転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0163話

 アークエンジェルの食堂で、アルテミスの司令官であるガルシア一行と俺達アークエンジェル組は睨み合っていた。ガルシアがMSを掠め取ろうとして策動しており、キラの掛けたロックを外させる為にMSパイロットと技術者を出せと要求してきているのだ。

 どうするべきか。名乗り出るか? いや、だがそれで捕まってこの無能の下で何かをするのは正直御免だ。となると原作のようにザフトに期待するしかないんだが……いや、待てよ。原作、原作か。ようは原作のようにアルテミスの傘が展開されなければ問題はない訳で……頭の中で一通りの計画を練る。だがどうしてもその計画を実行するにはどこか人目の付かない場所が……ガルシアか。なるほど、使えるな。

 

「MSのパイロットは俺だが?」

 

 ガルシア達の視線が俺へと向く。そのあからさまな浅ましさに口元に嘲笑を浮かべながら口を開く。

 

「ふむ、ならちょっと一緒に来て貰おうか」

「御免だな。俺の雇い主はあくまでもアークエンジェルの艦長であり、貴様等みたいな無能な下種風情ではない。どうしても俺に命令したいのならマリューに直接言わせるんだな。……それが出来るのなら、だが」

 

 あからさまな挑発だったが、ガルシアは見事なまでにこちらの思い通りに動いてくれた。顔を真っ赤にしながら殴りつけてきたのだ。

 

「雑魚が」

 

 振り下ろされた拳は顔を横に動かして回避。そのまま伸びきった腕を掴んで背負い投げの要領で床に思い切り叩き付ける。もちろん俺はこんな男に手加減をしてやる程優しい訳ではないので、叩き付ける瞬間に浮かせるといった手加減は一切せずに、殴りつけてきた勢いと俺の身体能力によってガルシアの身体をさらに加速させて威力を増してある。

 

「ぐはぁっ!」

 

 背中から思い切り床へと叩き付けられ、息を詰まらせるガルシア。他の連中がまだ動き始めないうちにその顔面を右脚で踏みつける。

 

「ぐっ、ぐがっ」

「貴様!司令に何を!」

 

 こちらへと掴みかかってこようとする副官だったが、多少右脚に力を入れてやる。

 

「がっがああぁぁぁっ!」

 

 ガルシアの悲鳴が食堂に響き、副官の行動も思わず止まる。それを見ながら再度嘲笑を浮かべながら口を開く。

 

「よしよし、さすが主人思いの犬だな」

「貴様、このアルテミスでこんな事をして無事に済むと思っているのか?」

「そうか? 他国の軍事機密を奪おうとしたのを防いだだけだが? こういう風にな」

 

 再度力を入れてガルシアの顔面を踏みにじる。

 

「アクセル! ……頼む、やめてくれ」

「ノイマン。……だが、このままではこいつらにMSを盗まれるのは分かりきっているだろう?」

「分かってる! だが、周囲をよく見ろ」

 

 食堂でこちらを監視していた兵士達が俺へと銃口を向けている。俺一人ならなんとでもなるが、この食堂には避難民達も大勢いる。そちらに被害が出るのを憂慮したのだろう。

 

「兄ちゃん、俺からも頼む」

 

 マードックからも頼まれ、溜息を吐き両手を挙げる。

 

「OKOK、分かったよ。降参だ」

 

 それを聞いた副官が護衛の兵士に命じて俺を拘束するように命令するが……

 

「おっと!」

 

 そのまま連れ出されようとした時、偶然にも……そう、あくまで偶然にもガルシアの顔面を踏みつけていた右脚に力が入り、床へと後頭部をぶつけてガルシアが気絶してしまった。

 

「貴様!」

 

 それを見ていた副官が俺に殴りかかろうとしてくるが、視線を向けた途端一瞬で動きを停止して顔中に汗が吹き出す。

 

「そ、そいつを独房に連れていけ!」

「はっ!」

 

 護衛の兵士が恐る恐るといった様子で銃を向けてくる。俺はそれに逆らう事なく連行されて食堂を出て行く。食堂の中ではもう1人のMSパイロットを探す副官の声が響いているが……キラの性格だと他の皆に迷惑が掛かる前に自分から名乗り出るだろう。

 取りあえずは計算通りに進んでいるようで何よりだな。

 そのままランチを使いアークエンジェルからアルテミスへと移動して独房へと放り込まれる。独房の中を確認するが、監視用のカメラが1台あるだけでかなりの死角があった。まぁ、最重要の捕虜や犯罪者を入れておくような独房ならともかく、ここは一般の独房だから無理もないか。

 

「さて……」

 

 まずは監視カメラにギリギリ映る所に座り、壁に寄り掛かる。そしてそのまま監視カメラから見えない場所に空間倉庫を展開。スライムを使い独房の壁を直径0.1mm程度の穴で溶かし……よし。上手い具合にこの独房は外壁近くにあったらしく外は既に宇宙だ。そのままスライムを細い糸のような状態でアルテミスの表面を探査していく。

 

「これか」

 

 探索を開始して数分ですぐに目的の物は見つかった。アルテミスの表面に無数に設置してある光波防御帯を発生させるビーム発生装置だ。金属で出来ているだけに宇宙空間でもスライムの触覚により発見する事が出来た。しかも運のいい事にまだアルテミスの傘を展開している状態で、だ。つまりはまだ近くにローラシア級がうろついてるのだろう。

 

「後は……」

 

 発見したビーム発生装置を中心にして周囲をスライムで探索し、8つ程のビーム発生装置を発見する。

 

「よし」

 

 深呼吸をして呼吸を整える。ここからは時間の勝負になるから遅滞は一切許されない。と言うか、行動が遅れた場合は俺もこのアルテミスの崩壊に巻き込まれる事になってしまう。

 

「SPブースト!」

 

 エースボーナスのSPブーストを使用し、スライムの能力を強化。そのまま鋭利な鞭と化したスライムでビーム発生装置9個を瞬時に破壊する。同時にアルテミスで鳴り響くアラーム音。無意味な所で優秀だな。

 すぐ近くにローラシア級がいる状況でアルテミスが誇る光波防御帯が唐突に消失。このアルテミスに所属している軍人にとっては最悪の事態だろう。事実、独房の外でも大声で指示を出す声が聞こえてきている。

 光波防御帯を形成するビーム発生装置を破壊してスライムを空間倉庫へと戻してから数分経過するが、未だに何のリアクションもない。独房の壁に開けた穴に関しては布団を詰めて塞いだのでしばらくは問題無いが、そのうちどうしてもばれる事にはなるだろう。アルテミスの軍人が騒いではいるのだが、ザフトからの攻撃と思しき爆発や衝撃がない。もしかして既にローラシア級は撤退した後か?

 そう思った次の瞬間。

 

 ドガアアアァァァァッッッ!

 

 激しい爆音と衝撃がアルテミスを揺るがす。続いて幾度も連続する爆発音。

 来たかっ!

 そのままドアの近くへと移動してドアへと蹴りを叩き込む。ザフトのMSからの攻撃に勝るとも劣らぬ轟音を立てて吹き飛ぶドア。……何故か軍人が数人ドアの下敷きになって気絶しているのは取りあえず見ない事にして独房を出る。ついでに気絶している軍人から銃と予備弾倉をありがたく貰っておくのを忘れない。

 独房から脱出し、アルテミスの通路を進んでいると横の方から数名の足音が聞こえてきた。拙いな、アルテミスの軍人か? 悪いが気絶して貰うか。

 通路に置かれている観葉植物の影に隠れて気配を消す。手には先程の兵士から奪った銃。来い、来い、来い……来たっ!

 通路から出てきた人影に向け、銃のグリップを振り落ろそうとして『アクセルさん!?』その声が聞こえて動きを止めた。よく見ると少し離れた所にマリューとナタルの姿が。そうなると俺が銃のグリップで殴ろうとしたのは当然金髪のエンデュミオンの鷹と呼ばれるMAパイロットな訳だ。

 

「……無事で何より」

「いや、たった今お前さんに無事じゃなくされる所だったんだがな」

 

 苦笑を浮かべながらムウが呟く。

 

「アクセルさん、何故アルテミスに? アークエンジェルにいた筈じゃ?」

 

 俺の姿を見て驚きの表情を浮かべているマリューへとムウのように苦笑を返す。

 

「アルテミスの司令官、ガルシアが食堂まで出向いてきてな。MSパイロットと技術者を出せと言ってきたんだ。それでちょっと揉め事になって……」

「手を出した、と?」

「いや、手は出していない。出したのは足だし、先に手を出してきたのは向こうだ。それを躱して顔面を踏んづけたら独房に入れられた」

「……」

 

 マリューとナタルがジト目で俺を見ている。ムウに関しても呆れたような表情をしていた。

 

「とにかく全員無事でなによりだ。ザフトがどうやってアルテミスの傘を突破したのかは分からないが、このままここでアルテミスと心中は御免だろう?」

 

 もちろんこの3人と言えども俺がスライムを使ってアルテミスのビーム発生装置を破壊したなんて事を教える訳にはいかないので、その辺はザフトのせいという事にしておくのが無難だろう。

 

「……そうね。アクセルさんが言ってる事は正しいわ。早い所アークエンジェルに戻りましょう」

 

 その後は俺が先頭に付き、不幸にも偶然俺達と出くわしたアルテミスの兵士を次々に気絶させ、小型ランチでアークエンジェルへと戻る。あまりにも短い道中だったが、アークエンジェルに戻る途中でストライクがソードストライカーパックを装備してデュエル、バスター、シグーの3機とやり合っているのを確認した。

 

「……さすがにキラだけで3機相手は厳しそうだな」

 

 ムウの言うようにまだ負けてはいないが、数の差やパイロットの腕の差もあるのか徐々にストライクが押し込まれてきている。

 

「だが俺のブリッツはキラにロックを掛けてもらったからな。この状況では出撃する事は出来ない」

「俺が出るか?」

 

 ムウがそう尋ねてくるが黙って首を横に振る。

 

「この残骸が多い中でMAは不利だろう。それよりもさっさとこのアルテミスから逃げ出した方がいい」

「そうだな。私もそれがベストだと思う」

 

 ナタルが俺の言葉に賛成する。

 マリューも黙って頷いている所を見ると賛成なのだろう。

 

「っと、ほら着いたぞ」

 

 ランチを操縦していたムウの言葉に、前を見ると既にアークエンジェルの中へと入る所だった。そのまま4人揃ってブリッジへと移動する。

 ブリッジメンバーの独断だったのだろうが、既にアークエンジェルに火は入っていてすぐにでも動ける状態になっていた。

 

「このまま脱出するわよ! キラ君にも余り艦から離れないように伝えて!」

 

 マリューがそう指示を出すと、ナタルも負けじと指示を出す。

 

「ストライクの援護をする。ただしここでは威力の高い武器は使えん。イーゲルシュテルンとヘルダートのみで対応。……撃てぇっ!」

 

 アークエンジェルから発射された小型ミサイルと、各所に装備されているバルカン砲塔システムのイーゲルシュテルンが発射される。敵もこの狭い港の中で戦っている為に回避スペースが殆どない。特にシグーに関してはPS装甲でもないので一発が致命的だ。それをカバーするかのようにデュエルとバスターが前に出てくるが、そうなると当然ストライクやアークエンジェルに対する攻撃は鈍くなる。

 そしてマリューはその隙を見逃す程無能な訳ではなかった。

 

「反対側の港口から脱出します。キラ君を戻して」

「キラ、キラ戻って! アークエンジェル発進します!」

 

 マリューの指示に従い、MS管制のミリアリアがキラへと通信を送る。

 それを聞いたキラは港で起きている爆発を隠れ蓑にアークエンジェルまでの撤退を成功させ、甲板へと着艦した。

 

「ストライク、着艦!」

「アークエンジェル、発進。最大戦速!」

 

 こうしてアークエンジェルはアルテミスの港で起きる爆発を隠れ蓑にして何とか脱出する事に成功した。

 MS格納庫でムウやマードックと共にキラを待っていると、どこか浮かない表情でストライクから降りてくる。……これは、原作通りにガルシアに裏切り者とかなんとか言われたか?

 

「坊主」

 

 ムウのそんな呼びかけにも答えずにそのまま無言で俺達の前を通り過ぎていった。




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:495
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:256

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