転生とらぶる   作:青竹(移住)

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0174話

 カガリについての騒動も一段落し、サイーブが指揮所中央にあるテーブルの上の地図を広げてみせる。……俺の殺気に対しても周囲の連中のように露骨に反応しなかった所を見ると、それなりに場数は潜っているのだろう。さすがオーブの獅子ウズミ・ナラ・アスハの知人という所か。

 

「あんた達はアラスカに行きてぇって事だがな」

 

 指揮所からカガリが出て行くのをチラリと確認してから、広げられた地図へと視線を向ける。

 

「そりゃあザフトの勢力圏と言ったって、こんな土地だ。砂漠中に軍隊がいる訳じゃねぇ。だが三日前にビクトリア宇宙港を落とされてしまってからこっち、奴等の勢いは強い」

「ビクトリアが!?」

「三日前?」

 

 サイーブの言葉にナタルとマリューがそれぞれ反応する。

 

「三日前というと……丁度俺達が地球に降下するかどうかってくらいだな」

「ええ。あの状態では地上の情報を入手出来なかったのはしょうがないけど……痛いわね」

「ここ、アフリカ共同体は元々プラント寄りだ。頑張ってた南部の南アフリカ統一機構もついに地球軍に見捨てられちまったんだろう。ラインは日に日に変わっていくぜ?」

「そんな中で頑張るねぇ、あんたらは」

 

 ムウのどこか茶化すような言葉に、サイーブはただ黙って視線を向けるだけだった。

 コーヒーを一口飲んで口を開く。

 

「俺達から見りゃぁ、ザフトも地球軍も同じだ。どっちも支配し、奪いにやってくるだけだ……」

「だから今はこの地を支配しているザフトと戦っている、か」

「ああ。傭兵のあんたには分からないかもしれんが、俺達はこの地で生まれ、この地で死んでいく。それに……いや、ここで言ってもしょうがないか」

 

 恐らくサイーブが言おうとしたのはこの地で生きる者の誇りとかその辺なのだろう。しかし傭兵だと紹介されている俺にそれを言っても無駄だと判断したのか途中で口を濁して話題を変える。

 

「あの船は、大気圏内ではどうなんだ?」

「そう高度は取れない」

 

 ナタルのその答えに、サイーブは地図を見ながら答える。

 

「山脈を越えられねぇってんなら後はジブラルタルを突破するか?」

「この戦力で? 無茶を言うなよ」

 

 呆れたようなムウの口調に思わず同意する。

 

「だな。アフリカ最大のザフト軍基地を、いくら新造艦とは言えアークエンジェルだけで突破するのは無理・無茶・無謀でも言い足りないぞ」

 

 ジブラルタル基地。それはユーラシア連邦と接しているアフリカ最大のザフト軍基地だ。敵対国家であるユーラシア連邦と接しているのだから、そこに駐在するザフト軍の規模は推して知るべしだろう。幾ら最新鋭MSと最新鋭戦艦があるとは言え、ストライクとブリッツ、アークエンジェル程度の性能ではジブラルタル基地にある戦力を突破出来るとはとても思えない。

 キラがもう5人程いて、尚且つ全員がストライクフリーダムに乗ってるのならそれも可能かもしれないが。あるいは俺のグロウセイヴァーとか。

 

「それもそうだな。そうなると、頑張ってインド洋から太平洋へ出るっきゃねぇな」

「太平洋……」

「補給路の確保無しに、一気に行ける距離ではありませんね」

「大洋州連合は完全にザフトの勢力圏だろ? 赤道連合はまだ中立か?」

 

 そんなマリューとナタル、ムウの会話にどこか面白そうな様子でサイーブが口を挟む。

 

「おいおい、気が早いな。もうそんな所の心配か? ここ、バナディーヤにはレセップスがいるんだぜ?」

 

 サイーブが持っていたカップで地図の一点を示す。そこにはバナディーヤという名が表記されている。

 

「あ、頑張って抜けてって……そういう事?」

「アクセル・アルマー。ブリッツのパイロットとして意見はあるか?」

 

 我関せずといった風に壁……と言うか、岩に寄り掛かっているとナタルが尋ねてくる。いつもなら軍人としての規律や体面上、こういう場面で俺に意見を求める事なんか無かったんだが……以前に比べて多少柔らかくなったか?

 チラリとムウの方へと視線を向けると、それに気が付いたのか軽く肩を竦めている。

 もっとも、傭兵云々にしたってレジスタンスと協力してる状況なんだから俺の考えすぎなのかもしれないが。

 

「そうだな。ブリッツもOSを地上での戦闘用にキラに設定して貰ってるし、ザフトと戦いになっても昨夜のようにアークエンジェルの甲板上から援護射撃だけという事にはならない筈だ。真っ正面から砂漠の虎と戦うというのなら勝つ自信はある。……まぁ、アンドリュー・バルトフェルドが一人でMSなりなんなりに乗って前線に出てくるという前提での話だがな」

「指揮官がMSで前線にか? ……ちょっと考えにくいな」

「いや、奴ならあるいは」

 

 ムウの意見にサイーブが口を挟む。

 

「奴は指揮官としても一流だが、MSパイロットとしても一流だ。それも超のつく、な。実際今まで幾度となく自分用にカスタムしたバクゥで連合軍とやり合っているのも目撃されている」

「そうなると、問題はどうやって砂漠の虎を戦場に出すかという事だが」

 

 結局バルトフェルドを戦場に引き出す方法を思いつかずにその場は一端解散となった。

 

 

 

 

 

「ちょっと冷えるわね」

 

 ブルッと軽く震えたマリューが焚き火の側……というよりは、その近くにいる俺の側へと近づいてくる。

 砂漠特有の、昼は暑く夜は寒いという天候の為に夜になったレジスタンスのアジトはかなり冷え込んでいる。そんな中、俺達は焚き火を囲みながら食事を取っていた。俺の隣にはマリューが、向かいにはムウとナタルがいる。

 既に人外と言ってもいい程に強靱な肉体を持っている俺はともかく、温度調整が当たり前のコロニーやアークエンジェルで暮らしてきたマリュー達にはこの砂漠の激しい温度変化は酷だろう。

 

「取りあえず食える時に食っておいた方がいい。ほら」

 

 焚き火の上に置かれている鍋からその中身を器に盛りつけてスプーンと共に渡す。

 詳しい料理名は知らないが、豆や穀物、その他色々な野菜と羊の肉を一緒に煮込んだものだ。……馴染みのある料理名だとアフリカ風雑炊とかそんな感じだろうか? スパイスがちょっと強めなので雑炊というよりはシチューといった方がいいのかもしれない。

 

「ありがとう」

「お、結構美味そうだな。ほら、バジルール中尉も食えよ」

 

 鍋の中身を盛りつけた椀をナタルへと回し、自分の分も確保するムウ。ナタルは代々軍人を輩出する名家の出身として得体の知れない料理には口を付けたくなかったようだが、自分以外の者が美味そうに食べているのを見て、観念したかのように料理を口に運ぶ。

 ……名家出身と言えば、ムウだってそれなり以上に金持ちの家出身の筈だが特に気にする事もなく美味そうに料理を食べているな。

 そんな時間が30分程経っただろうか。どこか周囲を警戒していたナタルも多少はリラックスして俺達とこれまでの苦労話をしている時にそれは起こった。

 

 ピーーーーーッ

 

 周囲に笛の音のようなものが響き渡ったのだ。それを聞いたレジスタンスの男達は急にざわめき始める。俺達の近くで同じく食事をしていたサイーブが通信機を取り出して笛を鳴らしたであろう相手へと連絡を入れている。

 

「どうした!」

「空が燃えている! タッシルの方向だ!」

 

 なるほど、原作通りに昨夜お痛をした警告という事か。

 周囲のレジスタンスと共に俺達もタッシルの方向が見える場所へと移動する。するとタッシルがあると思われる方の空が赤く染まっているのが見えた。

 既に明けの砂漠のメンバーはそれぞれに武器や医薬品を用意し、タッシルへと車を向かわせようとしている。そのメンバーをサイーブが落ち着かせ、このアジトを守る為に半分を残していくようにと指示を出していた。

 そんな明けの砂漠のメンバーを俺達は少し離れた所で眺めていた。

 

「どう思う?」

 

 岩に寄り掛かりながら、ムウがそう尋ねてくる。

 

「そうだな。俺の知ってる情報では砂漠の虎は民間人を虐殺するような性格だとは聞いてないが」

「だな。俺の知ってる話でもそうだが……俺やお前が知ってるのはあくまでも噂で、実際に砂漠の虎を知ってる訳じゃないだろう?」

「ま、そりゃそうだ。実際に砂漠の虎を知ってる訳じゃない」

 

 俺が知ってるのはあくまでも原作知識であって、実際に本人を知ってる訳ではない。そしてその原作知識をあまりに盲信しすぎると痛い目に遭うというのはコードギアスの世界で体験している。

 そもそも、原作知識云々と言うのなら俺とマリューがくっつくのは有り得ない事だろう。そしてそのマリューとくっつく筈のムウは何故かナタルと良い雰囲気になっている。いくら俺というイレギュラーな存在がいるにしても、この流れで原作知識を絶対的に信じる事が出来ないというのは明らかだ。

 そんな事を考えていると、ムウがマリューへと声を掛けていた。

 

「どうする、俺達も行くか?」

「サイーブさんの言う通り、別働隊がいる可能性がある以上はアークエンジェルは動かない方がいいでしょう。フラガ少佐、行って頂けますか?」

「あ? 俺?」

「ストライクやブリッツは空を飛べませんが、スカイグラスパーは空を飛べるでしょう?」

「だわね。んじゃ、行ってくるわ」

 

 ナタルへと軽く手を振り、アークエンジェルの方へと向かって走っていく。その様子をどこかぼうっとした様子で見送るナタルをよそに、マリューがムウの背へと声を掛ける。

 

「出来るのはあくまでも救援です。バギーでも医師と誰かを行かせますから」

「あいよ」

 

 そしてそんな俺達をよそに、サイーブ達もタッシルへと向かって行く。

 

「総員、直ちに帰投! 警戒態勢を取る!」

 

 マリューが周囲にいるアークエンジェルのメンバーにそう叫び、艦の方へと戻っていく。それに続く他のメンバー。もちろん俺もそれについていく。

 ……そう言えばマリュー達と食事をしていたのですっかり忘れてたんだが、キラがサイと揉めるイベントはどうなったんだ? キラの俺に対する態度は以前とそれ程差がないから特に違和感無くスルーしてしまっていたな。後でそれとなく様子を探ってみた方がいいか。

 

 

 

 

 

「こちらから派遣するメンバーだけど……」

 

 ブリッジで誰を出すのかを相談していると、ナタルが一歩前に出る。

 

「艦長、ここは私が」

「バジルール中尉? ……まぁ、いいでしょう。出来るのはあくまでも救援だからそれを忘れないでね」

「はっ!」

 

 ナタルが短く敬礼すると、医師や医薬品を用意する為にブリッジを出て行く。

 

「男が出来るとあの堅物軍人でも変わるもんだな」

 

 苦笑を浮かべつつマリューへと声を掛ける。実際、今回ナタルが自分から志願したのはムウの事が心配だというのが大きいように思える。

 

「あら? じゃあ私も変わったのかしら?」

 

 どこか悪戯っぽくこちらを見るマリューに思わず苦笑を浮かべる。

 

「さて。どうだろうな。俺としてはよりいい女になった……としか言えないがね」

 

 実際、俺と関係を持って以降はそれまでのどこか張り詰めた雰囲気もなくなってより柔らかい笑顔をするようになっており、それが今まで以上にマリューの魅力を引き立てている。

 

「本当はもうMA乗りは好きになるつもりは無かったんだけど、ね」

「ん? 何か言ったか?」

「いえ、何も。それよりもほら、まだあの襲撃が囮だという可能性もあるんだから気を抜かないで」

 

 パンっと俺の背中を叩いてくるマリュー。それと殆ど同時に通信画面にナタルの姿が映った。

 

「艦長、こちらも準備が出来ましたので出発します」

「お願い。状況報告は密にしてね。囮の可能性もあるから気をつけて」

「はっ!」

 

 敬礼をしたナタルがバギー2台に数人のクルーと医者、医薬品等の補給物資を積み込んで出発した。




名前:アクセル・アルマー
LV:35
PP:525
格闘:246
射撃:264
技量:256
防御:253
回避:281
命中:303
SP:422
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:B
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    ギアス(灰色)
    ???
    ???
    ???
    ???
    ???

撃墜数:262

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