転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1790話

「ペルソナ使い、ね。その単語はさっきも口にしたな」

「……ああ。ペルソナってのは……いや、その前に聞いておく事があったな。アルマー、お前は影時間を体験している。それは間違いないな?」

「ああ」

「なら、影時間の中で……こういう言い方をするのは何だが、モンスターに遭遇した事はあるか?」

 

 モンスター? と一瞬戸惑ったが、すぐにそのモンスターというのが何を意味しているのかを理解する。

 

「ああ。スライムもどきや鳥、手袋とかか。俺は影って呼んでるけど。遭遇した事はあるぞ」

 

 そう告げると、何故か荒垣の表情が固まる。

 うん? 今、何か荒垣が驚くような事を口にしたか?

 

「お前……はぐれだけならまだしも、それ以外のシャドウとも戦っている、だと? もしかして、タルタロスに行ってるのか?」

「シャドウ? タルタロス?」

 

 俺には覚えのない単語に、荒垣に向かって尋ね返す。

 ……いや、分かってはいた。恐らくシャドウというのは、俺が影と呼んでいる存在の正式な名称なのだろう。

 それこそ、あの現象を影時間と呼ぶように、荒垣の中では影はシャドウと言われていたと考えて間違いない。

 にしてもシャドウ、か。

 最初に俺があの影を何と呼ぶかで迷った時、候補の1つとしてシャドウというのがあった。

 だが、俺が率いているのがシャドウミラーだという事もあって、結局名前は影という事にしたんだが……

 シャドウ、か。

 若干思うところがない訳ではないが、この世界でそう呼ばれているのであれば、それはそれとして受け入れよう。

 

「シャドウってのは、お前が影と呼んでいる奴の名前だな。タルタロスは影時間の時だけ存在する場所だ」

「月光館学園のか?」

「ああ。……知ってるのか」

 

 そう言いながらも、荒垣は特に驚いた様子も見せずに俺の方を見ていた。

 まぁ、今までのやり取りから俺が塔……タルタロスに入っているというのは、予想出来ていたんだろう。

 

「毎晩のように行ってるよ。ただ、毎回中身が変わるから、結構大変だが」

「……だろうな。アキや桐条も2階くらいしか手を出していなかった筈だ。……戦力の問題もあって」

「ペルソナ、とかいうのが使えるんだろ? なのに戦力不足なのか?」

 

 俺とゆかりの場合は、そのペルソナというのがないけど普通に5階まで行ってるんだけどな。

 まぁ、俺の場合はそのペルソナとかいうのよりも圧倒的に強力な攻撃方法が幾つもあるし、ゆかりは炎獣で防御しつつ本人は後ろから弓で攻撃だからな。

 あの程度の影……いや、シャドウが多少頑張ったところで、特に問題はない。

 

「当然だろ。俺達は別に戦闘訓練を受けてるって訳じゃねえんだ。……それに、今の俺はアキ達と距離を置いてるからな」

 

 何だか色々と複雑そうな事情がありそうだが、それをここで口にはしない方がいいか。

 ここで下手に突っ込んだ事を聞けば、色々と藪蛇になりそうだし。

 

「まぁ、その辺はいい。いや、よくはないが……今はもっとタルタロスとかシャドウとか、影時間とかについて教えてくれ」

「教えてくれって言われてもな。残念ながら、まだその辺りについては全然詳しい事は分かっていないんだよ。桐条グループの方で色々と研究はしているらしいが……」

 

 黙って首を横に振る。

 それは桐条グループが研究しても何も判明していないという事か、それとも単純に荒垣がその辺りの事情を知らないという事か。

 他のペルソナ使い2人から離れて行動しているという事を聞く限りだと、後者のような気がするな。

 

「……まぁ、正式な名称を知る事が出来たのは良かったよ。それで、これは知ってるかどうか分からないが、塔……じゃなくてタルタロスか。そのタルタロスを攻略すれば、影時間の件が解決したりするのか?」

「どうだろうな。前に桐条から聞いた話だと、その可能性はあるかもしれないって言ってたが」

 

 影時間やシャドウを研究していた桐条グループの方でも、まだその辺りは判明していないのか。

 正直、これは困ったな。

 ……やっぱり原作が始まるまで待つしかないのか?

 いや、原作が具体的にどのような結果になるのかは分からないから、もしかしたら俺の行動で全く意味がなくなってしまうかもしれないが。

 だが、実際問題、現在の状況ではタルタロスしか当てがないのも間違いはないのだ。

 そう考えれば、やはり現在出来るのはタルタロスを攻略するくらいしかない。

 それに、タルタロスにはマジックアイテムとかが普通に宝箱として存在しているのだから、シャドウミラーを率いる者としてもタルタロスに入らないという選択肢はなかった。

 ……にしても、桐条グループか。

 何かもっと詳しい情報がないかどうか、一旦桐条グループに侵入してみるのもいいかもしれないな。

 幸いにも、侵入するのに向いている能力を持っているし。

 

「荒垣、タルタロスの攻略に協力しないか?」

「……何でそうなる? 俺はお前に情報を教えはしたが、それだけだ。生憎と影時間に関わるつもりはない」

 

 きっぱりと、何の躊躇もなくそう告げる荒垣。

 何だ? 何だか荒垣っぽくないな。

 

「何か理由があるのか?」

「……わざわざお前に言う必要はねえ」

 

 絶対に自分の意思は曲げないと、そう言いたげな荒垣。

 これ以上は何を言っても無駄だろうというのは、それこそ荒垣の性格を考えれば明らかか。

 少なくても、今は無理強いしても意固地になるだけだろう。

 この先、もっと付き合いが長くなれば、多少は話が違ってくるかもしれないが、今は無理だ。

 

「そうだな、取りあえず今の話は忘れてくれ。それで、影時間とシャドウについては大体分かったが……ペルソナってのは具体的にどんなのなんだ?」

 

 荒垣が匂わせているのを聞く限り、強力な武器か能力……といったものだと思うんだが。

 

「ペルソナか。……そうだな、俺にとっては一種の呪いに近い代物だ」

「呪い?」

 

 苦々しげに……それこそ、これまで見てきた中で最大限に苦々しげな様子を見せる荒垣。

 ペルソナという存在に対して、何か思っているのは間違いないんだろうが……それを聞いても、恐らく答えはしないだろう。

 とにかく、ペルソナというのは安全な武器とか能力ではなく、何らかの負の方面にも関係があるというのは事実らしい。

 

「そう、呪いって一面もあると覚えておけばいい。……そうだな、詳しい事は残念ながら俺にも分からないが、ペルソナ使いの本質が何らかの形をとって現実に干渉する……だったか? 正確なところは分からないが、そんな認識でいいと思う」

「なるほど、そういう能力か。……一種の守護霊とか、そういう風に考えてもいいのか?」

「……どうだろうな。俺個人としては、その意見には賛成したくねぇ。ただ、分かりやすいのであれば、そんな認識でもいだろうよ。いや、そんな事よりも、ペルソナを自分で感じることは出来ねえのか?」

「残念ながらな」

 

 そもそも、俺はこの世界の人間ではない。

 もしペルソナというのが、この世界の人間しか使う事が出来ないのであれば、元から俺はペルソナ使いになる資質は存在しないだろう。

 だが……この世界の人間ではない俺は無理であっても、ゆかりはどうなんだろうな?

 ペルソナ使いになる素質は十分にあると思うんだが。

 

「……しみじみと思うぜ。よくもまぁ、ペルソナもない状態のままでタルタロスを攻略出来るってな」

「ま、地力が違うからな」

 

 フライドポテトを口に運びながら、そう告げる。

 そんな俺に対し、荒垣は呆れたように溜息を吐いてから口を開く。

 

「残念ながら、具体的にどうすればペルソナに覚醒するのかってのは俺にも分からねえ。俺は、気が付いたら覚醒していた口だからな。ただ……シャドウや影時間、タルタロスについてもそうだが、桐条グループならもっと詳しい事が分かるかもしれないな。特に桐条は史上初めてペルソナを覚醒したペルソナ使いだし」

「へぇ、それは興味深いな」

 

 もっとも、あくまでもそう言われてるだけで、実際には知られていないペルソナ使いがいた……とかでも、不思議ではないが。

 そもそも、この世界特有の能力ではあっても、ペルソナという能力が最近までは見つからなかったという可能性は、ちょっとどうかと思うし。

 今そんな事を言っても意味がないから、口にはしないが。

 

「お前がその気なら、桐条……桐条グループの後継者に紹介してもいいが、どうする?」

「そう、だな……どうしたものやら」

 

 正直なところ、この世界に戸籍の存在していない俺としては、桐条グループと繋がりを作るというのは非常に嬉しい。

 だが、W世界と違って、この世界の俺はあくまでも1人の人間でしかない。

 一応ゆかりが仲間にいるが、別に最期まで俺の行動に付き合う運命共同体って訳でもないしな。

 そんな状況で桐条グループという大きな勢力に近づくのは、戸籍の件を含めて大きな利益があるが、同時に大きな不利益もある。

 その桐条グループにしても、俺に協力するのは当然何らかの利益があるからだろうし。

 ……ホワイトスターと自由に行き来出来るようになっているのであれば、その辺は全く心配しなくてもいいんだが。

 いや、そもそもホワイトスターと行き来出来るのなら、別に桐条グループと接触する必要そのものがなくなるんだろうが。

 

「そうだな、少し待ってくれ。俺だけの問題じゃない以上、俺だけの判断で決める訳にもいかないし」

「……分かった。まぁ、お前がそう言うのであれば、それでも構わねえ。俺も、無理にとは言わねえしな」

 

 荒垣も、別に無理して桐条グループと繋ぎを作れというわけじゃなく、あくまでも俺達がその気になったら……そう思っての事だったのだろう。

 何だかんだと面倒見のいい荒垣だけに、気遣い上手ではある。

 

「とにかく話を戻すと、ペルソナって能力を使えるようになるには、そう簡単に……って訳にはいかないんだな?」

「ああ。死を疑似体験するといいらしいな。俺達は、トリガーとして本物そっくりの拳銃で自分を撃つ真似をしている。勿論、その拳銃は本物じゃないから弾が出ないがな」

「死の疑似体験か。……そういう意味だと、タルタロスを攻略している俺達はそれなりに有利なのかもしれないな」

 

 ……まぁ、今のところ出てきているシャドウは、どれも弱い奴ばかりだから、とてもではないが死を疑似体験するといった真似は出来ていないが。

 本格的にゆかりだけで戦闘させるか? それこそ、炎獣もつけないで。

 しかも俺がいれば、いざという時は助けて貰えるという甘えもありそうだから、離れている必要もあるだろう。

 

「まぁ、その辺りは好きにしな。……一応気をつけた方がいいと思うがな」

 

 一応の忠告に頷き、荒垣が知ってる限りの情報を貰う。

 もっとも、荒垣もここ数年は影時間には関わっていないって事で、そこまで詳細な情報はなかったが。

 寧ろ、荒垣からはタルタロスについての詳しい情報を求められた。

 本来ならこいうのは、それこそ情報料を貰ったりするのだろう。

 だが、荒垣からはこちらも色々と重要な情報を貰っている以上、こちらから情報料を要求するといった真似は出来なかった。

 ……何故影時間に関わっていない荒垣がタルタロスについて知りたがるのかは、何となく予想が出来る。

 恐らく他の2人のペルソナ使いに情報を流す為だろう。

 別にそれを駄目だとは言わない。

 荒垣の世話好きに助けられているのは、俺も同様なのだから。

 ここで俺だけが文句を言えば、それは色々とみっともない。

 

「じゃあ、情報については大体理解したし、この辺で帰らせて貰うよ。今回は色々と助かった」

「……ああ。タルタロスの攻略を続けるつもりなのか?」

「そうなるな」

 

 原作云々もそうだが、どちらかと言えば宝箱の中に入っているマジックアイテムが目当ての行動だが。

 そして、当然のように宝箱に入っているマジックアイテムは、タルタロスの上に行けば行く程に効果の高い物が入手出来る筈だった。

 ……実は何階まで上がっても、2階と入手出来る物が変わらないとか、そんな意地悪い仕掛けでもされていない限りは。

 他にも、小ボスを倒せばかなり希少なマジックアイテムを入手出来るというのも分かったしな。

 W世界からこの世界に強制的に転移させられたんだから、レモン達は当然怒っているだろう。それは、ラピスやルリも同様の筈だ。

 ……であれば、何らかのお土産や成果物とかを持っていかないと……色々と大変だろう。

 もっとも、荒垣も俺がタルタロスを攻略する理由がそんなのだとは、思ってもいないだろうが。

 だが、それでもタルタロスを攻略し、影時間をどうにかするというのはこの世界にとっては間違いなく利益になる事だろうから……その辺は勘弁して貰うとしよう。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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