転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1840話

「よお、アルマー。今日は色々と大変そうらしいが、よろしく頼むぞ」

 

 巌戸台にある学生寮……真田と桐条、幾月の3人だけが住んでいる寮で、扉を開けて俺を出迎えたのは、真田だった。

 

「大変? 身体のサイズを計るだけだろう?」

「そうだが、それだけで終わると思うか? 多分、何か色々と面倒な事になるぞ?」

「……帰りたくなってきたな」

 

 扉を開けて寮の中に入るのではなく、このまま扉を閉めて長鳴神社の境内にでも行こうか、と思う。

 幸いにもと言うべきか、今日は春らしく非常にいい天気だ。

 この暖かさなら、境内で昼寝をしても気持ちいいだろう。

 もっとも、この天気のよさだからこそ境内に遊びに来ている子供とかが多く、昼寝どころじゃない気もするが。

 桐条とネギま世界の魔法の勉強をして、ゆかりに俺が月光館学園に転入することが決まったと教えてから、数日。

 もうすぐ4月になるといった頃、俺の姿は真田達が暮らしている寮の中にあった。

 今日ここにはやってきた理由は、至極単純。月光館学園の制服を俺の為にオーダーメイドで作る事になった為だ。

 制服というのは、基本的に出来合の物を背丈に合わせて直すというのが一般的だ。

 だが、金持ちが着る制服となれば、当然のようにオーダーメイドで作る事も珍しくはない。

 勿論普段であれば、桐条もただの協力関係にある俺達に対してオーダーメイドの制服を作ったり……といった真似はしないだろう。

 だが、出来るだけ俺との関係をよくしたい桐条は……もしくは、その背後にいる大人達は、俺にオーダーメイドの制服を与えて少しでも良好な関係を築きたいのだろう。

 まぁ、桐条グループの人間にとって、俺という存在は色々な意味で特別だ。

 シャドウやペルソナに由来しない魔法を自由に使え、更には転移魔法という手段や空間倉庫という存在がある。

 別に桐条グループではなくても、少し目端の利く相手なら俺との関係を出来るだけ良好な状態にしたいと、そう思っても不思議ではない。

 まぁ、俺が何かをする訳でもないので、取りあえず今回は大人しくその申し出を受ける事にしたのだ。

 どうせ月光館学園に通うのであれば、制服は毎日着る事になる。

 であれば、どうせなら着る制服を少しでも品質のいい物にしたいと考えるのは当然だろう。

 ましてや、その料金を全て桐条グループで持ってくれるというのだから、俺が文句を言う筋合いはない。

 勿論、向こうが何かを要求してくる可能性もあるが、それが受け入れられるものであれば受け入れ、無理なら無理だと断るだけだ。

 

「あー、ほら。美鶴達も待ってるんだから。入れよ。身体の採寸が終わったら、俺のトレーニングに付き合って貰う予定なんだから」

「おい、いつ俺が真田の訓練に付き合う事になったんだ? そんな話は聞いてないんだが」

「うん? 言ってなかったか? 俺はてっきり昨日言ったとばかり思ってたが。……まぁ、そんな訳で俺の訓練に付き合ってくれ!」

「……まぁ、特に今日はやるべき事もないから、いいけどな」

 

 実際、タルタロスや影時間云々を抜きにすれば、俺がこの世界でやるべき事はそう多くない。

 以前であれば、魔法の込められた宝石とかを調べたりするのに四苦八苦していたんだが、今では桐条グループにそれを一任する事が出来るようになったので、その辺りは気にしなくてもよくなったしな。

 俺の言葉を聞いた真田は、嬉しそうに俺を寮の中に引っ張り込む。

 するとホテルを改装した寮の居間には、桐条がおりメイド姿をした女が他にも何人かいる。

 ……幾月がいないのは、俺にとって幸運だったと言ってもいいのか。

 まぁ、何だかんだと幾月は理事長だ。

 そうである以上、影時間の研究以外にも色々とやるべき事があるのだろう。

 それがどのような仕事なのかは、生憎と俺には分からないが。

 理事長の仕事とか、面倒そうだよな。

 

「よく来てくれた、アルマー」

 

 真田と共に部屋に入ってきた俺を見て、桐条は笑みを浮かべてそう告げる。

 そんな桐条の言葉に合わせるように、メイド達も頭を下げてくる。

 

「菊乃、早速だがアルマーの採寸を頼む」

「かしこまりました、お嬢様」

 

 桐条に菊乃と呼ばれたメイドが頷いて俺の方に近づいてくる。

 かなり若い……それこそ、桐条と同年代に見えるメイドで、仕事の邪魔にならないようになのか、髪はかなり短く切り揃えられており、ゴムで結ばれている。

 

「アルマー様、こちらにおいで下さい」

「うん? ここでやるんじゃないのか?」

「お嬢様に殿方の肌を見せる訳にはいきませんので、部屋を用意してあります」

「……今更だと思うけどな」

 

 実際、真田と模擬戦をやった時、俺はともかく真田はボクシングのスタイル……つまりトランクスだけで、上半身は裸だった。

 それを考えれば、今更男の肌をどうこうと言われても特に気にするような事はないと思うんだが。

 しかし、あくまでもそれは俺の感想であって、菊乃と呼ばれたメイドはまた違った感想を抱いているのだろう。

 俺の言葉に特に何も言わず、他のメイド達を引き連れて寮の2階に上がっていく。

 そうして上がってすぐの場所にある部屋に入ると、すぐに採寸の準備を始める。

 メジャーの類を用意し、俺の方を見て……

 

「では、アルマー様。服の方をお脱ぎ下さい」

 

 そう尋ねる菊乃の言葉に俺は頷く……のではなく、首を横に振る。

 

「さて、これは何の真似だ?」

「……はい? 何がでしょう?」

 

 菊乃は俺の言葉に、何を言っているのか分からないと本気で不思議そうな顔をしている。

 もしかしたら誤魔化しているのか? とも思ったが、この様子を見る限りでは誤魔化しではないだろう。

 勿論何らかの演技をしている可能性は十分にあるが……

 

「少なくても、俺は盗撮されているのを分かっている上で、着替えるなんて事は出来ないな」

 

 勿論、俺は別に女という訳じゃないんだから着替えを撮られても特に何とも思わない。

 だが、それでも何か妙な事に使われるかもしれないというのであれば、それを許容出来る筈もない。

 

「盗撮、ですか?」

 

 この様子を見る限り、本当に何も知らないのか?

 菊乃も他のメイド達も、戸惑ったように俺を……そして部屋の中を見ている。

 この部屋自体は、特に誰かが使っている訳でもないだろう。

 一応ベッドの類を始めとして幾つかの家具は置かれているが、それだけだ。

 だが……運がいいのか悪いのか。

 俺がこの部屋に入ってきた時、丁度窓からは太陽の光が入ってきており、その太陽の光に微かにではあるが反射する物が幾つかあった。

 それは部屋にある金具だったりするが……何もない壁で反射が起きるというのは、普通なら考えられないだろう。

 もっとも、その反射も普通なら気が付かない微かなものではあったのだが。

 あくまでも、俺が混沌精霊で五感が人間よりも鋭いから気が付いたものだ。

 ……もしかして、俺がこの部屋で採寸すると知って、昨日にでもカメラを埋めたのか?

 一瞬そう思ったが、部屋の壁紙とかを見ると、とでもはないが新しい物ではない。

 勿論古い壁紙をどこかから持ってきたといった事も考えられるが……そうではなく、寮に改装された時、最初からこの部屋を含めて幾つかの部屋……もしくは、全ての部屋にカメラを仕込んでいた可能性は十分にある。

 本来ならスライムを使えばその手の物はあっという間に調べる事が出来るんだが……今のところ、スライムは奥の手として秘密にしている。

 それをわざわざ菊乃達の前で見せる事もないだろう。

 それに、そこにカメラがあると分かれば……

 菊乃達をその場に残し、そのまま光の反射のあった場所、カメラの埋め込まれている場所の前に移動する。

 そうしてそっと手を伸ばし……そのまま壁紙に手を触れ、次の瞬間壁そのものを毟り取る。

 もっとも、俺の握力は金属であろうと容易に握りつぶすだけの力がある。

 この壁程度、毟り取るような真似をするのに特に苦労はしない。

 そうして毟り取った俺の手の中には、壁紙、壁の破片、そして……カメラとそこから伸びているケーブルがあった。

 どうやら無線ではなく有線で動かしていたらしいが……まぁ、無線とかだと色々と混線したり、知識さえあればそれを傍受するのも難しい話ではない。

 それに壁の中に埋め込まれているカメラだけに、無線とかだと色々と不具合もあるのだろう。

 そういう意味では、やはり有線の方が壁の中に直接埋め込む分には問題はない。

 ともあれ……ケーブルが壁の中に繋がっている以上、誤魔化しは出来ない。

 俺は菊乃を含めたメイド達を見据え、口を開く。

 

「さて、俺なんかを盗撮してどうするつもりだったのかってのはあるが……それでも、こんな真似をされて気分がいい訳がないよな? 桐条グループは俺達と敵対する道を選んだのか? それとも、俺が預けていた宝石とかを返すのが惜しくなったか? まぁ、理由はどうでもいい。桐条グループがそのつもりなら、こっちも相応の態度を取らせて貰うだけだしな」

 

 菊乃を始めとしたメイド達は、俺の言葉で我に返ったのだろう。慌てたように口を開く。

 

「お待ち下さい! この部屋がこのような事になっていたとは、お嬢様も知らなかった筈です」

「そうか? そもそもの話、桐条はこの寮に住んでるんだろ? なのに、こんなカメラが仕込まれている事に気が付いてなかったなんて事はあると思うか?」

「……それは……」

 

 菊乃も自分の言葉に説得力がないというのは理解出来るのだろう。言葉に力がなくなっていく。

 

「分かったら、そこをどけ。桐条にしっかりと話をする必要があるからな」

「お待ち下さい!」

 

 そんな風に言ってくる菊乃を無視し、1階に向かう。

 

「うん? どうしたんだ? 随分と早かった……な? アルマー?」

 

 紅茶を飲みながら何かの雑誌を読んでいた桐条だったが、採寸の為にいなくなった俺が戻ってきたのが早いので驚いたのだろう。

 真田の姿がここにないのは……まぁ、恐らくだがトレーニングの為に席を外しているからだろう。

 ともあれ、桐条は俺の姿を……俺の手の中にある壁紙と壁、そして何よりカメラの残骸を見て、驚きに目を大きく開く。

 普段は左目が髪に隠れている事も多いのだが、その左目も驚愕に見開かれている。

 もしかしたら、その驚きは俺を追ってきた、後ろのメイド達を見てのものなのかもしれないが。

 

「さて、これはどういう事なのか……聞かせて貰ってもいいよな? まさか、桐条に盗撮の趣味があるとは思わなかったが、このデータを何に使うつもりだったんだ?」

 

 俺の髪の毛とか皮膚とか唾液とか。

 そういうのであれば、それこそ俺の素性を探したり、DNA解析とかそういうのをしようとしてもおかしくはない。

 ……もっとも、混沌精霊の俺からそういうのが採取出来るのかと言えば、俺がその気にならない限りは不可能だろうが。

 ともあれ、その手のデータならともかく、俺の盗撮映像で何をしようとしているのかは分からない。

 だが、だからと言って、素直にそれを許すのかと言えば……答えは否だろう。

 何が狙いなのかをはっきりとさせ、そして俺と敵対するのであれば、こちらも相応の態度を取る必要がある。

 そんな俺の視線を向けられた桐条は、顔に驚きの表情を作ったまま……やがて頭を下げる。

 

「すまない。説明するのが遅れた。基本的にこの寮は私と明彦のように、シャドウと戦う者が住んでいる。そして、寮も相応の作りとなっているんだ」

「……このカメラもその1つだと?」

「そうだ。……この件について知らせなかったのは、悪かった。私もすっかりそれに慣れていたんだ」

「それは、つまり桐条の部屋にもこの手のカメラが仕込まれていると?」

 

 そう尋ねると、桐条が頷く。

 そして、俺の背後にいるメイド達、特に菊乃がかなり驚いている気配が伝わってきた。

 どうやら菊乃を含めてその事を知らされていなかったらしい。

 

「お嬢様!?」

 

 そして次に声が上がったのは、当然のように俺ではなく、菊乃の口からだ。

 まぁ、その気持ちは分からないでもない。

 俺の目から見ても桐条は美人と呼ぶに相応しい。

 その桐条が自分の部屋にもカメラの類が設置されているのを受け入れるとは、到底思えなかったのだろう。

 ましてや幾月だって男だ。

 そうであれば、つい出来心で桐条の部屋を覗くような真似をしないとも限らない。

 そして部屋であれば、当然のように着替えといった行為も行われている筈だ。

 それを男に見られる可能性があるのに、何故ここまで落ち着いていられるのかと。

 菊乃が悲鳴のような声を上げてもおかしくはない。

 

「心配するな、菊乃。理事長には用事がない時は他人の部屋の様子を見ないようにときちんと言ってある」

「ですが、お嬢様。幾月様も男性の方である以上……」

 

 そう告げるが、桐条の幾月に対する信頼はかなり強いらしく、問題はないと言うだけだった。

 ……危険だな。男に対する免疫とかその情欲とかもそうだが、何より幾月をかなり深い場所まで信頼しているその様子を見て、俺はそう思わざるをえなかった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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