転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1755話

 凛がこの場に姿を現した事は、別に驚きでも何でもない。

 そもそも、ここに来るようにと凛に言っていたのは俺なのだから。

 そう考えれば、寧ろこれは当然の結果と言えるだろう。

 ……問題は、こうして俺の恋人達が全員集まって、それでどうなるか、なんだよな。

 綾子の方は、何だかんだと流された……いや、正確にはレモンの貫禄で済し崩し的に自分が俺の恋人達の一員に入るといったことを認めた流れになったが……

 

「あら、貴方が凛ね。アクセルから色々と話は聞かされているわ。特に魔法ではなく魔術とか、シャドウミラーにとっても興味深い技術を持ってるようね」

「ふふ、ありがとう。私もアクセル達が使っている魔法には興味があるわ。アクセルの場合、持っている知識が酷く限定的だったもの」

 

 何故か俺を責める方向に話の流れがシフトしつつある。

 そう思ってしまうのは、間違いなく俺の気のせい……という訳ではないだろう。

 

「けど、残念ね。魔術は魔法とは違って誰にでも使えるという代物ではないのよ。魔術回路が必要で、普通の人間はそれを持ってないわ。時々突然変異的な感じで持ってる人もいるけど」

 

 そう言った凛の脳裏を過ぎったのは、恐らく衛宮だろう。

 元々衛宮は義理の息子であり、衛宮家の血筋を引いている訳ではない。

 ……それでも最終的には英霊になれる程の能力を有していたんだから、潜在スペックは高かったんだろうが。

 勿論、そこには血の滲むような努力があったのは間違いないだろうが。

 どんな素材も磨かなければ光らないのだから。

 もっとも、この場合の素材の問題は、何故か素材の方が自分の特性とは違った方向に磨かれようとしていたことか。

 本質としてアーチャーなのに、無理にセイバーになろうとしている……みたいな。

 それでもひたすらに研鑽を重ね、曲がりなりにもランサーと双剣でやり合えるだけの力を得たのは、さすがと言ってもいいんだろうが。

 

「それで、そろそろ本題に入りましょうか」

 

 暫く魔法と魔術についての話をしていたレモンと凛だったが、その辺りの話も一段落したのだろう。改めて俺の方に視線を向けながら、笑みを浮かべてレモンが告げる。

 

「そうね。……その話は避けて通れないわ。……それで一応聞くけど、ここにいる全員が『そう』……つまりアクセルの女という認識でいいのよね?」

 

 凛が、ブリーフィングルームにいるメンバーに視線を向ける。

 レモン、マリュー、コーネリア、スレイ、シェリル、あやか、千鶴、円、美砂、ミナト、エリナ。

 ……エリナはまだ俺の女と言われるのに慣れていないのか、薄らと頬を赤く染めていた。

 そんなエリナの方を見て、凛はニンマリとした笑みを浮かべる。

 

「なるほど。そっちの彼女はまだアクセルに抱かれるようになってからそんなに経っていないのね」

「そうね。あたしと同じ世界、ナデシコ世界の出身だけど、自分の気持ちに気が付くのが遅れたから、アクセルに抱かれたのは……最初の一度以外だと、それこそこのW世界に来る前の夜だったし」

「ちょっ、ミナト! あんた一体何を!」

「別にいいでしょ? ここにいるのは全員がアクセルとそういう関係にある人だけなんだから。……もっとも、エリナはアクセルに抱かれる前にも一緒にお風呂に入っていたようだけど」

「っ!?」

 

 ミナトの言葉がクリティカルヒットとなったのか、エリナは頬だけではなく顔全体……それこそ耳の先端まで赤く染めて俯き、黙り込む。

 

「ミナト、あまりエリナを苛めるなよ」

「だって、エリナってば生真面目なせいかからかいやすいんだもん」

「あ、分かる分かる。円とかもそうよね」

「ちょっ、美砂!? 何でいきなり私を売るの!」

「あらあら、ウフフ」

「生真面目という点では、コーネリアや……マリューもそうよね」

 

 何故か急にそんな感じで話が盛り上がるのは……まぁ、レモン達らしいコミュニケーションと言えば、そうなの……か?

 聞いてる方としては、何と話に入っていけばいいのか迷うが。

 いや、ここは女同士で話をさせておいた方がいいのか?

 ……そんな風に思っていたのは、話題がFate世界での話になるまでだったが。

 

「それで、マスターとサーヴァントってのは魔力によって繋がってるのよ。その関係で、夜になると相手の記憶が、夢という形で流れてくることがあるんだけど……」

 

 そこで言葉を止めた凛は、小さく笑みを浮かべながらレモン達に視線を向ける。

 

「それ以上言わなくていいわ。凛のその顔でどんな場面を見たのかは、大体予想出来るから」

 

 レモンが俺に呆れの混ざった視線を向けてくるが、記憶が夢として流れてるんだから別に俺が悪い訳じゃないと思うんだが。

 にしても、凛には俺の記憶が流れてたみたいだが、俺には流れてこなかったのは……どういう訳だ?

 勿論俺の場合は正式なサーヴァントという訳ではなかった。

 それこそ、イレギュラー中のイレギュラーと言ってもいい。

 本来ならセイバー、ランサー、アーチャー、ライダー、バーサーカー、アサシン、キャスターという7つのクラスで行われる聖杯戦争だが、俺はそのいずれでもないイレギュラークラスのアークエネミー。

 凛もサーヴァントの召喚を失敗したという話だし、魔力のラインが正常に繋がっていなくてもおかしくはない。

 

「ふふっ、そんな訳で、私と綾子はレモン達と会う前からその名前も顔も……ああいう時にどんな反応をするのかも、大体分かってたのよ」

「……ちょっと、凛さん。それは本当ですの!?」

 

 いつの間にか、もう全員の自己紹介は済んでいたのだろう。あやかは凛の名前を呼びながら、半ば叫ぶようにしてそう尋ねる。

 毎晩のように全員でそういう光景を見せており……それこそ、自分の身体にはこの場にいる凛と綾子以外全員の指と唇が触れていない場所は全くないという状況であっても、やはりと言うべきか、話は聞いていても初めて会う相手にそれを知られているというのは恥ずかしいらしい。

 だが、そんなあやかの様子に凛は笑みを浮かべて頷く。

 

「ええ。それこそ毎晩のように全員のベッドシーンをこれでもかってくらいにアクセルには見せつけられたわよ? ……まぁ、その……多人数でってのは、幸か不幸かなかったけど」

 

 そこは凛も口に出すのが恥ずかしかったのか、薄らと頬を赤くしている。

 

「ふふっ、そのうち凛も慣れるわよ。そもそも……」

 

 笑みを浮かべたシェリルが、そこで一旦言葉を切ってから綾子に視線を向ける。

 そんなシェリルの視線を見れば、何を言いたいのかは一目瞭然だった。

 そして視線を向けられた綾子も、身に覚えがあるだけに当然シェリルの言葉を止めようとする。

 

「ちょっ!」

「凛と綾子だって、どうせ2人一緒にアクセルに抱かれてるんでしょ?」

 

 かーっと。

 そう表現するくらいの勢いで凛と綾子の顔は赤く染まる。

 さっきのあやかもそうだったが、やはり普段から行われ……それこそいつものメンバーであれば慣れている複数人での行為であっても、そのメンバー以外がいる前で口に出されるというのは恥ずかしいものがあるのだろう。

 

「お前達の気持ちも分かるが、アクセルと付き合っていく……ハーレムメンバーに入るというのであれば、それは慣れた方がいい。そもそも、アクセルの性欲の強さを考えれば、1人や2人で相手をするというのは半ば自殺行為に近いのだからな」

 

 コーネリアの言葉に、他の面々も真面目な表情で頷く。

 凛と綾子はそんなコーネリア達の姿を見て、顔を赤くしながら俺の方を見る。

 ……そっと視線を逸らす俺。

 

「永遠にアクセル君と一緒にいたいと、本当にそう思うのであれば、自分の思いだけを気にするのでは駄目よ?」

 

 千鶴らしい包容力のある台詞……と言ってもいいのかどうか分からないが、母性的な笑みを浮かべ、そう告げる。

 ……母性的という意味ではマリューと似てるんだが、そのマリューとはまた違った……より強い女らしさを持つ母性なんだよな。

 黒い下着とガーターベルトとか。

 ともあれ、千鶴のその言葉は凛に何らかの衝撃を与えたらしい。

 真剣な表情で、じっと千鶴を含めてその場にいる者達を見る。

 そうして一瞥すると、やがて小さく息を吐き、その左手の魔術刻印を起動させる。

 

「私は魔術師の遠坂凛。……これから永い付き合いになると思うけど、よろしくお願いするわ」

「あたしは美綴綾子。半サーヴァントと呼ぶべき存在だ。凛と同じく、これからも末永くよろしく頼むよ」

 

 凛と綾子がそれぞれに真剣な表情でそう告げる。

 そんな2人に対し、レモン、マリュー、コーネリア、スレイ、シェリル、あやか、千鶴、円、美砂、ミナト、エリナの11人もそれぞれ改めて自己紹介していく。

 このやり取りによって、凛と綾子はレモン達に受け入れられたし、レモン達もまた凛達に受け入れられたのだろう。

 

「さて、じゃあこうして凛達との事もはっきりと決まったんだし……それに、私達がアクセルと再会したのも1ヶ月半ぶりだということもあるから、久しぶりに全員でゆっくりとしましょうか。ああ、そうそう。ルリとラピスが戻ってきたら、そっちとも顔合わせをしないといけないわね」

「誰、それ?」

 

 キョトン、といった表情が似合うような感じで凛が呟く。

 凛がこんな顔をするのは珍しい。

 

「あー……そう言えばラピスの事を説明してなかったな」

 

 Fate世界に俺が召喚された時、凛は俺の経験を夢で見た。

 だが、それはあくまでもその当時の事であり、Fate世界の後に起きた出来事は当然ながら知らない。

 そうである以上、凛がラピスやルリの事を知らなくてもおかしくはなかった。

 

「このW世界に来る前に俺達が関わった世界がナデシコ世界って言うんだけど……ああ、ちなみにミナトとエリナの出身世界だな。ラピスってのは、俺がその世界で保護した子供だよ。色々と事情のある身の上だから、俺の養子という事にしてある」

「つまりそれって、アクセルは子持ちだったって事? 実の子供ではないにしろ」

「そう言われると、否定出来ないな」

 

 実際に子持ちなのは間違いない。

 ……父親に対して、母親が10人以上いるという、とんでもない家族ではあるが。

 

「これからは凛と綾子もラピスやルリと付き合っていく事になるんだから、しっかりと顔合わせはしておいた方がいいでしょ? 幸い、学校が終わったらすぐにこっちの世界に来るって言ってたから」

「いや、別にW世界に来なくても、俺が直接ホワイトスターに戻ればいいだけじゃないか?」

 

 このW世界は丁度今日戦乱が終わったばかりであり、当然のようにまだ混乱が続いている。

 そうなれば、ラピスやルリの身に危険が及ぶ可能性というのも十分にあるのだ。

 それなら、俺が直接ホワイトスターに行った方がいいと思うんだが……そんな俺の言葉に、マリューが首を横に振る。

 

「ラピスが少しでも早くアクセルに会いたいと思っているし、何より未知の世界に興味を持っているのよ。……あのラピスが我が儘を言うのは珍しいんだから、少しくらい聞いて上げてもいいんじゃない?」

「それは……」

 

 マリューの言いたい事も分かる。

 基本的にラピスは、受動的な感じの性格をしている。

 それは本来の性格もあるのだろうが、育ってきた環境も大きく影響しているだろう。

 元々はルリと同じく遺伝子を調整された生まれであり、ナデシコ世界で起きた騒動では俺達と敵対する組織に人間ではなく使い捨ての道具として認識されていたのだ。

 だからこそ、そのラピスが我が儘を言ったというのであれば聞いてやりたい。

 聞いてやりたいとは思うが……それでも、戦乱が終わったばかりのW世界というのは危険だ。

 

「アクセルがいるでしょ。もしこの世界の人達が何をしようとも、アクセルをどうにか出来るとは思わないんじゃない?」

 

 近くで話を聞いていたシェリルの言葉に、他の面々も同意するように頷く。

 こうなってしまえば、俺が何を言ったところで無駄だろう。

 実際問題、俺を含めてシャドウミラーのメンバーは誰も彼もがこの世界では圧倒的なまでの実力を持っているのは間違いないのだから。

 もしこちらに攻撃をしてこようとする者がいても、それこそ何かをされる前にどうにか出来るというのは間違いない。

 

「分かった、降参だ。じゃあ、行くか。……ああ、凛の方はどうする?」

「そうね、取りあえずハワードに艦長代理をさせておくわ」

 

 原作でもハワードが艦長をしていたんだから、それでもおかしくはないか。

 俺が頷くと、凛はすぐにブリッジに通信を送り……そして俺達は再び地球に向かうのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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