転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0168話

 キラに対する処分がどうなったのか気になり、軍法会議……のようなものをしている部屋へと向かっていると、通路でキラとサイ、ミリアリアが話しているのを発見する。

 

「俺達、あの娘を逃がすのを手伝った事をマードック軍曹に凄く怒られてな。トイレ掃除1週間……」

「あ、僕も手伝うよ」

「トイレ掃除とはまた、古風だな」

 

 苦笑を浮かべながら3人の会話へと割り込む。

 

「アクセルさん」

「結果はどうなった?」

「一応厳重注意という事になりました。その、あの時はすいませんでした。僕の事を心配して言ってくれたのに……」

「何、気にしなくてもいいさ」

 

 キラの肩を軽く叩き、部屋の中へと入っていく。そこには疲れた様子のマリューの姿があった。

 ナタルとムウの姿が無いのは既に自分の仕事に戻っているのだろう。

 

「お疲れさん」

 

 食堂から持ってきた紅茶入りの容器をマリューの座っているデスクの上に置く。

 

「アクセル? ……ありがと」

「お咎め無しだって?」

 

 ストローで紅茶を啜りながら尋ねる。マリューもデスクの上に置かれた紅茶へと口を付けながら頷く。

 

「ええ。元々キラ君は軍属という訳でもないもの。それに……」

「後ろめたい気持ちはあった、か?」

「そうね」

 

 情の人であるマリューの事だ。幾らMSを操縦出来るとは言え、キラのような民間人に戦闘のかなりの部分を任せている事に罪悪感のようなものもあるのだろう。

 

「でも、よくあの堅物のナタルが納得したな」

「フラガ大尉が説得してくれたのよ。ここでキラ君に厳しい処分を下した場合、いざという時に戦力として計算出来なくなるかもしれないって」

 

 ……なるほど。ムウにしてはオブラートに包んだ物言いだが、それはキラがザフトに投降するという可能性を示唆している。確かにプラント最高評議会議長の一人娘とは言え、あくまでも民間人を人質に取ったあの作戦は風評的に考えるとよろしくないのは事実だ。

 とは言え、あのキラがサイやトール達を見捨ててザフトに投降するとは思えないんだがな。

 

「……精神的に疲れてないか?」

 

 肉体的な疲労はそうでもないだろうが、今のマリューからは精神的な疲れを感じられた。

 

「そうね。さすがにちょっと疲れたわ」

 

 マリューを慰めるようにその肩をポンポンと叩いてやる。

 

「アクセル、セクハラよ」

「え? そうなのか?」

「ふふっ、冗談よ。セクハラはあくまでもやられた方が嫌な場合に成立するものだもの」

「なるほど。……ん? それじゃあ俺に触られても嫌じゃないって事か?」

「……さて、ね。よし、充電完了!」

 

 俺と話したのが幾らか気分転換にもなったのだろう。先程までよりは多少復活したマリューがその頭に被っていた軍帽をデスクの上に置いて背伸びをしている。

 ゆさり、と揺れたその胸に一瞬視線が向くが、すぐに視線を逸らした事は断言しておく。

 

「そうか、それは何よりだ。何せいざという時に艦長が不調だったら大変だからな」

「そう、艦長は大変なのよ? だからこれからも精々労って頂戴ね」

 

 

 

 

 

 キラに対する処分が決定してから数日。アークエンジェルはようやく第8艦隊との合流ポイント近くまで来ていた。

 

「後30分程度で合流ポイントよ。……どうにかここまで漕ぎ着ける事が出来たわね」

 

 ブリッジに響くマリューの声。それはどこかほっとしたような物言いだった。

 もっともそれは無理もない。何せこの艦で最も階級が高いという事で艦長になってはいるが、元々は技術畑出身なのだから。

 

「索敵、警戒を厳に。艦隊は目立つ。あちらを目標にザフトが来る可能性も考えておけ!」

 

 ナタルの指示がブリッジに飛ぶが、その指示が正しかった事はすぐに証明された。

 

「レーダー波に干渉。Nジャマー反応増大」

 

 通信用シートに座っていた軍人がそう報告してきたのだ。

 それを聞いたマリューはすぐに艦長席へと着く。ナタルもC.I.C.の自分の席へと移動する。

 

「総員、第一戦闘配備。アクセル、出撃準備を」

 

 こちらを向いてそう言ってくるマリューに一つ頷きブリッジを出る。

 

「103、オレンジ、アルファにローラシア級です」

「MS、熱紋確認。デュエル、バスター、シグーです!」

 

 その報告を聞きながら、パイロット控え室へと向かう。

 出撃してきたのはあの3人だな。

 

「アクセルか」

 

 パイロット控え室に入ると、既にムウがパイロットスーツへと着替えていた。その後に続くかのように俺もパイロットスーツに着替え始める。

 

「敵はどのくらいの規模の部隊か聞いてるか?」

「ああ。ブリッジを出る時にちらっとだが。デュエルとバスター、ついでにシグーらしい」

「げ。またあいつらか」

「遅れました!」

 

 ムウがうんざりしたという顔をするのと、キラが入ってくるのは殆ど同時だった。

 

「どのみち合流までの時間を考えるとそう長い戦闘じゃない。ムウ、シグーを頼めるか? メビウス・ゼロじゃデュエルやバスターの相手はきついだろう」

「そうだな、じゃあお言葉に甘えさせて貰うよ」

「アクセルさん、僕は?」

「キラはバスターを。ミラージュコロイドを使うブリッツには拡散ビームのような広範囲攻撃可能な武器を持ってる相手は厄介なんでな。俺はデュエルをやる」

「分かりました」

「にしても、本来なら正規の士官である俺が指示を出す所じゃないのか?」

 

 おどけた口調でそういうムウへと軽く肩をすくめると、MS格納庫へと向かう。

 

「兄ちゃん、武器はどうする?」

 

 ブリッツへと向かう俺にマードックが声をかけてくる。

 

「第8艦隊との合流までは10分あるかどうかだ。それに俺の担当はデュエルだからな。今回はノーマルのブリッツで出る」

「あいよ」

 

 マードックにそう声をかけ、そのままブリッツのコックピットへと移動する。まずはメビウス・ゼロがリニアカタパルトで射出される。そして次にブリッツがカタパルトデッキへと移動すると、C.I.C.のミリアリアから通信が入ってくる。

 

「アクセルさん、敵はローラシア級が1、デュエル、バスター、シグーです」

「他にはいないんだな?」

「はい。現在確認されているのはそれだけです」

「了解した。ブリッツ、アクセル・アルマー、出るぞ!」

 

 リニアカタパルトで射出されるブリッツ。すぐにPS装甲を展開し、灰色の状態から黒がメインの装甲色へと変化する。

 まず見えたのが、こちらへと向かってくる3機のMS。背中合わせに回転するような軌道を……っ!? これは!

 

「ムウ、回避しろ!」

 

 咄嗟にムウへと通信を送りながら、ブリッツのスラスターを吹かしてその場から移動する。同時にその3機を撃ち抜くかのようにローラシア級からビームが発射され、命中する直前で3機がばらける。

 幸いそのビームはアークエンジェルの左翼を掠めるのみの被害で収まったが、多少は損傷を受けているだろう。

 

「機体で射線を隠すとは、味な真似をやってくれるじゃないの」

 

 忌々しげなムウの言葉が通信で聞こえてくる。

 

「ムウ、シグーは任せたぞ!」

「任せろ」

 

 ムウの操るメビウス・ゼロから4機の有線式ガンバレルが発射され、襲ってきた3機全体へと広範囲に攻撃する。それを分散する事で回避したデュエル、バスター、シグー。メビウス・ゼロはそのままシグーへと攻撃を仕掛け、一番最後にアークエンジェルから射出されたエールストライクがバスターへと襲い掛かる。その様子を横目にしながら、俺の操るブリッツは牽制目的でトリケロスに内蔵されているビームライフルをデュエルへと放っていた。

 それをシールドで防御しつつ、デュエルもこちらへと向かってビームライフルを放ってくる。

 

「ミラージュコロイド、生成開始」

 

 ミラージュコロイドを展開し、デュエルからの攻撃を回避してそのまま迂回するようにして横からデュエルへと近づくと、その横腹へとビームライフルの銃口を向け……

 

「っ!?」

 

 そのまま咄嗟にミラージュコロイドを解除してPS装甲に変更する。

 同時にガガガガガガッとPS装甲へと連続して起こる衝撃音。

 

「悪い、アクセル!」

 

 ムウからの通信。どうやらメビウス・ゼロが回避したシグーのバルカンシステム内装防盾による流れ弾を食らったらしい。

 そしてミラージュコロイドを解除したブリッツは既にデュエルからも丸見えな訳で。

 

「ちぃっ!」

 

 ブリッツ目掛けて振り下ろされたデュエルのビームサーベルを、トリケロスで防御する。

 

「ブリッツって言ったなぁっ! 姿を隠すとは卑怯者が!」

 

 ミラージュコロイドにより姿を消した攻撃で、撃墜寸前だったのが分かったのだろう。焦りを隠すかのように怒りを露わにし、ビームサーベルによる攻撃を繰り返す。その全てをトリケロスで防ぎ、あるいは回避しながら他の戦闘を観察する。

 メビウス・ゼロとシグーの戦いはほぼ互角と言ってもいいだろう。機体の能力ではシグーが勝っているのだが、それをメビウス・ゼロはガンバレルを使ったオールレンジ攻撃で補っている。そしてアークエンジェルとローラシア級の戦いは、ややアークエンジェルが押され気味だ。原作のように回避アルゴリズムの解析をされているのか、数発被弾している。幸いなのはアークエンジェルの装甲がラミネート装甲である事だ。現状ではローラシア級のビーム攻撃を何とか無効化しているが、それとていつまでも続く訳ではない。排熱の限界に達すればまともにダメージを食らうだろう。

 そしてストライクとバスター。これに関してはかなりストライクが不利な状況だ。バスターの多数ある射撃武器により、近接戦闘に持ち込めないストライクが一方的に攻撃されている。ランチャーストライカーパックを装備してくれば射撃戦で対抗出来たのかもしれないが、今のストライクは機動力を重視したエールストライカーパックだ。

 

「よそ見をするとは舐めてるのかぁっ!」

 

 ブリッツの頭部が攻撃を回避しながらも小刻みに動いている事に気が付いたのだろう。より一層の怒りを込めてビームサーベルを振り下ろしてくるデュエル。それをその場で回転して回避し、そのままの勢いを付けてトリケロスのビームサーベルを一閃。

 横薙ぎに放たれたその攻撃は、デュエルの脇腹を浅くだが斬り裂いて薄い煙を上げている。

 

「ついでだ!」

 

 そのまま左手に装備されているグレイプニールを発射。その先端に装備されたクローが閉じたままビームサーベルで切り裂かれたデュエルの脇腹へと突き刺さる。

 

「うわああぁぁぁぁぁっっっ!」

 

 その悲鳴が聞こえたのだろう。ムウのメビウス・ゼロとやり合っていたシグーがその場で反転してバルカンシステム内装防盾で牽制しながらこちらへと向かって来る。そのままデュエルを助ける為に俺に攻撃を仕掛けるのかと思いきや、速度を落とさずにデュエルを掴みその場を離脱していった。同時に、キラを一方的に攻撃していた筈が攻守を逆転されて防戦一方になっていたバスターもその後に続く。

  デュエルの損傷が原因でこの場を離脱したのかとも思ったが、その考えはすぐに否定された。

 

「第8艦隊です! 第8艦隊が来てくれました!」

 

 アークエンジェルからの歓喜を滲ませる通信が聞こえてきたのだ。

 取りあえずなんとか合流出来た、か。

 にしても、バスターに防戦一方だったあの状態から逆転するとは……キラはSEEDを覚醒させたのか?




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:510
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:259

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