転生とらぶる   作:青竹(移住)

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1845話

 昼休みが終わり、俺とゆかりが教室に戻ると、当然のように周囲からは色々と聞かれる事になった。

 だが、幸いにも昼休みが終わってから教室に戻ったという事もあり、俺達に質問をしている途中で教師が教室に入ってきた。

 結果としてその時は特に何が起きるでもなく、無事に終わったのだが……それは、あくまでもその時のみだ。

 そして午後の授業は基本的に2時限あり……つまり、昼休み後にはもう1回休み時間がある訳だ。

 そんな時間がすぎて6時限目の授業が終わり、教師が教室から出ていった後……ゆかりは今までのように教室から抜け出ようとする。

 当然クラスメイト達の意識はゆかりよりも転入生の俺にあり、結果として今までゆかりは逃げる事が出来たが、俺は逃げ出す事が出来なかった。

 そして、今回も同じような流れになる……と、ばかり思っていたのだが、ゆかりが席を立った瞬間、教室の扉が開く。

 教師と殆ど入れ違いに教室の扉を開けたのは、月光館学園でも有名人の1人、真田。

 

「アルマー! 転入していると聞いたが、今日からだったのか!」

 

 真田は席に座っている俺を見ると、嬉しそうに叫ぶ。

 そうなれば、当然教室中にその声が響く。

 ましてや、有名人の真田だ。当然のように教室にいた生徒達の視線は真田に集まる。

 

「ちょっ、何で真田先輩が!?」

 

 俺の方にやって来ようとしていた女の1人が、嬉しげに叫ぶ。

 驚きつつ、それでいて真田に会えた事を隠しもしないのは、やはり真田のファンだからなのだろう。

 それはその女だけはない。男も真田を見た事に嬉しそうに周りと話している者もいる。

 俺が予想していたよりも、真田の人気は高いらしい。

 まぁ、桐条はお嬢様! といった感じでそのまま高嶺の花って感じだからな。

 そう考えれば、真田の方が親しみやすいのは当然の結果なのだろう。

 ……それでいて、別に真田の方が人気が高いって訳じゃないのが、色々と複雑なところだが。

 

「っと、悪い。ん? 岳羽か」

「あ、あはは。こんにちは、先輩。一体どうしたんですか?」

「いや、アルマーが今日から来ていると美鶴から聞かされたからな。今日のトレーニングに付き合って貰おうと思ったんだ。以前の戦いでは負けたから、今は少しでもアルマーから技術を盗む必要がある」

「あ……」

 

 真田の言葉に、ゆかりが思わずといった様子で口を押さえる。

 うん、まぁ、その気持ちは分からないでもない。

 ゆかりも、まさか真田が今この状況でそんな事を言うとは思ってなかったのだろう。

 学校の成績もそんなに悪くないって話だったが……いや、勉強と頭の良さは違うか。

 ともあれ、真田の口から出てしまったその言葉を、既になかった事には出来ない。

 しくじったな……いや、まさかここで真田があんな事を言うなんて、誰も思ってなかっただろう。

 

「お、おい。なぁ、お前本当に真田先輩に勝ったのか?」

 

 俺の近くにいた男子生徒の1人が、恐る恐るといった様子で尋ねてくる。

 その瞳にあるのは、驚愕の色。

 まぁ、ぶっちゃけこの月光館学園で最強と言われているだろう真田を相手に俺が勝ったとか聞かされれば、普通は信じない。……そう。普通は、だ。

 だが、今回の場合はその真田自身が口にしているという事もあり、それを否定するのは難しい。

 ここで俺が何を言っても既に無駄だろうと判断し、男の言葉に頷く。

 

「ああ。ただし、ボクシングのルールじゃなくて、何でもありの試合だったけどな」

 

 正確には模擬戦なんだが、取りあえずその辺は試合という事にして誤魔化しておく。

 でなければ、色々と面倒な事になりそうだし。

 実際、俺の言葉を聞いた男も、ボクシングのルールではなかったというのを知ると、少しだけ安堵した様子を見せる。

 

「あー、そうか。……いや、でもボクシングのルールじゃなくても、お前が真田先輩に勝ったってのは、凄いと思うぞ?」

「まぁ、それなりに腕に自信はあるからな」

「……なら、ボクシング部に入るのか?」

「いや……」

 

 その予定はないと、そう言おうとした時、俺の机の前に既に真田の姿があった。

 

「アルマー、俺の話を聞いてなかったのか? ちょっと付き合って欲しい」

「あー……悪い。放課後になったら生徒会室に来るように桐条に言われてるんだ。そっちには付き合えない」

「何? 美鶴にか? ……そうか、お前と訓練するのを、楽しみにしていたんだがな」

 

 若干不満そうな様子の真田だったが、桐条には頭が上がらないというのは、以前何度か行動を共にした事で理解している。

 その辺り、真田も自分でしっかりと理解しているのだろう。

 

「なら、美鶴との用事が終わってまだ時間があったら、ボクシング部の部室に顔を出してくれないか?」

「あー……そうだな。時間があったらそうさせて貰うよ」

「楽しみにしているからな」

 

 そう告げる、真田は去っていく。

 それを見送り、俺もすぐにその場を立ち去る事にした。

 でなければ、色々と不味い事になるのは確実だったからだ。

 ……もっとも、今その不味い事態を免れても、明日の朝にはどうにかなってしまう可能性もあるが。

 それでも一晩おけば、ある程度収まってくれる……筈。

 そう願って、俺は教室を出る。

 出てから……あれ? 生徒会室ってどこだ?

 以前桐条と魔法の勉強をした時は……いや、空き教室でやったから、生徒会室には行ってないんだよな。

 まぁ、別にタルタロスのように広い訳じゃないんだし、誰かに聞けば一発だろう。

 そう判断し……だが、それよりも前に生徒会室をよく知っているだろう人物の姿を見つける。

 その人物も、俺の存在に気が付いたのだろう。少し驚きながらこっちに近づいてきた。

 

「君か。アクセル・アルマーだったな?」

 

 そう告げてくるのは、小田桐とかいう男。

 こっちの様子を見て、以前と同様偉そうにしていた。

 

「ああ、丁度いい。生徒会室ってどこだ?」

「む? お前が生徒会室に何の用だ?」

「桐条に……生徒会長に呼ばれてな」

 

 そう告げると、若干不愉快そうな表情を浮かべはするものの、小田桐は正直に生徒会室の位置を教える。

 以前俺と桐条が一緒にいるところを、その目で見ているからだろう。

 もしそうでなければ、恐らく俺に生徒会室の位置を教えたりはしなかった筈だ。

 ……まぁ、最悪ここで教えられなくても、他の誰かに聞けばいいだけだろうが。

 何やら忙しいらしく、小田桐は俺に生徒会室の位置を教えるとそのままどこかに行く。

 小田桐の性格を考えると、俺とは到底合いそうにないので、こっちとしては寧ろ助かったんだが。

 そんな訳で、俺が小田桐から教えて貰った生徒会室に向かい……特に何かのイベントもなく、無事に到着した。

 いやまぁ、学校の校舎内を歩いているだけで色々とイベントが起きたりしたら、それはそれで問題だと思うが。

 生徒会室の扉をノックすると、すぐに中から返事が聞こえる。

 入ってもいいという許可を貰って生徒会室の中に入った俺が見たのは、机の上で何かの書類に目を通している桐条の姿だった。

 

「ん? ああ、アルマーか。わざわざ呼んで済まないな。この書類だけ片付けるから、ちょっと待っててくれ」

「ああ。……にしても、生徒会長ってのは色々と大変そうだな」

「ふむ、そうだな。だが、私が自分から望んで生徒会長になったのだ。そうである以上、この程度で大変などと音を上げてはいられんよ。……よし」

 

 書類を最後まで読み終わった桐条は、最後にその書類に判子を押して処理を終える。

 俺も一応シャドウミラーのトップだが……書類仕事とかは、エザリア達政治班に完全に任せているからな。

 俺がやるのは、本当に少数の厳選された書類を処理するだけだ。

 そういう意味で、こっちとしては楽なんだが。

 普通に俺がやるよりもエザリア達政治班に任せておいた方が、基本的には上手く回るのも事実だ。

 ……普通であれば、部下に政治の類を完全に任せるというのは色々な意味で危険な行為だ。

 だが、俺達シャドウミラーは常識では考えられない程の少人数国家だ。

 だからこそ、政治班に所属している者を完全に信頼も信用も出来る。

 政治班の中で一番危険そうな奴はレオンなんだが、レオンの場合は鵬法璽でシャドウミラーで妙な真似は出来なくなっているしな。

 フロンティア船団であれだけの騒動を引き起こしたレオンだけに、そうでもしなければ、とてもではないがシャドウミラーに引き抜くような真似は出来なかった。

 個人の能力として考えれば、レオンはかなり優秀なのだが。

 

「さて、アルマー。実はこうしてお前に来て貰ったのは、他でもない。お前に少し話をしておく必要があったからだ」

 

 広がっていた書類を片付けると、桐条は改めて俺の方に視線を向けてくる。

 

「話しておく事? 何だ? 桐条グループに預けてあった宝石とかで何か進展があったのか?」

「ん? ああ、そっちはもう少し掛かるらしい。いや、何個かはもう効果が分かった奴があるらしいが、ある程度纏まってから報告して欲しいという話だっただろう?」

「そうだな」

 

 俺は桐条の言葉に頷く。

 実際、桐条グループに預けてある宝石、もしくはタルタロスで見つけた効果の分からない代物の数は30個を超えている。

 であれば、1個ずつ効果が発揮したらその中身を教えて貰うというのは、非常に面倒臭い事になる。

 何度も桐条に会いにいくのも、それなりに手間だしな。

 であれば、ある程度の数を把握してから……という方がいいのは間違いないだろう。

 もっとも、非常に強力な効果だったり、希少な効果だったりするのであれば、こっちに連絡を入れるようにはしてあるのだが。

 

「じゃあ、何でだ?」

「うむ。実は、明日にはまたお前のクラスに転入生が入る」

「……は? また?」

 

 普通であれば、1つのクラスに続けて2回転入生が来るなんて事はない。

 ……いや、この世界は恐らく何らかの原作がある世界だ。

 そう考えれば、そこまでおかしくないのか。

 正確には、元々2-Fにその転校生が入るのが決まっていたところに、俺が割り込んだという形だろう。

 となれば、恐らくその転入生はこの世界の原作に何か関わっていると考えて間違いない。

 ましてや、ペルソナ使いのゆかりのいるクラスに転校してくるという時点で、色々とおかしい。

 なるほど。いつこの世界の原作が始まるのかと思っていたが、その転入生が来てからな訳だ。

 

「本来なら新年度が始まるのと同時に転入してくる予定だったのだが、色々と事情があって遅れてな」

「なるほど。で、それを俺に言うって事は……ペルソナ使いって事か?」

「どうだろうな。今のところペルソナ使いとして覚醒しているのかどうかまでは分からん。だが、影時間に対する適性を持っているのは明らかだ。となると、そのうちペルソナに覚醒する可能性は十分にある」

 

 その言葉に、やはりその人物の登場こそがこの世界の原作の始まりなのだろうという思いが強くなる。

 

「なるほど。それで、俺達のクラスか」

 

 現在2年の生徒で、ペルソナ使いとして覚醒しているのはゆかりだけだ。

 である以上、俺達と一緒のクラスに放り込むのは当然だろう。

 一応俺達は桐条達とは違う勢力ではあるのだが、現状では桐条達と協力関係にあるのは間違いない。

 これで以前の交渉が決裂し、敵対しているのであれば同じクラスにはしなかったと思うが。

 ……いや、桐条グループが運営しているこの月光館学園で、桐条と敵対するというのはかなり痛いだろう。

 特に今は俺が生徒として通っているが、以前桐条達と交渉した時はまだ友好関係を結んでいる訳ではなかった。

 

「そうなる。色々と迷惑を掛けるかもしれないが、よろしく頼む」

「まぁ、こっちで出来る程度ならな」

 

 にしても、転入してくる奴が3年なら、桐条や真田と同じクラスにしたんだろうが……もし1年だったら、どうしてたんだろうな?

 何をするにしても、ペルソナ使いがいない以上、どうしても色々と手間が掛かる。

 まさか、無理矢理2年3年にする訳にはいかなかっただろうが。

 俺と違って、きちんと戸籍とかもあるんだろうし。

 

「それと……魔法についてだが、やはり難しいな。ペルソナ以外に私も魔法を使えるようになれば、タルタロスでの戦闘もかなり楽になるのだが」

「だろうな。まぁ、魔法についての習得具合は俺も何とも言えないから、あくまでも桐条次第だけど」

「……本当に、どうやってお前は魔法を使っているのだ?」

 

 溜息を吐く桐条。

 もっとも、それも仕方がないだろう。

 元々このペルソナ世界はネギま世界と同じくらいに魔法が使いやすい世界ではあるが、魔法球の中で練習する程の効率はない。

 ましてや、生徒会長であり、桐条グループの令嬢であり、影時間を解決する為に行動していると考えれば、自由に出来る時間はそう多くはないのだろう。

 その後、30分程、俺は桐条の愚痴に付き合うのだった。




アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389

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