転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1730話

 ピースミリオンを襲ってきたトレーズ派のMDは、文字通りの意味で全滅に近い被害をだしてこの場を立ち去っていった。

 いや、それは立ち去るという言葉では生温い。

 どちらかと言えば、それこそ壊走したと表現するのが正しいだろう。

 後ろを振り向くような余裕すらなく、逃げ出したのだ。

 もっとも、MSだったりトーラスクルーザーを使っての移動だから、実際には背後の様子をしっかり見る事は出来ていたのだろうが。

 

「何とかなった、か」

『いやいや、何とかなったじゃないだろ。何だよ、最後の追い打ちは、ちょっと向こうが可哀相になったぜ?』

 

 そう告げたのは、映像モニタに映し出されたデュオ。

 ヒルデが無事だったのを確認した為か、システムXNで転移する時のような悲壮な感じはしていない。……現金な奴。

 

「そうか? けど、折角敵がこっちに後ろを見せてくれたんだから、ここで敵の戦力を減らしておくに越した事はないだろ。……もっとも、殆どがMDだったみたいだが」

 

 撃墜数が13しか上がってないということは、ブラックホール・ランチャーとメガ・バスターキャノンを使った攻撃で死んだトレーズ派のパイロットは13人という事になる。

 MDの指揮という意味ではそこまでおかしくないのかもしれないが、それでも出来ればもっと人数を減らしたかったというのが正直なところだ。

 

『あのなぁ……さっきの攻撃はウイングゼロのツインバスターライフルよりも威力があったんだぜ? いったい、その機体はどれだけの性能があるんだよ』

「さあな。少なくても機体性能という意味では、ウイングゼロを遙か彼方まで突き放しているのは事実だが。……それより、HLVはどうなった? 無事にピースミリオンに収容出来たのか?」

『ああ、そっちはヒルデが護衛に回って収容したらしい』

「そうか」

 

 何だかんだと、ヒルデも使えるな。

 というか、シャドウミラーの場合は実働部隊に所属しているのが誰も彼も一騎当千に近い能力を持っている。

 だからこそ、HLVの護衛とかに回すのが勿体ないというのが正直なところだ。

 結果として、ある程度の技量を持つヒルデが色々な場所で便利に使われる事になっている。

 そう考えると、ちょっとヒルデの負担が大きいか?

 実際、ピースミリオンの護衛をヒルデだけに任せたというのは、ちょっと正直どうかと思わないでもなかったし。

 特に今回の場合は。

 だが、トーラスは幾らでも手に入るが、シャドウミラーに入れてもいいと思えるパイロットとなると、難しいんだよな。

 色々と機密情報の塊の存在だけに、生半可な相手はちょっと……といった感じだし。

 それこそ、サリィ辺りなら大歓迎なんだが。

 ま、その辺は今更考えても仕方がない。

 既にこのW世界での戦乱も終盤に入っている。

 完全に俺の原作知識にない展開となっているので、本当に終わりに近付いているのかどうかは確信を持てないが。

 

「とにかく、HLVの収容が完了したのならピースミリオンに戻るか。これからどう動くのかを決めないといけないし、他にも俺達と一緒に宇宙に来た面子を元の場所に送っていく必要があるし」

『あー……そうだな。まぁ、それはそれで色々と騒動になりそうな気がするけどよ』

『いいから、さっさと戻ってきなさい。色々と説明して貰う必要があるんだから』

 

 俺とデュオが駄弁っていると、不意にそんな声が聞こえてくる。

 誰の声なのかというのは、それこそ考えるまでもない。

 視線を向けると、そこには予想通り映像モニタに映し出された凛の姿があった。

 そうして視線を向けられると、俺は小さく肩を竦めてニーズヘッグをピーミスリオンの格納庫に向けて移動するのだった。

 

 

 

 

 

「うわぁ……やっぱり」

 

 ピースミリオンの格納庫に入ると、そこでは予想通りの光景が広がっていた。

 整備員を始めとした技術者達が、ニーズヘッグを一目見ようと……もしくは少しでも触ろうと、集まってきていたのだ。

 それどころか、ハワードを始めとしたガンダムの開発者達までもが集まってきているのを見れば、ニーズヘッグがどれだけの注目を浴びているのかが分かるだろう。

 実際、その性能はウイングゼロを軽く凌駕しているのだから、ウイングゼロの開発を任せたハワード達のプライドを傷つけてもおかしくはないが。

 もっとも、だからと言ってニーズヘッグをハワード達に解析させたりする訳にはいかない。

 コックピットから降りると、そこにいるのが俺だと気が付いたのだろう。集まっていた者達がざわめきの声を上げる。

 まぁ、ニーズヘッグに俺が乗っていたというのはHLVに乗っていた者達経由で広まっていてもおかしくはないのだが。

 いや、驚きの声を上げたのは、T-LINKフレームの効果の1つ、PS装甲の効果が切れて装甲の色が変わったからか。

 ともあれ、コックピットから降りるとそのままニーズヘッグの足下に着地し、装甲に触れ……次の瞬間、そこにニーズヘッグがあったのは嘘だったかのように、その姿を消す。

 再び広がるざわめき。

 

「おい、アクセル! 今のは一体……それに、あの機体は……」

 

 技術者の中では俺に最も親しいハワードが、迫るようにして尋ねてくる。

 

「残念ながら、その話はまた今度だ」

「いや、今度って……え? 儂、もしかして幻覚でも見てたのか?」

「俺もあの機体を見たぞ! MSとしてはかなり小型なのに、悪魔の如き強さを発揮した機体」

「違うな」

 

 ハワードの幻覚を見たのかという言葉に、近くにいた整備員が自分も見たと告げる。

 

「え?」

 

 と、俺が何を言ってるのか分からないといったようにこちらに視線を向けてくる整備員に、笑みを浮かべて口を開く。

 

「正確には、悪魔の如きではなく、大魔王の如き……ってところか」

「は? 大魔王? え?」

「まぁ、あまり気にするな。ただの言葉遊びに近いしな」

 

 そう告げ、格納庫を出ようとし……足を止める。

 トールギス、デスサイズヘル、アルトロンガンダムといった機体も既に戻ってきており、そのパイロット3人が格納庫の出入り口で待っていたのだ。

 

「ヒルデはどうした?」

「医務室に行った」

「……怪我か?」

 

 そう尋ねるも、怪我の具合がそう酷くないのはデュオの様子を見れば明らかだ。

 そして事実、デュオは俺の言葉に頷いて口を開く。

 

「ああ。ちょっと頑張りすぎたみたいでな。ただ、重傷って訳じゃないから、その辺は問題ないさ。一応念の為に、だな」

「……女の顔に傷が残るかもしれないのは、十分重傷だと思うんだけどね」

 

 綾子の言葉に、デュオは一瞬動きを止める。

 ただ、それも次の綾子の言葉でどこか力が抜けるのだが。

 

「多少傷ついても、貰い先が決まっているんなら、その辺は問題ないのかもしれないけど」

 

 その貰い先というのが何を意味しているのかは、明らかだった。

 ただし、その貰い先の方が焦った様子で視線を逸らしていたのだが。

 

「ま、冗談はこれくらいにしてだ。……で、アクセル。これからどうするの?」

「いや、俺の人生の一大事を冗談で済ませて欲しくはないんだけどな。……ただ、綾子が言っているのは俺も気になる。それに、アクセルには色々と聞きたい事もあるしな」

 

 デュオの言葉に、五飛も無言で頷いているのが見えた。

 五飛の視線は、鋭く俺を見据えている。

 何だかんだと、デュオと五飛にとって俺は色々と特別な存在なのは間違いない。

 それが、異世界からの人間だと聞かされれば……うん、まぁ、そうなるのも分からないでもないけどな。

 

「その辺は取りあえず主要メンバーが揃ってからの話だな。……ブリッジに行けばいいのか?」

「ちょっと待って。凛に聞いてみるから」

 

 俺の言葉に綾子が通信機を使ってブリッジに連絡を入れて短く言葉を交わす。

 ……本当に今更の話だが、凛も通信機を使いこなせるようにはなっているんだな。

 いやまぁ、事務官として働いている以上、通信機くらいは普通に使えないと色々と不便だろうが。

 

「ブリッジだと皆が集まって話すには狭いから、ブリーフィングルームで色々と話し合うらしいよ」

「分かった。……そんな訳だ。詳しい事情はブリーフィングルームでいいよな?」

 

 俺の背後で何と言葉を掛けるか迷っていたハワードにそう告げると、小さく溜息を吐いてから頷く。

 

「分かったわい。ただし、しっかりと話を聞かせて貰うからな」

 

 そう告げるハワードの言葉には、他のガンダムの開発者達もが頷いていた。

 いやまぁ、ニーズヘッグを見れば当然だろうが。

 このW世界では、ガンダムというのは高性能MSの代名詞だった筈だが……今となっては、ちょっと性能の良い機体という感じに落ち着いてしまいかねない。

 実際にはそんな事はないんだが、ニーズヘッグはそれだけの衝撃を皆に与えたのだ。

 

「じゃ、行くか。他の連中もこれからどうするのかを決めかねているだろうしな」

 

 そう告げ。他の面々を引き連れ……俺達はブリーフィングルームに向かうのだった。

 尚、当然のように整備員達もついてきたがっていたのだが、人数を考えるとブリーフィングルームに全員を収納するのは無理ということで、ブリーフィングルームの通信をどこででも見られるようにするという事で手を打った。

 

 

 

 

 

「アクセル!」

 

 ブリーフィングルームに入った瞬間、真っ先に俺の名前を呼んだのは凛。

 席を立ってこっちに近付いてきた凛は俺の肩を軽く叩く。

 何故? と一瞬思うも、まぁ、魔法についてとかその辺りを軒並み話してしまったのを思えば、それも仕方がないか。

 

「どうやら、ピースミリオンも無事だったようだな」

「当然でしょう。私が艦長を任されてるんだから、そう簡単に沈められたりなんかしないわよ」

 

 そう告げる凛だったが、目には若干こっちを心配する色もある。

 そんな凛を落ち着かせるように、濡れたような黒髪をそっと撫でる。

 凛にとって、自分の黒髪はかなり自慢の部分だ。

 それを触らせる相手というのは、非常に限られている。

 今ここにいる中では、それこそ俺と綾子だけだろう。

 ……以前、デュオが食堂で転んでスープを凛の髪に掛けた時は、氷の微笑を浮かべながらデュオに迫っていたしな。

 結局生身の格闘訓練という名目でお仕置きされたけど、あれって下手をすればガンドが飛んでたんじゃないだろうか。

 ともあれ、そんな凛の髪を撫でてから改めてブリーフィングルームの中を一瞥する。

 そこにいるのは、連合軍からはノベンタ、セプテム、ベンティ。中東連合からはカトル、トロワ。サンクキングダムからはヒイロ、ドーリアン。ロームフェラ財団からはデルマイユ。

 そしてシャドウミラーからは俺、凛、綾子、デュオ、五飛、サリィ、シルビア、ハワードを含めたガンダムの開発者達。

 いや、サリィとシルビアの所属は連合軍か。

 それ以外にも何人か名前の知らない連中がいるのだが、取りあえずトレーズ達を除く主要メンバーは大体揃っているので問題ないだろう。

 そんな面々を前に、最初に口を開いたのは俺だった。

 

「さて、皆無事なようで何よりだ。トレーズが何を思ってピースミリオンに攻撃を仕掛けてきたのかは分からない……訳じゃないか」

 

 ピースミリオンがシャドウミラー本拠地というのは、それこそ少し事情が知ってる者であれば理解出来る事だ。

 そうである以上、トレーズ達としてもピースミリオンをどうにかしたいと考えるのは当然だろう。

 ましてや、もしピースミリオンの奪取に成功していれば、かなりの技術をトーレズ達が得られるのは間違いない。

 もっとも、その技術を得たところでどんな風に役立てるのかは、微妙なところだが。

 俺の記憶にないMSでも設計されていたか?

 ともあれ、今の状況でそんな事を考えても特に意味はない。

 こうしてピースミリオンを守り切る事には成功したのだから。

 

「それで……うーん、色々と話し合う内容があって、どれから話せばいいのか迷うな」

「なら、アクセル。まず最初に聞かせてくれ。お主が乗っていたあの機体は……儂等が開発したウイングゼロですら足下にも及ばないような機体は、一体何なんじゃ?」

 

 やはりと言うべきか、真っ先にそう尋ねてきたのはハワードだった。

 直接自分の目であの戦いを見た技術者としては、当然の結果だろう。

 格納庫でも、話は後でと言って待たせたしな。

 だが、ニーズヘッグについては大まかなところは説明出来ても、技術的に詳しいところは説明出来ない。

 あの機体は、俺の……シャドウミラーのフラッグシップ機であると同時に、かなりの技術的な機密度の高さを持つ。

 エナジーウイングやテスラ・ドライブ、T-LINKシステム……それ以外にも、文字通りの意味で様々な技術が使われている機体だ。

 

「そうだな、言えるのは……あの機体は、俺の本当の意味での専用機って事だけだな」

 

 取りあえず誤魔化す意味も込めて、そう告げるのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1330
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1368

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