転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1838話

 教室の中に通されたのはいいのだが、桐条はさっき言ってた通り、幾月や父親に連絡する為に部屋から出ていった。

 結果として部屋に残っているのは俺だけになってしまった訳だが……暇だ。

 この部屋は教室とかそういう部屋ではなく、普段は特に使われていない部屋なのだろう。

 机や椅子が幾つか適当に置かれており、他には荷物も何も置かれていない。

 特にこれといった特徴のない部屋なのは間違いない。

 そんな部屋で、俺は特にやる事もないので、空間倉庫から取り出した魔法書を眺めていた。

 これは以前ネギ……うん? エヴァだったか? ともあれ、ネギま世界の人間に貰った魔法書だ。

 魔法学校で使われている初心者用の魔法書で、これを読んで勉強すれば……

 

「あ」

 

 そこまで考え、思い出す。

 そう言えば、この魔法書は英語が基本だ。

 ましてや、魔法についての詳しいところとなれば、ラテン語とかそういうのも書かれてるんだよな。

 英語ならともかく、その辺は桐条にも読めるか?

 ……まぁ、これも勉強だと考えて貰って、分からない場所は辞書でも読みながら勉強して貰うとしよう。

 ぶっちゃけ、この初心者用の魔法書を読めば誰でも簡単な魔法は使えるようになる筈だ。

 勿論、実際に魔法を使うには初心者用の杖を使って何度も練習をしなければならないのだが。

 魔法球の中とかだと、魔力が多くある関係もあってそれなりに魔法の勉強はしやすい。

 だが、魔法球の外では、初めての魔法を使うのが一番難しい。

 もっとも、この世界はまだ恵まれている方だ。

 世界によって魔法を使う際の消費魔力は違うのだが、このペルソナ世界はネギま世界とそう変わらない……いや、寧ろもう少し魔力が多い。

 少なくても、マブラヴ世界と比べるとかなりマシなのは間違いない。

 マブラヴ世界、魔力消費が異様に多かったからな。

 ともあれ、そんな風に魔法書を眺めながら待つ事、約15分程。

 ようやく扉が開き、桐条が戻ってきた。

 

「待たせてすまないな。こちらの用件は粗方終わったから、早速勉強に入ろう」

「ああ、それは構わない。……ただ、ぶっちゃけると勉強でも最初は俺が教えるような事はないぞ? この初心者用の魔法書を読み進めていけば、魔法についての基礎は覚える事が出来る。後は、そこの初心者用の杖を使って実際に魔法を発動させればいい」

「……そんなに簡単でいいのか? その、もっとこう……厳しい訓練とか難しい文章を読み解くとか、そういうのを考えていたのだが」

「ああ、それは間違っていないな。英語はともかく、ラテン語もきちんと理解出来るようになっていた方がいいな」

「英語はともかく、ラテン語をか?」

「ああ。もっとも、取りあえず適当に簡単な魔法を使えるだけでいいのなら、そこまでする必要はないと思うが。……どうする?」

「いいだろう、ラテン語だろうと何だろうと、覚えてみせる」

 

 俺の言葉のどこが勘に触ったのか、桐条はそう断言した。

 いやまぁ、ネギま世界の魔法を使えるようになるというのは、決して悪い事ではない。

 特にシャドウを相手にするのであれば、攻撃手段は多ければ多い程いい。

 真田と2人でタルタロスに挑戦するのであれば、余計にそうだろう。

 

「そうか。じゃあ、これを読んでくれ。後はこっちの初心者用の杖を使って魔法を練習すればいい」

 

 その言葉に、桐条は大人しく魔法書と杖を受け取る。

 一応魔法書や杖もある程度の予備はある。

 特に杖は初心者用という事で、かなりの安物だ。

 量産性が高い……と表現してもいいだろう。

 それだけに、魔法書はともかく杖は壊されても特に問題はない。

 ……まぁ、普通に使っている限り、そう簡単に杖が壊れるといった事はないんだが。

 ネギのように、通常の魔法使いよりも高い魔力を持っている魔法使いが、大量の魔力を杖に流す……といった真似をすれば、杖も魔力に耐えられずに壊れるが。

 普通に考えれば、そんな真似がされるといった事はない。

 実際、桐条もそこまで魔力が高いようには思えないし。

 

「ふむ、では早速読ませて貰おう」

 

 そう言うと、桐条は部屋の中にあった机と椅子を持ってきて、そこに座る。

 こういう場所に置いてある椅子とか机って、どんな使い方をされているのか分からないんだが……まぁ、桐条はこの学校に通っている生徒だ。

 その桐条が問題ないと判断したのであれば、特に問題はないのだろう。

 

「……なるほど。魔法とは精霊という存在が必要になるのか」

 

 どうやら英語で書かれた場所は普通に読み進めるらしい。

 うん、この辺りはさすが桐条といったところか。

 勿論、本人はそう言われても特に面白くなさそうではあるが。

 

「アルマー、お前の魔法はこの魔法書に書かれている魔法と同じ種類の魔法なのか?」

「そうだな。基本的には同じと思ってもいい」

 

 もっとも、俺の場合は俺自身が混沌精霊という精霊になっている影響もあり、呪文の詠唱もないまま魔法を使えたりするんだが。

 その辺りは、今は言う必要もないだろう。

 

「なるほど。そうなると、影の魔法を使えるようになれば、あの転移魔法も……」

「いや、転移魔法は他の属性でもあるぞ。少なくても、俺は水の転移魔法を見たことがあるし」

 

 もっとも、フェイトの転移魔法だが。

 そう言えば、他の連中が転移魔法を使っているのは、見た事がないな。

 ……火の転移魔法とかだと、火に身体を沈めていくのだろうか。

 それはそれで、ちょっと面白そうな気がしないでもない。

 火の輪くぐりの如く。

 

「まぁ、あれだけ便利な魔法なのだ。そう簡単に覚えられないというのは、私にも分かっていた。この本によると、それぞれ得意な属性があるらしいな」

 

 英語の文章はほぼ問題なく読める辺り、桐条の頭の良さは際だっている。

 日本では中学1年から高校3年まで……場合によっては小学生からだったり、大学生とかでも英語を勉強する事も珍しくはないが、それだけの年数英語に関わっていても、実際には流暢に英語を話したり読んだりといった事は出来ない者が多い。

 そのような者達と比較すれば、英語を何の躊躇もなくスラスラと読めるのは、さすがと言ってもいい。

 

「ああ。例えば俺の場合は火……炎と影だな。俺の知り合いの魔法使いは光と風とか得意にしている奴もいたし、攻撃魔法の才能がなくて、補助魔法とか回復魔法に特化している奴とかもいた」

 

 近衛は、攻撃魔法を使えずに回復特化だったし、千鶴は攻撃魔法を使えはしたが、どちらかと言えば補助や回復魔法の方が得意なタイプだった。

 そう考えれば、やはり人には向き不向きがあるのだろう。

 

「ほう。では、私の場合は得意な属性は何だと思う?」

 

 俺の言葉に興味を持ったのか、そう尋ねてくる桐条。

 だが、この世界の場合は自分の得意としている属性を見つけるのはそう難しい事ではない。

 

「生憎と、俺は桐条のペルソナを見た事がないから何とも言えないが、例えばゆかりのペルソナのイオは風の攻撃魔法を得意としているな。他にも回復魔法を得意としているのを見れば、恐らくゆかりは風と回復魔法に適性がある筈だ。勿論しっかりと確認した訳じゃなくて、あくまでもペルソナを見ての予想だから、実際には違っている可能性も十分にあるが」

 

 ペルソナが得意としている属性と本人の得意としている属性が一緒……という俺の予想はそんなに間違っているとは思わないが、別に何かの確証があっての話ではない。

 

「……いや、ペルソナというのは、その人物の持つ根源とでも言うべきものが象徴化したような存在だ。アルマーの言葉が合っている可能性は十分にある。……となると、私の得意属性は氷という事になるのか」

「氷か」

 

 桐条の言葉に、思わずといった様子で呟いてしまう。

 それが気になったのだろう。桐条は不思議そうな視線をこちらに向けてくる。

 こうして真っ正面からしみじみと見ると、やっぱり桐条の顔立ちは整っているんだよな。

 ゆかりが可愛い系が混ざった美人だとすれば、桐条は可愛い系の要素が殆どない美人系と表現するのが正しいか?

 だからこそ、ゆかりを好きな人物と桐条を好きな人物は混在したりはしないんだろう。

 

「氷の属性だと何かあるのか?」

「いや、俺の知り合いに氷属性を得意とする魔法使いがいるのを思い出してな。かなり強力な魔法使いで、純粋に魔法の技術という一点では俺は到底及ばない」

「ほう。もし可能であれば、その人物をここに呼び寄せて欲しいくらいだ。より詳しく魔法を教えてくれる相手であれば、こちらは歓迎するが?」

「あー……どうだろうな。期待してくれるのはいいが、それはちょっと難しいと思う」

 

 正確には、ちょっとではなくかなり難しい。

 氷の属性を得意としているのは、言うまでもなくエヴァだ。

 技術班からはエターナルロリータ……略してエタロリと呼ばれたりする事も多い――当然呼んだ奴は氷の矢を飛ばされるが――エヴァだが、当然のように現在はホワイトスターにいる。

 ホワイトスターとの間の行き来が出来ない現状では、エヴァを呼び出すような真似が出来る筈もない。

 

「む、そうか。……だが、氷の魔法を使うという指針が出来たのは嬉しいな。これで魔法の勉強にもやる気が起きる。……その、アルマー。この魔法書は他人に見せたりはしない方がいいか?」

「そうだな。出来ればお前と、真田くらいにしておいてくれ」

「……だろうな。アルマーに聞いた話によれば、この魔法書を勉強すれば、誰でも初歩的な魔法は習得出来るらしい。そう考えれば、アルマーが心配する事も理解出来る」

 

 そう、簡単な……それこそ初歩的な魔法であっても、使い方によっては大きな効果を持つ。

 特にこのペルソナ世界では、基本的に魔法の存在は知られていない。

 そうである以上、もし魔法を習得した悪人が何か行動に出ようとしても、止める手段が少ないのだ。

 勿論全くない訳ではない。

 元からそういう魔法があると知っていれば、それを何とかするのは不可能ではないのだ。

 だが、その知っているという点が難しい。

 魔法とかが表に出ていないこの世界で、魔法に対して対策をしろと言われ……それを聞いて、はいそうですかと頷く奴がいるかと言われば、難しいだろう。

 この場合、誰でも習得出来るというのが難点となる。

 そうである以上、桐条と真田のようにタルタロスに挑むような奴だけがネギま世界の魔法を習得出来るようにするのが、一番いいだろう。

 ……もっとも、真田は基本的に勉強はそれ程得意じゃないように見えるから、もし魔法書を見せて勉強させると言っても、やらない可能性があるが。

 それとも、強さを求めているという事は、意外とネギま世界の魔法も習得するか?

 難点は、ネギま世界の魔法はこのペルソナ世界の魔法と違って、発動体がなければ発動しないといったところだ。

 真田の武器は基本的に拳である以上、初心者用の杖を持って戦闘を行うのはかなり難しい筈。

 一応指輪型の魔法発動体とかもあるにはあるんだが、希少価値を考えればそう簡単に人にやれるような代物じゃないし。

 もっとも、そう考えるのであれば桐条も似たような感じだが。

 レイピアを武器としている桐条だ。同時に杖も……というのは、ちょっと難しいと思う。

 そういう意味では、意外と荒垣辺りは似合ってるのかもしれないな。

 まぁ、戦闘に参加していない今は……だが。

 もっとも、荒垣は戦闘に参加しないと言っているのを考えれば、魔法書を渡しても勉強する気にはならないと思うが。

 

「分かって貰えたようで何よりだ。気軽に使える分、これはそう簡単に表に出していいものじゃないしな」

 

 魔法は秘匿するもの……という不文律がある訳ではない以上、この世界でネギま世界の魔法を公開しても、別に誰に責められることもないだろう。

 だが、実際にそのような真似をすれば。恐らく桐条グループは何だかんだと潰してくるだろう。

 影時間とかそういうにのに関わっている以上、それは仕方がない。

 

「私も人間全てを信じている……という訳ではないからな。それに、桐条グループの中にも、お父様と敵対している者、表向きは従っているが、苦々しい思いを抱いているといった者達は決して少なくはない」

 

 そこまで言うと、桐条は悔しげな表情を浮かべる。

 何だかんだと、家族は大事にしているという事なのだろう。

 この年代の女にしては少し珍しいかもしれないが、それだって絶対、完璧にという訳ではない。

 

「そうか。まぁ、頑張れ。……それより、勉強の方に戻るとしようか」

「うん? ああ、そうだな。それで、属性についてだが……」

 

 桐条は改めて魔法書に目を通し、自分の分からない場所を俺に尋ねてくる。

 俺はそれに関して、分かる範囲で教えながら暫く勉強に付き合うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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