転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0160話

「デコイ用意」

 

 アークエンジェルのブリッジにマリューの命令が響く中、俺はその声を聞きながらブリッジを出て行く。アルテミスに向かうと確定した以上はこのままブリッジに俺がいても出来る事はない。それよりも今はアルテミスへの航路上で戦うであろうイージス、デュエル、バスターの3機に対抗する為にもブリッツをどうにかしておかないといけない。

 

「アクセルさん!」

 

 格納庫へと向かう通路を浮きながら移動していると、突然後ろから声を掛けられる。振り向くとそこにはどこか元気の無いキラの姿があった。

 

「これから格納庫ですか?」

「ああ、ブリッツの様子を見ておきたくてな」

「すいません、OSの方はまだ見てないのでこれからチェックさせてもらいます」

 

 やはりどこか元気のない様子のキラ。自分が憧れているフレイがサイとイチャイチャしているのを見て……ってところか。

 

「そうか、なら頼む。アークエンジェルはユーラシアの要塞に向かう事になったが、俺の勘では最低一回はザフトと戦闘になるだろうからな。その時に備えて準備はしておきたい」

「はい。まずはブリッツのOSですね」

 

 そんな事を言いながら移動していると、すぐに格納庫へと辿り着く。

 

「じゃあ僕は早速ブリッツの様子を見ますので」

「ああ、頼んだ」

 

 ブリッツの方へと向かうキラを見送り、メビウス・ゼロの修理を指揮しているマードックへと近づいて行く。

 

「おお、兄ちゃん」

「メビウス・ゼロか。ムウの機体だな?」

「ああ。と言うか、今の連合軍じゃこの機体を乗りこなせるのはほんの数人だ。この艦じゃ……いや、この艦には坊主と兄ちゃんがいるからな。もしかしたら乗りこなせるかもしれないか」

 

 そう言って頷くマードック。確かに乗ろうと思えば乗れるかもしれないが、MSがあるのにMAに乗るなんて真似はしたくない。……ノイエジールとかのMAなら大歓迎なんだが。

 

「それで、ジンが使ってた巨大ビームライフルの回収は出来たのか?」

「ああ、坊主に頼んで回収してもらった。……ただ、3発撃てばスッカラカンになるから使い勝手は良く無いぞ? 予備のエネルギー供給用カートリッジもないし」

「ブリッツのビームライフルのように機体からエネルギーを持ってくる訳じゃないというのは有り難い。カートリッジに関しては……またあの武器を持ったジンが出てきてくれるのを祈るしかないか。この艦の設備で新規製造は出来ないのか?」

「それはちょっと難しいな。けどエネルギーの充電は可能だから、使い終わった後は捨てないで持ち帰ればまた次の戦闘で使用可能には出来るな」

 

 ただでさえPS装甲やミラージュコロイド、ビーム兵器等で機体のバッテリー消耗があるのだ。例え残弾が3発だろうと非常に有効な装備であるのは間違いない。撃ちきったらその場でパージすればいいんだし……いや、マードックの説明を聞く限りじゃパージはやめた方がいいのか? あるいは撃ち終わったらアークエンジェルがいる方に流して、戦闘終了後に回収するというのもありか。

 

「俺が倒したジンの突撃機銃と斬艦刀、シグーのバルカンシステム内装防盾は?」

「それも回収済みだ。特に故障はしてないみたいだから普通に使えるだろう。……ただ、FCSの調整は必須だぞ?」

「その辺はキラ任せだな」

「アクセルさん、マードック曹長!」

 

 噂をすればなんとやら。ブリッツのOSを調べていたキラがこちらへと向かってくる。

 

「OSが落ちた原因が分かりましたよ」

「ほう、原因は何だったんだ?」

「ブリッツのOSがアクセルさんの反応速度に付いていけなかった為に、処理速度が間に合わなくなったのが原因でした」

「おいおい、あのOSは坊主のストライクと同じ数値設定なんだろ?」

 

 その言葉を聞いたキラは眉を顰める。

 

「僕の機体? ちょっと待って下さい。そりゃあ、しょうがないと思って二度目も乗りましたよ。でも、それはへリオポリスを脱出する時だけだって……それに僕は軍人でも何でもないんですよ!?」

「キラ、お前はさっきの戦闘前に言ったな? 自分が戦わないせいで友達が死んでいくのは嫌だと。一度ストライクに乗ったんだ、一段落つくまでは付き合ってもいいんじゃないか? それこそ、お前の友達を守る為にもだ」

「アクセルさん……でも……」

「ザフトが攻撃を仕掛けてきた時、この艦を守る事が出来るのは俺とムウ。そしてお前だ」

「けど!」

「友達に死んで欲しくはないんだろう?」

 

 やはりその言葉が決定打だったのだろう。不承不承だろうが、再びストライクに乗る事を了承した。

 雰囲気が暗くなったのを感じたのか、マードックが明るい口調で話を変える。

 

「にしても、坊主の設定したOSの設定数値以上の反応速度って……それはつまりナチュラルの兄ちゃんがコーディネーターの坊主よりも高い身体能力を持ってるって事か?」

「え? ええ、そうなりますね。でも僕は別に身体を鍛えてきた訳じゃないですから、僕よりも肉体的な能力が高い人はたくさんいますよ」

「まぁ、傭兵をやっているんだ。コーディネータとは言えキラみたいな子供に負けてはいられないって事だな」

 

 アクセル本来の潜在能力に、インファイトLV.9。そして成長チート。これらの要素が複合的に混じり合った結果が今の俺だ。正直、肉体的な能力で考えれば俺よりも上の存在なんてこの世界には殆どいないだろう。

 

「取りあえずOSの設定をより高い数値に変更しました。これでアクセルさんの反応速度にOSが付いていけなくて処理速度が間に合わなくなるという事はないと思います。ただ……」

「ただ?」

「その、処理速度は格段に速くなったんですけど、機体の反応速度が敏感になりすぎてしまって。操作性がかなりピーキーなものになってしまったんです」

 

 すいません、と頭を下げてくるキラだったが俺としては特に問題がない。少なくてもT-LINKシステムによる機体制御が可能なグロウセイヴァーのように完全に俺の反応速度に付いてくるとはいかないまでも、コードギアスの世界で使ったランドリオンやガーリオンよりもマシであれば問題はない。

 

「気にするな。道具の選り好みをしているようじゃ一流の傭兵とは言えないしな。それよりOSの調整に追加を頼んでもいいか?」

「追加、ですか? 何でしょう?」

「あそこに転がってる武器があるだろう?」

 

 格納庫の隅に纏めて置かれているジンやシグーの武器へと視線を向ける。

 

「ええ。あの大きいビームライフルはブリッツと一緒に回収してきましたし」

「あの武器をブリッツでも使えるようにFCSの調整を頼みたい」

「ジンやシグーの武器をブリッツで使うんですか!?」

「そうだ。ブリッツの武器は使えば使う程、機体のバッテリーを消耗する。だが、シグーやジンの武器はバッテリー消耗を考えなくてもいい。ブリッツはストライクと違ってストライカーパックを変更すれば機体のバッテリーが回復するような便利な機能はないからな。その辺の保険とでも考えておいてくれ」

「はぁ、分かりました」

 

 頷いたキラが再びブリッツの方へと移動していく。

 

「兄ちゃんも、傭兵だなんだって言うなら自分の機体の簡単な整備は出来た方がいいんじゃないか?」

 

 キラの後ろ姿を見ながらマードックがそう話しかけてくるが、そもそも今までは完全にレモンや技術班任せにしてきたからな。こういう状況になるのなら確かにその辺の事を覚えておいた方がよかったかもしれない。

 

「ま、この艦には立派な整備員がいるんだ。にわか知識を持った奴が整備するよりは、専門知識を持ったお前達に任せた方が問題はおきにくいだろ」

「それはそうだが……」

「マードック曹長、メビウス・ゼロの調整終了しました。チェックお願いします!」

 

 何かを言おうとしたマードックだったが、その前にメビウス・ゼロの調整をしていた整備員に呼ばれてしまう。

 

「っと、悪いな。先にあっちを片付けさせて貰うよ」

「そうしてくれ。俺の勘ではもうすぐ戦闘になりそうな気がするから、その前に出来る事はやっておいた方がいい」

「おお怖い怖い。傭兵の兄ちゃんの勘じゃあ、軽く見る訳にはいかないな」

 

 冗談だと思ってるのか、軽くそう言ってメビウス・ゼロの方へと移動していく。

 

 

 

 

 

「アクセルさん、一応FCSの調整は出来ましたけど、僕は本職じゃないのであまり過信しないで下さいね」

 

 マードックが自分の仕事に戻ってから、20分程でブリッツの調整を終わらせたキラが声をかけてくる。

 

「ああ、取りあえず使えればいいさ。最悪敵に近づいて撃ち込めば照準も何もあったもんじゃないしな」

 

 ミラージュコロイドを使えば、敵に気づかれる事なく懐に飛び込むのもそれ程難しい事ではない。……乱戦の中でPS装甲を展開出来ないという問題もあるが。

 そんな事を考えていると、アラームが格納庫へと鳴り響く。

 

『敵影捕捉、敵影捕捉。第一戦闘配備。軍籍にある者はただちに全員持ち場に付け。繰り返す、軍籍にある者はただちに全員持ち場に付け』

 

「……来たな」

「敵が、来た……」

 

 どこか呆然と呟いたキラ。恐らく友人であるアスランとの戦いを予想しているのだろう。

 そして続けて艦内放送が格納庫へと響き渡る。

 

『アクセル・アルマーとキラ・ヤマトはブリッジへ。繰り返す、アクセル・アルマーとキラ・ヤマトはブリッジへ』

 

「さて、呼び出しだ。行くぞ」

「は、はいっ!」

 

 どこか逡巡しているキラを引っ張り、格納庫からブリッジへと向かう。その途中、連合軍の制服を着たサイ、トール、カズイ、ミリアリアと通路で遭遇する。

 

「キラ!」

「トール、皆! 何? どうしたの、その格好」

「僕達も、艦の仕事を手伝おうかと思って」

 

 キラの疑問にサイが答える。

 そんなキラの様子を見ながら先に進む。

 

「キラ、俺は先にブリッジに行っている。お前が何を守りたいのか、それを確認できたら来い」

「え?」

 

 戸惑うキラと、サイ達を残してブリッジへと向かう。

 これでキラも覚悟を決める事が出来るだろう。自分の為に共に戦ってくれる友人を見捨てるなんて真似はあの優しいキラにはまず出来ない。

 そんな風に思いつつブリッジの扉に近づくと、俺が開ける前にムウが出てくる。

 

「っと! 悪い。……あれ? アクセル1人か? キラは?」

「キラなら……あぁ、ほら」

 

 背後の通路へと視線を向けると、どこか覚悟を決めた表情のキラがこちらへと向かって来ていた。

 

「ん? 坊主の顔つきが変わったな」

「ああ。守るべき者を再認識したんだろうさ」

「へぇ、アクセルが?」

「ま、傭兵をやってれば口も巧くなる」

「あれ? ムウさん、アクセルさん、どうしたんです? ブリッジに集合じゃ?」

 

 そう尋ねてくるキラの肩を軽く叩くムウ。

 

「お前さん達が遅いからな。俺から迎えにきてやったって訳だ。それよりもパイロットスーツに着替えないとな。ついでに作戦の説明も」

 

 ムウに連れられてパイロットスーツが置いてあるというパイロット控え室へと連れて行かれる。

 

「……そう言えば、アクセルは自分のパイロットスーツがあったよな? どうした?」

 

 連合軍用のパイロットスーツを俺へと渡しながらムウが尋ねる。

 

「へリオポリス崩壊の時にブリッツから脱出して格納庫に辿り着いてから脱いで……そのままだな。多分まだ格納庫のどこかに転がってると思う」

 

 なにげにあのパイロットスーツはシャドウミラー製……と言うか、レモン率いる技術班製なのでこのガンダムSEEDの世界より進んだ技術で作られている筈だ。

 

「まぁいいか。それじゃあパイロットスーツを着ながらでいいから作戦を聞いてくれ」

 

 ムウの作戦は原作通りのものだった。ストライクとブリッツで敵の攻撃を防いでいる間に、メビウス・ゼロで前方にいるナスカ級へ攻撃を仕掛けてから即離脱する。その後はアークエンジェルで追撃してそのままアルテミスへと逃げ込むというものだ。違う点はアークエンジェルを守るのが原作ではストライクだけだったが、ここではブリッツも含まれているという事くらいだろう。

 

「作戦の趣旨は分かったが……前方にいるナスカ級に攻撃するのなら俺のブリッツの方が向いてるんじゃないのか? ミラージュコロイドを使えば隠密性はメビウス・ゼロよりも上だが?」

「ああ、それは俺も考えた。だがなぁ、MAで連合軍の最新鋭MSに対抗出来ると思うか?」

 

 ……原作では互角に渡り合っていた、と言っても話は通じないか。そもそもジンとメビウスのキルレシオは1:5なのだ。こっちが連合でも有数のMAパイロットであるムウだが、敵だってジンとは比べものにならない性能を持つガンダムで、しかも赤服パイロットとなるとどうしてもムウの方が不利になるだろう。

 

「了解した。じゃあ俺とキラはアークエンジェルの防衛を最優先って事で」

「ああ。お前さんはともかく、坊主はまだまだ戦闘に慣れていないんだ。きちんと見てやってくれ。坊主もアクセルの指示をきちんと聞くようにしろよ」

「はい、分かりました」




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:495
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:256

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