転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0170話

 ハルバートンの来艦による騒動も一段落し、現在アークエンジェルは各種補給物資の補充をしていた。月本部に行くのではなく、ここから直接地球に降下するという連絡が来ているので、地球に降下後の戦力補充という意味もあるだろう。

 その証拠に……

 

「スカイグラスパー……2機!? おいおい、大気圏内用の機体じゃないかよ」

 

 マードックが補給物資のリストを確認して驚いている。

 

「なに、そう驚く事でもないさ。アークエンジェルはこのまま地球に降下するんだ。メビウス・ゼロがあるが、あれは結局は宇宙用のMAだろう?」

 

 へリオポリス内でクルーゼと渡り合ったように、一応地球でも使用可能なメビウス・ゼロだが、地球での戦闘を考えるとやはり大気圏内用に設計された機体を使った方がいいのは明白だろう。

 

「いや、別に俺も文句がある訳じゃないさ。兄ちゃんの言う通り、地球で使うのならそれ用に設計された機体を使う方がいいしな。俺が驚いているのは補給の早さにだよ」

「知将ハルバートンともなると、補給の重要性を理解しているんだろう」

 

 

 

 

 

 スカイグラスパーの搬入も終わり、現在は弾薬やその他補給物資の搬入作業が行われている。傭兵という立場の俺も当然その作業に駆り出され、パワーローダーと呼ばれる物資の移動や搬送を行う中型のロボットに乗って補給物資を運び入れていた。

 もっとも、中型と言ってもKMFよりは大きいんだが。

 

「兄ちゃん、それはヘルダート用の小型ミサイルだからあっちに持っていってくれ!」

「了解」

 

 マードックの指示に従い、ミサイルの満載されているコンテナを運ぶ。

 そんな搬入作業を始めてどのくらいの時間が経っただろうか。原作通りならキラ以外のへリオポリス学生組はアークエンジェルに残る決意をし、キラへと別れを告げているだろう。となるとそろそろザフトの攻撃が始まる頃合いだが……

 

 キュイーン、キュイーン

 

 ヘルダート用のミサイルを指定の場所へと置いた丁度その時、格納庫内にアラームが鳴り響く。

 来たかっ!

 

『総員、第一戦闘配備。繰り返す。総員、第一戦闘配備』

 

「うわ、兄ちゃんの勘がまた当たったよ。ここはいいからブリッツで出撃準備を!」

「ああ、任せた!」

 

 短く答え、パワーローダーから降りてブリッツへと向かう。補給作業の手伝いをしていたのでパイロットスーツを着る手間が省けたのが幸運と言えば幸運か。

 ……もっとも、地球降下直前に襲撃をかけられて幸運も何もないだろうが。

 

「兄ちゃん、武器はどうする?」

「第一種戦闘配備命令は出てるが、いつ出撃するかも分からん。迂闊にジンの武器を使って出撃すればそれが重しとなって大気圏に囚われる可能性もあるからな。ノーマルの状態で出る」

「あいよ」

 

 マードックに返事をしながら、ブリッジで確認している外の戦闘の様子をブリッツのモニタにも回してもらう。

 

「……うわ」

 

 第8艦隊の戦闘は悲惨の一言につきた。幾多ものMAを繰り出すが、ジンには全く相手にされずに撃破されている。イージスとデュエル、バスターも次々に戦艦を沈めていく。シグーも数機の存在が確認されているので、ニコルも恐らくあの中にいるのだろう。

 0083のガトーじゃないが、鎧袖一触とはまさにこの事か。

 

「おい、なんで俺が発進できないんだよ! 第8艦隊だってG相手じゃやばいぞ!」

 

 ブリッツの中にまで聞こえてくる大声。それはムウが格納庫の通信装置でブリッジに怒鳴っている声だった。

 

「落ち着け、ムウ!」

 

 ブリッツのコックピットから顔を出してムウへと叫ぶ。

 

「けれど、このままだとジリ貧だってのはお前も分かっているだろう?」 

「だからと言って、軍人のお前が命令も無しに出撃出来る訳がないだろう」

「分かってるよ! だが……くそっ!」

 

 自分の怒りを吐き出すかのように深く深呼吸をするムウ。

 

「……悪いな、八つ当たりだ」

「気にするな。それよりもいつ出撃命令が来てもいいようにコックピットで待機している方がいいんじゃないか?」

 

『総員、大気圏突入準備作業を開始せよ』

 

 ムウがメビウス・ゼロへと向かおうとしたその時、格納庫内にその通信が響き渡った。

 

「降りる!? この状況でか!」

 

 戦闘中の大気圏突入。無謀とも言えるその行動にムウがメビウス・ゼロのチェックをしていたマードックへと怒鳴る。

 

「俺に怒鳴ったってしゃーないでしょう。……まぁ、このままズルズル行くよりはいいんじゃねぇですか?」

「いや、けどさぁ」

「ザフト艦とジンは振り切れても、奪われた3機が問題ですね」

 

 マードックとムウの言い合いに声を挟んできたのはパイロットスーツに着替えたキラだった。その姿を見たマードックが思わず声を上げる。

 

「坊主!」

「ストライクで待機します。まだ第一戦闘配備ですよね」

「あいつ、艦を降りたんじゃ……」

「あんま若い頃から戦場とか戦争とかに関わっちまうと、後の人生きついぜ」

 

 そんな2人の声を聞くとも無しに聞きながらストライクへと通信を送る。

 

「アクセルさん」

「キラ……いいんだな?」

「……はい。もう、逃げないって決めましたから」

「そうか。ならやってみせろ」

「はい!」

 

 例えその決意がフレイの色香に惑ったものだとしても、この状況ではキラとストライク程の戦力を拒否するなんて選択肢は存在しない。

 

『大気圏突入限界点まで7分』

 

 格納庫に大気圏突入までの残り時間が流れる中、俺はブリッツで出撃の時をじっと待つ。

 

『デュエル、バスター、先陣隊列を突破。メネラオスが応戦中』

 

「キラ、ムウ。聞こえたな? 大気圏突入までの極短い時間だが、出る覚悟を決めておいた方がいいぞ」

「らしいね。全く、あの2機はしつこいったらないな。イージスがいないのがせめてもの救いか?」

「僕はいつでも出撃出来ます」

 

 2人の返事を聞き、ブリッジへの通信を開く。

 

「マリュー、大気圏降下までの間だけでいいから俺達3機を出撃させろ」

「アクセル、馬鹿な事を言わないで……3機ですって?」

「カタログスペックでは、ストライクは単体でも降下可能です」

「キラ君!? どうして貴方が……そこに……」

「このままじゃ、メネラオスも危ないですよ! 艦長!」

 

 艦を降りた筈のキラがストライクで出撃準備を整えているという状況に、絶句するマリュー。その沈黙を破ったのはナタルだった。

 

「分かった。ただし、フェイズ3までに戻れ。スペック上は大丈夫でも、やった人間はいないんだ。中がどうなるかは知らないぞ。高度と時間には常に注意しろ」

「はい」

 

 戦闘に関しての判断だけに、マリューもナタルを信頼しているのだろう。原作とは違い、文句を言う事なく黙って頷き許可を出す。その様子を見て、一応はブリッジ側の了解が取れたという事で通信を切断する。

 

「マードック、出撃だ!」

「あいよ。まずはアクセル。次に坊主。最後にフラガ大尉だ」

 

 マードックの返事と共に、ブリッツの機体を固定しているハンガーがカタパルトデッキへと運ばれていく。MS発射口でもあるアークエンジェルのカタパルトデッキが展開されると、まず見えるのは青。地球の海の青だ。

 

「……さすがにこの状況での出撃は初めてだな」

 

 地球から宇宙に上がってすぐにアインストの集団に襲われた事はあったが、大気圏降下ギリギリでの出撃は俺に取っても初めての経験だ。ガンダム系統のアニメでは定番のシチュエーションだが、実際にやるとなると勘弁して欲しいというのが正直な所だ。だが、このまま出撃しないでいるとハルバートンの乗るメネラオスはともかく、アークエンジェルまで沈みかねない。

 ……結局はハルバートンを助けるのは無理そうだな。

 

「ブリッツ、アクセル・アルマー、出るぞ!」

 

 リニアカタパルトで射出されるブリッツだったが、艦外へと出た途端に地球の重力に引っ張られる。

 

「くそっ、重力に引かれているのか。そうそう時間は取れないな」

 

 スラスターを噴射し、重力を振り切って周囲の様子を探る。

 まず目に入ったのはデュエルの姿。バスターは……どこだ!?

 

「ムウ、キラ。デュエルは確認したが、バスターの姿が見えない。デュエルは俺に任せてバスターをなんとかしてくれ。ここまで来てアークエンジェルが沈められるなんて事になったら最悪だ」

「OK、言うまでもないが重力には気をつけろよ。地球に近づきすぎるとそのまま地球に落ちる事になるぞ」

「アクセルさん、気をつけて!」

「ああ」

 

 短く返事をし、通信を切る。そして改めてモニタに映し出されるデュエルの姿を確認。ノーマルの状態ではなく、やはり追加装甲であるアサルトシュラウドを装備している。……この分じゃ顔の怪我も原作通りか。

 牽制の意味も込めて、トリケロスに内蔵されているビームライフルを発射しながら距離を縮めていく。

 デュエルにしてもそれは望む所だったのだろう。ビームサーベルを引き抜き、アサルトシュラウドに装備されたレールガンのシヴァを発射しつつブリッツとの距離を詰めて来る。お互いに近接戦闘の間合いに入り、デュエルが振り下ろしたビームサーベルをトリケロスで受け止めつつ、盾を斜めにずらす事でビームサーベルを滑らせる。結果、強引にビームサーベルを振り抜いたデュエルはその勢いのままにブリッツの下方向へと進み、その後ろ姿を無防備にこちらへと晒した。

 

「食らえ!」

 

 デュエルのスラスター目掛けて、左腕に装備されているグレイプニールを発射。

 ガッ! という鈍い音を立てて、デュエルのスラスターをグレイプニールはその鋭い爪先で鷲掴みにする。

 

「貴様っ!」

 

 接触回線によりイザークの怒りの声が聞こえてくるが、俺はそれを無視してグレイプニールにより動きを固定されたデュエルへとランサーダートを3本射出する。

 PS装甲の為に2本は弾かれるが、最後の1本がデュエルの左腕の肘関節へと命中して貫通する事に成功した。ランサーダートの細さ故に左腕を破壊する事は出来なかったが、モズの早贄の如く突き刺さったランサーダートにより少なくてもこの戦闘中にその左腕を使うのは難しいだろう。

 チラリと他の戦場へと視線を向けると、ザフトのローラシア級がメネラオス目掛けて特攻を掛けようとしている所だった。その特攻を阻止すべく周囲の艦が射撃を集中するが、ローラシア級はそれを無視して突っ込んで行く。

 バスター、ストライク、メビウス・ゼロに関してはこちらが2機と言う事もありどうにか有利な展開で戦いを進めていたようだったが、特攻してくるローラシア級を確認したムウが離脱してその阻止に向かった為にバスターとストライクの一騎打ちの状況になり互角……いや、重力に機体を引かれてエールストライクの長所が殺され、射撃武器がメインのバスターが有利になっている。

 

「よそ見をするとは余裕だな、ブリッツ!」

 

 グレイプニールにスラスターを固定されつつも、後ろ手にビームライフルでこちらへと射撃してくるデュエルだったが、重力による影響でビームライフルを保持している右腕を固定する事は難しく、その殆どはあらぬ方向へと飛んでいく。中にはこちらに命中しそうなものもあったが、それらはトリケロスにより防御する。

 トドメの一撃をデュエルに与えようとも思うのだが、ビームライフルの連射をトリケロスで防いでいる為に内蔵されているビームライフルが使えない。千日手か。

 そんな時、アークエンジェルからの通信が入って来た。

 

「アクセル、戻って! もう時間がないわ!」

 

 マリューの悲鳴のような声を聞きながら、これ以上この状態での戦闘は無理と判断した。

 だが、このまま放っておくとデュエルは原作のように避難民を乗せたシャトルを攻撃するだろう。さすがにそれは寝覚めが悪い。

 

「加速!」

 

 精神コマンドの加速を利用し、スラスターを全開にして急速にデュエルまでの距離を縮める。そして重力による加速、スラスターを全開にした加速。そして精神コマンドの加速。これら全てを利用したブリッツの蹴りがデュエルの背中へとクリーンヒットして、スラスターを破壊した。同時にグレイプニールを回収しつつ、デュエルを足場に思い切り蹴りつけて再度ジャンプ。アークエンジェルへと……届かない!?

 予想していたよりも重力に引かれていたのか、地球の引きずり込むような力がブリッツを掴んで離さない。だがっ!

 

「加速、覚醒!」

 

 精神コマンドの加速を利用し、一気にアークエンジェルまでの距離を縮める。同時に使用した覚醒の効果で不思議な力が漲り、限界を超えての行動が可能になる。

 

「加速!」

 

 そして再び加速を使用。ここまで精神コマンドを連発して、ようやくアークエンジェルの甲板へと着地する事に成功した。

 

「アクセル! 無事なのね!」

「ああ、それよりムウとキラは!?」

「フラガ大尉は大丈夫だけど、キラ君が!」

 

 アークエンジェルの甲板で体勢を固定し、一段落した俺はモニタで周囲の様子を確認する。メネラオスはローラシア級と近距離での射撃戦を繰り広げており、近くには既に降下態勢に入っているシャトルがある。あれに避難民が乗っているのだろう。やがて大気圏の熱により崩壊していくローラシア級とメネラオス。デュエルはすでにかなり大気圏に引かれており、スラスターが潰された事もあってなんとか体勢を整えて大気圏に突入しようとしている。そして……

 

「坊主は!」

 

 俺と同じくアークエンジェルの甲板に着地したメビウス・ゼロから怒鳴るような通信。

 

「あそこだ!」

 

 モニタに映ったのは、大気圏に降下しようとしているのにまだバスターと射撃戦を繰り広げているストライクの姿だった。

 後ろを見せれば撃たれる。そういう状況なのだろう。だが……

 

「キラ、戻れ!」

 

 そう叫ぶも、ストライクとバスターはすでに重力により身動きが出来ない状態になっていた。キラもそれは理解したのだろう。シールドを地球へと向け、なんとか大気圏との摩擦熱から身を守ろうとする。

 

「マリュー!」

「ええ、分かってるわ。艦を寄せて! アークエンジェルのスラスターならまだ間に合うわ!」

「しかしそれでは艦の降下地点が!」

「ストライクとブリッツ、両方アラスカに届けるのがハルバートン提督との約束です。それに……」

 

 マリューの言いたい事は分かる。ブリッツはあくまでも特殊な機体だという事だ。連合の量産型MSの雛形とするのにブリッツとストライクのどちらが向いているかと言われれば、それは当然ストライクだろう。

 

「艦をストライクに寄せろ!」

 

 ナタルもそれを理解しているのか、マリューに続いて命令する。

 艦の操舵を担当しているノイマンとしてもその2人に命令されては従う他はない。アークエンジェルは徐々にストライクへと近づいていく。そしてストライクの真下へと辿り着き、ストライクはアークエンジェルの甲板へと降り立つ事に成功し、そのまま地球へと降下していった。




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:510
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:259

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