにそれぞれの個室……もしくは寝室が繋がっているといった感じだ。

 どちらかと言えば、一軒家を強引にホテルの部屋にしたって感じか。

 まぁ、元々こういう部屋はノベンタのようなお偉いさんが泊まる部屋だ。

 それだけに、緊張しないで寛げるようにとこういう作りになっているんだろう。

 こちらとしては、全員一緒の部屋なので今回のような場合には寧ろ助かったと言える。

 全員同じ部屋という扱いでも、寝室は別なのでプライバシーの類も守られてるし。

 ともあれ、それだけの部屋である以上、当然警備の類も厳しい。

 ましてや、入ろうと思ってもすぐに入ってこられるような場所にある訳でもない。

 だが、このテロリスト達は真っ直ぐこの部屋にやってきた。

 そう、一切の迷いも見せずに。

 それは、このテロリスト達の狙いが俺達であり、そしてここに泊まっているという事を承知の上での行動だった事を意味している。

 つまり、それはこの施設か、それとも連合軍かは分からないが、テロリスト達と繋がっている者がいるという事を意味していた。

 サリィも、俺が何かを言うよりも前にそれを理解しているのだろう。表情を厳しくし、黙り込んでいた。

 そうして部屋の中が奇妙な沈黙に包まれ、数分。

 やがて複数の足音がこの部屋に向かって走ってくるのに気が付く。

 一瞬敵か? とも思ったが、その割りには敵意や殺意といったものが感じられない。

 だとすれば……

 

「アクセル代表、ご無事ですか!」

 

 ノックもなく、数人の連合軍の兵士が部屋の中に入ってくる。

 そして中で何が起きていてもすぐに反応出来るようにしながら周囲を見回す。

 

「ああ、無事だ。問題はない。襲われたが、見ての通りこっちの方で対処したからな」

 

 名前を呼ばれた俺は、入って来た兵士の身体の使い方がガンダムのパイロット程……という訳ではないが、それなりの練度に達しているというのを見て少し驚きながらもそう言葉を返した。

 てっきりその辺の警備兵でも来るのかと思ったら、連合軍の中でも精鋭を寄越したのは……まぁ、ノベンタの誠意なのだろう。

 もっとも、俺の言葉通り既にテロリスト達は鎮圧済みだったが。

 

「なっ!? ……その、えっと、さすがですね」

「まぁ、この程度の相手ならな」

 

 兵士達にとっても、まさか自分達がやってきた時には既にテロリストが制圧済みだとは思わなかったのだろう。

 俺の言葉に驚きながらも、警戒を解く。

 まぁ、シャドウミラーのメンバーにとっては、この程度のテロリストは何人来ようが全く意味がない。

 それこそ、MSで突っ込んで来ればまた対処に困っただろうが。

 テロリストがそれをしなかったのは、MSを用意出来るだけの力がなかったからか、それともこのホテルを含めて周辺に被害を出したくなかったからか……さて、どっちなのやら。

 まぁ、このホテルに泊まっているのは俺達以外にも大勢いる。

 そんな他の客に被害が出ないで済んだのは、俺にとっても、そして連合軍にとっても幸運だったのだろう。

 

「警備は何をしていたの?」

 

 不愉快そうな様子で呟いたのは、サリィ。

 まぁ、今回の件は間違いなく連合軍の大失態である以上、不機嫌になるのも無理はない。

 

「それが、その……連絡ミスを含めて細かいミスの類が頻発していて……それで私達も出撃するのに手間取ってしまいまして」

 

 言いにくそうにしている軍人。

 まぁ、そんなミスでこうしてVIPが襲われたとなれば、普通なら懲罰ものだろうし。

 だが、そんな言葉を聞いていた俺は、逆に疑問に思う。

 その小さなミスというのこそ、敵の狙っていたものではないのかと。

 実際のところ、直接的に向こうの移動とかを妨害するような真似をすれば、かなりの確率で目立つ。

 当然だろう。そもそもの話、移動を阻害するような行動をするのだから、自然とその動きは目立つものになってしまう。

 だが……これが小さな、それこそ誰でも許容出来るような、そんなミスだとしたら。

 そんなミスが偶然幾つも重なり……結果としてその動きが軍人達の動きを阻害するだけの結果をもたらしたとしたら。

 ……まぁ、あくまでも可能性だけどな。

 実際のところ、本当にそんな事になるのかどうかは分からないし。

 そこまで上手く計算出来る奴が相手にいたら、非常に厄介になるのは間違いない。

 

「それで、アクセル代表。その……このテロリスト達ですが……」

 

 突入してきた男達の中でも、リーダー格の男……先程からサリィと話していた男が、困ったように俺に視線を向けてくる。

 何が言いたいのかというのは俺にも分かった。

 

「ああ、構わない。そいつらはそっちで引き取ってくれ。……それと、そいつ等が使っていた武器も渡しておくか。デュオ、五飛」

 

 俺の視線を向けられ、デュオと五飛は若干嫌そうにしながらも軍人達にテロリストから奪った武器を渡す。

 実際、武器からこいつらがどこの手の者なのかというのが分かる可能性もある以上、連合軍としてはそれを見逃すような真似はしたくないだろう。

 

「で、こいつらを引き渡すのはともかくとして……これ以上の安全は保証されるんだろうな? またこいつらみたいな奴が襲撃して来たりとか、そういう事は」

「ありません。今日はこれから、部屋の前は私達がしっかりと守ります」

「そうか、なら頼んだ」

 

 こんな失態をしでかしてしまった以上、連合軍の軍人としてもこれ以上恥の上塗りは避けたいと、そういうところか。

 まぁ、いざ何があってもこっちはすぐに対応出来るだけの能力は持っている。

 なら、向こうに好きなようにさせてやった方が、こっちとしても連合軍に恩に着せる事が出来るだろう。

 ……ノベンタなら、間違いなく今回の件を重要視する筈だ。

 もしこの件を放っておくような事があった場合、それはシャドウミラーに対する敵対行為……とまではいかないが、今回の件を軽く見ているという事の証なのだから。

 

「は! では、アクセル代表はゆっくりと休暇をおくつろぎ下さい」

 

 そう告げた軍人は、部下に目配せをする。

 それだけで部下達は自分達が何をするべきなのか理解し、意識を失っているテロリスト達を縛り上げていく。

 そしてサリィに目配せをすると、最後に再び俺に敬礼して部屋を出て行く。

 部下達も意識を失ったテロリスト達を抱えている。

 意識のない人間というのは、思った以上に重いのだが……さすがに精鋭部隊だけあってか、軍人達は特に大変そうな様子も見せずに去っていく。

 

「アクセル代表、私も彼等と少し情報交換をする必要があるので、ちょっと外したいのですが……」

 

 サリィが俺にそう告げてくる。

 先程の軍人の目配せは、そういう意味だったのだろう。

 

「ああ、それは別に構わない。向こうの情報はこっちにとっても大事だしな。出来るだけ詳しい話を聞いてきてくれ」

「出来るかどうかは分かりませんが、精一杯頑張らせて貰います」

 

 少しだけ疲れた笑みを見せたサリィは、そのまま部屋を出る。

 ……何だろうな。サリィにはああいう疲れた笑みがよく似合う。

 一瞬、かなりの色気を感じた。

 

「……アクセル、何か妙なことを考えてない?」

「いやいや、まさか。とんでもない」

 

 綾子の言葉に、俺は内心の思いを殺して首を横に振る。

 まさか、俺の内心を読んだのか?

 普通ならまず有り得ない事なんだが、半サーヴァントの綾子の場合、スキルとかで普通に可能になったりしそうなのが怖いな。

 

「それより、部屋を少し片付けるか。もう少し遅ければ、部屋の片付けは明日に回しても良かったんだが……」

 

 幸か不幸か、今の時刻はまだ午後10時くらいだ。

 この程度の時間であれば、特に問題なく部屋の整理をするくらいは出来る。

 もっとも、部屋の中はそんなに散らかっている訳ではない。

 突入してきたテロリスト達は、銃の1発も撃つことが出来ないまま、取り押さえられたしな。

 

「へいへい。まぁ、たまにはそんなことも悪くないさ」

 

 デュオが面倒臭そうに告げて片付けを始め、それに続くように五飛が……そして綾子、俺といった具合に片付けを始めるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1225
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1347

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