転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0165話

 デブリ帯での補給中にキラが見つけた救命ポッド。その中に乗っていたのはやはり原作通りにラクス・クラインだった。とは言え、名前を聞く前に『この艦はザフトではありませんのね』と言った事からコーディネーターと判明し、マリュー、ムウ、ナタルの三人が個室で事情聴取をしている。今頃は名前がラクス・クラインであるという事、プラントの最高評議会議長の一人娘である事が判明しているだろう。

 

「兄ちゃん、その弾薬はイーゲルシュテルン用だからこっちじゃなくて向こうに頼む」

「了解」

 

 もっとも俺はそんな事とは関係なくデブリ帯から回収した補給物資を仕分けしている所なのだが。……ラクスが気になるのか、数人この場で作業をしている筈の人物がいないのについてはナタルの雷に期待するとしよう。

 

 

 

 

 

 そんなこんなで補給も終了し、アークエンジェルも一段落してデブリ帯から出発する。

 目標は月にある連合軍の基地だが、原作通りに進むのなら数回の戦闘を繰り返した後に地球へと降下する事になる筈だ。

 

「で、結局あの娘はどうする事にしたんだ?」

 

 ブリッジで何かを考え込んでいるマリューへと尋ねる。

 救命ポッドに入っていた人物がラクス・クラインという名前だという事と、最高評議会議長の一人娘であるという情報は既にアークエンジェルにいる者には伝えられている。プラントのお偉いさんの娘という事でザフトが襲ってくるのではないかと不安に思っている避難民もいるようだが、大半は特に関心を持っていないらしい。この辺の感覚は中立のオーブだからこそ、なのかもしれないな。

 

「そう、ね。やっぱり月本部に連れて行くしかない……かしら」

「このまま真っ直ぐ月本部まで向かうならそれしかないだろう?」

「でも、プラント最高評議会議長の一人娘よ。軍本部に連れて行けば恐らく政治的に利用される事になる」

「それは間違いないだろうな」

 

 なにせ敵対している相手の最高指導者の一人娘が転がり込んでくるのだ。軍としては、はいさようならという訳にはいかないだろうな。

 

「出来ればそんな目に遭わせたくはないんです。民間人の、それもあんな少女を」

「甘い……いや、この場合は優しいと言った方がいいのか」

「私が甘いのは分かっています。でも、それでも……」

「……いいんじゃないのか?」

「え?」

「それは確かにお前の欠点かもしれない。だが、何でも機械的に判断するよりは、人情味がある上司の方が部下はやりやすいだろうさ。……もっとも、これは俺があくまでも外様の傭兵だから言える意見かもしれないが」

「確かに。それは軍に所属していないからこそ言える意見だな」

 

 そう声を掛けてきたのは、いつの間にかブリッジへとやってきていたナタルだった。

 

「ラミアス大尉の仰る事も分かりますが、それでは彼等はどうなんです? こうして操艦に協力し、戦場で戦ってきた彼等もまだ子供の民間人ですよ」

「バジルール少尉、それは……」

「キラ・ヤマトや彼等をやむを得ないと戦争に参加させておいて、あの少女だけは巻き込みたくないとでも仰るのですか? 彼女はクラインの娘です。となると、その時点で既にただの民間人ではないという事になります」

 

 ナタルのその言葉に何も言う事が出来なくなってしまうマリュー。確かにナタルの言っている事は正しいのだろうが、それは軍人としての正しさであり、情の人でもあるマリューに取っては受け入れにくいのだろう。……もっとも、この艦の事を考えればナタルの言葉の方に利があるのは明白なのだが。

 結局その場は有耶無耶のうちに終わり、ラクス・クラインをどうするのかは後回しにする事になった。

 この時、艦長がナタルであるのならラクス・クラインをどう扱うかはすんなり決まっていたのだろう。彼女は良くも悪くも軍人なのだから。

 

 

 

 そしてその数時間後、俺はMS格納庫で第8艦隊から派遣されてきた先遣艦隊からの暗号通信を受信した事を聞かされる。

 

 

 

 それから数日後、アークエンジェルは先遣艦隊と直接通信が出来るまでに距離を縮めていた。アークエンジェルの避難民はやっとこの狭い艦内から解放されるという事もあり、どこかゆったりとした雰囲気が漂っている。

 そんな中、俺はMS格納庫でキラに再調整してもらったOSやFCSの確認をしていた。アルテミスに入港する前の戦いで消費した大型ビームライフルのエネルギー充電も完了しており、いつでも使える状態になっている。確か先遣艦隊を攻撃するのはその殆どがジンだった筈。そうなるとこの大型ビームライフルもそれなりの効果を発揮してくれるだろう。

 戦闘が起きる事前提で準備している自分自身に苦笑しながらも、調整を終えたコックピットから降りる。そんな俺を出迎えたのはマードックだった。

 

「お疲れさんだな兄ちゃん。にしても、先遣艦隊と合流すれば戦闘になる心配はないだろうに」

「そうか? ザフトなら先遣艦隊に攻撃を仕掛けて俺達を誘き出すエサにする、なんて作戦くらいは普通にやると思うが」

 

 冗談めかしてマードックと会話をしていると、ついにその瞬間が訪れる。

 

『総員、第一戦闘配備、繰り返す。総員、第一戦闘配備』

 

 アラート音と共に、ブリッジからの通信が格納庫内へと響き渡った。

 

「……来たか」

「兄ちゃん、これを予想してたのか?」

「予想と言うか、このまますんなりと合流できるとは思ってなかったな。機体の発進準備を頼む。武器は巨大ビームライフルと突撃機銃、重斬刀の3つを使えるようにしておいてくれ」

 

 それだけを指示し、返事を聞く暇もなくパイロット控え室へと向かう。

 まだ誰もいない部屋の中でパイロットスーツへと着替えていると、少し遅れてムウが到着する。チラリと俺を見てから素早くパイロットスーツへと着替え始めた。

 

「早いな」

「そっちが遅いんだよ」

「アクセルさん、フラガ大尉、聞こえますか?」

 

 そんな俺達の会話にマリューからの通信が割り込んで来た。

 チラリと見ると、まだムウは着替えている途中なので既に着替え終わっていた俺が通信を受ける。

 

「アクセルだ、どうした?」

「敵MSにイージスを確認。私達を追っていたナスカ級と思われます」

「となると……」

「クルーゼの野郎か」

 

 着替え終わったムウが忌々しげに呟く。半ばニュータイプのようなクルーゼとムウだけに、ある意味で近親憎悪に近いものを感じているんだろう。

 

「遅れました!」

 

 キラも到着し、パイロットスーツへと着替え始める。

 

「取りあえずは了解だ。目的は先遣艦隊の護衛を最優先で構わないな?」

「ええ、それでお願いします」

「出来るだけ頑張るが……数の差を考えると、撤退も視野に入れておいた方がいいかもしれないな」

「……ええ」

 

 その言葉を最後に通信を切り、俺達はMS格納庫にある自分の機体へと向かう。

 

「兄ちゃん、言われた装備は取り付けておいたぞ」

「助かる」

 

 マードックの言葉に短く答え、ブリッツのコックピットへと乗り込んで出撃準備を整える。

 

『ブリッツ、カタパルトデッキへ』

 

 格納庫にそんな通信が響き、ブリッツがカタパルトデッキへと移動させられる。

 

「アクセルさん、敵はジンが3機にラミアス艦長の言ってた通りイージスがいます」

「了解。ブリッツ、アクセル・アルマー、出るぞ!」

 

 ミリアリアの通信に短く返し、ブリッツがアークエンジェルの右脚部分からリニアカタパルトで射出される。

 すぐに先行していたムウのメビウス・ゼロと合流。エールストライカーパックを装備してブリッツのすぐ後に発射されたストライクも合流する。

 

「アクセル、とにかくジンを潰さない事には話にならない。悪いがイージスは引き受けて貰えないか?」

 

 ムウの言葉を考える。まず、ムウの乗っているメビウス・ゼロでイージスの相手はさすがにきついだろう。となると残るのは俺とキラの、ブリッツとストライクだが……腕の差を考えると俺がイージスを受け持った方がいいとムウは判断したのだろう。

 

「了解した。ムウとキラはジンを頼む」

「あの、アクセルさんイージスは……」

「どうした?」

「あ、いえその……なんでもありません。イージスは強いので気をつけて下さいと言いたかっただけです」

 

 本当なら友人のアスランを傷つけないで欲しいとか言いたかったのだろうが、アスランとの関係を秘密にしている為にその辺は頼めなかったのだろう。

 

「ああ、分かっている」

 

 なのでこちらも短く返すだけにしておく。

 

「じゃあ、また皆無事にアークエンジェルで会おうぜ」

 

 ムウのその言葉と共に、3機はそれぞれ戦場に散っていく。にしても俺がイージス担当となると、この巨大ビームライフルは邪魔だな。ガンダムに対して殆ど効果がないのはバスターで証明済みだ。重量と取り回しの悪さを考えると邪魔以外の何物でもない。取りあえず3発撃ち尽くしてアークエンジェルの方に流すか。

 イージスの注意をストライクからブリッツに変更するくらいはしてくれるだろう。

 イージスの姿を探して周囲を見回すのと殆ど同時に、アークエンジェルの両脇に装備されたバリアントが発射され、先遣艦隊のすぐ側まで迫っていたジンを撃破する。これでジンは残り2機。

 そして同時に先遣艦隊のうちの1隻をスキュラで破壊したイージスを発見。向こうもキラの乗るストライクを発見したのか、メビウス・ゼロやブリッツに注意を払う事もなくストライクへと真っ直ぐ向かう。そんなイージスへと巨大ビームライフルで狙いを付け……発射! 発射! 発射!

 トリガーを3度引き、3条のビームがイージスへと放たれる。

 まず1射目のビームはストライクに向かおうとしていたイージスのすぐ前を通りその動きを止め、2射目のビームは反射的に後ろへと移動しようとした動きを牽制し、3射目のビームはトドメとばかりにイージスへと着弾……回避した!?

 イージスの頭部を消滅させるかのように放たれたビームを、イージスはMA形態に変形する事でやり過ごし4つの爪を広げたようなスキュラの砲撃態勢のままでブリッツの方へと向かって来る。

 

「アクセルさん!」

 

 焦ったようなキラからの通信が入るが、全弾を撃ち尽くした巨大ビームライフルをアークエンジェルの方へと流しながら短く答える。

 

「イージスは俺に任せろ。お前はジンを」

「は、はい!」

 

 先遣艦隊の方へと向かうストライクを横目に、PS装甲を展開してイージスを待ち受ける。

 そのイージスはこちらへと近づき、その最大の武器であるスキュラを発射。

 

「舐めるなっ!」

 

 だが、こちらの動きを止めもしないでただ発射されたその攻撃を回避するのはそう難しくはない。スラスターにより機体を右へと移動させてそのままMA状態のイージスの横へと回り込み、トリケロスに内蔵されたビームサーベルを振り下ろす。

 しかしイージスもただ黙って攻撃を受ける訳もなく、MAのメリットである機動力を活かしてこちらの攻撃を回避。MSへと変形してビームサーベルを振り下ろす。

 

「ちぃっ!」

 

 SEEDの世界では技術的な問題でビームサーベルをビームサーベルで受け止める事が出来ないので、イージスから振り下ろされたビームサーベルはただ回避するしか出来ない。本来ならシールドで防御という手段もあるのだが、トリケロスの場合はビームサーベルが内蔵されている為に敵のビームサーベルをトリケロスで受け止めるとこちらの攻撃が一歩遅れるからだ。

 こうして装備的に不利な状況でブリッツとイージスの戦いが始まった。




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:495
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:256

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