転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1836話

 桐条達とタルタロスに挑んだ翌日、案の定と言うべきか、特にやる事のない俺はまだ昼前なのにアパートの部屋の中で寝転がりながら、TVを見ていた。

 今日は少し早めに起きたので、そろそろ昼食を食べてもいい頃合いなんだが……現在TVでやっている番組がそれなりに面白くて、ついついそちらに集中してしまったのだ。

 

『見ての通り、このライオンはアルビノという訳でもないのに、何故か毛が白いんです。それだけに、小さいころから苦労してきました。VTRをご覧下さい』

 

 そう、いわゆるドキュメンタリー番組という奴だ。

 TVに映されているのは、ホワイトライオンとでも呼ぶべきライオンだ。

 身体から生えている毛が白という、そんな珍しいライオン。

 ……ちょっと興味深いな。

 もしかして、このライオンはこの世界特有のものだったりするのか?

 それとも、実は今までにも俺が行っていた色々な世界にも、こういう白いライオンはいたりしたんだろうが。

 ともあれ、このドキュメンタリーは白いライオンが生まれた時から追っていたらしく、生まれたての子供の白いライオンが映し出されていた。

 

「ライオンか。タルタロスがもっと広ければ、グリ辺りを召喚して戦わせてもいいんだけどな」

 

 呟くも、すぐに駄目かと思ってしまう。

 俺とゆかりだけであれば、グリを召喚して見せてもいいかもしれないが、桐条達にまだこちらの戦力全てを見せるのは、色々と危険すぎる。

 影時間とかでも動く機械を持っている以上、影時間でもこの辺り一帯には何らかの監視網があってもおかしくはない。

 そんな状況で、俺とゆかりがグリと一緒に空を飛んでいる光景を見られたりしたら……うん、色々な意味で怪しまれるだろう。

 特に桐条にとって、俺達とは現在協力関係を結んでいるものの、あくまでもそれは協力関係でしかない。

 仲間という訳ではない以上、将来的に敵対する可能性というのも十分あるのだ。

 ……もっとも、真田辺りは話の持って行き方によっては、こっちに引き込める可能性は十分にあるが。

 

『見て下さい。ホワイト君の群れが他の雄のライオンによって乗っ取られてしまい、ホワイト君は兄弟と共に群れから追い出されてしまいました』

 

 考えている間に、いつの間にか白いライオン……ホワイト君が群れから追い出される事になっていた

 乗っ取りか。

 いっそ桐条グループを乗っ取るか?

 いや、けどそんな真似をしても殆ど意味はないしな。

 寧ろ影時間やシャドウについて調べるのが、疎かになるだけだ。

 何となくどうでもいい事を考えながらTVを見ていると、CMで新しいドッグフードが映し出される。

 

『新発売! どんな犬もこれを食べれば一発KO!』

 

 いや、KOしちゃ駄目だろ。

 それとも、あまりの美味さにKOするのか? それならまぁ、何とか……

 何となくそれを食った犬がどんな反応をするのか気になり、その上で幸い俺には犬に心当たりがある。

 長鳴神社の境内にいつもいる犬に。

 あー……でも、もう季節的には春で大分暖かくなってきているし、いつまでも神社にはいないか?

 もしくは、逆に子供が一杯いる可能性もあるか。

 長鳴神社の境内はそれなりに広いし、子供が遊ぶには最適の場所だ。

 そうである以上、暖かくなってきたこの季節なら、舞子やその友達が集まってきていてもおかしくはない。

 ともあれ、思い立ったが吉日とも言うし、折角なので外に出る準備を整えると、そのままいつも行ってるスーパーの近くに転移する。

 そうしてドッグフードを売ってるコーナーに向かっていると……

 

「アルマー?」

 

 不意に呼ばれ、声の方に視線を向ける。

 視線の先にいたのは、真田。

 買い物カゴの中には、袋に入った幾つかの商品が置かれている。

 一瞬その商品名を見ると、プロテインと書かれているのが分かった。

 ……このスーパー、それなりに大きいスーパーだがプロテインとかも置かれているのか。

 勿論品揃えはそこまで完璧って訳じゃないんだろうが。

 いや、この辺りは桐条グループの影響力が強い。だとすれば、貴重なペルソナ使いの為にスーパーの品揃えに影響を及ぼすという可能性も皆無ではない、か?

 まぁ、そこまで影響を与えるかどうかというのは、話が別だろうが。

 

「そっちも買い物か?」

「ああ。ここにはなかなかいいプロテインが揃っている。もっとも、俺がいつも買ってる物以外にも色々とあるから、多少目移りしたけどな」

 

 買い物カゴの中を見れば明らかだったが、やっぱりプロテイン目当てだったか。

 いや、別にそれはいいんだが。俺に何か被害がある訳じゃないし。

 もっとも、荒垣の話によれば真田は何にでも……それこそ好物の牛丼にすらプロテインをかけて食べるらしいから、一緒に食事はあまりしたくないと思うが。

 そもそも俺の認識だと、プロテインというのは水に溶かして飲むというものだ。

 勿論プロテインとかに詳しい訳じゃないから、実際には色々と種類があって、食べ物にかける奴とかもあるのかもしないが……

 レモン辺りが開発した、シャドウミラー製のプロテインとかあれば、真田はかなり喜びそうだな。

 何だか色々と怪しい成分とか入ってそうだが。

 そもそも、レモンは量産型Wの開発者だ。

 人造人間の量産型Wだけに、人体構造とか各種薬物とか、そういうのには非常に詳しい。

 また、アウル達の治療でエクステンデッドの技術とかも入手している。

 そっち系は、レモンの専門分野であるのは間違いなかった。

 ……もっとも、レモンの場合専門分野とでも呼ぶべき物の他の、PTとかを作ったり、システムXNを開発したりと、様々な分野でその才能を発揮しており、どれが専門分野という訳でもないのだが。

 

「プロテインか、この店はそれなりに品揃えがいいみたいだな。……じゃあ、俺は用事があるからそろそろ行くよ」

「うん? そうか? 出来れば一緒に食事でもと思ったんだが。アルマーのトレーニングを教えて欲しかったし」

「また今度な」

 

 そもそも、俺は混沌精霊なので、筋トレとかをやっても半ば意味はない。

 勿論それを言う訳にはいかない以上、何とか誤魔化すしかないのだが。

 俺の場合の訓練と言えば、タルタロスでの戦闘とかだろうな。

 ただ、タルタロスで出てくるシャドウは基本的に弱い奴ばかりだ。

 唯一あの死神のみが例外だったが、あれ以降遭遇していないしな。

 もっとも、あの死神とは他の連中を庇いながら戦うというのは不可能である以上、他の連中と一緒の時に遭遇するというのは遠慮したいところなのだが。

 

「そうか? プロテインも、美味いんだがな。美鶴もあまり理解を示してくれないし……」

「まぁ、そうだろうな」

 

 勿論プロテインによっても色々と味は違うんだろうが、それでもやはりプロテインを好物だと言い切るような味覚をしている者は珍しい。

 だが、真田は自分が少数派だというのは納得出来ていないのだろう。

 もしくは、誰もそれを教えないか……

 

「むぅ。残念だ。だが、きっとこの味を美味いと思う者も、いずれ……」

「どうだろうな。それより、これからちょっと長鳴神社に行こうと思うんだが、真田も一緒にどうだ?」

「すまないが、俺はこれからトレーニングがある。アルマーとの間にある力の差を思い知ってしまったからな。今は少し身体を動かしたい気分なんだ」

「……そうか。まぁ、無理にとは言わないけどな」

「すまないな」

 

 そう言葉を交わし、俺は真田と別れる。

 そうしてドッグフードや弁当とかの食べ物を適当に買ってから会計を済ませ、影のゲートを使って神社の境内に移動する。

 勿論そこに誰かがいてもいいように、建物の陰になるような場所にだが。

 幸いにも、境内には誰の姿もなかった。

 ……うーん、小学校も春休みに入ってるらしいし、舞子とかがいてもいいと思うんだけどな。

 

「ワンワン! ワオーン!」

 

 そんな風に思っていると、犬ならではの鋭い嗅覚で俺の存在を嗅ぎつけたのか、見覚えのある犬がまっすぐこっちに向かって走ってくる。

 尻尾を振って嬉しそうにしている犬だが……さて、これは俺がいるのが嬉しいのか、それとも単純に毎回ドッグフードを持ってくるから俺が来たのを喜んでいるのか。

 その辺りの事情はいまいち分からないが、その辺りは特に気にする必要もないか。

 ともあれ、俺は持っていた買い物袋の中からドッグフードを取り出す。

 それは、一撃必殺の例の奴だ。

 缶詰を開けて、紙皿の上に一撃必殺のドッグフードを出すと、犬は最初鼻を近づけて臭いを嗅ぎ、やがて大丈夫だと判断したのだろう。ドッグフードを食べ始める。

 そんな犬の様子を眺めつつ、俺は自分の分として買ってきたたこ焼きを取り出す。

 スーパーで売ってた出来合のたこ焼きは、とても出来たてとは言えず、もう冷えている。

 だが、それでもしっかりとタコが入っており、食べられる程度の味で、そこそこ美味い。

 たこ焼き屋とかあれば買ってもいいんだが……ああ、でも東京とかのたこ焼き屋は、やっぱり大阪とかに比べると腕はいまいちなんだったか?

 勿論それが本当かどうかは分からない。

 だが、何日か前にTVを見ている時、そんな番組をやっていたのを見た覚えがある。

 ただ、正確には東京のたこ焼き屋のレベルが低いんじゃなく、大阪のたこ焼き屋のレベルが高いという表現の方が適切らしいが。

 個人的にはたこ焼きは好きなので、一度そこまで言われている大阪のたこ焼き屋のたこ焼きを食べてみたい。

 焼く時に油を多めに使って焼き揚げるといった風にするチェーン店のたこ焼きは、大阪基準で見てもそれなりに美味いらしいが……残念ながら、この辺りにそのたこ焼き屋は存在しない。

 いや、もしかしたらあるのかもしれないが、俺は知らないという方が正しいと思うが。

 ともあれ、そんなたこ焼きを食べながらレジで貰った買い物袋……ビニール袋に視線を向ける。

 マイバッグとかそういうの、用意した方がいいのかもしれない、と。

 自分でも何故そんな事を思ったのかは分からないが、俺はこの世界ではかなり買い物をしてる。

 ……W世界では、何だかんだとそこまで買い物をする事はなかったんだけどな。

 最初はマフィアに色々と用意して貰っていたし、マフィアと離れてからは傭兵として連合軍に雇われていたし。

 ともあれ、そういうバッグボーンのなかった俺にとって、この世界では欲しい物を得る為には誰かに頼むのではなく、自分で買う必要があった。

 桐条グループ辺りと最初から繋がっていれば、その辺りの心配もいらなかったんだろうが……

 

「ワン!」

 

 余程腹が減っていたのか、それとも一撃KOというあの売り文句は事実だったのか、犬は紙皿の上に置かれたドッグフードを全て食べ終えていた。

 しょうがないので、他のドッグフードを選び、それを紙皿の上に開ける。

 この犬が飼い犬なのか、それとも野良犬なのか……その辺りは分からないが、もし飼い犬だったとすれば、完全に太るだろうな。

 ドッグフードをこれだけ食い、その上で飼い主からも餌を貰ってるんだろうし。

 逆に野良犬だったとすれば、俺がやっているドッグフードが生命線になっている可能性がある。

 まぁ、舞子の様子を見る限り、この犬はそれなりに人気者らしい。

 だとすれば、別に俺が餌をやらなくても、誰かが餌を与えている可能性は十分にあるけど。

 

「ほら、あまり食いすぎるなよ」

「ワン!」

 

 俺の言葉に犬が一声吠えると、再びドッグフードに夢中になっていく。

 うん、こうして見たり触った限りでは特に太っているようにも見えないし、いいか。

 ドッグフードを食べている犬を撫でながら、そう納得する。

 太っている犬というのは、傍から見ている分には可愛いのかもしれないが……当然犬の健康的にいい訳がない。

 である以上、やはりこの犬にも適度な運動はさせた方がいいだろう。

 幸い、以前遊んだフリスビーはまだあるので、犬がドッグフードを食い終わったら……そう考えていると、不意に携帯が鳴る。

 そこに映し出されているのは、桐条美鶴の名前。

 そう言えば昨日何だかんだと桐条や真田と番号の交換をしたんだったか。

 微妙にゆかりが嫌そうな表情を浮かべていたが、ゆかりの桐条グループに対する印象も出来るだけ早くどうにかなればいいんだがな。

 そう思いながら、携帯に出る。

 

「もしもし、桐条か。どうした?」

『ああ、実はアルマーに頼みたいことがあってな』

「頼みたい事?」

 

 もしかして、また桐条をタルタロスの16階まで連れていって欲しいとか、そういう事か?

 そんな風に考えながら話を促す。

 

『昨日、アルマーの使っている魔法はある程度までは誰にでも使えると言っていただろう? 出来ればそれを教えて欲しいのだが……どうだろう?』

 

 だが、桐条の口から出たのは、予想外の頼みだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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